過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税の基本|税務調査で本税以外に確認すべき負担

税務調査で申告誤りや納付漏れを指摘されたとき、まず気になるのは「本税がいくら増えるのか」ではないでしょうか。

ただ、税務調査後の負担は、本税だけで決まるわけではありません。申告が少なかったのか、そもそも申告していなかったのか、源泉所得税を期限までに納めていなかったのか。どこに不備があったのかによって、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税のいずれが問題になるかが変わってきます。

しかも、加算税の有無や割合を左右する要素はそれだけではありません。修正申告をいつ提出したのか。税務署から調査通知を受けていたのか。調査による更正・決定を予知していたのか。正当な理由があるのか。帳簿の提示・提出に問題はなかったのか。こうした事情の一つひとつが、結論に影響します。

つまり、加算税は単なる「追徴税額への上乗せ」ではありません。税務署から見て、納税者の申告・納付の不備がどういう性質のものなのかを映し出すものだと考えています。

ですから、調査結果を受けた段階では、本税だけでなく、どの加算税が、どの税額を基礎に、どのタイミングの手続として課されるのかを、一つずつ確認していく必要があります。

なお、本稿では重加算税には踏み込みません。重加算税は、隠蔽・仮装の有無という事実認定が中心となる論点であり、別の記事で改めて扱うべきものだと考えています。ここでは、税務調査後にまず押さえておきたい通常の加算税として、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税の三つを整理します。

目次

加算税は「何を怠ったか」によって分かれる

過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税は、名前こそ似ていますが、見ている行為がそれぞれ違います。

大きく分けると、次のように整理できます。

種類問題となる行為主な場面
過少申告加算税期限内申告はしたが、納付税額が少なかった、又は還付税額が多かった売上計上漏れ、経費否認、仕入税額控除否認、財産評価の誤りなど
無申告加算税申告期限までに必要な申告をしていなかった確定申告漏れ、法人税申告漏れ、消費税申告漏れ、相続税申告漏れなど
不納付加算税源泉徴収等による国税を法定納期限までに納付していなかった給与・報酬・退職金等の源泉所得税の納付漏れなど

ここで押さえておきたいのは、加算税が見ているのは「税額が増えた理由」だけではない、という点です。「手続のうえで、どこに問題があったのか」もあわせて見ています。

同じ追徴税額であっても、期限内に申告したうえで一部に誤りがあった場合と、申告そのものをしていなかった場合とでは、課される加算税の種類も割合も異なります。

また、源泉所得税のように、支払者が徴収して納付する税目では、所得を受け取った側ではなく、支払者側の納付義務が問われます。給与や報酬を支払っている法人・個人事業主にとって、不納付加算税はとりわけ見落としやすい論点だといえます。

加算税と延滞税は別のもの

税務調査の後には、加算税とあわせて延滞税も問題になります。

加算税は、申告や納付の不備に対する制裁的な性質を持つ附帯税です。一方の延滞税は、法定納期限までに納付されなかったことに対して、納付日までの期間に応じて課される、いわば利息に相当するものです。

たとえば、修正申告によって追加で納める税額が生じた場合、その追加税額には過少申告加算税がかかることがあります。これとは別に、法定納期限の翌日から実際に納付した日までの期間について、延滞税も発生します。

ですから、税務調査後の実際の負担を見積もるときは、少なくとも次の三つを分けて把握しておく必要があります。

  • 本税
  • 加算税
  • 延滞税

「本税はいくらか」だけに目を向けていると、納付資金を見誤ることがあります。特に複数年度・複数税目にまたがる調査では、加算税と延滞税まで含めた全体像を、早めにつかんでおきたいところです。
出典:国税庁|No.9206 国税を期限内に納付できないとき

過少申告加算税とは

過少申告加算税は、期限内に申告はしていたものの、申告した税額が本来より少なかった場合や、還付税額が本来より多かった場合に問題になります。

法人税、所得税、消費税、相続税・贈与税といった申告納税方式の税目で、税務調査により申告誤りが判明したとき、最もよく登場する加算税です。

具体的には、次のような場面が考えられます。

  • 売上の計上漏れがあった
  • 売上の計上時期が誤っていた
  • 経費や損金として処理した支出が否認された
  • 消費税の仕入税額控除が否認された
  • 役員給与や役員退職給与の損金算入が否認された
  • 個人事業主の家事関連費の按分が不十分だった
  • 相続税申告で財産評価額が過少だった
  • 名義財産や生前贈与の認定により課税価格が増えた

