監査報告書は、監査の最後に作成する定型文書ではありません。
そこには、期中から積み上げてきたリスク評価、監査証拠、虚偽表示の評価、会計上の見積りの検討、開示の確認、監査役等とのコミュニケーション、審査対応、そして内部統制監査との整合が集約されます。
監査現場で行った判断が、財務諸表利用者に向けてどのような形で説明されるのか。その出口が、監査報告書です。
財務諸表監査は、監査人が財務諸表に対して信頼性を付与するために実施されるものです。監査基準においては、経営者の作成した財務諸表が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある、と位置づけられています。
出典:日本公認会計士協会|監査の基礎知識
この第十一テーマでは、監査報告書を「監査手続の終了書類」としてではなく、「説明責任を伴う専門的判断の成果物」として整理していきます。
第十一テーマで扱う範囲
このテーマで扱う中心論点は、KAM、監査報告書の構造、監査意見、除外事項、継続企業の前提、そして内部統制監査報告書です。
ただし、個別の監査手続や会計処理の詳細まで、ここで深掘りするわけではありません。売上、棚卸資産、固定資産、税効果、退職給付、金融商品といった個別会計領域は第八テーマで扱います。会計上の見積りや経営者バイアスは第七テーマ、不正リスクや訂正対応は第九テーマ・第十テーマで取り上げます。監査役等とのコミュニケーションは第十二テーマ、審査・レビュー対応は第十三テーマで、それぞれさらに掘り下げます。
第十一テーマの役割は、それらの論点を監査報告へどう接続するかを俯瞰することにあります。
たとえば、減損や税効果の監査で重要な見積り論点があったとしても、それだけでKAMになるわけではありません。未修正虚偽表示が残っていたとしても、直ちに除外事項付意見になるわけでもありません。
継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象があっても、開示が適切であれば、無限定適正意見のもとで監査報告書に記載される場合があります。内部統制に開示すべき重要な不備がある場合でも、財務諸表監査の意見と内部統制監査報告書の結論は同一ではありません。
このような判断は、単純なチェックリストでは整理できません。必要なのは、監査意見形成までの判断体系です。
監査報告書は、監査判断の「出口」である
監査報告書に記載されるのは、監査人の結論だけではありません。
現在の監査基準では、監査人の意見、意見の根拠、経営者及び監査役等の責任、監査人の責任を、明瞭かつ簡潔に区分して記載することとされています。あわせて、継続企業の前提、KAM、その他の記載内容、強調事項・その他説明事項などは、意見表明とは明確に区別して記載する構造になっています。
出典:金融庁・企業会計審議会|監査基準
この構造を理解しないまま監査報告書を読むと、重要な判断を見誤ります。
- 監査意見は、財務諸表全体に対する結論です。
- KAMは、監査上特に重要であった事項の説明です。
- 継続企業の前提に関する記載は、重要な不確実性について利用者の理解を助けるものです。
- 強調事項は、財務諸表に表示又は開示されている事項を強調するものです。
- 内部統制監査報告書は、内部統制報告書の適正表示に対する意見です。
これらは相互に関連しますが、担っている役割は異なります。
監査報告書を適切に組み立てるうえで先に必要なのは、「どこに書くか」ではありません。「何を監査意見に反映し、何をKAMに反映し、何を注記や開示との整合で見るのか」を整理することです。
第十一テーマで読者が得られる理解
このテーマを通じて理解していただきたいのは、監査報告書の文例そのものではありません。
むしろ、監査報告書に至るまでの、判断の接続関係です。
- 監査計画で識別した重要な虚偽表示リスクは、どのような監査証拠で解消されたのか。
- 会計上の見積りについて、経営者の仮定と監査人の評価は、どの程度整合しているのか。
- 未修正虚偽表示は、量的重要性だけでなく、質的重要性から見ても許容できるのか。
- 注記や記述情報は、監査人が得た知識と矛盾していないか。
- 監査役等とコミュニケーションした事項のうち、どれがKAM候補になり、どれが最終的なKAMから外れたのか。
- 内部統制監査で識別された不備は、財務諸表監査のリスク評価や実証手続にどう反映されたのか。
こうした一連の問いに答えられる状態になって、監査報告書ははじめて「後から説明できる監査判断の成果物」になります。
