不正・粉飾が判明した後の修正経理と税務対応|過年度修正・更正の請求・修正申告の判断軸

不正や粉飾が判明したとき、最も危ういのは、「早く直したい」という気持ちだけで会計処理や税務申告を動かしてしまうことです。

架空売上を取り消す。架空外注費を否認する。代表者の私的支出を役員貸付金に振り替える。横領分を損失として処理する。過去の申告をやり直す。いずれも、状況によっては必要になる対応です。

ただし、どの処理も順番を誤ると、「事実を正しく直した」ではなく、「後から都合よく処理を作り直した」と受け取られかねません。

不正・粉飾の発覚後は、仕訳を訂正するだけでは足りません。少なくとも、次の5つは整理しておきたいところです。

確認すべき軸実務上の意味
何が起きたのか架空売上、売上除外、架空費用、資産流用、横領、循環取引などの事実認定
どの期に影響するのか発覚期ではなく、本来計上すべき期・計上すべきでなかった期を確認する
税額は過大だったのか、過少だったのか更正の請求か、修正申告か、更正を待つかが変わる
会計上どう直すのか修正経理、過年度修正、前期損益修正、過去の誤謬訂正の整理
税務署に何を説明するのか証拠、経緯、責任者、修正理由、重加算税リスクの整理

粉飾決算は、税務上は「仮装経理」として問題になります。粉飾は利益を実態より大きく見せるために行われることが多い一方で、資産流用を隠すために粉飾的な処理が使われることもあります。

会計不正は、粉飾決算と資産流用に分けて理解されることがありますが、実務では両者が重なり合います。つまり、「粉飾だから税金は払い過ぎているはず」とも、「不正だから必ず追徴される」とも、単純には言い切れないのです。

目次

まず分けるべきは「過大申告型」か「過少申告型」か

不正・粉飾が判明したときは、はじめに「会計処理の誤り」そのものではなく、「税務上どちら向きの誤りなのか」を整理します。

類型典型例税務対応の入口主な注意点
過大申告型架空売上、架空在庫、費用未計上、費用の資産計上修正経理、更正の請求、減額更正仮装経理に該当すると、法人税の還付が通常どおり進まないことがある
過少申告型売上除外、架空外注費、架空人件費、私的費用の会社負担修正申告、更正、加算税対応重加算税、消費税仕入税額控除否認、源泉所得税への波及
資産流用型従業員横領、役員による資金流用、会社カードの私的利用損失、損害賠償請求権、役員給与・貸付金判断会社が被害者といえるか、代表者関与があるかで処理が変わる
混合型架空売上で売上を膨らませつつ、裏で資金流用もある会計・法人税・消費税・源泉を横断整理一部は還付、一部は追徴という複合処理になり得る

この分類を省いたまま、「不正があったので修正申告します」「粉飾なので更正の請求をします」と進めてしまうと、法人税、消費税、源泉所得税、附帯税、そして質問応答記録書の説明が、互いにかみ合わなくなります。

税務調査では、修正後の数字だけが見られるわけではありません。「なぜその期で直したのか」「なぜその税目だけを修正したのか」「誰がその事実を把握していたのか」まで確認されます。

「修正経理」と「過年度修正」は同じではない

不正・粉飾が判明した場合、会計上は過去の誤謬の訂正、あるいは過年度修正の問題になります。企業会計基準第24号は、会計方針の開示、会計上の変更、そして過去の誤謬の訂正に関する会計処理および開示を対象としています。
出典:企業会計基準委員会|企業会計基準第24号 会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準

ただし、税務上の「修正経理」は、会計上の過年度修正と完全に一致する概念ではありません。

とりわけ法人税の仮装経理では、過去に仮装して計上した内容を、後続事業年度の確定した決算で明確に訂正することが重要になります。実務上は、架空売上で売掛金が残っている場合には「前期損益修正損/売掛金」、架空在庫で棚卸資産が残っている場合には「前期損益修正損/商品」というように、仮装経理の結果を明示的に取り崩す処理が検討されます。

ここで押さえておきたいのは、修正経理をしたからといって、その修正損がそのまま発覚期の損金になるわけではない、という点です。

法人税の仮装経理に係る修正経理では、修正経理をした事業年度の申告において、その前期損益修正損等を別表四で加算する、つまり自己否認する必要があります。これを怠ると、修正経理をした期でさらに過少申告となり、加算税の問題を招くことがあります。

