金融機関に評価される経営計画の考え方|借入・返済・改善施策を説明できる計画にする

金融機関に評価される経営計画とは、見栄えのよい資料のことではありません。

売上が右肩上がりに描かれていても、返済の原資が見えなければ評価にはつながりません。利益が出る計画であっても、資金繰りが回らなければ、そもそも実行できないからです。改善施策がいくつ並んでいても、担当者・期限・効果額・進捗の確認方法が曖昧なままでは、外部からはその実現可能性を見極められません。

突き詰めれば、金融機関に評価される計画とは、次のような問いに答えられる計画です。

この会社は、何を目指しているのか。足元の課題を正しく認識できているのか。売上・利益・資金の見通しに、きちんとした根拠があるのか。借入金を何に使い、何から返していくのか。計画が未達に終わったとき、どのように立て直すのか。そして何より、経営者自身が、その計画を自分の言葉で語れるのか。

融資審査の場では、債務者評価、融資案件の事情、資金使途、融資形態、返済原資、保全面、他行の取引状況、資金調達の余力といった項目が確認されます。担保があるかどうかだけで判断されるのではなく、その手前で「貸せる相手なのか」「返していける会社なのか」が見られている、ということです。

本記事では、一般的な中小・中堅企業を念頭に、金融機関に説明できる経営計画の考え方を整理します。医療機関・医療法人に固有の制度や規制、税務、金融実務については扱いません。また、融資の承認を保証するものではなく、あくまで金融機関が判断しやすい計画の前提・論点・実務上の留意点をまとめたものとしてお読みください。

目次

評価される計画は「お願い」ではなく「判断材料」

金融機関への説明というと、つい「融資をお願いするための資料」と捉えてしまいがちです。

ところが金融機関の側から見ると、経営計画はお願いを聞き届けるための資料ではありません。融資の可否、返済条件、既存借入の見直し、追加支援、保証・担保、他行との調整、今後の取引方針。こうした判断を検討するための材料として、計画は受け取られています。

経営計画がある会社では、金融機関も、その会社がどのような将来を描いているのかをつかみやすくなります。ビジョンや行動計画が明確であれば、問題が起きたときにも改善策を助言しやすく、資金用途のはっきりした支援も検討しやすくなるわけです。

ここで取り違えてはいけないのは、金融機関に都合のよい計画を作ることが目的ではない、という点です。

会社の実態を隠さず、かといって弱点をただ並べるのでもなく、課題・改善策・数値見通し・資金繰り・返済可能性を一つひとつ整理していく。金融機関は、計画が「明るいかどうか」を見ているわけではありません。むしろ、悪い情報も含めて、経営者が自社の状態をどこまで把握し、どう手を打とうとしているかを見ています。

金融庁の監督指針でも、企業の事業拡大や経営改善にあたっては、まず経営者自身が経営の目標や課題を見定め、主体的に取り組むことが重要だとされています。そのうえで地域金融機関には、単なる資金の供給者にとどまらず、外部専門家とのネットワークも活かしながら企業の自助努力を支える役割が求められています。

出典:金融庁|中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針

つまり、評価される経営計画の前提は「金融機関が何とかしてくれる計画」ではありません。経営者が自社の課題を認識し、自ら改善に取り組み、その過程を金融機関に説明できる計画。これが出発点になります。

見られているのは、きれいな将来像より「実現可能性」

経営計画では、将来の姿を描くことが欠かせません。ただ、金融機関向けの計画では、将来像を掲げるだけでは足りないのが実情です。

評価されるのは将来像そのものではなく、そこに至るまでの道筋だからです。

金融機関が確認したいこと計画上で示すべき内容
何を目指すのか経営方針、重点事業、改善テーマ
なぜその計画なのか現状分析、課題、外部環境、内部資源
売上は本当に作れるのか顧客別・商品別・数量・単価・受注状況
利益は本当に残るのか粗利率、原価、固定費、価格改定、採算改善
資金は回るのか資金繰り表、入金予定、支払予定、返済予定
借入金は何に使うのか運転資金、設備資金、納税資金、賞与資金等の区分
何から返すのか営業キャッシュフロー、投資効果、回収予定
誰が実行するのか施策、担当者、期限、KPI、会議体
未達時にどうするのか差異分析、修正策、追加対応、報告ルール
経営者は管理できるのか月次決算、予実管理、資金管理、実績報告