監査報告書は、単独で完成するものではありません。期末の論点整理、未修正虚偽表示の評価、経営者確認書、開示チェック、KAM協議、監査役等報告、審査対応と同時に組み上がっていきます。
決算・開示実務でも、最終成果物から逆算して単体決算、連結決算、開示業務を組み立てる視点が重要になります。監査報告においても同じで、出口から逆算した論点管理が欠かせません。
推奨する読む順番
第十一テーマは、次の順番で読み進めることをおすすめします。
まず、11-1で監査報告書全体の構造と意見形成の考え方を確認します。次に、11-2でKAMの決定プロセスと記載判断を整理します。そのうえで、11-3では無限定適正意見ではなくなる場合の判断軸を確認します。続く11-4で、継続企業の前提に関する不確実性が監査報告にどう反映されるかを整理し、最後に11-5で内部統制監査報告書の出口判断を確認する、という流れです。
この順番をおすすめする理由は、監査報告書全体の構造を理解しないままKAMや除外事項を読むと、各区分の役割を取り違えやすいからです。
KAMは監査意見の代替ではありません。除外事項は、KAMで薄めるものでもありません。継続企業の前提に関する記載は、適切な開示がある場合の利用者説明であり、監査意見の修正とは異なります。内部統制監査報告書は、財務諸表監査報告書と整合させる必要がありますが、同一の意見を表明するものではありません。
したがって第十一テーマは、監査報告書の全体構造から入り、KAM、除外事項、継続企業、内部統制監査報告へと進む流れで読むのが自然です。
11-1. 監査報告書の構造と意見形成
11-1では、監査報告書がどのような判断の結果として作成されるのかを整理します。
監査報告書の構造を理解するうえで重要なのは、記載区分を暗記することではありません。監査意見、意見の根拠、経営者及び監査役等の責任、監査人の責任、KAM、継続企業の前提、強調事項、その他の記載内容が、それぞれどのような判断を担っているのかを理解することです。
この詳細コラムは、監査報告書を読むための前提を整える記事です。期末監査で論点を収束させる立場にある方、審査担当者へ監査意見形成の流れを説明する必要がある方、そして監査報告書の各区分を単なる文例ではなく判断区分として理解したい方に向いています。
11-1を読むことで、後続のKAM、除外事項、継続企業、内部統制監査報告書の論点を、監査報告書全体の中に位置づけて理解しやすくなります。
11-2. KAMの決定プロセスと記載判断
11-2では、KAMをどのように決定し、監査報告書にどのように記載するかを整理します。
KAMは、監査人が監査の過程で監査役等と協議した事項の中から、特に注意を払った事項を決定し、さらにその中から、当年度の財務諸表監査において職業的専門家として特に重要であると判断した事項として決定されます。KAMとして決定した事項については、関連する財務諸表における開示がある場合には当該開示への参照を付したうえで、内容、決定理由、監査における対応を監査報告書に記載することが求められます。
出典:金融庁・企業会計審議会|監査基準
KAMは、2018年7月に公表された監査基準の改訂により日本の監査実務へ導入され、2021年3月期から、一部を除く金融商品取引法監査が適用される会社に対して監査報告書への記載が求められています。その記載には、監査人が実施した監査の透明性を向上させ、監査報告書の情報価値を高めるという意義があるとされています。
出典:金融庁|「監査上の主要な検討事項(KAM)」の実務の定着と浸透に向けた取組みについて
この詳細コラムでは、KAM候補の抽出、監査役等とのコミュニケーション、会社開示との関係、監査上の対応の記載、未公表情報への配慮などを扱います。
KAMは、会計上の見積り、不正リスク、収益認識、減損、税効果、金融商品といった論点と結びつきやすい領域です。ただし、KAMはあくまで論点の重要性を説明するものであり、個別の会計処理に対して別個の監査意見を表明するものではありません。
KAM事例を単純に横並びで比較するだけでは不十分です。自社又は監査先のリスク、開示、監査対応に照らして判断する必要があります。KAMの実務では、制度導入当初から、企業の開示、監査役等との関係、監査人の説明責任が一体で問われてきました。
11-3. 除外事項付意見・不適正意見・意見不表明
11-3では、どのような場合に無限定適正意見ではなくなるのかを整理します。
監査基準では、会計方針の選択・適用方法や財務諸表の表示方法に不適切なものがあり、その影響が重要であるものの、財務諸表全体として虚偽表示に当たるほどではない場合には、除外事項を付した限定付適正意見を表明することとされています。
