法人税の調査において、交際費や寄附金、使途不明の支出は、単なる「経費の分類ミス」としてだけ見られるわけではありません。
調査官が確かめようとしているのは、支出の名目そのものではありません。誰に、何のために、どのような経緯で支払い、それが会社の事業とどう結びついているのか。そこが問われます。
ですから、領収書があるかどうかだけでは十分とはいえません。たとえ領収書がそろっていても、相手先、参加者、支出の目的、取引との関係、社内の承認、資金の流れまでを説明できなければ、交際費や寄附金、役員給与、賞与、使途不明金、使途秘匿金といった別の性質のものとして問題化することがあります。
とりわけ、接待飲食費、紹介料、謝礼、協賛金、売上割戻し、関係会社への支援、代表者個人への支払い、商品券や現金での支出、領収書の分割や改ざんが絡む場面では、影響は法人税にとどまりません。消費税、源泉所得税、さらには重加算税のリスクへと波及していくことがあります。
本稿では、法人税の調査で交際費・寄附金・使途秘匿金がどのように確認されるのかを、支出の目的、相手先、事業との関連性、証憑、経済的利益の供与という観点から整理します。なお、消費税の仕入税額控除や源泉徴収の詳細な計算は別のテーマとして扱うため、ここでは法人税調査の実務判断に必要な範囲に絞ってお話しします。
交際費調査の中心は「いくら使ったか」ではなく「何のために使ったか」
交際費等とは、法人が得意先や仕入先その他の事業に関係のある者などに対して、接待、供応、慰安、贈答といった行為のために支出する費用を指します。税務上は、交際費、接待費、機密費といった勘定科目の名前で判断されるのではなく、あくまで支出の実態によって判断されます。
出典:国税庁|No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
税務調査で交際費が確認されるのは、損金算入に制限があるから、という理由だけではありません。交際費は、取引先との関係や売上の獲得、契約の継続、謝礼や便宜供与、役員の私的支出、さらには裏金化に至るまで、事業の実態や資金の流れを映し出しやすい勘定科目だからです。
そのため、調査官は次のような点を確認していきます。
- 支出先は誰か
- 会社の事業とどのような関係がある相手か
- 接待、贈答、謝礼、協賛、見舞いなど、支出の目的は何か
- 誰が参加し、誰が承認したか
- 支出額は通常の取引関係から見て不自然に高額でないか
- 領収書、請求書、稟議書、参加者メモ、メール、予定表と整合しているか
- 役員や従業員の私的利用、家族利用、個人口座への支払いがないか
- 交際費以外の勘定科目に分散して処理していないか
交際費の調査で説得力を欠くのは、「営業上必要だった」「昔からこうしている」「領収書はある」といった説明です。求められているのは、その支出と事業活動との関係を、後から第三者にも分かる形で説明できることです。
令和6年4月1日以後の少額飲食費は「1人当たり10,000円以下」が基準
交際費等の範囲から除かれる一定の飲食費について、令和6年4月1日以後に支出するものは、1人当たり10,000円以下が基準とされています。令和6年3月31日以前に支出された飲食等の費用については、従前どおり1人当たり5,000円以下が基準です。
出典:国税庁|No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
ただし、金額が10,000円以下であれば何でも交際費から除外できる、というわけではありません。この取扱いは、一定の事項を記載した書類を保存している場合に限って認められます。具体的には、飲食等の年月日、参加した得意先・仕入先その他の事業関係者の氏名または名称とその関係、参加者数、飲食費の額、飲食店等の名称と所在地、そのほか飲食費であることを明らかにするために必要な事項が求められます。
出典:国税庁|No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
ここは、調査でよく誤解される点です。
