経営革新計画を新事業・販路開拓に使う判断軸|承認を目的にしない成長投資の考え方

経営革新計画は、「承認を受ければ補助金や融資で有利になる制度」として語られることがあります。

たしかに、承認を受けることで、信用保証、政府系金融機関の融資、販路開拓支援、補助金の加点などにつながる場面はあります。ただ、この制度を「承認を取るための書類」として扱ってしまうと、本来の使い方から離れていきます。

経営革新計画とは、新商品、新サービス、新たな生産・販売方式、新たな提供方式、研究開発などに取り組む際に、その事業が自社の経営をどのように向上させるのかを整理する計画です。ここでいう経営革新とは、新たな取り組みによって経営の相当程度の向上を図ることを指し、新商品の開発・生産、新役務の開発・提供、商品の新たな生産又は販売方式の導入、役務の新たな提供方式の導入、技術に関する研究開発及びその成果の利用などが含まれます。
出典:国税庁|中小企業者の経営革新

つまり経営革新計画は、「制度を使うための計画」ではありません。「新しい事業活動を、経営判断として実行するための計画」です。

目次

経営革新計画は、単なる補助金前提の計画ではない

経営革新計画を検討するとき、最初に確認すべきことは「補助金で加点されるかどうか」ではありません。

まず確かめるべきなのは、自社が本当に新たな事業活動に取り組む必要があるのか。そして、その取り組みによって、売上、利益、付加価値、給与支給総額、資金繰り、組織体制がどのように変わるのか、という点です。

中小企業庁の「経営革新計画 進め方ガイドブック」は、2022年2月の発行後、2025年4月に改訂され、2025年6月に公開された資料で、経営革新計画の進め方を整理しています。同ガイドブックでは、経営計画とは現状から将来のあるべき姿に到達するための「道しるべ」であり、変化する環境のなかで現在よりも高い水準の目標を設定し、その実現のために何をすべきかを明確にするものとされています。
出典:中小企業庁|経営革新計画 進め方ガイドブック

この考え方は、実務のうえでもとても重要だと感じています。

制度を使うために新事業を考えるのではありません。新事業を進める必要があるからこそ、制度をどう使えるかを検討する。

この順番を取り違えると、承認は取れても実行できない計画、補助金申請には使えても経営管理には使えない計画になってしまいます。

「新しいこと」とは、奇抜なことではない

経営革新計画では、「新事業活動」であることが重要な要件になります。

ただし、ここでいう新しさは、必ずしも世界初、日本初、業界初である必要はありません。申請する事業者にとって新たなものであれば、すでに他社で採用されている技術や方式を活用する場合でも対象となり得ます。一方で、同業他社や同一地域の同業者にすでに相当程度普及している技術・方式の導入は、対象外となる可能性があります。
出典:神奈川県|経営革新計画の承認手続と支援メニューのご案内

したがって、経営革新計画で問われるのは「珍しいかどうか」ではありません。「自社の経営にとって新たな挑戦かどうか」です。

例えば、単なる老朽設備の更新は、それだけでは経営革新とは言いにくい場合があります。既存商品の見た目を少し変えるだけ、既存サービスを従来とほぼ同じ方法で提供するだけ、すでに地域内で一般化している販売方法を導入するだけ、といった内容でも、経営革新として説明するには弱い可能性があります。

一方で、新たな顧客層に向けた商品・サービスの開発、新たな販売方式の導入、既存技術を活用した新用途の開拓、業務プロセスの見直しによる新たな提供価値の創出などは、経営革新計画として検討する余地があります。

大切なのは、「何が新しいのか」を言葉で説明することだけではありません。

  • その新しさが、なぜ自社の経営課題を解決するのか
  • どの市場、どの顧客、どの販路に向けたものなのか
  • どの経営資源を使い、どの不足資源を補う必要があるのか
  • どの数字が改善する見込みなのか

ここまで整理して、経営革新計画は初めて経営判断に使えるものになります。

経営革新計画と販路開拓の関係

経営革新計画は、新商品や新サービスの開発だけでなく、販路開拓とも相性のよい制度です。

ただし、ここでいう販路開拓は、「新しい取引先を増やしたい」「展示会に出たい」「広告を出したい」という話にとどまりません。

販路開拓を経営革新計画に位置づけるのであれば、少なくとも次のような問いに答えておく必要があります。

  • 誰に売るのか
  • なぜその顧客層を狙うのか
  • その顧客はどのような課題を持っているのか
  • 既存商品・既存サービスでは、なぜ届かなかったのか
  • 新しい販売方式や提供方法には、どのような合理性があるのか
  • 売上だけでなく、粗利、回収期間、在庫、広告費、人件費、資金繰りにどのような影響があるのか