一方、その影響が財務諸表全体として虚偽表示に当たるほど重要であると判断した場合には、不適正意見を表明します。また、重要な監査手続を実施できなかったことにより、財務諸表全体に対する意見表明のための基礎を得ることができなかったときには、意見を表明してはならないとされています。
出典:金融庁・企業会計審議会|監査基準
この詳細コラムで扱うのは、監査意見の種類の単なる分類ではありません。
重要なのは、次のような判断軸です。虚偽表示なのか、監査範囲の制約なのか。重要だが広範ではないのか、それとも重要かつ広範なのか。開示不備はどの程度、財務諸表全体に影響するのか。代替手続により、十分かつ適切な監査証拠を入手できるのか。
監査意見を修正するかどうかは、監査人にとって極めて重い判断です。会社、監査役等、審査担当者、そして利用者への説明可能性が問われます。監査調書上も、未修正虚偽表示、重要性、広範性、代替手続、監査証拠、経営者との協議、監査役等への報告を、一貫して整理しておく必要があります。
無限定適正意見にできるかどうかで迷う場面では、11-3を読むことで、監査報告上の結論に至る判断の骨格を確認できます。
11-4. 継続企業の前提と監査報告
11-4では、継続企業の前提に関する不確実性を、監査報告書へどのように反映するかを整理します。
監査基準では、監査人は、継続企業を前提として財務諸表を作成することの適切性に関して、合理的な期間について経営者が行った評価を検討しなければならないとされています。
また、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在すると判断した場合には、経営者の評価及び対応策について検討したうえで、なお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるかどうかを確かめる必要があります。
出典:金融庁・企業会計審議会|監査基準
継続企業の前提に関する判断では、資金繰り、借入金の返済、財務制限条項、事業計画、支援表明、資産売却、増資、リファイナンス、コスト削減、事業再生計画など、実に多くの事実関係が関係してきます。
ただし、この詳細コラムの中心は、再建計画の策定支援ではありません。扱うのは、経営者評価、監査証拠、開示、監査報告の整合性です。
継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められ、財務諸表に適切に記載されている場合、監査人は無限定適正意見を表明したうえで、監査報告書に継続企業の前提に関する事項を記載します。
一方、適切に記載されていない場合には、限定付適正意見又は不適正意見の検討が必要になります。さらに、経営者が評価や対応策を示さない場合には、十分かつ適切な監査証拠を入手できないことがあり、監査範囲の制約に準じた判断が求められます。
出典:金融庁・企業会計審議会|監査基準
GC判断は、会計上の見積り、開示、KAM、除外事項、監査役等との連携が重なりやすい高難度領域です。継続企業の前提をめぐる監査判断は、監査報告の中でも特に説明責任が重い論点として扱う必要があります。
11-5. 内部統制監査報告書の判断と記載
11-5では、内部統制監査報告書の判断と記載を整理します。
内部統制監査報告書は、財務諸表監査報告書の付属物ではありません。経営者が作成する内部統制報告書について、監査人が意見を表明する、独立した報告です。
2023年4月に公表された改訂内部統制基準・実施基準では、内部統制の目的として「報告の信頼性」という概念が示される一方で、金融商品取引法上の内部統制報告制度は、あくまで「財務報告の信頼性」の確保を目的とするものであることが強調されています。あわせて、不正に関するリスク、情報の信頼性、IT委託業務、サイバーリスク、経営者による内部統制の無効化などが、改訂の重要な観点として示されました。
出典:金融庁・企業会計審議会|財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに実施基準
この詳細コラムでは、内部統制報告書、内部統制監査報告書、開示すべき重要な不備、財務諸表監査との関係、追記情報、除外事項、訂正内部統制報告書への対応などを扱います。
とりわけ重要なのは、内部統制監査と財務諸表監査を、別々の作業として扱わないことです。
内部統制監査で識別された不備は、財務諸表監査のリスク評価や実証手続に影響します。反対に、財務諸表監査で重要な虚偽表示や開示不備が発見された場合、それが内部統制評価に反映される可能性もあります。内部統制監査報告書の判断においては、経営者評価の妥当性、評価範囲、不備評価、財務諸表監査への影響、内部統制報告書の記載が、一貫していなければなりません。