粉飾・仮装経理による過大申告は、直ちに全額還付されるとは限らない

通常、税額を多く申告していた場合には、更正の請求によって減額更正を求めることができます。国税庁も、納める税金が多過ぎたときや還付される税金が少な過ぎたときには、更正の請求という手続があり、原則として法定申告期限から5年以内に行うものと案内しています。
出典:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき

しかし、法人税で粉飾決算、すなわち仮装経理に基づく過大申告がある場合は、通常の過大申告とは扱いが異なります。

法人税法では、仮装経理に基づく過大申告について、更正に関する特例や還付に関する特例が設けられています。国税庁は、法人税法第135条第4項等に基づく仮装経理法人税額の還付請求手続を案内しており、その提出時期を、同項等に規定する事実が生じた日以後1年以内としています。
出典:国税庁|C1-54 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額・地方法人税額の還付の請求

この制度の趣旨は、粉飾決算によって意識的に多く納めた税金を、通常の過大申告と同じように直ちに還付するのではなく、法人自身に仮装経理状態の是正を求める点にあります。実務上は、法人が修正経理を行い、その修正経理に基づく確定申告書を提出するまでは、税務署長が減額更正を見合わせることができる、という考え方が重要になります。

そのため、粉飾が判明した場合の実務対応は、次の順序で考えます。

手順内容実務上の注意点
1仮装経理に該当するか確認する単なる誤謬、見積り違い、期ずれと区別する
2修正経理を行う仮装経理の結果を明確に取り崩す処理にする
3修正経理をした期の確定申告を行う修正損等を発覚期の損金にしないよう別表調整を確認する
4仮装経理をした過年度について更正の請求等を検討する期限、添付資料、修正経理の有無を確認する
5減額更正後の還付・控除を確認する法人税法135条の還付特例により、通常の還付と異なる処理になることがある

「粉飾なのだから税金は戻るはずだ」と考え、修正経理や更正の請求の要件を確認しないまま税務署に説明すると、かえって調査官から「まず架空計上の内容を詳しく説明してください」と求められます。調査実務でも、粉飾決算による過大申告は直ちに減額更正をする必要はなく、修正経理と確定申告が重要な前提になると整理されています。

仮装経理か、単なる誤りかで結論は大きく変わる

不正・粉飾が判明したときに難しいのは、「仮装経理」と「単なる誤謬」の境界です。

たとえば、次のような処理は、事案によって評価が分かれます。

処理仮装経理が問題になりやすい場合単なる誤り・見積り違いとして整理し得る場合
売上の前倒し計上実在しない取引を売上計上した検収時期の判断を誤った
在庫の過大計上実在しない在庫を計上した棚卸評価の見積りに合理的な誤りがあった
費用の資産計上費用であることを認識しながら利益確保のため資産化した修繕費・資本的支出の判断を誤った
貸倒れ未処理回収不能を認識しながら債権を残した回収可能性の見積りが後に変わった

仮装経理に該当するかどうかは、誰が指示したのか、どのような仕訳をしたのか、従来処理とどう違うのか、金融機関・株主・税理士にどう説明していたのか、社内資料にどのような記録が残っているのか――こうした要素から判断されます。

つまり、「結果として利益が過大だった」というだけでは足りません。意図、指示、証拠、経理処理、外部への説明、その整合性までが見られます。

税務上は、この点を曖昧にしたまま「仮装経理でした」と認めてしまうと、還付制限や将来の説明責任に影響します。逆に、明らかに架空売上や架空在庫であるにもかかわらず「単なる誤り」と説明すれば、事実認定の場面で信用を失うおそれがあります。

過少申告型では、発覚期ではなく「本来の帰属期」を確認する

売上除外、架空外注費、架空人件費、代表者の私的支出、架空仕入れなどによって税額が少なくなっていた場合は、基本的に、本来申告すべきであった過年度の申告を是正する問題になります。

