税務調査で指摘を受けたとき、会社がまず確認するのは「本税がいくら増えるのか」という点でしょう。
ただ、実際の資金流出は本税だけでは終わりません。修正申告や更正、期限後申告、源泉所得税の納付漏れ、申告期限の延長、納税猶予といった場面では、延滞税・利子税・加算税といった「附帯税」が生じることがあります。
そして附帯税は、単なる細かな付随費用ではありません。追加納税額の資金繰り、金融機関への説明、役員や経理担当者の責任整理、税務調査後の意思決定、翌期以降の申告レビュー体制にまで、直接影響してくるものです。
特に法人税務では、次のような誤解が少なくありません。
| よくある誤解 | 実務上の注意点 |
|---|---|
| 本税だけ払えば調査対応は終わる | 延滞税・加算税・地方税・消費税・源泉税への波及を確認する必要がある |
| 申告期限を延長すれば納税も延長される | 原則として申告期限の延長と納付期限の延長は別問題 |
| 延滞税も税金だから損金になる | 延滞税や加算税は法人税計算上、原則として損金不算入 |
| 利子税と延滞税は同じもの | 利子税は一定の手続に基づく納付時期のずれに伴う負担であり、延滞税とは性質が異なる |
| 税務署の指摘が遅れたなら延滞税は当然免除される | 免除には法令上の要件があり、単に指摘が遅れたことだけでは足りないことがある |
本稿では、税務調査後の追加納税や申告期限の管理で問題になりやすい「延滞税」「利子税」「附帯税」の基本を、法人税務の実務判断に必要な範囲で整理していきます。
附帯税とは何か
附帯税とは、本税に付随して課される国税のことをいいます。
国税通則法では、附帯税を「延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税」と定めています。
出典:e-Gov法令検索|国税通則法
実務上は、この附帯税を大きく次の3つに分けて捉えると理解しやすくなります。
| 区分 | 主な内容 | 性質 |
|---|---|---|
| 延滞税 | 納付が遅れた場合に課される利息的負担 | 納期限後の履行遅滞に対する負担 |
| 利子税 | 延納や申告期限延長など、一定の手続により納付時期が後ろにずれる場合に課される負担 | 許容された納付時期のずれに伴う利息的負担 |
| 加算税 | 過少申告、無申告、不納付、隠蔽・仮装などの場合に課される負担 | 申告・納付義務違反に対する制裁的負担 |
延滞税や利子税は本税と併せて納付するものとして扱われ、加算税も本税に付随する国税として位置づけられます。附帯税は、いわば本税という国税債権に上乗せして負担させる税です。そのため追加納税を検討するときは、本税と切り離さずに一体で確認しておく必要があります。
もっとも、附帯税といっても性質はさまざまです。延滞税は納付の遅れに、利子税は制度上認められた延長・延納に、加算税は申告や納付の誤り・不履行に、それぞれ対応しています。経営判断の観点からは、「その附帯税が何を原因として生じているのか」を切り分けて見ることが大切です。
延滞税とは何か
延滞税は、定められた期限までに税金が納付されない場合に、原則として法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて課される、利息に相当する負担です。期限までに納付されなければ自動的に発生していく点に特徴があります。
出典:国税庁|No.9205 延滞税について
延滞税が発生する代表的な場面は、次のとおりです。
| 場面 | 延滞税が問題になる理由 |
|---|---|
| 期限内申告をしたが、納付が遅れた | 法定納期限までに完納していない |
| 期限後申告をした | 本来の納期限後に税額が確定し、納付が遅れている |
| 修正申告をした | 当初申告で不足していた税額について、法定納期限から遅れて納付することになる |
| 更正・決定を受けた | 課税庁の処分により追加税額が確定する |
| 源泉所得税を納期限までに納めなかった | 源泉徴収税額の納付遅れが生じる |
| 消費税・地方消費税の納付が遅れた | 法人税と同様、納期限後の未納が生じる |
延滞税が課されるのは、申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しなかったとき、期限後申告書や修正申告書を提出して納付すべき税額があるとき、そして更正・決定を受けて納付税額が生じたときです。また延滞税は本税のみを対象として課され、加算税などにはかからないとされています。
出典:国税庁|No.9205 延滞税について