過少申告加算税で、まず確認しておきたいのが修正申告のタイミングです。

所得税についていえば、税務署からの調査の事前通知を受ける前に、自主的に修正申告をした場合には過少申告加算税はかかりません。これが、調査の事前通知を受けた後で、調査による更正を予知する前の修正申告になると、原則として新たに納める税額の5%、一定額を超える部分については10%の過少申告加算税がかかります。さらに、税務署の調査を受けた後の修正申告や更正であれば、原則として10%、一定額を超える部分については15%という割合になります。
出典:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき

過少申告加算税の判断で見るべきポイント

過少申告加算税では、単に「修正申告をしたかどうか」だけでなく、次のような点を確認していきます。

1. 当初申告が期限内申告だったか

過少申告加算税は、あくまで「申告はしていたが、申告税額が少なかった」場合の加算税です。

当初申告そのものが期限後申告だった場合には、無申告加算税が問題になることがあります。税務署から指摘を受けたときは、どの申告について、どの加算税が予定されているのかを確認しておく必要があります。

2. 修正申告が調査通知前か、通知後か

税務署から調査通知を受ける前に、自分で誤りに気づいて修正申告をした場合と、調査通知を受けた後に修正申告をした場合とでは、扱いが変わります。

ここでいう「調査通知」は、税務署から何らかの連絡があったというだけのことではありません。調査に関する通知として、どのような内容が伝えられたのかが重要になります。

通知を受けた後は、まだ実地調査が始まっていなくても、過少申告加算税の軽減の扱いが変わることがあります。

3. 更正を予知していたか

さらに重要になるのが、「更正があるべきことを予知してされた修正申告かどうか」です。

法人税については、納税者に対する臨場調査、取引先への反面調査、申告書内容を検討したうえでの非違事項の指摘などにより、納税者が調査のあったことを了知したと認められた後の修正申告は、原則として「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当すると整理されています。反対に、臨場のための日時連絡の段階で修正申告が提出された場合には、原則として更正予知には該当しないとされています。
出典:国税庁|法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)

実務のうえでは、この「どの時点で、何を知らされていたか」が非常に大きな意味を持ちます。

単に調査日程の連絡を受けた段階なのか。調査官から具体的な非違事項を指摘された後なのか。あるいは、反面調査や資料確認によって、税務署側が誤りを把握していることを納税者が認識していたのか。

こうした違いによって、加算税の割合が変わってくる可能性があります。

4. 正当な理由があるか

過少申告加算税は、追加税額が出れば必ず機械的に課される、というものではありません。正当な理由があると認められる部分については、加算税の対象から除かれることがあります。

ただし、正当な理由が広く認められるわけではない点には注意が必要です。法人税の取扱いでは、税法の解釈について、申告書提出後に新たに法令解釈が明確化され、その解釈と納税者の解釈が異なることになった場合で、納税者側の解釈に相当の理由があると認められるときなどが、正当な理由の例として挙げられています。一方で、税法の不知・誤解や、事実誤認に基づくものは、これに当たらないとされています。
出典:国税庁|法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)

ですから、「知らなかった」「忙しかった」「顧問税理士に任せていた」というだけで、当然に正当な理由になるわけではありません。

正当な理由を検討するときは、当初申告の段階でどの資料を確認し、どの法令解釈を前提にし、どのような判断を経て申告したのかを、丁寧に整理しておく必要があります。

無申告加算税とは

無申告加算税は、申告期限までに必要な申告をしていなかった場合に問題になります。

期限後申告をした場合や、税務署から決定を受けた場合に課されることがあります。

無申告加算税が問題になる典型例としては、次のような場面が挙げられます。

  • 個人の確定申告をしていなかった
  • 副業収入、暗号資産、ネット取引、不動産所得などを申告していなかった
  • 法人の確定申告を期限までにしていなかった
  • 消費税の課税事業者であるのに消費税申告をしていなかった
  • 相続税の申告義務があるのに申告していなかった
  • 贈与税の申告義務があるのに申告していなかった

無申告加算税は、過少申告加算税よりも重い負担になりやすい点に注意が必要です。

所得税についていえば、税務署からの調査の事前通知を受ける前に、自主的に期限後申告をした場合は、原則として納付すべき税額の5%の無申告加算税がかかります。調査の事前通知を受けた後で、調査による決定を予知する前の期限後申告では、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものについて、50万円までの部分は10%、50万円を超え300万円までの部分は15%、300万円を超える部分は25%とされています。そして、税務署の調査を受けた後の期限後申告や、決定を受けた場合には、50万円までの部分は15%、50万円を超え300万円までの部分は20%、300万円を超える部分は30%となります。
出典:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき

無申告加算税で特に注意すべき点

無申告加算税では、次のような点が実務上重要になります。

1. 「申告義務があることを知らなかった」だけでは足りない

無申告のご相談では、「申告が必要だとは思っていなかった」というお話がよく出てきます。

しかし、申告義務を知らなかったこと自体は、通常、無申告加算税を免れる十分な理由にはなりません。問われるのは、申告期限までに申告できなかったことについて、真にやむを得ない事由があったかどうかです。

無申告加算税については、災害や、交通・通信の途絶、そのほか期限内に申告書を提出できなかったことに真にやむを得ない事由があると認められる場合には、正当な理由があるものとして取り扱うとされています。
出典:国税庁|法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)

2. 相続税では「遺産分割がまとまらない」だけでは危険

相続税では、相続人どうしで遺産分割協議がまとまらないことがあります。

ただ、申告期限までに遺産分割がまとまらないことと、相続税申告をしなくてよいことは、別の問題です。

相続税・贈与税の取扱いでは、相続人間に争いがあるなどの理由により、相続財産の全容を知り得なかったことや、遺産分割協議が行えなかったことは、無申告加算税における正当な理由には当たらないとされています。
出典:国税庁|相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)

相続税では、いったん未分割の状態で申告したうえで、後日、分割が確定した段階で必要な手続を検討する場面があります。申告しないまま期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税の問題が生じる可能性があります。

3. 繰り返しの無申告は加重されることがある

無申告加算税では、過去にも無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合に、一定の加重措置が問題になります。

令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものについては、前年分・前々年分の所得税について、無申告加算税、又は無申告加算税に代えて課される重加算税を課されたことがある場合などに、納付すべき税額に10%を乗じた金額が加算される措置が設けられています。
出典:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき

無申告は、一度の申告漏れにとどまらず、継続的な管理体制の不備として見られやすい領域です。個人事業主の方や副業収入のある方、消費税の課税事業者、相続税申告が必要な相続人の方は、申告義務の有無を早めに確認しておくことをおすすめします。

不納付加算税とは

不納付加算税は、源泉徴収等による国税が法定納期限までに納付されなかった場合に問題になります。

主に、源泉所得税の納付漏れで顔を出す加算税です。

たとえば、次のような場面が考えられます。

  • 給与から源泉徴収した税額を納付していなかった
  • 役員報酬や賞与に係る源泉所得税を納付していなかった
  • 税理士、弁護士、司法書士、講師、原稿料等の報酬から源泉徴収すべき税額を徴収・納付していなかった
  • 退職金の源泉徴収を誤った
  • 納期の特例を受けているが、7月10日又は翌年1月20日の納付期限を過ぎた
  • 外注費として処理していた支払が給与と認定され、源泉徴収漏れが問題になった

源泉徴収義務者は、給与や一定の報酬を支払う際に所得税及び復興特別所得税を差し引き、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国へ納付する義務を負っています。
出典:国税庁|No.2502 源泉徴収義務者とは
出典:国税庁|No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例

不納付加算税の基本は、法定納期限までに完納されなかった源泉徴収等による国税について、納税告知に係る税額、又は告知を受けることなく納付された税額に対して10%です。ただし、納税告知を受けることなく法定納期限後に自主的に納付した場合で、その納付が、調査により納税告知があるべきことを予知してされたものでないときは、5%となります。また、期限内に納付する意思があったと認められる一定の場合で、法定納期限から1か月以内に納付されたときには、不納付加算税が課されないことがあります。
出典:e-Gov法令検索|国税通則法第67条
出典:国税庁|源泉所得税及び復興特別所得税の不納付加算税の取扱いについて(事務運営指針)

不納付加算税で特に注意すべき点

不納付加算税は、過少申告加算税や無申告加算税と違って、申告書の内容だけを見ていても気づきにくいことがあります。

源泉所得税は、「支払った時点」で徴収・納付の実務が発生します。決算や申告のタイミングではなく、毎月の給与・報酬の支払、賞与、退職金、外注費・報酬の区分判断と直結しているからです。

1. 支払者側の責任である

源泉所得税は、受け取った側の税金の前払的な性質を持ちますが、徴収して納付する義務を負うのは支払者です。

そのため、「支払先が確定申告をしているから問題ない」という整理にはなりません。支払者が源泉徴収義務を負う支払いであれば、支払者側で源泉徴収と納付を行う必要があります。