「1人10,000円以下だから交際費ではない」とだけ理解していると、危うさが残ります。税務調査では、領収書の金額だけでなく、参加者、取引先との関係、人数、目的、そして社内メンバーだけの飲食でないかが確認されるからです。専ら役員や従業員、あるいはその親族に対する接待等のための飲食費は、この少額飲食費の除外対象にはなりません。
また、1次会と2次会を不自然に分けた領収書、実際の人数と合わない人数メモ、同じ日に同じ店で複数の領収書を分割しているケース、実態と異なる参加者名を記載しているケースなどは、金額基準を論じる以前に、証憑そのものの信用性が問われることになります。
交際費の損金算入制限は、法人の規模で確認する
交際費等の額は、原則として全額が損金不算入とされています。ただし、法人の規模に応じて一定の損金算入措置が設けられています。
期末の資本金等が1億円以下であるなど、一定の要件を満たす法人については、接待飲食費の50%相当額まで損金算入する方法か、年800万円を基礎とする定額控除限度額のいずれかを選択して、損金不算入額を計算します。一方、期末の資本金等が100億円を超える法人については、支出した交際費等の全額が損金不算入とされます。
出典:国税庁|No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
中小企業では、「800万円までなら交際費は自由に落とせる」と理解されていることがあります。しかし、これは危うい理解です。
800万円の枠は、あくまで交際費等に該当する支出について損金不算入額を計算する際の制度上の限度枠です。事業との関連性がない支出、私的な支出、架空の支出、相手先が不明な支出、役員個人への利益供与までを認めるものではありません。
ですから、調査対応では順番が大切になります。まず、その支出が会社の支出として実在するか。次に、誰に対する、何のための支出か。そのうえで、交際費、広告宣伝費、福利厚生費、寄附金、給与等のどれに該当するか。そして最後に、交際費に該当するのであれば損金算入限度額をどう計算するか。この流れで整理していきます。
広告宣伝費・福利厚生費・会議費との区分
交際費の調査で多く見られるのが、広告宣伝費、販売促進費、会議費、福利厚生費との区分です。
カレンダーや手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や、不特定多数の者に対する宣伝効果を意図した費用は、交際費等には含まれず、広告宣伝費として扱われます。一方で、医薬品業者が医師や病院を対象とする場合、化粧品業者が美容業者等を対象とする場合、建築材料業者が建築業者を対象とする場合などは、「一般消費者」を対象としているとはいえない点に注意が必要です。
福利厚生費についても、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用は、交際費等から除かれます。また、創立記念日等に際して従業員等におおむね一律に社内で供与される通常の飲食費や、一定の基準に従って支給される結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いなどは、福利厚生費として整理される場面があります。
ただし、実務では、形式的な勘定科目だけで判断できるものではありません。
たとえば、次のようなケースでは、改めて説明が必要になります。
| 処理科目 | 調査で確認される視点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 不特定多数向けか、特定取引先向けか | 取引先幹部への高額贈答は広告宣伝費とは言いにくい |
| 販売促進費 | 一般消費者向けキャンペーンか、取引先への利益供与か | 取引先担当者個人への謝礼は別論点になる |
| 会議費 | 会議の実態、議題、参加者、時間、飲食内容 | 実質が接待であれば交際費になり得る |
| 福利厚生費 | 従業員におおむね一律か、特定役員・一部社員だけか | 役員家族や特定者への供与は給与等になり得る |
| 交際費 | 事業関係者への接待・贈答か | 損金算入制限と証憑整備が必要 |
| 寄附金 | 事業に直接関係しない無償供与か | 損金算入限度額や支出時期に注意 |
税務調査では、「どの勘定科目で処理したか」よりも、「その支出が何の性質を持つか」が確認されます。