発覚した期にまとめて損益を調整すればよい、というものではありません。

たとえば、令和4年3月期の売上除外が令和8年3月期に発覚したとしても、令和8年3月期の雑収入にすれば済むわけではないのです。法人税上の益金、消費税上の課税売上、源泉所得税上の給与・報酬の処理は、それぞれ本来の発生時期・支払時期・役務提供時期にさかのぼって確認する必要があります。

過少申告型で整理すべき事項は、次のとおりです。

確認事項実務上の意味
対象年度どの事業年度・課税期間に影響するか
対象税目法人税、地方法人税、消費税、源泉所得税、地方税への波及
金額本税、加算税、延滞税、住民税・事業税を含めた概算
証拠請求書、通帳、メール、契約書、社内承認、取引先資料
重加算税隠蔽・仮装に該当する客観的行為があるか
修正申告判断事実・金額・法令評価に争いがあるか
将来影響金融機関、株主、M&A、許認可、顧問契約への説明

国税庁は、税額を少なく申告していた場合には修正申告により訂正すると案内しており、誤りを把握した際にはできるだけ早く修正申告すること、また修正申告に伴って新たに納める税金や延滞税が発生する場合があることを示しています。
出典:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき

ただし、不正・粉飾案件での修正申告は、単なる計算の訂正ではありません。

修正申告書を提出するということは、「どの事実を認めるか」を税務上記録する行為でもあります。したがって、事実関係や重加算税の要否に争いがある場合には、安易に修正申告へ応じるのではなく、更正を待つ選択や不服申立ての可能性まで含めて検討すべきです。

重加算税は「不正があったから当然」ではない

不正・粉飾が判明した場合、重加算税が最も大きな争点になることがあります。

重加算税は、単に税額が誤っていた、金額が大きい、不注意だった、というだけで課されるものではありません。国税通則法上は、課税標準等または税額等の計算の基礎となる事実の全部または一部を隠蔽し、または仮装し、その隠蔽・仮装したところに基づいて申告していたことが問題になります。

国税庁の法人税に関する重加算税事務運営指針では、二重帳簿、帳簿書類の破棄・隠匿、帳簿書類の改ざん、虚偽記載、相手方との通謀による虚偽証憑の作成、売上げその他収入の脱漏、棚卸資産の除外、簿外資金による役員賞与等の支出などが、隠蔽・仮装に該当する例として挙げられています。
出典:国税庁|法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)

その一方で、同じ指針では、相手方との通謀や証憑書類等の破棄・隠匿・改ざん等によらない一定の売上計上繰延べ、経費の繰上計上、棚卸資産の評価換えによる過少評価、交際費等や寄附金を単に他の費用科目に計上した場合などについて、帳簿書類の隠匿・虚偽記載等には該当しない例も示されています。
出典:国税庁|法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)

つまり、重加算税の判断では、次のように要素を分けて整理します。

判断要素確認すべきこと
客観的行為二重帳簿、改ざん、隠匿、虚偽証憑、通謀、簿外処理があるか
認識誰が税務上問題となることを認識していたか
会社行為性従業員個人の不正か、役員・代表者・会社の意思と同視できるか
申告との関係隠蔽・仮装した事実に基づいて申告書を提出していたか
証拠質問応答記録書、メール、帳簿、契約書、通帳、取引先資料

調査の現場では、売上除外や架空費用が見つかると、調査官がその時点で重加算税の対象と認識する場面があります。しかし重加算税は、「売上漏れだから当然」というものではなく、隠蔽・仮装の事実と証拠を切り分けて検討する必要があります。質問応答記録書が、当初からの意図や特段の行動を立証するために用いられることもあります。

法人税だけを直しても足りない

不正・粉飾が判明した後の税務対応でよくある誤りは、法人税だけに目を向けてしまうことです。

実際には、1つの不正処理が複数の税目に波及します。

不正・粉飾の内容法人税消費税源泉所得税
架空売上仮装経理、過大申告、更正の請求課税売上過大、相手方処理との整合性通常は直接影響なし
架空外注費損金否認、重加算税、使途秘匿金の検討仕入税額控除否認実質給与なら源泉漏れ
代表者私的支出役員給与、貸付金、損金否認課税仕入れ該当性の否認役員給与・経済的利益
従業員横領損失、損害賠償請求権、貸倒れ売上・仕入の実態確認従業員への給与認定の可能性
売上除外益金計上、加算税課税売上計上漏れ取引内容により報酬・給与への波及