内部統制報告制度は、制度導入後も、評価範囲外で開示すべき重要な不備が明らかになる事例や、内部統制の有効性評価が訂正される事例を背景として、実効性の観点から見直しが行われてきました。内部統制評価を形式的なチェックで終わらせず、財務報告リスクに対する実質的な評価として扱うことが重要です。
迷ったときの読み分け
監査報告書全体の構造を確認したい場合は、まず11-1を読むのが適しています。監査報告書の各区分がどの判断を表すのかを理解してから個別論点へ進むと、整理しやすくなります。
KAM候補の選定、監査役等との協議、会社開示との関係に迷っている場合は、11-2が入口になります。特に、会計上の見積りや不正リスクをKAMにするかどうかを検討している場合には、第七テーマや第十二テーマとあわせて読むと有効です。
無限定適正意見を表明できるか、それとも限定付適正意見、不適正意見、意見不表明を検討すべきかという局面では、11-3を参照してください。ここでは、重要性、広範性、監査範囲の制約、未修正虚偽表示、開示不備を監査報告へどう反映するかが中心になります。
資金繰り、財務制限条項、事業計画、支援表明などが問題となる場合は、11-4をお読みください。継続企業の前提は、経営者評価、開示、監査証拠、監査報告を一体で判断する領域です。
内部統制報告書、開示すべき重要な不備、内部統制監査報告書の意見、財務諸表監査との整合が問題となる場合は、11-5が対応します。特に、2023年改訂後のJ-SOX対応、評価範囲の見直し、不備の重要性判断、訂正対応に関係する場面で重要になります。
他テーマとの接続
第十一テーマは、シリーズ全体の中では「監査判断の出口」に位置します。
第三区分までのテーマである監査スケジュール、重要性、リスク評価、監査証拠、監査調書は、監査報告書を支える基礎になります。なかでも4-5「未修正虚偽表示・証拠評価・意見形成前判断」は、第十一テーマの直接の前提です。
第七テーマの会計上の見積りは、KAMや継続企業の前提と密接に関係します。会計上の見積りの開示に関する会計基準では、会計上の見積りを、資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合に、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて合理的な金額を算出するものと定義し、財務諸表に計上した金額のみでは翌年度への影響可能性を利用者が理解することは困難である、と説明されています。
出典:企業会計基準委員会|企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」
第十テーマの有価証券報告書・適時開示・訂正対応は、監査報告書と同時に利用者に読まれる情報です。監査人がその他の記載内容を通読し、財務諸表又は監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうかを検討する必要があること。この点も、監査報告書と開示全体の関係を理解するうえで重要になります。
出典:金融庁・企業会計審議会|監査基準
第十二テーマの監査役等・内部監査・三様監査は、KAM、継続企業、内部統制不備のコミュニケーションと接続します。監査役等には財務報告プロセスを監視する責任があり、監査人が監査役等と適切な連携を図ることは、監査報告書上も示されています。
出典:金融庁・企業会計審議会|監査基準
第十三テーマの審査・品質管理・レビュー対応は、第十一テーマの裏側にあります。監査報告書に記載する結論は、審査担当者に対して、リスク評価、監査証拠、重要性判断、開示評価、監査役等との協議内容を説明できる状態でなければなりません。
このテーマで避けたい読み方
第十一テーマを読むときに避けたいのは、監査報告書を「記載例の集まり」として扱うことです。
KAMは、よくある記載例をなぞればよいものではありません。除外事項付意見、不適正意見、意見不表明についても、文例を選ぶ前に、虚偽表示の性質、重要性、広範性、監査証拠の入手可能性を整理する必要があります。継続企業の前提は、資金繰り表の入手だけで完結するものではありません。内部統制監査報告書は、J-SOX評価シートの集計結果だけで判断するものでもありません。
また、監査報告書に記載するかどうかだけに関心を寄せすぎると、会社開示との関係を見落とします。