この「本税だけを対象とする」という点は、意外と見落とされがちです。たとえば税務調査で法人税の本税・過少申告加算税・延滞税が生じたとしても、延滞税が過少申告加算税にさらに上乗せで課されるわけではありません。延滞税がかかるのは、あくまで納付の遅れている本税に対してだけです。
延滞税の計算でまず確認すべき「法定納期限」と「納期限」
延滞税を考えるうえでは、「法定納期限」と「納期限」を区別しておく必要があります。
法定納期限とは、税法上、本来納付すべき期限のことです。一方、延滞税の割合を区分する際に使われる「納期限」は、期限内申告・期限後申告・修正申告・更正や決定のいずれかによって変わってきます。
| 区分 | 延滞税計算上の納期限 |
|---|---|
| 期限内に申告された場合 | 法定納期限 |
| 期限後申告又は修正申告の場合 | 申告書を提出した日 |
| 更正・決定の場合 | 更正通知書を発した日から1か月後の日 |
納期限については、期限内申告なら法定納期限、期限後申告や修正申告なら申告書を提出した日、更正・決定なら更正通知書を発した日から1か月後の日、というように区分されます。
出典:国税庁|延滞税の計算方法
法人税の実務では、ここでの判断を誤ると延滞税の見積りが大きくずれてしまいます。
たとえば3月決算の法人が、本来5月末までに法人税を納付すべきところ、税務調査を受けて2年後に修正申告をしたとします。この場合、追加本税の納付期限は修正申告書を提出した日になります。
ただし、延滞税の起算は、原則として本来の法定納期限の翌日からです。「修正申告書を出した日から延滞税が始まる」と考えてしまうと、資金繰りの見積りを見誤ることになります。
延滞税の割合は二段階で見る
延滞税の割合は、一律ではありません。「納期限までの期間、および納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間」と、「それ以降の期間」とで、割合が変わります。
令和3年1月1日以後の延滞税では、納期限までの期間および納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間について、原則年7.3%と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合が適用されます。
そして、納期限の翌日から2か月を経過する日の翌日以後は、原則年14.6%と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合が適用されます。
出典:国税庁|延滞税の割合
令和8年、すなわち2026年1月1日から2026年12月31日までの期間に対応する割合は、次のとおりです。
| 期間 | 令和8年の割合 |
|---|---|
| 納期限までの期間及び納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8% |
| 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 | 年9.1% |
令和4年から令和7年までは、それぞれ年2.4%・年8.7%でしたが、令和8年は年2.8%・年9.1%へと上がっています。
延滞税の割合は年ごとに変わります。そのため、過年度分の修正申告をする場合でも、「納付する年」や「延滞税の計算期間」に対応した割合を確認しておく必要があります。
税務調査後の修正申告では、延滞税の見積りが特に重要になる
税務調査で追加税額が発生する場合、延滞税の金額は次の要素で決まります。
| 確認項目 | 実務上の意味 |
|---|---|
| 追加本税の金額 | 延滞税の計算基礎 |
| 法定納期限 | 延滞税の起算点 |
| 修正申告書の提出日又は更正通知日 | 納期限や2か月区分に影響 |
| 実際の納付日 | 延滞税の終期 |
| 延滞税割合 | 年度ごとの割合を適用 |
| 計算期間控除の有無 | 長期間経過後の修正申告・更正で影響 |
| 重加算税の有無 | 計算期間控除の特例が使えない場合がある |
特に注意したいのは、修正申告書を提出した日から2か月を超えて追加本税を納付するケースです。修正申告によって生じる税額は、修正申告書を提出した日が納期限になります。その翌日から2か月を経過すると、高いほうの延滞税割合が適用されることがあります。
つまり、修正申告書の提出日から2か月を過ぎて増差税額を納付すると、負担が一段と重くなりかねないということです。
ですから、税務調査の指摘に納得して修正申告をする場合であっても、修正申告書を提出するタイミングと納付資金の準備は、一体のものとして考えておかなければなりません。