追加で納付する法人税、地方法人税、住民税、事業税、加算税、延滞税を、会計上どのように処理するかも確認が必要です。国税庁は、法人税・地方法人税・法人住民税の本税、各種加算税、延滞税などを、損金の額に算入されない主な租税公課等として示しています。
出典:国税庁|No.5300 租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期

そのため、追徴税額を会計上は費用処理した場合でも、税務申告上は損金不算入となるものを別表で調整する必要があります。

消費税では「取引実態」と「帳簿・請求書保存」を分けて確認する

消費税は、粉飾・不正案件で見落とされやすい税目です。

架空外注費を損金否認した場合、法人税だけでなく、消費税の仕入税額控除も問題になります。課税仕入れが実在しなければ、請求書があっても、仕入税額控除の前提そのものを欠くからです。

国税庁は、仕入税額控除を受けるためには、課税仕入れ等の事実を記載し区分経理に対応した帳簿、および事実を証する請求書等の保存が必要であり、請求書等には適格請求書やその電磁的記録を含むと案内しています。
出典:国税庁|No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存

一方で、法人税法の仮装経理に関する特例は、消費税にはそのままの形では存在しません。仮装経理に基づく消費税等の過大納付については、更正の請求に基づく調査によって過大納付が確認されれば、減額更正により還付されるという整理が、実務上の論点になります。

したがって、消費税では次の整理が必要です。

場面消費税上の確認事項
架空売上を計上していた課税売上の過大計上、相手方の仕入税額控除、インボイス発行の有無
架空仕入・架空外注費を計上していた課税仕入れの実在性、帳簿・請求書保存、仕入税額控除否認
実在取引だが時期が違う課税売上・課税仕入れの帰属課税期間
私的支出を課税仕入れにしていた事業関連性、課税仕入れ該当性、按分の可否
還付申告に不正があった還付過大、重加算税、将来の還付申告への影響

消費税では、「書類があるか」だけでなく、「課税仕入れの事実があるか」が問われます。形式的な請求書やインボイス番号だけでは説明しきれない場合には、役務提供の内容、成果物、検収、支払、相手先の実在性まで確認する必要があります。

源泉所得税への波及を見落とさない

代表者や役員、従業員に対する経済的利益がある場合には、源泉所得税の問題が生じます。

国税庁は、給与所得には役員や使用人に支払う給与・賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得が含まれ、金銭だけでなく経済的利益による現物給与も原則として給与所得の収入金額になるとしています。
出典:国税庁|No.2508 給与所得となるもの

また、法人が役員等に対して供与する給与には、金銭だけでなく債務免除その他の経済的利益も含まれ、役員等の個人的費用の負担額や、機密費等の名義で支給したもののうち法人業務のために使用したことが明らかでないものなどが例示されています。
出典:国税庁|No.5202 役員等に対する経済的利益

たとえば、次のような場合には源泉所得税を確認します。

事実関係源泉所得税上の確認
代表者の私的飲食代を交際費処理役員給与・経済的利益に該当するか
役員の個人的債務を会社が負担債務免除・経済的利益として給与課税されるか
架空外注費が実質的に従業員報酬給与認定、源泉徴収漏れ、不納付加算税
キックバックが個人に還流受領者の所得区分、会社側の源泉義務の有無
会社カードを従業員が私的利用給与・貸付・損害賠償請求のいずれか

会社や個人が給与や一定の報酬を支払う場合には、原則として支払の都度、所得税および復興特別所得税を差し引き、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。
出典:国税庁|No.2502 源泉徴収義務者とは

源泉所得税は、支払者側の責任です。法人税の修正申告だけで対応を終えてしまうと、後になって源泉所得税の納税告知、不納付加算税、延滞税が問題になることがあります。

横領・資産流用は「損失」と「損害賠償請求権」を分ける

従業員や役員の横領・資産流用が判明した場合、「横領されたから損失」と単純に処理してしまうのは危険です。

税務上は、損失の発生と、加害者に対する損害賠償請求権を分けて考えます。

法人税基本通達2-1-43は、他の者から支払を受ける損害賠償金の額について、その支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金に算入するとし、実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金に算入している場合にはこれを認めるとしています。あわせて、損害賠償金の請求原因となった損害に係る損失額は、保険金・共済金で補てんされる部分を除き、損害発生日の属する事業年度の損金に算入できるとされています。
出典:国税庁|法人税基本通達2-1-43 損害賠償金等の帰属の時期