寄附金は「名目」ではなく無償供与の実態で見る
法人税法上の寄附金とは、寄附金、拠出金、見舞金など、いずれの名義によるかを問わず、法人が行った金銭その他の資産または経済的利益の贈与もしくは無償の供与をいいます。法人の事業遂行と直接関係がある広告宣伝費、見本品費、交際費、接待費、福利厚生費などとされるものは、寄附金から除かれます。
出典:国税庁|No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算
また、寄附金と交際費の区分は、個々の実態を検討して判定する必要があります。事業に直接関係のない者に対する金銭の贈与は、原則として寄附金になります。
寄附金で問題になりやすいのは、次のような支出です。
- 地域団体、政治団体、学校、神社祭礼等への支出
- 業界団体、取引先団体への協賛金
- 関係会社への資金援助、債務免除、低利・無利息貸付
- 商品、資産、役務の無償提供
- 時価より低い価格での資産譲渡
- 時価より高い価格での資産購入
- 役員やその親族が本来負担すべき寄附を会社が負担した場合
とりわけ関係会社への支援は、経営判断として必要だったとしても、税務上は当然に損金になるわけではありません。契約、役務提供、対価性、回収可能性、経済合理性を説明できなければ、寄附金、貸付金、受贈益、寄附金損金不算入といった論点に発展します。
「グループ全体のため」「将来の取引維持のため」という説明だけでは、弱い場合があります。どの法人が負担すべき費用なのか、その法人に支払能力があるのか、支援によって自社にどのような経済的利益があるのか、そして同族関係者への利益移転ではないか。こうした点を整理しておく必要があります。
寄附金は「未払計上」で損金算入できるとは限らない
寄附金については、法人の経理処理にかかわらず、現実に金銭等による支払いが行われたときに支出があったものと認識されます。したがって、未払の寄附金や未決済の手形払寄附金は寄附金に含まれない一方で、仮払寄附金は寄附金に含まれることになります。
出典:国税庁|No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算
この点は、期末の処理で見落とされやすい論点です。
期末に「協賛金」「寄附金」「支援金」として未払計上していても、実際に支払っていなければ、寄附金としての支出時期が問題になります。逆に、仮払金、立替金、前渡金などで処理している支出であっても、実態として寄附金や交際費に該当すれば、調査で修正を求められる可能性があります。
調査の前には、寄附金・協賛金・会費・負担金・支援金について、支払日、相手先、支出目的、契約や依頼の文書、領収書、社内承認、申告調整の有無を確認しておきたいところです。
役員・個人への利益供与は、交際費や寄附金で終わらない
交際費・寄附金の調査でとりわけ注意したいのは、法人の支出が、役員、従業員、取引先の担当者、代表者の親族といった個人に利益を与えている場合です。
たとえば、次のような支出は、慎重に整理しておく必要があります。
- 役員個人の会食、旅行、ゴルフ、贈答品
- 役員家族が参加した飲食・旅行
- 代表者の私的な交友関係への祝金、香典、贈答
- 取引先法人ではなく、取引先の代表者や担当者個人への謝礼
- 取引先担当者の個人口座への送金
- 商品券、ギフトカード、現金の交付
- 会社が負担した政治関係支出、団体支出、会費
- 役員等が個人として負担すべき寄附金を会社が支払った場合
公立大学への寄附の取扱いに関する回答の中でも、役員等が個人として負担すべきものと認められる支出は、その負担すべき者に対する給与となる旨が示されています。
出典:国税庁|No.5262 交際費等と寄附金との区分(公立大学に寄附をした場合)
法人税の調査では、役員個人への経済的利益と見られると、交際費や寄附金ではなく、役員給与、認定賞与、貸付金、役員に対する経済的利益として扱われる可能性があります。役員給与や認定賞与に該当すれば、法人税上の損金不算入、源泉所得税、場合によっては消費税の処理にも影響が及びます。
取引先担当者個人への支払いも、単なる交際費で済むとは限りません。支払の相手方、支払の理由、会社間の契約との関係、役務提供の有無、支払を受けた個人の所属先での承認、資金還流の有無によっては、架空外注費、キックバック、リベート、使途秘匿金、不正支出といった論点へとつながっていきます。