評価される計画は、目標が高い計画ではありません。目標・根拠・実行策・資金・返済・モニタリングが、一本の線でつながっている計画です。

売上計画は、保守的に、分解して、根拠を示す

金融機関向けの経営計画で、とりわけ気をつけたいものの一つが売上計画です。

売上計画が楽観的に過ぎると、その先の利益計画も資金計画も返済計画も、まとめて崩れてしまいます。売上を大きく見積もれば、粗利も営業利益も営業キャッシュフローも、つられて過大になる。結果として、表面上は返済できそうに見えても、実際には資金が回らない計画になりかねません。

金融機関が求める経営改善計画では、売上計画は保守的に実現できる内容であること、固定費の削減、そして返済が「いつから」「いくら」できるのかを具体的に示すことが大切だとされています。

ここでいう保守的な売上計画とは、ただ数字を低く見積もることではありません。根拠を確認できる単位まで分解する、ということです。

売上計画の分解軸確認すべき内容
既存顧客継続受注の見込み、解約リスク、単価変更、回収条件
新規顧客商談件数、成約率、受注時期、立ち上がり期間
商品・サービス価格、数量、粗利率、販売ミックス
部門・拠点担当者、営業体制、地域差、稼働能力
受注・案件受注済、見積中、商談中、未確定の区分
市場環境需要動向、競合、価格転嫁の可否、仕入価格
生産・提供能力人員、設備、外注、納期、品質管理

たとえば「売上を前年比120%にする」とだけ書かれていても、金融機関は判断のしようがありません。

その増収は、既存顧客は横ばいのままなのか。値上げによるものなのか、新規顧客によるものなのか。新規であれば、その獲得確度はどの程度なのか。受注済の案件と見込みの案件は分けて考えているか。売上が増えれば運転資金も増えるはずだが、その分は見込んでいるか。粗利率が下がる可能性はないか。

ここまで分解して、ようやく売上計画は「希望」から「判断材料」へと変わります。

固定費見直しは、削減ではなく収益構造の再設計として示す

金融機関は、売上だけでなく費用構造にも目を向けています。

売上が伸びる計画でも、固定費が重ければ利益は手元に残りません。粗利が改善しても、人件費・家賃・リース料・広告費・システム費・役員報酬・外注費・支払手数料といった費用が増え続けては、返済の原資は生まれてこないのです。

固定費の見直しで肝心なのは、一律に削ることではありません。金融機関に伝えるべきは、「どの固定費を、なぜ、どの程度、いつから見直すのか」という中身です。

固定費項目金融機関向けに整理すべき観点
人件費採用計画、残業、外注化、配置転換、生産性
役員報酬経営責任、資金繰り、税務・社会保険への影響
家賃拠点統合、移転、遊休スペース、契約期間
リース料設備利用状況、契約期間、更新・解約可否
広告宣伝費売上効果、媒体別採算、継続判断
外注費内製・外注の比較、品質、変動費化
システム費業務効率化効果、解約・統合可能性
保険料・会費必要性、補償内容、重複契約

固定費を減らす計画を出すだけでは、まだ足りません。その削減が現実に実行できるのか、事業運営に支障は出ないか、効果はいつ利益に表れるのか、資金繰りにどう響くのか。そこまで確かめておく必要があります。

特に経営改善の局面では、「固定費を削減します」の一文には説得力がありません。削減の対象、金額、実施時期、責任者、実行済みか予定か、取引先との調整状況まで整理しておきたいところです。

返済計画は「利益」ではなく「返済原資」で考える

金融機関向けの計画の中心にあるのは、返済原資です。

利益が出る計画でも、返済原資が足りなければ借入金は返せません。税金、運転資金の増加、設備投資、賞与、在庫の増加、売掛金の回収遅れ、既存借入の返済。これらを織り込まなければ、表面上の利益と実際の返済余力は大きくずれていきます。

審査における返済原資は、運転資金であれば営業収入、設備資金であれば投資から生まれる収益が中心になります。原資の種類だけでなく、その原資を本当に確保できるのかどうかが、審査の根幹に置かれているのです。

返済計画を立てるときは、少なくとも次の順序で確認していきます。

確認順序内容
1営業利益が出るか
2減価償却費を考慮した営業キャッシュフローはどの程度か
3税金、社会保険、賞与、設備維持支出を支払えるか
4売掛金・在庫・買掛金の変動で資金が減らないか
5既存借入の年間返済額はいくらか
6新規借入を含めた返済後に手元資金が残るか
7計画が下振れした場合でも最低限の返済が可能か