2. 「源泉徴収していなかった」場合も問題になる

不納付加算税は、源泉徴収した税額を納め忘れた場合だけの問題ではありません。

そもそも源泉徴収すべき支払いについて、源泉徴収をしていなかった場合にも、税務調査で源泉所得税の納税告知が行われることがあります。

特に、外注費と給与の区分、個人への報酬・料金、非居住者への支払い、退職金、役員賞与などは、源泉所得税の調査で問題になりやすい領域です。

3. 自主納付のタイミングが重要

不納付に気づいた場合、調査で指摘される前に自主的に納付しておくことが大切です。

ただし、すでに源泉所得税について調査が行われ、納税告知があるべきことを予知していたと見られる段階では、5%の軽減が使えない可能性があります。

源泉所得税の不納付加算税については、源泉徴収義務者に対する臨場調査や反面調査などにより、源泉徴収義務者が調査のあったことを了知したと認められた後に自主納付された場合には、原則として「告知があるべきことを予知してされたもの」に該当するとされています。一方で、臨場のための日時連絡の段階での自主納付や、臨場によらない納付確認の結果としての自主納付、説明会などによる一般的な説明の結果としての自主納付は、原則として予知には該当しないとされています。
出典:国税庁|源泉所得税及び復興特別所得税の不納付加算税の取扱いについて(事務運営指針)

正当な理由は「結果的に誤った」だけでは足りない

過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税のいずれについても、正当な理由がある場合には、加算税が課されない、又は対象から除かれる余地があります。

しかし、正当な理由は簡単に認められるものではありません。

実務上は、次のように分けて考えていく必要があります。

説明内容正当な理由としての評価
災害、交通・通信の途絶などで申告・納付ができなかった認められる余地がある
申告後に法令解釈が明確化され、当初解釈にも相当の理由があった認められる余地がある
収納機関以外の金融機関に余裕をもって納付委託したが、金融機関側の事務処理誤りで遅れた不納付加算税で認められる余地がある
税法を知らなかった通常は正当な理由になりにくい
忙しくて申告できなかった通常は正当な理由になりにくい
税理士に任せていたそれだけでは足りず、個別事情の整理が必要
相続人間で遺産分割がまとまらなかった相続税の無申告では正当な理由に当たらないと整理されている

正当な理由を主張するときは、「なぜ申告・納付できなかったのか」を抽象的に説明するだけでは足りません。

いつ、誰が、何を把握し、どの資料に基づいて、どのような判断をしたのか。そして、期限までに対応できなかった原因が、納税者の責めに帰すべきものとはいえないのか。これらを資料で示せる状態にしておく必要があります。

更正予知と調査通知を混同しない

加算税を判断するうえでは、「調査通知」と「更正予知」を混同しないことが大切です。

調査通知とは、税務署から税務調査に関する通知を受けることをいいます。調査の開始日時、場所、目的、対象税目、対象期間、帳簿書類などが通知される場面を指します。

これに対して更正予知とは、調査の進行や非違事項の指摘によって、納税者が「このままでは更正・決定がされる」と認識したと評価される段階のことです。

大まかには、次の三段階で整理すると分かりやすくなります。

段階状況加算税上の意味
調査通知前税務署から調査通知を受ける前に自主的に修正・期限後申告する過少申告加算税はかからないことがあり、無申告加算税も軽くなる
調査通知後・予知前調査通知は受けたが、まだ具体的な非違事項を予知していない軽減された割合が適用されることがある
調査後・予知後非違事項の指摘等により、更正・決定を予知した後に修正・期限後申告する通常の割合が適用されやすい

この違いは、実務上とても大きな意味を持ちます。

税務調査の通知を受けた直後に、自社・ご自身の申告内容を確認し、誤りがあればどのタイミングでどう是正すべきかを検討しておく必要があります。

ただし、加算税を軽くしたいがために、拙速に修正申告をするのも危険です。前回の記事でも整理したとおり、修正申告をしてしまうと、その修正申告自体について不服申立てはできません。事実関係、法令評価、金額、加算税の前提をしっかり確認したうえで判断することが欠かせません。

帳簿の不提示・記載不備による加重措置

令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものについては、帳簿の提示・提出がない場合や、帳簿への売上金額等の記載が著しく不十分な場合に、過少申告加算税や無申告加算税の加重措置が問題になることがあります。