中小企業庁のガイドブックでも、販路開拓を行う場合の支援措置として、中小企業の商品・サービスの販路拡大に向けたマーケティング企画の策定・ブラッシュアップ支援、テストマーケティング支援、新市場進出のための営業体制構築等のフォローアップ支援が紹介されています。
出典:中小企業庁|経営革新計画 進め方ガイドブック

販路開拓は、一見すると売上拡大の話に見えます。しかし実務では、資金繰りにも直結します。

新しい販路に入るためには、広告宣伝費、展示会費用、営業人員、サンプル費用、在庫、物流、掛取引、返品対応などが発生します。売上が増えても、回収サイトが長くなれば資金繰りは悪化します。粗利率が低ければ、売上の増加が利益の増加につながらないこともあります。

ですから、経営革新計画で販路開拓を扱うときは、「売れる可能性」だけでなく、「利益が残る構造」と「資金が回る構造」を同時に確認することが欠かせません。

経営革新計画で求められる数値目標

経営革新計画は、アイデアだけでは足りません。

経営目標として、付加価値額又は一人当たり付加価値額、給与支給総額などの指標を設定します。神奈川県の公表資料では、付加価値額又は一人当たり付加価値額について、事業期間3年の場合は9%以上、4年の場合は12%以上、5年の場合は15%以上の目標伸び率が必要とされています。給与支給総額についても、3年で4.5%以上、4年で6%以上、5年で7.5%以上の目標伸び率が求められます。あわせて、計画終了年度にはそれぞれが正の値であり、経常利益が黒字であることが必要とされています。
出典:神奈川県|経営革新計画の承認手続と支援メニューのご案内

ここで重要なのは、数値目標を「承認基準を満たすための数字」として作らないことです。

付加価値額を増やすということは、営業利益、人件費、減価償却費の組み合わせが変わるということです。給与支給総額を増やすということは、人件費の負担を継続的に支える収益構造が必要になるということです。経常利益を黒字にするということは、本業だけでなく、借入利息や営業外損益まで含めた損益構造を説明できる必要があるということです。

制度上の数字を満たしているように見えても、その根拠が曖昧であれば、金融機関への説明や実行後の管理には耐えられません。

新事業の計画では、数年間の収支計画を作り、いつ黒字化するのか、先行投資を回収できる見込みがあるのか、必要資金はどの程度かを詳しく示すことが求められます。新規性を説明するだけでなく、何を作るのか、どのようなサービスを提供するのか、どのように事業化するのかを、具体的に示す必要があります。

承認を受けても、補助金・融資が保証されるわけではない

経営革新計画の承認は、支援措置につながる可能性を持つものです。

中小企業庁のガイドブックでは、経営革新計画の承認を受けると多様な支援策を受けることができるとされ、信用保証の特例、日本政策金融公庫の特別利率による融資制度、高度化融資制度、販路開拓支援などが整理されています。
出典:中小企業庁|経営革新計画 進め方ガイドブック

しかし、ここで必ず押さえておきたい点があります。

経営革新計画の承認は、支援措置を保証するものではありません。中小企業庁のガイドブックでも、承認は支援措置などを保証するものではなく、支援策を活用できる対象になったということであり、各支援策にはそれぞれ実施機関の審査があると明記されています。
出典:中小企業庁|経営革新計画 進め方ガイドブック

これは補助金でも同じです。

過去の制度解説でも、経営革新計画の承認を受けた事業者であっても、補助金の交付を受けるには別途、補助金の申請と審査が必要であることが強調されています。

現在の補助金でも、経営革新計画が加点項目として扱われることがあります。例えば、ものづくり補助金の第23次締切概要版では、申請締切日時点で有効な経営革新計画の承認を取得している事業者が加点項目として掲げられています。ただし、加点項目や必要書類は公募回ごとに変わり得るため、実際に申請する際は、その時点の公募要領を確認する必要があります。
出典:ものづくり補助金事務局|ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領概要版 23次締切

経営革新計画は、補助金の採択を保証するものではありません。融資の実行を保証するものでもありません。信用保証を自動的に受けられるものでもありません。

あくまで、新事業に取り組む会社が、制度上の支援を検討するための前提を整えるもの。そう捉えておくのが実務的です。

経営革新計画と経営力向上計画の違い

経営革新計画と経営力向上計画は、どちらも中小企業等経営強化法に関係する制度であるため、混同されやすいところです。

経営力向上計画は、人材育成、財務管理、設備投資、生産性向上など、自社の経営力を向上させるための取組を整理する制度です。設備投資税制との接続が重要になることも多く、取得前の手続や税務申告まで含めた実務管理が必要になります。