「とりあえず修正申告書だけ先に出して、納付は後で考えよう」という進め方は、かえって延滞税の負担を増やしてしまう可能性があるのです。
延滞税の計算期間が控除される場合
延滞税は、原則として法定納期限の翌日から納付日までの日数で計算します。ただし、一定の場合には、この計算期間から控除される期間が設けられています。
期限内申告書を提出したあと、1年以上を経過してから修正申告や更正があった場合には、重加算税が課されたときを除き、法定納期限から1年を経過する日の翌日から、修正申告書の提出日または更正通知書の発出日までの期間が、延滞税の計算期間から控除されます。
期限後申告書を提出したあと、1年以上を経過して修正申告や更正があった場合も、同じように一定の期間が控除されます。
出典:国税庁|延滞税の計算方法
これは、税務調査後の延滞税見積りに大きく影響します。
ただし、重加算税が課される場合には、この控除の特例が認められないことがあります。重加算税の対象となった本税については計算期間の控除が使えないため、延滞税の負担もその分だけ重くなりやすい、という点には注意が必要です。
そのため、税務調査で「単なる誤り」なのか、それとも「隠蔽・仮装」に当たるのかが争点になる場面では、本税や重加算税だけでなく、延滞税の計算期間にまで影響が及ぶことを理解しておく必要があります。
利子税とは何か
利子税は、延滞税とよく似た名称ですが、その性質は異なります。
延滞税は、期限までに納付しなかったこと、いわば履行の遅れに対する負担です。これに対して利子税は、延納や物納、申告期限の延長など、制度上認められた納付時期のずれに伴って課される負担です。
法人税務で利子税が問題になりやすいのは、法人税の確定申告書の提出期限の延長を受けている会社です。
法人税には、定款などの定めによって、事業年度終了後2か月以内に定時株主総会が招集されない常況にある場合などに、申告期限の延長特例を申請できる制度があります。この特例を受けようとする法人が手続の対象となり、申請書の提出時期は、原則として最初に適用を受けようとする事業年度終了の日までとされています。
出典:国税庁|C1-17 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請
ただし、申告期限が延長されたからといって、納付期限まで当然に延びるわけではありません。実務上は、決算が確定する前であっても概算で税額を見積もり、本来の納付期限までに見込納付を済ませておくことが大切になります。
利子税の割合
利子税についても、利子税特例基準割合が公表されています。令和8年1月1日から令和8年12月31日までの利子税特例基準割合は、年1.3%です。
出典:国税庁|延滞税の割合
| 期間 | 利子税特例基準割合 |
|---|---|
| 令和4年1月1日から令和7年12月31日まで | 年0.9% |
| 令和8年1月1日から令和8年12月31日まで | 年1.3% |
利子税も割合が毎年変動します。申告期限の延長を受けている会社は、その年の率を確認しておく必要があります。
法人税の申告期限延長と見込納付
法人税の申告期限延長を受けている会社では、「申告書の提出は1か月延びても、納税資金の準備は本来の納付期限までに必要」という実務感覚が欠かせません。
たとえば3月決算の法人で、申告期限の延長によって申告書の提出期限が6月末まで延びたとしても、納付資金の検討そのものは5月末までに行っておく必要があります。
実務上は、次のような流れで進めます。
| 時期 | 実務対応 |
|---|---|
| 決算月翌月 | 月次試算表、決算整理前の利益見込みを確認 |
| 申告期限前 | 法人税・地方法人税・地方税・消費税の概算税額を試算 |
| 本来の納付期限まで | 見込納付を行う |
| 申告書完成時 | 確定税額と見込納付額との差額を精算 |
| 差額が不足する場合 | 不足分について利子税等の有無を確認 |
| 差額が過大な場合 | 還付又は充当処理を確認 |
見込納付は、単に利子税を避けるためだけの手続ではありません。決算が確定する前から税額を見積もっておくことで、資金繰り表や金融機関への説明、役員賞与・投資・借入返済の計画にも反映しやすくなります。
申告期限の延長を受けている会社ほど、決算作業は後ろ倒しになりがちです。しかし、税務判断を経営判断に結び付けるという観点からは、申告期限の延長を「税額の把握を遅らせる制度」と捉えるべきではありません。むしろ「決算確定までの手続時間を確保するための制度」と考えるのが適切です。
消費税の申告期限延長と利子税
