創業して初めて従業員を雇うときは、会社の実務が大きく変わる節目になります。
それまでは、代表者自身の役員報酬や外注費、業務委託費、創業費用、会計ソフト、税務届出といったところを中心に考えていれば足りていたかもしれません。ところが従業員を雇った瞬間から、会社は「給与を支払う側」に立ちます。労働条件の明示にはじまり、勤怠管理、給与計算、源泉所得税、社会保険料、労働保険、雇用保険、住民税、そして法定帳簿の保存まで、継続的に管理していく立場になるのです。
ここで注意したいのは、給与計算が「毎月の手取り額を出す作業」ではない、ということです。
労働条件と勤怠実績をもとに総支給額を確定し、社会保険料や雇用保険料、源泉所得税、住民税を控除する。さらに会社負担分の法定福利費を会計処理し、資金繰り表に納付予定を反映する。給与計算とは、この一連の流れを指します。
創業期にこの部分を曖昧にしたまま進めてしまうと、従業員との認識違い、未払残業代、源泉所得税の納付漏れ、社会保険料の資金不足、月次決算の不正確さといった形で、後からひとつずつ表面化してきます。
そこで本稿では、初めて従業員を雇うときに、何を、どの順番で、どこまで整えるべきかを、給与計算と労務管理の実務に沿って整理していきます。
最初に確認すべきは「給与計算ソフト」ではなく「労働条件」
従業員を雇うとき、真っ先に決めるべきなのは、実は給与計算ソフトの種類ではありません。
まず固めるべきは、「どのような条件で働いてもらうのか」です。
具体的には、雇用形態、契約期間、試用期間、就業場所、業務内容、始業・終業時刻、休憩時間、休日、所定労働時間、時間外労働の有無、賃金の決め方、締日、支払日、通勤手当、賞与、退職に関する事項など。挙げていくとかなりの数になります。
これらが曖昧なまま採用してしまうと、給与計算の前提そのものが決まりません。月給なのか時給なのか、所定労働時間は何時間なのか、休日はいつなのか、残業代をどう計算し、欠勤控除をどう扱うのか。ここが決まっていなければ、毎月の給与計算は、どうしても感覚的な処理になってしまいます。
労働基準法上、使用者は労働契約を結ぶ際に労働条件を明示しなければなりません。厚生労働省も労働条件通知書の様式を公表しており、2024年4月からは労働条件明示のルールが改正された点も案内しています。採用の際には、その時点での最新様式と明示すべき事項を必ず確認しておく必要があります。
出典:厚生労働省|令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます
出典:厚生労働省|主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)
とくに2024年4月以降は、就業場所・業務の変更の範囲、有期契約労働者の更新上限、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件など、明示すべき事項が増えています。
有期雇用やパート、アルバイト、契約社員を採用する場合は、「正社員より簡単に済ませればよい」と考えてしまいがちです。しかし実際はむしろ逆で、契約期間や更新条件をより丁寧に明確にしておく必要があります。
労働条件通知書と雇用契約書は「後から説明できる状態」にする
実務では、労働条件通知書を交付するだけでなく、雇用契約書として双方が確認できる形にしておくことが多くあります。
ここで大切なのは、書類の名称ではありません。会社と従業員の双方が、「どの条件で働くのか」を後からきちんと確認できることです。
採用時に口頭で「だいたいこのくらい」「慣れてきたら見直そう」「忙しいときは残業をお願いするかも」と伝えただけでは、給与計算や労務管理の根拠としては弱くなります。創業期は人間関係が近い分、最初のうちは問題になりにくいでしょう。ですが事業が忙しくなり、業務量が増え、労働時間や役割が変わっていくと、当初の認識の違いがじわじわと表面化してきます。
最低限、採用の前後には、次の事項を文書で確認しておきたいところです。
- 雇用契約の開始日、契約期間、更新の有無
- 就業場所、業務内容
- 勤務日、勤務時間、休憩、休日、時間外労働の有無
- 賃金の計算方法、賃金締切日、支払日、支払方法
- 通勤手当、賞与、退職に関する事項
- 社会保険・雇用保険の加入要否、試用期間の扱い
求人票や面接時の説明は、あくまで採用活動上の情報にすぎません。実際の雇用条件として確定した内容は、労働条件通知書または雇用契約書として保存し、給与計算・勤怠管理・社会保険手続と整合させておく必要があります。