使途不明金と使途秘匿金は分けて考える
使途不明金と使途秘匿金は、似た言葉です。しかし、税務調査上の意味は異なります。
使途不明金は、支出の内容、相手先、目的などが明らかでないために、法人の損金として認められにくい支出です。領収書がない、誰に支払ったか分からない、会社の事業との関係が説明できない、といった場合に問題になります。
一方、使途秘匿金は、より重い論点です。租税特別措置法では、法人が支出した金銭等のうち、相当の理由がなく、相手方の氏名・名称、住所・所在地、支出の事由を帳簿書類に記載していないものを使途秘匿金の支出として扱い、法人税額に、その支出額の40%相当額を加算する制度が置かれています。
使途秘匿金の怖さは、単に経費が否認されるだけでは終わらない点にあります。
たとえば、100万円の支出が使途秘匿金と認定されると、その支出自体の損金性が問題になるだけでなく、別途40万円相当の追加課税が問題になります。しかも、相手先を秘匿した支出と見られるため、重加算税や不正支出の議論にもつながりやすくなります。
ただし、相手先を帳簿に記載していない支出が、すべて使途秘匿金になるわけではありません。相当の理由があるか、取引の対価として相当な支出であることが明らかか、秘匿の目的があると評価されるか。こうした事実関係によって、判断は分かれます。
「相手先を言えない」「業界の慣行だから」「営業上の機密だから」という説明は、非常に慎重に扱う必要があります。税務調査の場で不用意に口にすると、後から使途秘匿金や重加算税の根拠として整理される可能性があるためです。
消費税にも波及する|寄附金・交際費・使途不明支出の違い
本稿の中心は法人税ですが、交際費・寄附金・使途不明支出は、消費税にも波及していきます。
寄附金の支出は、対価を得て行われる取引ではないため、課税仕入れにはなりません。一方、交際費については、お中元やお歳暮のような得意先への贈答品の購入代金や、得意先を接待する飲食代であれば、原則として課税仕入れになります。ただし、得意先への商品券の交付、祝金、餞別、弔慰金などは課税仕入れにはならず、渡切交際費などで使途が明らかにされていない場合には、仕入税額控除の対象になりません。
したがって、法人税上の交際費の区分だけを見ていては不十分です。
同じ「交際費」であっても、飲食代、贈答品、商品券、祝金、香典、現金の謝礼では、消費税の扱いが異なります。領収書があるかどうか、インボイスがあるかどうかだけでなく、そもそも課税仕入れに該当する取引なのか、対価性があるのか、使途が明らかか。そこまで確認しておく必要があります。
領収書改ざん・分割・架空領収書は、金額調整では済まない
交際費の調査で最も避けるべきなのは、領収書の改ざんや、事実と異なる説明です。
次のような行為は、単なる経費の否認では終わらない可能性があります。
- 白紙の領収書に、後から金額や内容を書き込む
- 実際の金額より高い金額の領収書を作成してもらう
- 私的な支出の領収書を会社経費として処理する
- 参加者を、実際とは異なる取引先名で記載する
- 社内の飲食を、取引先の接待として処理する
- 1人当たり10,000円以下に見せるため、領収書を不自然に分割する
- 商品券や現金の交付先を記録しない
- 相手先を隠すため、架空の外注費や紹介料に振り替える
- 支出の内容を聞かれて、虚偽の説明をする
税務調査では、領収書単体ではなく、予約記録、カード明細、社内カレンダー、メール、チャット、交通費、同席者の予定、取引先の反面資料などと照合されます。領収書の形式だけが整っていても、周辺の資料と整合しなければ、証憑全体の信用性が落ちてしまいます。
特に、領収書の改ざんがある場合には、重加算税の問題に発展する可能性があります。重加算税は、単なる誤りに対するものではなく、隠蔽や仮装があったかどうかが問われます。交際費、紹介料、外注費、商品券、現金支出は、隠蔽・仮装の事実認定と結び付きやすいため、注意が必要です。
調査前に確認すべき資料
交際費・寄附金・使途秘匿金の調査に備えるうえでは、次の資料を整理しておくことが重要です。
- 総勘定元帳