消費税についても、法人税の申告期限延長特例の適用を受ける法人が「消費税申告期限延長届出書」を提出することで、一定の課税期間に係る消費税の確定申告期限を1か月延長できる制度があります。そして、申告期限が延長された期間の消費税および地方消費税を納付する際には、その延長された期間に対応する利子税も併せて納付する必要があります。
出典:国税庁|No.6610 法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について
法人税ばかりに目を向けていると、消費税の資金負担を見落としてしまうことがあります。
消費税は赤字であっても納税が生じる場合があり、売上規模の大きい会社ほど資金繰りへの影響も大きくなります。申告期限の延長を利用する場合でも、消費税の見込納付や資金手当ては早めに検討しておくべきです。
延滞税と利子税の違い
延滞税と利子税は、どちらも時間の経過に応じて発生する負担ですが、実務上の意味合いは大きく異なります。
| 項目 | 延滞税 | 利子税 |
|---|---|---|
| 発生原因 | 納期限までに税金を納付しないこと | 延納、物納、申告期限延長など一定の制度利用 |
| 性質 | 納付遅れに対する利息的負担 | 認められた納付時期のずれに伴う利息的負担 |
| 税務調査後の追加納税 | 発生しやすい | 通常は中心論点ではない |
| 申告期限延長 | 延滞税ではなく利子税が問題になる場面がある | 法人税・消費税の申告期限延長で問題になりやすい |
| 損金算入可否 | 原則として損金不算入 | 一般に損金算入対象として扱われる |
| 経営上の見方 | 申告・納付管理の失敗コスト | 期限延長・延納に伴う資金コスト |
この違いを理解していないと、申告期限の延長制度を「ペナルティなしで納付まで遅らせられる制度」と誤解したり、税務調査後の延滞税を「通常の借入利息のような費用」と取り違えて扱ったりするおそれがあります。
延滞税・加算税・利子税の損金算入可否
法人税の申告では、附帯税の会計処理と、税務上の損金算入可否を分けて確認する必要があります。
損金の額に算入されない主な租税公課等としては、法人税・地方法人税・法人住民税の本税、各種の加算税および加算金、延滞税および延滞金、過怠税、罰金・科料・過料などが挙げられます。
出典:国税庁|No.5300 租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期
実務上は次のように整理します。
| 税目・負担 | 法人税計算上の取扱い |
|---|---|
| 法人税本税 | 損金不算入 |
| 地方法人税本税 | 損金不算入 |
| 法人住民税本税 | 損金不算入 |
| 法人事業税 | 原則として損金算入対象。ただし損金算入時期に注意 |
| 延滞税 | 損金不算入 |
| 過少申告加算税 | 損金不算入 |
| 無申告加算税 | 損金不算入 |
| 不納付加算税 | 損金不算入 |
| 重加算税 | 損金不算入 |
| 利子税 | 一般に損金算入対象として扱われる |
| 罰金・過料等 | 損金不算入 |
延滞税や加算税は、会計上は租税公課などとして処理されることがありますが、法人税の申告では別表四で加算調整が必要になる場合があります。会計処理上の費用計上と、法人税法上の損金算入とは、あくまで別の判断だということです。
この点を見落とすと、附帯税を支払ったうえに、その附帯税まで損金に算入してしまい、翌期以降の税務調査で改めて指摘を受ける、という悪循環に陥りかねません。
延滞税の免除・軽減を検討できる場面
延滞税は、納付が遅れれば当然に全額課されるもの、と考えられがちです。しかし一定の場合には、免除や軽減が検討の対象になります。
延滞税の免除は、納税の猶予や換価の猶予をした場合など、一定の事由に該当するときに、納付すべき延滞税の全部または一部を免除するものとされています。
出典:国税庁|第8章 第1節 猶予をした場合における延滞税の免除
たとえば、次のような場面では、延滞税の免除・軽減の可否を確認する余地があります。
| 場面 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 災害により納付が困難になった | 災害による期限延長、納税猶予、延滞税免除の対象か |
| 事業の休廃止や著しい損失がある | 納税猶予・換価猶予の要件を満たすか |
| 病気・事故等で納付が困難 | 個別事情が猶予制度の対象になるか |
| 人為による異常な災害・事故がある | 納税者の責めに帰すべき事由がないか |
| 税務署側の誤指導等がある | 延滞税免除の対象となる事情か |