賃金設計は「基本給」だけでなく、手当・残業代・控除まで決める
給与計算を安定させるには、賃金の構成をはっきりさせておくことが欠かせません。
賃金は基本給だけではありません。時間外手当、休日労働手当、深夜手当、通勤手当、役職手当、資格手当、固定残業代、賞与などが関わってきます。何を支給し、何を支給しないのか。どの条件を満たしたときに支給するのか。ここをあらかじめ決めておく必要があります。
労働基準法上、賃金の支払方法には原則があります。厚生労働省は、賃金について、通貨で、直接労働者に、全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うべきものと説明しています。所得税の源泉徴収など法令に基づく控除は例外として認められますが、それ以外の控除については、慎重に整理しておく必要があります。
出典:厚生労働省|賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。
あわせて、最低賃金も必ず確認します。最低賃金は、雇用形態にかかわらずすべての労働者に適用される制度です。地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合には、いずれか高い方の額以上の賃金を支払わなければなりません。
出典:厚生労働省|最低賃金制度の概要
創業期によく見られるのが、「最初は資金が厳しいから少なめに」「成果が出たら増やす」「残業代込みでこの金額」といった決め方です。こうした設計そのものが直ちにすべて否定されるわけではありません。ただし、労働時間、賃金単価、固定残業代の内訳、超過分の支払、最低賃金との関係を明確にしておかなければ、後々、未払賃金の問題につながりかねません。
給与計算を始める前に、少なくとも次のように分けて整理しておくことをおすすめします。
- 基本給は、何に対する対価なのか
- 手当は、どの条件で支給するのか
- 残業代は、どの単価で計算するのか
- 固定残業代を設けるなら、何時間分なのか、基本給部分と固定残業代部分をどう区分するのか
- 欠勤、遅刻、早退の場合の控除をどう扱うのか
- 賞与は支給義務を持つ制度にするのか、業績・勤務成績に応じた裁量的な制度にするのか
給与計算のミスは、ソフトの操作を間違えたときだけに起こるものではありません。その多くは、そもそもの賃金設計が曖昧なところから始まっています。
勤怠管理は、給与計算のためだけでなく未払リスクを防ぐために行う
初めて従業員を雇うときは、勤怠管理の方法もあわせて最初に決めておく必要があります。
勤怠管理とは、単に出勤・退勤の記録をつけることではありません。所定労働時間、実労働時間、休憩時間、時間外労働、休日労働、深夜労働、有給休暇、欠勤、遅刻、早退を、給与計算にそのまま使える形で記録していくことを指します。
労働時間について、厚生労働省は、法定労働時間を原則として1日8時間・1週40時間以内としています。また、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与える必要があると案内しています。時間外・休日労働を行わせるには36協定の締結が必要であり、時間外労働や休日労働には割増賃金が発生します。
出典:厚生労働省|労働時間・休日
出典:厚生労働省|時間外・休日労働と割増賃金
創業期は、経営者と従業員の距離が近い分、「少しだけ手伝ってもらう」「営業時間外に連絡する」「休日に短時間だけ対応してもらう」といったことが起こりやすくなります。しかし、会社の指示によって業務を行っている時間については、労働時間として扱うべきかどうかを確認しておく必要があります。
厚生労働省のガイドラインでは、使用者が労働時間を適正に把握するための方法として、使用者自らが現認する方法や、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録といった客観的な記録を基礎として確認・記録する方法が示されています。自己申告制を採る場合でも、実態と合っているかどうかの確認が求められます。
出典:厚生労働省|労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
勤怠管理を整えないまま給与を支払っていると、月次決算の上でも人件費を正しく把握できません。実際の労働時間と給与が対応していなければ、部門別・案件別・得意先別の採算管理も難しくなってしまいます。
初回の給与計算で確認すべき流れ
初めて給与計算を行うときは、いきなり支給額と手取り額を入力するのではなく、次の順番で整理していきます。