返済計画では、次のような形で示すと伝わりやすくなります。

項目金額イメージ
営業利益20,000千円
減価償却費8,000千円
法人税等支払△5,000千円
運転資金増加△6,000千円
設備維持支出△3,000千円
実質返済原資14,000千円
既存借入年間返済△10,000千円
新規借入返済可能額4,000千円

このように、返済可能額を営業利益だけで説明しない。ここが大切なところです。

資金繰り表は、金融機関向け計画の中核資料

経営計画に損益計画しかなく、資金繰り表がないと、金融機関は資金の流れを読み取れません。

利益と資金は一致しないからです。売上を計上しても、入金が遅れれば資金は増えません。仕入や外注費の支払いが先行すれば、売上が伸びるほど資金繰りが苦しくなることさえあります。税金や借入返済にいたっては、損益計算書上の費用とは別のタイミングで動きます。

利益計画だけでなく資金計画が必要なのは、掛取引では売上の計上と入金にずれが生じ、利益が出ていても資金の回収が間に合わない場面があるためです。

金融機関向けの資金繰り表では、次の項目を月次で整理します。

区分主な内容
営業入金売掛金回収、現金売上、前受金
営業支出仕入、外注、人件費、家賃、経費
経常収支営業活動による資金増減
投資収支設備投資、資産売却、修繕支出
財務収支借入、返済、利息、リース支払
税金・社会保険法人税、消費税、源泉税、社会保険料
手元資金残高月末現預金残高、最低必要資金
借入余力追加借入の必要性、時期、金額

資金繰り表は、資金ショートを防ぐためだけの資料ではありません。金融機関に対して「いつ、いくら必要で、何に使い、いつ回収され、どう返していくのか」を語るための資料でもあります。

資金使途は、運転資金と設備資金を分けて説明する

評価される計画では、資金使途がはっきりしています。

「資金繰りが厳しいので借りたい」だけでは、金融機関は判断できません。なぜ資金が必要なのか、どの資金使途にあたるのか、返済期間は妥当か、返済原資は何か。そこを整理しておく必要があります。

正常運転資金と設備資金とでは、適した融資形態も返済原資の考え方も異なります。資金使途に見合わない借り方を選んでしまうと、かえって資金繰りを悪化させかねません。とりわけ正常運転資金は、事業を続けるうえで常に必要となる資金であり、約定返済のある借入で調達すると資金繰りを圧迫しやすい点に注意が要ります。

資金使途説明すべき内容
正常運転資金売掛金+在庫−買掛金、必要額、季節変動
増加運転資金売上増加に伴う先行支出、回収サイト、必要期間
納税資金税額、納付時期、利益との関係、次回以降の見通し
賞与資金支給時期、金額、資金回収予定
設備資金投資額、稼働時期、収益貢献、償却、返済期間
赤字補填資金赤字要因、改善策、資金不足の解消時期
借換資金既存借入の返済負担、返済条件、資金繰り改善効果

特に設備資金では、購入する設備の説明だけでは不十分です。

設備投資後の売上増加、原価削減、外注費削減、品質改善、納期短縮、人員の効率化。こうした投資効果を、数字で示す必要があります。設備を入れること自体が目的ではなく、その設備によって返済原資が生まれること。これを語れるかどうかが問われます。

改善施策は、損益・資金・返済にどう効くかまで示す

経営計画に改善施策を書く会社は、数多くあります。

しかし、評価される改善施策は単なる行動予定ではありません。数値計画とつながっていることが条件になります。

改善施策損益への影響資金への影響返済への影響
値上げ粗利率改善入金条件次第で資金改善営業CF増加
不採算取引の見直し粗利改善売掛・在庫減少の可能性返済原資改善
固定費削減営業利益改善支払減少返済余力増加
在庫圧縮評価損リスクの把握資金固定化の解消手元資金改善
売掛回収条件見直し損益影響は限定的入金前倒し資金ショート予防
外注見直し原価率改善支払条件に影響営業CF改善
設備投資償却費増加・生産性改善初期支出・借入返済投資効果次第
不採算事業撤退赤字削減撤退費用・在庫処分中期的に改善

金融機関が見たいのは、「頑張ります」という言葉ではありません。

何をするのか。いつから始めるのか。誰が担当するのか。どのKPIで確認するのか。どの数値に、いつ、いくら効いてくるのか。実行が遅れた場合、資金繰りにどれほど響くのか。