| 納税猶予を申請している | 猶予期間に対応する延滞税の軽減・免除があるか |
ここで押さえておきたいのは、延滞税の免除が、加算税でいう「正当な理由」とは別の枠組みで判断される、という点です。加算税とは違い、延滞税には「正当な理由」による免除・軽減の規定はありません。延滞税の免除には、当然に免除される類型と、裁量によって免除される類型があります。
したがって、「申告の誤りには正当な理由があるのだから、延滞税も当然に免除されるはずだ」という考え方は成り立ちません。延滞税の免除は、あくまで延滞税に固有の要件に照らして検討する必要があります。
延滞税を納付しても、本税や加算税を争う余地が直ちに失われるわけではない
税務調査のあとに更正を受け、不服申立てを検討している場合でも、資金繰りや滞納のリスクを考えて、本税・延滞税・加算税をいったん納付することがあります。
このとき、「納付してしまうと、処分を認めたことになるのではないか」と不安を感じる会社も少なくありません。
しかし、延滞税や加算税を納付したあとであっても、不服申立ての手続などを通じて、更正や加算税の賦課決定を争うことは可能です。そして争訟の結果、更正や加算税の賦課決定が取り消された場合には、納付した延滞税や加算税は返還されることになります。
もっとも、これは「とりあえず納付してから争えばよい」という意味ではありません。不服申立てには期限があり、また修正申告をした場合には、その修正申告自体について不服申立てができないなど、手続の選択が結果に大きく影響します。
ただ、納付と争訟の関係を正しく理解しておくことは、滞納のリスクを避けつつ会社としての主張を維持していくうえで、大きな意味を持ちます。
附帯税を「税務調査後のコスト」としてだけ見ない
附帯税は、税務調査のあとになって初めて意識するものではありません。
本来は、月次決算や申告前レビュー、納税資金の計画、届出期限の管理、税務調査前の資料整理といった段階で、発生の可能性をあらかじめ見積もっておくべきものです。
特に次のような会社では、附帯税を事前に意識する必要があります。
| 会社の状況 | 附帯税リスク |
|---|---|
| 決算確定が毎年遅い | 申告期限延長、見込納付不足、利子税 |
| 資金繰りがタイト | 納付遅れ、延滞税、納税猶予の検討 |
| 税務調査で過年度修正が想定される | 追加本税、延滞税、加算税 |
| 源泉所得税の管理が弱い | 不納付加算税、延滞税 |
| 消費税の納税資金を管理していない | 消費税延滞税、資金ショート |
| 関係会社取引が多い | 修正申告時の追加本税・延滞税 |
| 役員給与・退職金に高額論点がある | 否認時の本税・加算税・延滞税 |
| 売上計上時期に不安がある | 過年度修正時の延滞税 |
| 重加算税リスクがある | 加算税だけでなく延滞税計算期間にも影響 |
附帯税は、いわば税務判断の品質を映し出す「出口の数字」です。延滞税や加算税が発生したという事実だけを見るのではなく、なぜ申告や納付が遅れたのか、どの資料が不足していたのか、月次の段階で気づけなかったのか、専門家への相談が遅れていなかったか。そこまで振り返っておくことが大切です。
追加納税時に作成すべき資金影響メモ
税務調査後に追加納税が見込まれる場合には、次のような資金影響メモを作成しておくと、経営判断がしやすくなります。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 指摘事項 | 売上計上漏れ、損金否認、役員給与、交際費、貸倒損失など |
| 対象年度 | どの事業年度・課税期間か |
| 追加本税 | 法人税、地方法人税、消費税、源泉所得税など |
| 地方税影響 | 法人住民税、法人事業税、事業所税等への波及 |
| 延滞税 | 起算日、納期限、納付予定日、割合、計算期間控除 |
| 加算税 | 過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税 |
| 利子税 | 申告期限延長・延納等に伴うものか |
| 損金算入可否 | 税務上損金になるもの、ならないもの |
| 会計処理 | 未払計上、租税公課、法人税等、別表調整 |
| 納付予定日 | 修正申告書提出日との関係、2か月区分 |
| 資金手当て | 手元資金、借入、納税猶予、分割納付相談 |
| 外部説明 | 金融機関、親会社、株主、監査役への説明要否 |
| 再発防止 | 月次レビュー、証憑管理、申告前チェック |
このメモは、単に税額を集計するためだけの資料ではありません。会社としてどの処理を修正し、どのタイミングで納付し、どのリスクを将来に残さないのかを整理するための、意思決定のための資料です。