まず、労働条件通知書・雇用契約書に基づいて、月給、時給、日給、所定労働時間、締日、支払日、手当、控除のルールを確認します。
次に、勤怠実績を集計します。出勤日数、労働時間数、時間外労働時間、休日労働時間、深夜労働時間、欠勤、遅刻、早退、有給休暇を確認し、給与計算に反映させます。
そのうえで、総支給額を計算します。基本給、各種手当、時間外手当、休日手当、深夜手当、通勤手当などを区分していきます。
続いて、控除額を計算します。健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、源泉所得税、住民税などです。社会保険料や雇用保険料は、制度ごとに対象となる報酬・賃金や料率が異なります。給与計算ソフトに任せきりにせず、初期設定を自分の目で確認しておくことが大切です。
最後に、差引支給額を確定させ、給与明細、振込データ、会計仕訳、そして源泉所得税・社会保険料・住民税の納付予定を確認します。
この流れを、毎月同じ順番で回していくこと。それが給与計算を安定させる何よりの近道です。初回だけ丁寧に処理しても、翌月以降に勤怠、社会保険料、税額表、住民税、入退社処理が反映されなければ、あっという間にズレが生じてしまいます。
社会保険料は「会社負担」を含めて人件費として見る
従業員を雇うときに、経営者が見落としやすいのが会社負担の社会保険料です。
従業員本人の手取り額だけで給与を考えていると、会社の実質的な負担を過小評価してしまいます。会社は、給与から従業員負担分の社会保険料を控除するだけでなく、会社負担分をあわせて納付する立場だからです。
日本年金機構は、健康保険・厚生年金保険の保険料について、事業主が毎月の給料および賞与から被保険者負担分を差し引き、事業主負担分とあわせて納付期限までに納めるものと説明しています。納付期限は、納付対象月の翌月末日です。また、給料から控除するときは、当月支払う給料から前月の標準報酬月額にかかる保険料を差し引くことができるとされています。
出典:日本年金機構|厚生年金保険料等の納付
従業員を採用した場合、健康保険・厚生年金保険に加入すべき者については、被保険者資格取得届を提出します。日本年金機構は、新たに従業員を採用したときは、被保険者資格取得届を5日以内に提出すると説明しています。
出典:日本年金機構|適用事業所と被保険者
創業期の利益計画には、給与総額だけでなく、法定福利費を含めた総人件費を織り込んでおく必要があります。月給だけを見て採用を判断してしまうと、社会保険料、労働保険料、源泉所得税、住民税の納付時期が重なったときに、資金繰りが一気に苦しくなります。
雇用保険は、勤務時間と雇用見込みで判断する
雇用保険も、初めて従業員を雇うときに確認しておきたい制度です。
厚生労働省は、雇用保険の適用事業所に雇用される労働者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがある場合には、原則として被保険者になると説明しています。雇用形態や本人の希望だけで決めるものではありません。
出典:厚生労働省|雇用保険制度 Q&A~事業主の皆様へ~
雇用保険料率は、年度ごとに確認が必要です。厚生労働省は令和8年度の雇用保険料率を公表しており、事業の種類によって料率が異なります。
出典:厚生労働省|令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内
給与計算ソフトを使っている場合でも、年度更新のタイミングで雇用保険料率が正しく反映されているかは確認しておくべきです。とくに、一般の事業、農林水産・清酒製造、建設業では料率が異なるため、事業区分を取り違えると、給与控除額や会社負担額がずれてしまいます。
源泉所得税は「給与を支払うたび」に発生する
従業員に給与を支払う会社は、源泉徴収義務者として、給与から所得税および復興特別所得税を源泉徴収し、納付する必要があります。
国税庁は、源泉徴収した所得税および復興特別所得税について、原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めると説明しています。ただし、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者には、一定の申請により半年分をまとめて納める「納期の特例」があります。
出典:国税庁|No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例
出典:国税庁|A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