- 交際費、会議費、広告宣伝費、販売促進費、福利厚生費、寄附金、雑費、支払手数料、外注費の明細
- 領収書、請求書、インボイス、支払明細
- クレジットカード明細、通帳、振込記録、現金出納帳
- 飲食費の参加者、相手先、人数、目的を記載したメモ
- 稟議書、社内承認資料、接待申請書
- 取引先との契約書、注文書、請求書、取引履歴
- 協賛金、会費、寄附金の依頼文書、趣意書、領収書
- 商品券、ギフトカード、現金支給の管理簿
- 関係会社支援に関する契約書、取締役会議事録、資金繰り資料
- 役員個人、親族、取引先担当者個人への支払いがないかを確認する資料
- 消費税の課税仕入れ処理、インボイスの保存状況
- 申告書別表、交際費等の損金不算入額、寄附金損金不算入額の計算資料
大切なのは、資料を単に集めることではありません。支出ごとに、「支出日」「相手先」「支出目的」「事業との関係」「承認者」「支払方法」「会計処理」「税務上の区分」を一覧に落とし込んでいくことです。
これを行うと、調査官に説明しやすくなるだけでなく、自社の処理がどこで弱いのかも見えてきます。
調査官に説明するときは、支出を四つに分ける
調査官から交際費や寄附金を指摘されたとき、すべてを一括して説明しようとすると、かえって混乱します。まずは、次の四つに分けて整理することをおすすめします。
第一に、事業との関係が明確で、相手先・目的・証憑もそろっている支出です。これは、交際費等として損金算入制限を受けるのか、少額飲食費として交際費等から除外されるのか、あるいは広告宣伝費や会議費として整理できるのかを検討します。
第二に、相手先や目的は説明できるものの、科目の区分が誤っている支出です。たとえば、広告宣伝費として処理していたが実態は特定取引先への接待である、会議費として処理していたが実態は接待の飲食である、福利厚生費として処理していたが特定役員だけが対象である、といったものです。この場合は、科目の修正と税務調整の問題になります。
第三に、会社の支出としての事業関連性が弱い支出です。役員個人の交友関係、家族による利用、私的な飲食、個人的な寄附、取引先担当者個人への支出などは、役員給与、賞与、貸付金、寄附金、損金不算入といった論点に切り分けていきます。
第四に、相手先や支出の事由を説明できない、あるいは秘匿していると見られかねない支出です。ここでは、使途不明金、使途秘匿金、重加算税、反面調査、金融機関調査への波及まで視野に入れる必要があります。
この整理をせずに、すべてを「交際費です」と説明してしまうと、実態とずれた説明になり、後の修正申告の判断や加算税の判断で不利になることがあります。
指摘を受けた後の判断|修正申告に応じる前に確認すべきこと
交際費・寄附金・使途秘匿金について指摘を受けた場合、すぐに修正申告へ応じるべきかどうかは、指摘の内容を分けて検討する必要があります。
確認しておきたい事項は、次のとおりです。
- 指摘対象の年度、税目、金額
- 問題とされた支出の一覧
- 調査官がどの資料を根拠にしているか
- 交際費、寄附金、給与、使途秘匿金のどの認定か
- 法人税だけの指摘か、消費税・源泉所得税にも波及するか
- 重加算税を示唆されているか
- 事実認定に誤りがないか
- 追加の資料で説明できる支出がないか
- 単なる科目区分の誤りか、支出の実在性・相手先が問題なのか
- 今後の経理体制に、同じ問題が残っていないか
特に、使途秘匿金や重加算税が絡む場合には、安易な発言や一括での修正は避けるべきです。相手先を開示できない理由、帳簿に記載していない理由、支出の実在性、支出の目的、取引の対価性を丁寧に整理し、専門家とともに対応方針を検討していく必要があります。
再発防止は「領収書保存」ではなく「支出ルール」から整える
交際費・寄附金・使途不明支出の調査リスクを下げるには、領収書を保存するだけでは足りません。必要なのは、支出の前、支出の時、支出の後を通じたルールです。
たとえば、次のような仕組みが有効です。
- 接待交際費の事前申請ルールを設ける
- 飲食費には、相手先、参加者、人数、目的を必ず記録する
- 商品券、ギフトカード、現金の謝礼は禁止するか、厳格に管理する
- 取引先担当者個人への支払いは、原則として禁止する