一方、経営革新計画は、新事業活動によって経営の相当程度の向上を図る計画です。新商品、新サービス、新たな販売方式、新たな提供方式、研究開発、販路開拓など、成長施策や新規性をともなう事業活動との関係が中心になります。

ですから、設備投資があるからといって、必ず経営革新計画が適しているとは限りません。

設備投資によって生産性を高めることが中心であれば、経営力向上計画や設備税制を優先して検討すべき場合があります。新しい商品・サービスや販売方式を展開し、既存事業とは異なる市場や顧客層に取り組むのであれば、経営革新計画を検討する余地があります。

制度名からではなく、目的から整理する。これが出発点になります。

経営革新計画を使うべき場面

経営革新計画が有効に機能しやすいのは、次のような場面です。

  • 新商品や新サービスを開発し、既存顧客とは異なる市場に展開したい
  • 既存の商品・サービスについて、新たな販売方法や提供方法を導入したい
  • 技術開発や研究開発の成果を、実際の事業化につなげたい
  • 販路開拓のために、マーケティング、営業体制、展示会、広告、販売代理店、EC、海外展開などを整理したい
  • 金融機関に、新事業の必要性と返済原資を説明したい
  • 補助金申請の前に、事業の方向性と数値計画を整理したい
  • 社内で新事業の目的、役割分担、投資判断を共有したい

反対に、使うべきかどうかを慎重に考えたい場面もあります。

  • 補助金の加点だけを目的にしている
  • 新事業の内容が曖昧で、何が新しいのかを説明できない
  • 市場や顧客の検証が不十分である
  • 売上計画はあるが、粗利、固定費、人件費、広告費、在庫、回収期間を見ていない
  • 投資資金をどう準備するかが決まっていない
  • 既存事業が赤字で、新事業どころではない
  • 計画後に月次で検証する体制がない

経営革新計画は、前向きな成長施策の制度です。ただし、計画を作れば成長するというものではありません。むしろ、成長投資にともなうリスクを見える化する制度と考えたほうが、実務には合っています。

申請前に整理すべきこと

経営革新計画を申請する前には、少なくとも次の順番で整理しておく必要があります。

まず、自社の現状を確認します。

売上、粗利、営業利益、経常利益、人件費、減価償却費、借入返済、資金残高、既存顧客、既存販路、商品別採算、部門別採算を確認します。

次に、経営課題を明確にします。

売上が伸びないのか、粗利が低いのか、特定顧客に依存しているのか、既存市場が縮小しているのか、人手不足なのか、設備や技術が陳腐化しているのか、販路が限定されているのか。ここを整理します。

そのうえで、新事業活動を定義します。

新商品なのか、新サービスなのか、新たな販売方式なのか、新たな提供方式なのか、研究開発の成果活用なのかを明確にします。

続いて、事業化の道筋を作ります。

誰に売るのか、どのように売るのか、いつから売上化するのか、どの体制で実行するのか、どのようなリスクがあるのかを整理します。

最後に、数値計画と資金計画を作ります。

売上計画、原価計画、人件費計画、広告宣伝費、設備投資、運転資金、借入、補助金、自己資金、資金繰り表をつなげていきます。

中小企業庁の会計活用資料でも、3か年の利益・資金計画では、設備投資・資金調達計画、要員計画、損益計画、資金計画を作成すべきものとして整理されています。

経営革新計画は、文章だけで作るものではありません。数字と資金の裏付けがあって初めて、実行可能な計画になります。

申請手続は、自治体・申請内容によって異なる

経営革新計画では、申請先や手続を事前に確認しておくことが重要です。

中小企業庁のガイドブックでは、まず都道府県担当部局等へ問い合わせ、対象者の要件、経営革新計画の内容、申請手続、申請窓口、支援措置の内容等を相談する流れが示されています。また、複数の中小企業者が共同で計画を作成する場合には、申請代表者・実施主体者の構成によって、都道府県ではなく国の地方機関等や本省が窓口になることもあるとされています。
出典:中小企業庁|経営革新計画 進め方ガイドブック

申請書類についても、都道府県独自の様式や追加資料がある場合があります。まずは申請先に確認しておきたいところです。
出典:中小企業庁|経営革新計画 進め方ガイドブック