ただし、代表者や役員が関与する場合には、会社が本当に被害者といえるのかを慎重に見ます。

関係者検討すべき処理
従業員による横領横領損失、損害賠償請求権、回収可能性、社内処分
経理担当者による資金流用内部統制不備、承認者責任、損害賠償請求、重加算税の会社同視
代表者による私的流用役員給与、役員貸付金、認定賞与、源泉所得税
取引先と役員の通謀架空費用、使途秘匿金、役員給与、重加算税
株主・親族への資金移転貸付金、贈与、役員給与、同族会社取引

代表者が会社資金を私的に使っていたにもかかわらず、発覚後に「横領損失」として処理してしまうと、会社と代表者の関係、回収意思、返済条件、議事録、そして税務上の役員給与認定が、あらためて問題になります。

税務署に説明する前に、社内で作るべき整理資料

不正・粉飾が判明した後は、税務署へ説明する前に、社内と専門家とで次の資料を整理しておきます。

資料内容
事実経緯表発覚日、発覚経路、関係者、対象期間、対象取引
取引別一覧取引先、金額、勘定科目、仕訳、証憑、支払方法
税目別影響表法人税、消費税、源泉所得税、地方税、附帯税
会計修正案修正前仕訳、修正後仕訳、修正経理の時期
申告対応案修正申告、更正の請求、更正を待つ選択
証拠一覧契約書、請求書、通帳、メール、チャット、稟議書
未確定事項一覧金額未確定、関係者供述待ち、取引先確認待ち
重加算税検討表隠蔽・仮装行為、認識、会社行為性、証拠
再発防止案承認フロー、権限分掌、証憑保存、月次レビュー

これらの資料で大切なのは、「会社が認める事実」と「調査官の評価」を混同しないことです。

たとえば、「架空外注費であることは認めるが、代表者は関与していない」「売上計上時期に誤りはあるが、隠蔽・仮装ではない」「消費税の仕入税額控除は否認されるが、源泉所得税の給与認定には争いがある」――このように、論点ごとに切り分けて整理します。

税務調査では、帳簿書類や電子データの提示・提出を求められることがあります。国税庁は、電磁的記録について、画面上で確認できる状態での提示、プリントアウト、電磁的記録媒体への保存、e-Taxやオンラインストレージサービスによる提出などを案内しています。
出典:国税庁|税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)

資料の提出は、出すか出さないかだけの問題ではありません。どの資料を、どの順序で、どのような説明メモを添えて提出するかが、後の事実認定に影響します。

修正申告に応じるか、更正を待つか

不正・粉飾が判明した場合、税務署から修正申告を勧められることがあります。

明らかな誤りで、事実、金額、税目、加算税の見込みに大きな争いがないのであれば、修正申告によって早期に是正することは、現実的な選択肢です。

一方で、次のような場合には、修正申告に応じる前に慎重な検討が必要です。

慎重に検討すべき場面理由
重加算税を示唆されている修正申告が、隠蔽・仮装を事実上認めたように扱われる可能性がある
役員給与認定に争いがある法人税・源泉所得税・個人所得税に波及する
消費税の仕入税額控除否認に争いがある取引実態、帳簿、請求書、インボイスの評価が必要
仮装経理か単なる誤謬か争いがある更正の請求、還付制限、将来の決算説明に影響
横領損失の期・損害賠償請求権が未整理損金算入時期・益金計上時期が変わる
取引先・関係会社にも波及する反面調査、相手方の修正申告、M&A・金融機関説明に影響