具体的には、税務署の調査で帳簿の提示又は提出を求められた際に提示等をしなかった場合や、帳簿への売上金額の記載等が、本来記載すべき金額の2分の1未満だった場合には10%、3分の2未満だった場合には5%が加算される、という取扱いです。
出典:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき
出典:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき
出典:国税庁|No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度

この制度は、税務調査への対応において重要な意味を持っています。

以前から、帳簿や証憑が不十分であれば、売上漏れ、経費否認、推計課税、青色申告承認の取消などのリスクがありました。現在は、これに加えて、加算税の加重という形でも、帳簿保存の重要性がいっそう明確になっています。

法人でも個人事業主でも、売上・収入に関する帳簿を整え、調査の際に提示・提出できる状態にしておくことは、単なる経理事務ではありません。税務調査で説明責任を果たすための、いわば土台にあたる部分です。

加算税は税目ごと・年度ごとに確認する

税務調査で加算税を確認するときは、必ず税目ごと、年度ごと、論点ごとに整理していきます。

法人税の修正によって過少申告加算税が生じる場合でも、それだけで終わるとは限りません。

外注費が給与と認定されれば、法人税だけでなく、源泉所得税の不納付加算税や、消費税の仕入税額控除否認に伴う過少申告加算税が問題になることがあります。

役員賞与や役員給与が問題になれば、法人税上の損金不算入、源泉所得税、そして役員個人の所得税への波及まで確認する必要があります。

相続税の調査で名義財産が問題になれば、相続税の過少申告加算税だけでなく、贈与税申告の有無、過去の贈与、重加算税のリスクまで視野に入れておく必要があります。

消費税の還付申告で仕入税額控除が否認されれば、還付過大に関する本税、加算税、延滞税に加え、届出や帳簿保存の不備も確認しなければなりません。

加算税は「最後に自動計算されるもの」と考えるべきではありません。調査結果の指摘内容を理解する段階で、本税・加算税・延滞税の関係を同時に整理しておくことが大切です。

加算税の説明を受けたときに確認すべきこと

税務調査の終盤で、調査官から加算税について説明を受けたら、少なくとも次の点を確認してください。

確認事項確認すべき内容
加算税の種類過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税のどれか
対象税目法人税、所得税、消費税、源泉所得税、相続税・贈与税など
対象年度・課税期間どの事業年度、年分、課税期間、相続開始分か
計算の基礎となる税額本税のうち、どの部分が加算税の対象になるのか
割合5%、10%、15%、20%、25%、30%など、どの割合が適用されるのか
調査通知の有無調査通知前か、通知後か
更正予知の有無具体的な非違指摘後の修正・申告と見られているか
正当な理由正当な理由が検討されているか、対象から除外すべき税額がないか
加重措置帳簿不提示、記載不備、繰り返し無申告などの加重があるか
重加算税との関係通常の加算税ではなく、重加算税が示唆されていないか
不服申立ての対象加算税の賦課決定処分に不服がある場合の選択肢は何か

加算税の賦課決定処分は、不服申立ての対象となる処分に含まれます。ただし、不服申立てを検討するには、「加算税が高い」と感じるだけでは足りません。どの要件を満たしていないのか、正当な理由があるのか、更正予知の判断が妥当なのか、計算の基礎に誤りがないのか。こうした点を一つずつ整理する必要があります。
出典:国税庁|No.7210 「不服申立て」ができる場合、できない場合

専門家を付けずに加算税を判断するリスク

加算税の判断は、税率表を眺めれば終わるというものではありません。

特に、次のような場面では、専門的な整理が必要になります。

  • 調査通知後だが、更正予知前といえるか
  • 自主修正として扱えるか
  • 正当な理由があると主張できるか
  • 帳簿不提示による加重措置が妥当か
  • 一部の指摘についてだけ加算税を争えるか
  • 本税は認めるが、重加算税や加重措置は争うべきか
  • 無申告ではなく過少申告加算税の問題として整理できるか
  • 源泉所得税の納税告知と不納付加算税をどう扱うか
  • 法人税・消費税・源泉所得税が同時に波及していないか
  • 相続税調査で無申告・過少申告・重加算税が混在していないか

専門家の役割は、単に税務署と交渉することではありません。

調査結果を、事実、証拠、税目、年度、本税、加算税、延滞税、そして今後の処理へと分解し、納税者ご自身の判断として説明できる状態に整えること。そこに本来の意味があると考えています。