給与計算では、従業員から「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出を受けているかどうかによって、源泉徴収税額表の適用欄が変わります。国税庁は、扶養控除等申告書を提出している人に支払う給与には甲欄を、その他の人に支払う給与には乙欄を使うと説明しています。
出典:国税庁|No.2511 税額表の種類と使い方
なお、2026年分の給与計算を行う場合には、令和8年分の源泉徴収税額表を確認する必要があります。
出典:国税庁|令和8年分 源泉徴収税額表
創業期にありがちなのが、給与の支払はしているのに、源泉所得税の納付予定を資金繰り表に入れていない、というケースです。納期の特例を使う場合でも、納付時期が年2回にまとまるだけで、納付義務そのものがなくなるわけではありません。むしろ半年分がまとまって資金流出することになるため、月次で未払・預り金をきちんと把握しておく必要があります。
住民税は、入社時点ではなく「特別徴収の通知」まで含めて管理する
給与計算で意外と忘れやすいのが住民税です。
所得税は給与支払時に会社が税額表を使って計算しますが、個人住民税はそうではありません。市区町村が前年の所得をもとに税額を決定し、会社に特別徴収税額を通知する、という流れになります。
東京都主税局は、給与支払報告書の提出、特別徴収税額の通知、6月の給与からの特別徴収開始、翌月10日までの納入という基本的な流れを案内しています。毎年1月1日現在で給与の支払いをしている事業主のうち、所得税の源泉徴収義務がある事業主は、1月31日までに給与支払報告書を提出する必要があります。
出典:東京都主税局|特別徴収にかかる手続きについて
また国税庁は、eLTAXを利用して給与支払報告書と源泉徴収票を一括で作成・提出できる仕組みも案内しています。
出典:国税庁|給与・公的年金等の支払報告書及び源泉徴収票のeLTAXでの一括作成・提出(電子的提出の一元化)について
初めて従業員を雇った月から、すぐに住民税を控除できるとは限りません。前職で特別徴収されていた人を引き継ぐ場合、普通徴収から特別徴収へ切り替える場合、翌年度から特別徴収を開始する場合など、従業員の状況によって対応が変わってくるからです。
そのため入社時には、前職の有無、住民税の徴収方法、特別徴収への切替希望、市区町村からの通知の有無を確認し、給与計算上の控除開始月を取り違えないようにします。
法定帳簿と給与関係書類は、最初から保存ルールを決める
従業員を雇うと、給与計算の結果だけでなく、その根拠となる資料も保存しておく必要があります。
対象となるのは、労働者名簿、賃金台帳、労働条件通知書、雇用契約書、出勤簿、タイムカード、勤怠データ、賃金に関する書類、36協定、年次有給休暇管理簿、社会保険・雇用保険の届出控えなどです。
厚生労働省の主要様式のページには、労働者名簿、労働条件通知書、賃金台帳などの様式が掲載されています。また、労働関係書類の保存期間については、賃金台帳などの記録の保存期間を5年に延長しつつ、当分の間は3年とする経過措置が案内されています。
出典:厚生労働省|主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)
出典:厚生労働省|未払賃金が請求できる期間などが延長されています
創業期は、こうした書類を個人のパソコンやメール、チャット、クラウドストレージにばらばらに保存してしまいがちです。ですが、後から確認したくなるのは、給与明細そのものだけではありません。「なぜその給与額になったのか」を説明できる資料です。
労働条件、勤怠、給与計算、控除、納付、会計処理。これらがつながっていなければ、税務調査、労基署対応、社会保険調査、金融機関への説明といった場面で、説明に余計な時間がかかってしまいます。
給与計算を月次決算に接続する
初めて従業員を雇うと、月次決算の見方も変わってきます。
給与計算の結果は、給料手当、法定福利費、預り金、未払金、旅費交通費、福利厚生費、賞与引当、未払費用などに反映されます。給与を支払った金額だけを会計ソフトに入力していると、会社負担の社会保険料や、源泉所得税・住民税の預り金が見えにくくなってしまいます。
月次決算で確認すべきなのは、従業員へ支払った手取り額ではなく、総人件費です。
総人件費には、基本給、諸手当、残業代、賞与、会社負担の社会保険料、労働保険料、採用費、福利厚生費、教育研修費などが含まれます。採用によって売上や粗利がどう増えるのか、固定費がどのくらい増えるのか、資金繰りにどの月から影響してくるのか。これらを月次で確認していきます。