このつながりが見えている計画は、外部から眺めても判断がつきやすくなります。

実績報告とモニタリングのない計画は、信用を積み上げにくい

評価される経営計画は、作って終わりではありません。

むしろ、策定後の実績報告こそが要になります。金融機関は、計画を立てた時点の説明だけでなく、その後に会社がどう実行し、どう差異をつかみ、どう修正していくかを見続けているからです。

経営計画を作成しているなら、月次の目標利益計画と行動計画の実績を金融機関に報告し、計画を下回っているときには改善策もあわせて伝える。前月の試算表を提出する。外部環境の変化などで計画の見直しが必要になったら、速やかに報告する。こうした積み重ねが大切になります。

実績報告では、次の資料を月次または四半期で整理します。

資料内容
月次試算表売上、粗利、固定費、営業利益、経常利益
資金繰り実績・見通し入金、支払、借入返済、手元資金
予実差異表計画と実績の差異、原因、対策
行動計画進捗表施策別の実行状況、遅延理由、次月対応
借入一覧・返済予定金融機関別残高、返済額、金利、保証
主要KPI受注、粗利率、在庫、回収、稼働率等
経営者コメント差異認識、修正判断、今後の方針

計画の未達を隠す必要はありません。むしろ、未達の原因と対応策を早めに伝えるほうが、金融機関との信頼関係は保ちやすくなります。

認定支援機関を活用した経営改善計画策定支援事業では、計画に基づく伴走支援、計画達成率などの報告、金融機関への提出が予定されています。こうした制度を利用するかどうかにかかわらず、計画は実行後のモニタリングまで含めて設計しておくことが大切です。

出典:中小企業庁|経営改善計画策定支援事業

経営者の説明責任が、計画の評価を左右する

金融機関向けの経営計画では、専門家が作り込んだ資料以上に、経営者が自分の言葉で語れることが重みを持ちます。

専門家が計画書を作ること自体は、もちろん有効です。財務分析、資金繰り、返済可能性、税務、会計、制度対応、資料整備。これらには専門的な確認が欠かせません。ただ、金融機関が最後に見ているのは、経営者自身が計画を理解し、実行する意思と力を備えているかどうかです。

経営改善計画では、社長が主人公であることが重要だとされています。

経営者が語るべき内容を整理すると、次のようになります。

経営者が説明すべき論点説明のポイント
現状認識何が問題で、どこに原因があるか
経営方針何を伸ばし、何を見直すか
売上計画どの顧客・商品・部門で売上を作るか
利益改善粗利、固定費、採算管理をどう変えるか
資金繰りいつ資金が厳しくなり、どう対応するか
借入使途借入金を何に使うか
返済原資何から、いつ、いくら返すか
実行体制誰が、いつまでに、何をするか
未達対応計画未達時にどう修正するか
報告体制どの頻度で、何を金融機関に報告するか

外部の専門家が同席する場合でも、経営者が「先生に任せています」という姿勢では、計画の説得力は弱くなります。専門家はあくまで、経営者の判断を代行するのではなく、経営者が説明できる数字と論点を整える役割を担うべきだと考えています。

金融機関に評価されにくい経営計画

評価されにくい計画には、いくつか共通した特徴があります。

評価されにくい計画問題点
売上が毎年大きく伸びるだけの計画顧客、商品、数量、単価、受注根拠がない
固定費削減が一行で書かれている計画実行対象、時期、効果額が不明
利益計画だけで資金繰り表がない計画返済可能性を判断できない
借入使途が曖昧な計画運転資金、設備資金、赤字補填の区分が不明
返済計画が利益ベースの計画税金、運転資金、設備支出、既存返済を見ていない
改善施策と数値計画がつながっていない計画行動が利益・資金にどう効くか分からない
月次報告の仕組みがない計画計画未達時の対応が遅れる
悪化要因が外部環境だけになっている計画自社で改善できる論点が見えない
経営者が説明できない計画実行主体が不明確
都合の悪い情報を隠した計画後から信頼を失うリスクが高い