修正申告は、税務署との対立を避けるための書類ではありません。納税者自身が、どの事実を認め、どの税額を追加で納付するのかを示す手続です。

納得できない部分があるのなら、事実認定、法令解釈、証拠評価、加算税の要否を分けて整理し、更正を待つ選択や不服申立ての可能性まで含めて判断します。

不正後の税務対応は、再発防止まで含めて完了する

不正・粉飾の税務対応は、修正申告書や更正の請求書を提出して終わり、ではありません。

本当に必要なのは、同じ不安を繰り返さない仕組みです。

発覚した問題再発防止策
架空売上契約、納品、検収、入金、売上計上基準の照合
架空在庫実地棚卸、棚卸差異分析、承認者の分離
架空外注費成果物、作業報告、発注承認、取引先実在確認
私的支出役員支出ルール、会社カード利用基準、月次レビュー
横領職務分掌、振込承認、通帳管理、残高照合
粉飾圧力予算管理、金融機関説明、経営会議議事録
税務論点の放置顧問税理士・会計士への事前相談、月次論点メモ

税務調査で問われるのは、過去の処理だけではありません。

不正を把握した後、会社がどのように是正し、今後どうやって同じ処理を防いでいくのか。その姿勢も、金融機関、株主、取引先、そして専門家から見られています。

修正経理と税務対応は、会社の信用を取り戻すための出発点だと考えています。

不正・粉飾判明後の相談は「税額計算」だけで始めない

犬飼公認会計士・税理士事務所へご相談いただく場合、最初から修正申告書の完成形をご用意いただく必要はありません。

むしろ初期の段階で必要になるのは、次のような情報です。

相談前に整理したい資料内容
発覚経緯誰が、いつ、どのように不正・粉飾を把握したか
対象資料決算書、申告書、元帳、請求書、契約書、通帳
対象取引架空売上、架空費用、資産流用、横領、私的支出など
税務調査の状況通知済み、調査中、指摘済み、修正申告勧奨済み
税務署への説明内容既に話した内容、提出済み資料、質問応答記録書の有無
現時点の不安重加算税、更正の請求、源泉、消費税、金融機関説明など

不正・粉飾が判明した後の対応では、会計処理、税務判断、証拠保全、税務署対応、そして将来の体制改善を、同時に見ていきます。

当事務所では、仮装経理、架空売上、架空外注費、横領、代表者支出、消費税・源泉所得税への波及がある案件について、事実関係の整理、修正経理の方向性、更正の請求・修正申告の判断、重加算税リスク、税務署への説明資料、再発防止策まで、一体で検討します。

「どの期で直すべきか分からない」「税務署にどこまで説明すべきか不安がある」「修正申告を求められているが重加算税に納得できない」――そうした段階であれば、犬飼公認会計士・税理士事務所HPのお問い合わせページから、対象年度、発覚経緯、税務調査の有無を添えてご相談ください。

出典・参考情報

出典:e-Gov法令検索|法人税法
出典:e-Gov法令検索|国税通則法
出典:国税庁|C1-54 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額・地方法人税額の還付の請求
出典:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき
出典:国税庁|No.5300 租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期
出典:国税庁|法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)
出典:国税庁|法人税基本通達2-1-43 損害賠償金等の帰属の時期
出典:国税庁|No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存
出典:国税庁|No.2502 源泉徴収義務者とは
出典:国税庁|No.2508 給与所得となるもの
出典:国税庁|No.5202 役員等に対する経済的利益
出典:国税庁|税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)
出典:企業会計基準委員会|企業会計基準第24号 会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準

重要ポイントの振り返り

論点実務上の判断ポイント
最初の分類過大申告型、過少申告型、資産流用型、混合型に分ける
修正経理会計上の過年度修正と税務上の修正経理は同じではない
仮装経理法人税では修正経理と確定申告が減額更正・還付判断の前提になる
前期損益修正損発覚期の損金にせず、申告調整で自己否認が必要になることがある
更正の請求通常の過大申告と仮装経理による過大申告では扱いが異なる
修正申告税額計算だけでなく、認める事実の範囲を確認してから判断する
重加算税不正があれば当然ではなく、隠蔽・仮装の客観的行為と証拠が重要
消費税架空仕入では仕入税額控除、架空売上では課税売上過大を確認する
源泉所得税代表者・役員・従業員への経済的利益がある場合は源泉漏れを確認する
横領・流用損失と損害賠償請求権を分け、会社が被害者といえるかを検討する
税務署説明事実、会計処理、税務評価、証拠、未確定事項を分けて資料化する
再発防止修正申告や更正の請求で終わらせず、月次管理・承認・証憑保存へ反映する
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