従業員を雇うことは、単に作業量を増やすことではありません。会社の固定費構造そのものを変える判断です。だからこそ、採用前には利益計画と資金繰り表に反映しておき、採用後は月次決算で計画と実績の差を確認していく必要があります。
初めて従業員を雇うときに起こりやすい実務ミス
創業期の給与計算・労務管理では、次のようなミスが起こりやすくなります。
- 労働条件通知書を作成していない
- 雇用契約書はあるが、勤務時間や残業の扱いが曖昧になっている
- 固定残業代の内訳が不明確である
- 勤怠を客観的に記録していない
- 36協定を出していないのに時間外労働が発生している
- 最低賃金を確認せずに時給を決めている
- 社会保険の資格取得日と、給与計算の控除開始月がずれている
- 雇用保険の加入要否を確認していない
- 扶養控除等申告書を回収しないまま甲欄で源泉徴収している
- 源泉所得税や住民税を資金繰り表に入れていない
- 給与計算ソフトの料率を更新していない
- 給与明細は出しているが、会計仕訳が預り金・法定福利費と整合していない
- 賃金台帳や勤怠記録の保存場所が決まっていない
これらのミスは、従業員が増えてから修正しようとするほど、負担が大きくなっていきます。だからこそ、初めての採用のタイミングで、最低限の仕組みを整えておくことが大切です。
初めて従業員を雇う前に整理しておきたいこと
従業員を雇う前に、次の事項を整理しておくと、給与計算・労務管理の混乱をかなり防ぎやすくなります。
- どの業務を任せるのか
- 雇用なのか、外注なのか
- 勤務場所と業務内容は何か
- 所定労働時間と休日はどうするのか
- 残業は発生するのか
- 給与は月給・時給・日給のどれか
- 手当は何を支給するのか
- 締日と支払日はいつか
- 社会保険・雇用保険の加入要否をどう判断するのか
- 給与計算ソフトと会計ソフトをどう連携するのか
- 源泉所得税、住民税、社会保険料の納付日を資金繰り表にどう入れるのか
- 労働条件通知書、雇用契約書、勤怠記録、賃金台帳をどこに保存するのか
ここまで整理してから採用すれば、従業員にとっても会社にとっても、説明しやすい給与・労務体制になります。
重要事項の振り返り
| 確認項目 | 創業期に押さえるべきポイント |
|---|---|
| 労働条件 | 採用前に、就業場所、業務内容、勤務時間、休日、賃金、退職などを明確にする |
| 労働条件通知書 | 採用時点の最新様式と明示事項を確認し、後から説明できる形で保存する |
| 雇用契約書 | 書類名よりも、会社と従業員が合意した条件を具体的に残すことが重要 |
| 賃金設計 | 基本給、手当、残業代、通勤手当、賞与、欠勤控除を区分して設計する |
| 最低賃金 | 地域別最低賃金・特定最低賃金を確認し、雇用形態にかかわらず下回らないようにする |
| 勤怠管理 | 出退勤、休憩、時間外、休日、深夜、有給休暇を給与計算に使える形で記録する |
| 36協定 | 時間外・休日労働が発生する場合は、事前に必要な手続を確認する |
| 社会保険 | 加入対象者について資格取得届を期限内に提出し、給与控除開始月を確認する |
| 雇用保険 | 週所定労働時間と雇用見込みにより加入要否を判断する |
| 源泉所得税 | 扶養控除等申告書、税額表、納付期限、納期の特例を確認する |
| 住民税 | 特別徴収税額通知、給与支払報告書、控除開始月、納付期限を管理する |
| 法定帳簿 | 労働者名簿、賃金台帳、勤怠記録、雇用契約書を保存する |
| 月次決算 | 給与、法定福利費、預り金、未払金を毎月会計に反映する |
| 資金繰り | 給与支払日だけでなく、源泉所得税、住民税、社会保険料、労働保険料の納付日を入れる |
初めての採用・給与計算でお悩みの方へ
初めて従業員を雇うときは、採用、給与計算、社会保険、源泉所得税、住民税、会計処理をそれぞれ別々に考えてしまうと、どこかで必ず漏れが生じやすくなります。
大切なのは、労働条件、勤怠、給与計算、納付、会計、資金繰りを、ひとつの流れとして設計しておくことです。
犬飼公認会計士・税理士事務所では、創業・法人設立・法人成りのタイミングで、役員報酬、従業員給与、源泉所得税、社会保険、労働保険、月次決算体制を一体として整理しています。
初めて従業員を雇う前に、給与計算や労務管理をどこまで整えておくべきか、自社の採用計画と資金繰りに照らして確認したいという場合は、犬飼公認会計士・税理士事務所ホームページのお問い合わせページより、お気軽にご相談ください。