実務上は、次の点を確認しておくとよいでしょう。

  • 本社所在地で申請するのか
  • 共同申請になるのか
  • 都道府県、地方局、国のどこが窓口になるのか
  • 電子申請か、紙申請か
  • 事前相談が必要か
  • 直近決算書、事業報告書、定款、営業許可書、補足資料などが必要か
  • 補助金や融資を使う場合、その申請期限に間に合うか
  • 経営革新計画の承認時期と補助金申請時期に整合性があるか

神奈川県の公表例でも、経営革新計画の電子申請にはGビズIDが必要であり、申請相談窓口で確認・助言を受ける流れが示されています。ただし、こうした運用は自治体ごとに異なりますので、自社の申請先で最新の情報を確認してください。
出典:神奈川県|経営革新計画の承認手続と支援メニューのご案内

金融機関に説明できる計画になっているか

経営革新計画は、金融機関への説明にも活用できます。

ただし、金融機関は「承認を受けたこと」だけを見ているわけではありません。見ているのは、事業の実現可能性、投資資金の使い道、返済原資、既存事業への影響、自己資金、資金繰り、月次管理体制です。

低利融資や信用保証の特例があるとしても、別途審査があります。神奈川県の公表資料でも、知事の承認は各種支援メニューを利用するための前提条件であり、それぞれの支援メニューの実行を保証するものではないと明記されています。
出典:神奈川県|経営革新計画の承認手続と支援メニューのご案内

金融機関に説明するためには、次のような整理が必要になります。

  • なぜ今、新事業に取り組むのか
  • 既存事業は安定しているのか
  • 新事業に必要な資金はいくらか
  • 自己資金、借入、補助金、リース等をどう組み合わせるか
  • 売上が立ち上がるまでの資金繰りは耐えられるか
  • 計画未達の場合、どの支出を抑えるのか
  • 返済原資は既存事業から出るのか、新事業から出るのか
  • 月次でどの指標を見ていくのか

「承認された計画です」と説明するだけでは足りません。

「返済できる計画です」と説明できること。そこが重要です。

補助金申請と経営革新計画の関係

経営革新計画は、補助金申請の前提整理としても有効です。

補助金では、事業の新規性、革新性、市場性、実現可能性、収益性、資金計画、実行体制が問われます。経営革新計画でこれらを整理しておけば、補助金申請時の事業計画にもつながりやすくなります。

ただし、経営革新計画と補助金申請書は、同じものではありません。

経営革新計画は、自社の中期的な新事業活動と経営向上の計画です。補助金申請書は、特定の公募要領に基づき、補助対象事業、対象経費、審査項目、実施期間、実績報告に合わせて作る書類です。

そのため、経営革新計画の承認を受けているからといって、補助金申請書を簡単に作れるわけではありません。逆に、補助金に合わせて作った事業計画が、そのまま経営革新計画として適切とも限りません。

補助金に合わせて計画を歪めるのではなく、経営革新計画で自社の方向性を整理し、そのうえで補助金の対象事業に合うかどうかを判断する。この順序を守ることが大切です。

経営革新計画を「作って終わり」にしない

経営革新計画で最も避けたいのは、承認を受けた後に計画を見なくなってしまうことです。

計画は、承認を受けるためだけに存在するものではありません。実行し、数字で検証し、必要に応じて修正するために存在します。

計画開始後は、少なくとも次の数字を確認したいところです。

  • 新事業の売上高
  • 商品・サービス別の粗利
  • 販路別の獲得単価
  • 広告宣伝費と受注件数
  • 在庫、外注費、物流費
  • 人件費と生産性
  • 設備投資額と減価償却費
  • 借入残高と返済額
  • 資金繰り
  • 付加価値額
  • 給与支給総額
  • 経常利益

中小企業庁のガイドブックでも、経営革新計画の承認後、支援策の実施機関の審査を経て支援措置等が行われ、計画開始後にはフォローアップのために計画進捗状況調査などが行われるとされています。
出典:中小企業庁|経営革新計画 進め方ガイドブック

実行後の月次管理がなければ、計画は単なる承認書になってしまいます。

経営革新計画を本当に使うのであれば、月次試算表、資金繰り表、売上分析、粗利分析、予実管理をセットで見ていく必要があります。新事業は計画どおりに進まないことが多いものです。だからこそ、早い段階でズレを把握し、価格、販路、広告、人員、仕入、投資額を修正できる体制が重要になります。