特に、修正申告に応じる前の段階では、加算税の前提を確認しておくことが欠かせません。提出した後になって「加算税の考え方を十分に理解していなかった」と気づいても、すでに対応の選択肢が狭まっていることがあるからです。

加算税を一時的な負担で終わらせない

加算税は、過去の申告・納付の不備に対して課されるものです。

しかし、加算税が生じた原因を丁寧にたどっていくと、将来の改善点が見えてきます。

過少申告加算税が生じたのであれば、なぜ当初申告で誤ったのかを確認しておく必要があります。売上計上、経費判断、消費税区分、役員給与、財産評価、名義財産など、どの処理に説明不足があったのかを整理します。

無申告加算税が生じたのであれば、申告義務の把握、期限管理、顧問税理士との連絡体制、所得や取引の集計体制を見直すきっかけになります。

不納付加算税が生じたのであれば、給与・報酬支払時の源泉徴収判定、納付スケジュール、納期の特例の管理、外注費と給与の区分、支払データの確認体制を、改めて点検しておきたいところです。

税務調査への対応は、追徴税額を払って終わりにすることが目的ではありません。なぜ加算税が生じたのかを整理し、同じ不安を繰り返さない仕組みへと変えていくことこそ大切だと考えています。

まとめ|加算税は「税額」ではなく「対応の質」を映す

過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税は、それぞれ問題にしている行為が異なります。

過少申告加算税は、申告はしたが税額が少なかった場合。無申告加算税は、必要な申告を期限までにしていなかった場合。不納付加算税は、源泉徴収等による国税を期限までに納付していなかった場合です。

そして、それぞれについて、調査通知の前か後か、更正・決定を予知していたか、正当な理由があるか、帳簿の提示・提出に問題はなかったか。こうした事情によって、加算税の有無や割合が変わってきます。

税務調査で加算税の説明を受けたときは、本税の金額だけを見て判断してはいけません。

どの加算税が、どの税目・年度・税額を基礎に、どの理由で課されるのか。軽減や不適用の余地はないのか。加重措置や重加算税のリスクは含まれていないか。修正申告に応じる前に確認すべきことはないか。そして、調査後にどの管理体制を改善すべきか。

ここまで確認して初めて、税務調査後の判断を冷静に行うことができます。

加算税の説明を受け、負担や判断に迷われている方へ

税務調査で本税だけでなく、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税の説明を受けると、どこまでが当然に課されるものなのか、どの部分に確認の余地があるのか、分かりにくく感じられることがあります。

特に、修正申告のタイミング、更正予知、正当な理由、帳簿不提示による加重措置、源泉所得税の不納付、相続税の無申告・過少申告などが絡む場合は、早い段階で論点を整理しておくことが重要です。

犬飼公認会計士・税理士事務所では、税務調査後の指摘事項について、本税、加算税、延滞税、重加算税のリスク、修正申告・更正・不服申立ての可能性、そして調査後の再発防止策まで含めて整理し、納税者の方が納得して判断できる状態づくりを支援しています。

「加算税の説明が妥当なのか分からない」「修正申告の前に確認したい」「源泉所得税や相続税も含めて整理したい」とお感じの場合は、調査結果の説明内容、申告書、帳簿、指摘事項、税務署から示された計算資料をお手元にまとめたうえで、お問い合わせページよりご相談ください。

振り返り

重要ポイント実務上の意味
加算税は本税とは別に確認する税務調査後の負担は、本税・加算税・延滞税を分けて把握する
過少申告加算税は申告済みの誤りに対応する売上漏れ、経費否認、仕入税額控除否認、財産評価誤りなどで問題になる
無申告加算税は申告期限までに申告していない場合に問題になる期限後申告や決定を受けた場合に課されることがある
不納付加算税は源泉所得税等の納付漏れで問題になる支払者側の源泉徴収・納付管理が問われる
調査通知と更正予知は違うどの段階で修正・期限後申告したかにより割合が変わる
正当な理由は狭く判断される税法の不知、誤解、単なる事実誤認だけでは足りないことが多い
帳簿不提示・記載不備は加重措置につながる令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものでは特に注意が必要
繰り返し無申告は重く見られる過去の無申告加算税・重加算税の履歴が加重に影響することがある
加算税の賦課決定処分は不服申立ての対象になり得る争うには、要件・証拠・計算基礎を整理する必要がある
加算税の原因を再発防止に反映する月次管理、証憑保存、期限管理、源泉納付体制を見直す
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