専門家へ相談する前に整理すべきこと
延滞税・利子税・附帯税について相談する場合には、次の情報を整理しておくと、具体的な判断に進みやすくなります。
| 整理項目 | 内容 |
|---|---|
| 税目 | 法人税、地方法人税、消費税、源泉所得税、地方税 |
| 対象期間 | 事業年度、課税期間、納付対象月 |
| 本来の法定納期限 | いつまでに納付すべきだったか |
| 申告状況 | 期限内申告、期限後申告、修正申告、更正の見込み |
| 納付状況 | 未納、一部納付、見込納付、納税猶予申請の有無 |
| 追加税額 | 本税、加算税見込み、延滞税見込み |
| 修正申告予定日 | 申告書提出日と納付日の関係 |
| 更正通知の有無 | 更正通知書の発出日、納期限 |
| 重加算税リスク | 隠蔽・仮装の指摘有無 |
| 申告期限延長 | 法人税・消費税の延長届出や申請の有無 |
| 会計処理 | 未払計上、租税公課処理、別表調整 |
| 資金繰り | 納付可能日、借入予定、猶予相談の必要性 |
附帯税の相談では、「割合は何%ですか」という問いだけでは、判断に十分な材料になりません。いつ、何に基づいて、どの税額が確定し、いつ納付するのか。それによって結論は変わってきます。
まとめ
延滞税や利子税、加算税といった附帯税は、一見すると法人税務における「申告後の結果」のように見えます。しかし実際には、申告前の処理や納付資金の準備、届出の管理、調査への対応、修正申告の判断、資料保存の品質。そうしたものがそのまま反映される領域です。
延滞税は、納付が遅れたことに伴う利息的な負担です。税務調査後の修正申告や更正にあたっては、本税だけでなく、法定納期限・納期限・納付予定日・延滞税の割合・計算期間控除の有無まで、丁寧に確認しておく必要があります。
利子税は、申告期限の延長や延納など、制度に基づいて納付時期が後ろにずれる場合に生じる負担です。法人税の申告期限延長を受けている会社では、申告期限の延長と納付資金の準備を混同せず、見込納付も含めて資金繰りを設計しておくことが求められます。
また、延滞税や加算税は、法人税の計算上、原則として損金には算入できません。会計上の処理と税務上の損金算入の可否を分けて確認し、別表調整を誤らないようにすることが大切です。
附帯税を正しく理解しておくことは、税務調査後の追加納税に備えるだけでなく、月次決算や申告前レビュー、資金繰り、金融機関への対応、再発防止策の設計にもつながっていきます。
犬飼公認会計士・税理士事務所では、税務調査後の追加納税見込額の整理から、延滞税・利子税・加算税の確認、修正申告や更正後の資金影響、損金算入の可否、申告期限延長時の見込納付の設計まで、会計と税務の両面から支援しています。追加納税額の全体像を把握したい場合や、申告期限・納付期限の管理を見直したい場合は、お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
振り返り
| 論点 | 重要ポイント |
|---|---|
| 附帯税の範囲 | 延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税 |
| 延滞税の性質 | 納付遅れに対して課される利息的負担 |
| 利子税の性質 | 申告期限延長・延納など制度上認められた納付時期のずれに伴う負担 |
| 加算税の性質 | 申告・納付義務違反に対する制裁的負担 |
| 延滞税が発生する場面 | 期限内申告後の納付遅れ、期限後申告、修正申告、更正・決定など |
| 延滞税の対象 | 本税のみ。加算税には延滞税は課されない |
| 延滞税の令和8年割合 | 2か月まで年2.8%、2か月経過後は年9.1% |
| 利子税の令和8年割合 | 利子税特例基準割合は年1.3% |
| 納期限の確認 | 期限内申告、修正申告、更正で異なる |
| 計算期間控除 | 長期間経過後の修正申告・更正では控除される場合がある |
| 重加算税との関係 | 重加算税が課される場合、延滞税の計算期間控除が使えないことがある |
| 申告期限延長 | 申告書提出期限の延長であり、納付資金の準備を遅らせる制度ではない |
| 見込納付 | 申告期限延長法人では、利子税や資金繰り管理上重要 |
| 損金算入可否 | 延滞税・加算税は原則損金不算入。利子税は一般に損金算入対象 |
| 免除・軽減 | 納税猶予・換価猶予・災害等では延滞税の免除・軽減を確認する |
| 実務対応 | 本税、附帯税、地方税、会計処理、納付予定日を一覧化する |