経営革新計画で専門家に相談すべきタイミング

経営革新計画について専門家に相談するなら、申請書を書き始めてからではなく、新事業の方向性を検討している段階が望ましいと考えています。

とくに、次のような段階では早めにご相談ください。

  • 新商品や新サービスを考えているが、収益化の道筋が曖昧である
  • 販路開拓をしたいが、どの制度を使うべきか分からない
  • 補助金、融資、経営革新計画をどう組み合わせるべきか迷っている
  • 金融機関に説明できる事業計画を作りたい
  • 設備投資や広告費を先行して支出する必要がある
  • 人員採用や賃上げをともなう
  • 計画の数値目標をどのように作るべきか分からない
  • 申請先や必要書類を整理したい
  • 承認後の月次管理まで見通したい

相談される際は、制度名だけをお伝えいただくのではなく、次の資料をご準備いただくと判断が進みやすくなります。

  • 直近決算書
  • 直近月次試算表
  • 資金繰り表
  • 既存事業の売上・粗利の内訳
  • 新商品・新サービスの概要
  • 想定顧客と販路
  • 投資予定額
  • 見積書
  • 借入予定
  • 補助金申請の有無
  • 実行スケジュール

経営革新計画は、申請書の作成に入る前に、経営判断の整理が必要な制度です。

経営革新計画は、攻めの制度であるほど慎重に使う

経営革新計画は、新事業や販路開拓を後押しする制度です。

しかし、攻めの制度であるほど、慎重な判断が求められます。

新事業は、既存事業よりも不確実性が高くなります。販路開拓には、広告費、人件費、展示会費用、営業活動、在庫、運転資金が必要になります。補助金を使う場合でも、後払い、不採択、対象外経費、実績報告、証憑管理、計画未達といったリスクがあります。融資を使うのであれば、返済原資を説明しなければなりません。

経営革新計画を使うべきかどうかは、次の問いに答えられるかどうかで判断できます。

  • この新事業は、自社の経営課題を解決するものか
  • 既存事業とのつながりはあるか
  • 顧客は明確か
  • 販売方法は具体的か
  • 売上と粗利の根拠はあるか
  • 必要資金を用意できるか
  • 補助金がなくても最低限実行できるか
  • 借入を返済できるか
  • 月次で検証できるか
  • 計画未達時に修正できるか

これらに答えられないまま承認を目指すと、制度の活用そのものが目的になってしまいます。

経営革新計画は、承認を取るための制度ではありません。新事業を、数字と資金と実行管理に落とし込むための制度です。

ご相談について

経営革新計画は、新商品・新サービス・新たな販売方式・販路開拓を進めるうえで、有効な制度になり得ます。

ただし、承認を受けること自体が目的ではありません。

新事業の必要性、既存事業との関係、市場性、販路、投資額、資金繰り、補助金・融資との関係、そして承認後の月次管理まで整理して初めて、経営革新計画は経営判断に使えるものになります。

犬飼公認会計士・税理士事務所では、経営革新計画を単なる申請書作成としてではなく、会計・税務・財務・資金繰り・事業計画をつなぐ判断材料として整理することを重視しています。

新事業や販路開拓を検討されており、経営革新計画、補助金、融資、資金計画、月次管理まで含めて整理したいとお考えでしたら、現在の事業内容、決算書、試算表、新事業の概要、投資予定額、資金調達の考え方を整理したうえで、犬飼公認会計士・税理士事務所HPのお問い合わせページからご相談ください。

この記事の振り返り

論点重要な考え方
経営革新計画の本質新事業活動によって経営の相当程度の向上を図るための計画であり、補助金や融資のためだけの書類ではない
新事業活動新商品、新サービス、新たな販売方式、新たな提供方式、研究開発成果の利用などが対象になり得る
新規性の判断世界初である必要はないが、自社にとって新しく、同業・同地域で相当程度普及していないことが重要
販路開拓との関係売上拡大だけでなく、顧客、販売方法、粗利、回収期間、広告費、人員体制まで整理する必要がある
数値目標付加価値額、一人当たり付加価値額、給与支給総額、経常利益などを、根拠ある計画として作る必要がある
支援措置信用保証、低利融資、販路開拓支援、補助金加点などにつながる場合があるが、承認は支援実行を保証しない
補助金との関係経営革新計画は補助金採択を保証しない。各補助金の公募要領、審査項目、対象経費を別途確認する
金融機関説明承認の有無よりも、資金使途、返済原資、実現可能性、月次管理体制を説明できるかが重要
実行後管理承認後は、売上、粗利、資金繰り、付加価値額、給与支給総額、経常利益を月次で検証する
相談すべき段階申請書を書き始めてからではなく、新事業の方向性、投資額、資金調達、販路を検討している段階で相談する
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