経営計画は、金融機関を安心させるために都合よく仕立てるものではありません。良い情報も悪い情報も含めて、相手が判断できる状態にしておくためのものです。

保証や担保だけに頼らないためにも、説明できる計画が要る

中小企業の資金調達では、担保や経営者保証が論点になることがあります。

ただ、近年は経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた取組みも進んでいます。金融庁は、この流れをさらに加速させるため、経済産業省・財務省と連携して「経営者保証改革プログラム」を策定し、監督指針の改正によって保証を求める際の手続を厳格化するなどの施策を進めるとしています。

出典:金融庁|経営者保証改革プログラムの策定について

これは、保証が一切不要になるという意味ではありません。個別の融資判断、財務状態、資金使途、回収可能性、法人と個人の分離、情報開示、ガバナンス、金融機関の方針によって、判断は変わってきます。

それでも、保証や担保への依存を下げていくためには、会社側に次のような管理体制が求められます。

月次決算が整っていること。資金繰り表を作成していること。経営者個人と法人の資金が分けられていること。役員貸付金・役員借入金の中身が整理されていること。借入の使途と返済原資を説明できること。計画と実績の差異を定期的に確認していること。そして、金融機関に必要な情報を、必要なときに開示できること。

担保や保証があるのだから説明しなくてよい、という考え方は危ういものです。説明できる会社であることが、結果として資金調達の選択肢を広げていきます。

金融機関に提出する前に整えておきたい資料

経営計画を金融機関に説明する前には、計画書だけでなく、その周辺の資料もそろえておく必要があります。

資料確認目的
直近3期分の決算書・申告書過去実績、財務体質、税務処理の確認
直近月次試算表足元の業績確認
月次推移表売上、粗利、固定費、利益の変化確認
資金繰り表将来の入出金、資金不足時期の確認
借入金一覧金融機関別残高、返済条件、保証、担保
売上計画明細顧客別・商品別・部門別の根拠確認
固定費見直し表削減項目、時期、効果額の確認
改善施策一覧アクションプラン、担当、期限、KPI
設備投資計画投資額、資金調達、投資効果、回収期間
部門別損益不採算部門、重点部門の確認
売掛金・在庫明細回収遅延、滞留在庫、運転資金の確認
税金・社会保険の納付状況資金繰りリスクの確認
役員貸付金・役員借入金明細法人個人分離、資金流出入の確認
重要契約・許認可事業継続性、リスク確認

経営改善計画の策定支援では、ビジネスモデル俯瞰図、会社概要表、資金繰り実績表、具体的な施策と実施時期、アクションプラン、モニタリング計画、資産保全表、計画財務三表などが含まれることがあります。

通常の融資相談で、ここまで詳細な資料が常に必要になるわけではありません。それでも、資金繰りが厳しい局面、返済条件の見直しを伴う局面、複数の金融機関との調整が必要な局面では、資料の整備水準が、そのまま金融機関対応の質に直結してきます。

計画の変更は、早く、理由を明確に伝える

経営計画は、立てた時点の仮説です。外部環境、仕入価格、人件費、採用、受注、主要顧客、為替、金利、設備の稼働、回収条件。こうした前提が変われば、計画の修正が必要になることもあります。

評価される会社は、計画の変更を隠しません。

大事なのは、変更の理由とその影響を、きちんと説明することです。

変更要因金融機関に説明すべき内容
売上未達顧客別・商品別の原因、次月以降の見通し
粗利率低下仕入価格、値引き、ミックス、原価改善策
固定費増加一時的か継続的か、削減余地
資金不足発生時期、金額、原因、対応策
設備投資遅延稼働時期、売上・利益への影響
回収遅延取引先、金額、回収見込み、与信管理
在庫増加滞留、処分、販売見込み、資金影響
借入条件変更返済原資、他行対応、改善計画

計画の変更を後回しにすると、金融機関の側からは「実態を把握できていなかった」「報告が遅い」「資金管理が弱い」と受け止められかねません。

悪い情報ほど、早く伝える。ただし、不安をそのまま共有するのではなく、原因・影響・対応策をセットにして伝える。これが、金融機関との信頼関係を守るための実務です。

金融機関に評価される経営計画を作る手順

金融機関向けの経営計画は、次の順番で進めると整理しやすくなります。

手順内容
1直近決算・月次試算表・資金繰り表を確認する
2売上、粗利、固定費、営業利益、資金繰りの問題を分解する
3借入金一覧、返済予定、担保・保証の状況を整理する
4現状維持の場合の成り行き計画を作る
5改善施策を整理し、数値効果を反映する
6売上計画を保守的に検証する
7固定費見直しと資金繰り改善策を反映する
8借入使途と返済原資を整理する
9資金繰り表で返済後の手元資金を確認する
10アクションプラン、担当、期限、KPIを設定する
11月次報告・モニタリングの方法を決める
12経営者が自分の言葉で説明できるように整理する