- 協賛金、寄附金、会費は、依頼文書と承認資料を保存する
- 関係会社への支援は、契約書、稟議、経済合理性を資料化する
- 役員個人の利用が疑われる支出は、月次で確認する
- 交際費、会議費、広告宣伝費、福利厚生費の判断基準を、社内で統一する
- 領収書の分割、白紙の領収書、内容不明の領収書を認めない
- 月次決算の際に、高額・頻繁・相手先不明の支出をレビューする
税務調査は、過去の処理を確認する場です。けれども同時に、経理体制の弱点が明らかになる場でもあります。交際費の調査を、単なる追徴リスクの話で終わらせるのではなく、会社の支出管理や承認フロー、役員経費の透明性を整える機会として受け止めていただきたいと思います。
交際費・寄附金・使途秘匿金に不安がある場合は、早めに整理を
交際費、寄附金、使途秘匿金は、税務調査で説明が難しくなってから資料を整えるのでは、間に合わない場合があります。
特に、次のような状況が見られるときは、調査の前、あるいは指摘を受けた直後に、専門家へ相談されることをおすすめします。
- 交際費、会議費、広告宣伝費、販売促進費の区分が曖昧である
- 役員の飲食費、ゴルフ、旅行、贈答品が多い
- 取引先担当者個人への謝礼や振込がある
- 商品券、現金、紹介料、リベートの管理が弱い
- 協賛金、寄附金、会費、関係会社支援の処理に不安がある
- 領収書の内容、参加者、人数の記録が不足している
- 使途不明金、仮払金、立替金、雑費が多い
- 税務調査で「相手先を説明してください」と言われている
- 使途秘匿金、重加算税、反面調査を示唆されている
犬飼公認会計士・税理士事務所では、交際費・寄附金・使途秘匿金が問題となる税務調査について、支出明細、証憑、資金の流れ、相手先、事業関連性、税務上の区分、加算税リスクを一体で整理します。
「領収書があるから大丈夫」と判断する前に、その支出を税務調査でどのように説明できるのかを、いま一度確かめておくことが大切です。交際費・寄附金・使途不明支出の整理、調査官への説明方針、修正申告の要否に不安がある場合は、お問い合わせページからご相談ください。
振り返り|交際費・寄附金・使途秘匿金の調査対応で押さえるべきポイント
| 論点 | 調査で確認されること | 実務上の対応 |
|---|---|---|
| 交際費の該当性 | 得意先・仕入先等への接待、供応、慰安、贈答か | 相手先、参加者、目的、事業関連性を記録する |
| 少額飲食費 | 1人当たり10,000円以下か、必要事項を保存しているか | 令和6年4月1日前後で基準が異なる点に注意する |
| 接待飲食費 | 社外関係者との飲食か、社内飲食か | 社内飲食は少額飲食費除外の対象外となる場合がある |
| 広告宣伝費との区分 | 不特定多数向けの宣伝効果があるか | 特定取引先向け贈答は交際費になりやすい |
| 福利厚生費との区分 | 従業員におおむね一律か | 特定役員・一部社員だけの支出は給与等に注意する |
| 会議費との区分 | 会議実態、議題、通常性があるか | 実質が接待であれば交際費として整理する |
| 寄附金 | 無償供与、経済的利益の供与か | 支出先区分、支出日、損金算入限度額を確認する |
| 関係会社支援 | 自社負担の合理性があるか | 契約、役務、対価性、経済合理性を資料化する |
| 役員・個人への利益供与 | 個人が負担すべき支出を会社が負担していないか | 役員給与、認定賞与、貸付金への波及を確認する |
| 取引先担当者への謝礼 | 法人宛か個人宛か、役務提供があるか | 個人口座への支払いは特に慎重に整理する |
| 商品券・現金支出 | 交付先、目的、管理簿があるか | 交付先不明は使途不明金・使途秘匿金リスクがある |
| 使途不明金 | 支出内容、相手先、目的を説明できるか | 損金性、消費税、重加算税への波及を検討する |
| 使途秘匿金 | 相手先等を相当の理由なく帳簿に記載していないか | 40%追加課税リスクを前提に専門家と整理する |
| 領収書改ざん | 金額、人数、相手先、内容が実態と一致するか | 白紙領収書、分割、虚偽記載を絶対に避ける |
| 調査対応 | 指摘内容が科目区分か、不正認定か | 事実、法令、金額、加算税を分けて判断する |