財務諸表注記が不十分なまま、KAMで補足説明することはできません。開示すべき重要な不備を内部統制報告書に適切に記載せず、内部統制監査報告書の追記情報だけで済ませることもできません。継続企業の前提に関する重要な不確実性について、財務諸表に適切な注記がない場合には、監査報告書上の意見にも影響します。
監査報告書は、開示の不足を補う場所ではありません。監査人の判断を、制度上の形式で表現する場所です。
第十一テーマの到達点
このテーマを読み終えたとき、読者の方に持っていていただきたい視点は明確です。
監査報告書は、期末に突然作成するものではありません。期首の監査計画、リスク評価、監査役等とのコミュニケーション、期中の統制評価、見積り論点の深掘り、開示ドラフトの確認、未修正虚偽表示の評価、審査対応。そのすべてが、監査報告書に集約されます。
監査人の専門性は、監査報告書の文言を整えることだけでは示されません。むしろ、次のような問いに答えられることに表れます。なぜその意見でよいのか。なぜその事項をKAMにしたのか。なぜ除外事項に該当しないのか。なぜ継続企業の前提に関する記載が必要なのか。そして、なぜ内部統制監査報告書と財務諸表監査報告書が整合しているといえるのか。
第十一テーマは、監査を「作業」から「説明責任を伴う専門的判断」へ引き上げるための出口です。
参照すべき主な公的・公式情報
このテーマを実務で扱う際には、少なくとも監査基準、JICPAの監査基準報告書・実務指針、KAMに関する金融庁公表資料、内部統制基準・実施基準、会計上の見積りの開示に関する会計基準を確認する必要があります。
日本公認会計士協会の監査実務指針等の一覧では、監査基準報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」、701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」、705「独立監査人の監査報告書における除外事項付意見」、706「独立監査人の監査報告書における強調事項区分とその他の事項区分」、570「継続企業」、財務報告内部統制監査基準報告書第1号「財務報告に係る内部統制の監査」などが公表・更新されています。個別案件では、必ず最新の基準・実務指針・監査法人内の品質管理方針をご確認ください。
出典:日本公認会計士協会|監査実務指針等
まとめ
第十一テーマは、監査判断を監査報告へつなげるテーマです。
監査報告書の構造を理解し、KAMの決定プロセスを整理する。除外事項の判断軸を確認し、継続企業の前提に関する不確実性を監査報告へ反映する。そして、内部統制監査報告書を財務諸表監査との関係で整合させる。これらを一連の流れとして扱うことで、監査報告書は単なる形式文書ではなく、監査人の判断を利用者に説明する文書になります。
監査意見形成に関する論点は、個別案件の事実関係、重要性、利用可能な監査証拠、会社開示、監査役等との協議、審査方針によって、結論が変わり得ます。だからこそ、結論だけではなく、判断過程を整理しておくことが重要です。
犬飼公認会計士・税理士事務所では、KAM候補の整理、監査報告書に関係する会計・開示論点、内部統制監査報告書、不正・訂正対応、監査役等への説明資料、審査対応を見据えた論点整理について、監査・会計・内部統制・開示を横断した支援を行っています。監査報告に至る判断過程を、後から説明できる形で整理したいとお考えの場合は、お問い合わせページからご相談ください。
振り返り
| 確認したいこと | 読むべき詳細コラム | 理解すべき判断軸 |
|---|---|---|
| 監査報告書全体の構造を押さえたい | 11-1. 監査報告書の構造と意見形成 | 監査意見、意見の根拠、責任区分、KAM、GC、強調事項の役割を区別する |
| KAM候補をどう決めるか確認したい | 11-2. KAMの決定プロセスと記載判断 | 監査役等とのコミュニケーション、特に注意を払った事項、特に重要な事項を段階的に整理する |
| 無限定適正意見ではなくなる場合を整理したい | 11-3. 除外事項付意見・不適正意見・意見不表明 | 虚偽表示か範囲制約か、重要かつ広範か、監査証拠を入手できたかを判断する |
| 継続企業の前提を監査報告へどう反映するか知りたい | 11-4. 継続企業の前提と監査報告 | 経営者評価、資金繰り、対応策、開示、監査報告の整合性を確認する |
| 内部統制監査報告書の結論を整理したい | 11-5. 内部統制監査報告書の判断と記載 | 経営者評価、開示すべき重要な不備、財務諸表監査への影響を一体で見る |
| 監査報告と他テーマを接続したい | 第7・第10・第12・第13テーマも参照 | 見積り、開示、監査役等連携、審査対応を監査報告へつなげる |