この順序で組み立てていくと、単なる作文ではなく、実績・課題・施策・数字・資金・返済・報告がひとつながりになった計画にしていけます。

専門家が関与する意義の大きい場面

金融機関向けの経営計画は、自社だけでも作成できます。通常の運転資金や設備資金であれば、月次資料、資金繰り表、投資計画を整えることで、十分に説明できる場合も少なくありません。

一方で、次のような状況では、公認会計士・税理士といった専門家が関わる意義が大きくなります。

資金繰り表をまだ作っていない。利益計画と資金計画がつながっていない。返済原資を説明できない。売上計画が楽観的かどうか自分では判断しづらい。固定費見直しの効果額を整理できていない。部門別の採算や不採算取引が見えていない。月次試算表の精度に不安がある。金融機関が複数あり、説明内容をそろえる必要がある。返済条件の見直しやリスケジュールを検討している。経営改善計画策定支援、早期経営改善計画策定支援、認定支援機関の活用を考えている。金融機関・後継者・買い手・外部株主に説明できる管理体制を整えたい。

認定経営革新等支援機関は、経営状況の把握、財務分析、経営課題の抽出、事業計画の作成、実行に必要な支援・助言、モニタリングやフォローアップといった場面に関わることが想定されています。

出典:中小企業庁|認定経営革新等支援機関

専門家の役割は、金融機関向けに都合のよい資料を作ることではありません。

事実を確認する。数字の整合性を確認する。資金繰りへの影響を整理する。返済原資を検証する。改善施策を実行できる形に落とし込む。経営者が説明できる資料に仕上げる。外部から見ても判断できる数字に整える。

ここに、金融機関に評価される経営計画を作るうえでの、専門家関与の価値があると考えています。

犬飼公認会計士・税理士事務所へのご相談について

金融機関に評価される経営計画は、売上を大きく見せる計画ではありません。

実現可能性を示す計画であり、返済原資を示す計画であり、資金繰りを示す計画です。改善施策を実行・管理できる計画であり、経営者が自分の言葉で説明できる計画でもあります。

月次決算が遅い。資金繰り表がない。利益計画と返済計画がつながっていない。金融機関に何をどう説明すべきか整理できていない。こうした状態のまま借入や返済条件の相談を進めてしまうと、会社の実態や改善の可能性が、十分には伝わらないことがあります。

犬飼公認会計士・税理士事務所では、月次決算、資金繰り、利益計画、予実管理、経営改善計画、金融機関への説明資料を、経営判断に使える形へ整理することを大切にしています。

金融機関に説明できる経営計画を整えたい方、借入・返済・資金繰り・改善施策を数字で整理したい方、月次管理を金融機関対応に活かしたい方は、犬飼公認会計士・税理士事務所HPのお問い合わせページからご相談ください。

この記事の振り返り

論点重要なポイント
金融機関に評価される計画見栄えではなく、金融機関が判断できる材料がそろっている計画
経営者の主体性金融機関任せではなく、経営者が課題を認識し、自ら説明できることが重要
売上計画右肩上がりの数字ではなく、顧客別・商品別・数量・単価などの根拠が必要
固定費見直し一律削減ではなく、対象、時期、効果額、事業への影響を整理する
返済原資利益ではなく、税金・運転資金・設備支出・既存返済後の資金余力で見る
資金繰り表借入使途、資金不足時期、返済可能性を説明する中核資料
資金使途運転資金、設備資金、納税資金、賞与資金、借換資金を分けて考える
改善施策行動計画だけでなく、損益・資金・返済への効果まで示す
実績報告月次試算表、資金繰り、予実差異、改善状況を継続して報告する
モニタリング計画未達時に原因を分析し、次の修正判断につなげる
経営者保証・担保担保や保証だけに頼らず、情報開示と管理体制を整える
資料整備決算書、月次試算表、資金繰り表、借入一覧、改善施策表をそろえる
計画変更変更が必要な場合は、理由、影響、対応策を早く説明する
専門家活用数字の整合性、返済原資、資金繰り、外部説明を整理する場面で有効
最終目的融資承認を保証することではなく、会社の実態と改善可能性を説明できる状態にすること
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