仮装経理・粉飾決算が税務調査で問題になる場面|過大申告でも安心できない理由

粉飾決算と聞くと、「利益を多く見せていたのだから、税務上は税金を払い過ぎているだけではないか」と受け止められることがあります。

たしかに、売上を前倒しで計上したり、在庫を過大に計上したり、費用を翌期以降へ繰り延べたりすれば、その事業年度の利益は過大になります。結果として、法人税等を本来より多く申告・納付しているように見える場面もあります。

しかし、税務調査の実務では、話はそれほど単純ではありません。

仮装経理・粉飾決算がある場合に問われるのは、「税金を払い過ぎたかどうか」だけではないからです。実際には、次のような点が同時に問われることになります。

  • その会計処理は、事実に基づくものか
  • どの取引、どの勘定科目、どの年度に影響しているか
  • 粉飾による過大申告なのか、別の過少申告要素も含まれているのか
  • 修正経理が適切に行われているか
  • 減額更正や還付を求められる状態にあるか
  • 消費税、源泉所得税、役員給与、関係会社取引に波及しないか
  • 重加算税や質問応答記録書の問題に発展しないか
  • 金融機関、株主、取引先、後継者、M&Aの相手方にどう説明するか

税務上、粉飾決算は一般に「仮装経理」として扱われます。法人税法では、仮装経理に基づく過大申告について、通常の過大申告とは異なる特別な取扱いが設けられています。

つまり、「過大に納税していたのだから、すぐに全額還付される」とは限らないということです。法人税法上の仮装経理規定は、粉飾決算を税務面から規制する趣旨を持った制度だと理解しておく必要があります。
出典:e-Gov法令検索|法人税法
出典:国税庁|C1-54 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額・地方法人税額の還付の請求

本稿では、仮装経理・粉飾決算が税務調査でどのように問題になるのかを、税務調査対応の観点から整理してみます。

目次

仮装経理・粉飾決算は「会計の問題」だけでは終わらない

粉飾決算は、会計上は、財務諸表の利用者に対して会社の業績や財政状態を実態より良く見せる行為として問題になります。

一方、税務調査では、粉飾決算は少し異なる角度から確認されます。

まず確認されるのは、申告所得が過大だったのか、過少だったのかという点です。次に、その過大・過少がどの事実に基づくものなのか。そして、帳簿、証憑、契約書、請求書、入出金、稟議、議事録、社内メールなどと整合しているのか。こうした点が一つずつ照らし合わされていきます。

ここで押さえておきたいのは、粉飾決算が必ずしも「税務上は納税者に有利な話」になるわけではない、ということです。

たとえば、表面的には利益を過大にしていたとしても、その過程で次のような処理が混在していることがあります。

  • 実在しない売上を計上していた
  • 期末在庫を水増ししていた
  • 本来費用処理すべきものを資産計上していた
  • 本来計上すべき負債や未払費用を除外していた
  • 架空外注費や水増し請求が別途存在していた
  • 役員や従業員による資産流用を別の勘定科目で処理していた
  • 関係会社との取引価格や費用負担を実態と異なる形で処理していた

会計不正には、粉飾決算と資産の流用があり、両者が重なり合う領域もあります。粉飾決算は収益認識、費用・負債の隠蔽、期間帰属、資産評価、開示などに現れ、資産流用は横領、不正支出、架空請求、売上入金の着服といった形で現れることが多いものです。

したがって、税務調査では、「粉飾だから過大申告である」と一括りにはできません。

どの部分が仮装経理による過大申告で、どの部分が過少申告につながる非違なのか。これを丁寧に切り分けて整理していく必要があります。

税務上の仮装経理とは何か

法人税法上の仮装経理は、事実を仮装して経理したことにより、所得金額や税額が過大になっている場合に問題となります。

典型的なのは、会社が実際よりも利益を大きく見せるために事実と異なる会計処理を行い、その粉飾された決算に基づいて法人税を過大に申告・納付している、という場面です。

ただし、税務上の検討では、単に「粉飾があった」という言い方では足りません。少なくとも、次の点を分けて整理しておく必要があります。

  • どの事業年度の処理か
  • どの勘定科目に影響しているか
  • どの取引事実を仮装したのか
  • その仮装により所得金額がどれだけ過大になったのか
  • その過大申告に対応する法人税額はいくらか
  • 後続年度でどのように修正経理したのか
  • その修正経理に基づく確定申告書を提出しているか

法人税法上は、仮装経理に基づく過大申告について、法人が後続事業年度で修正の経理を行い、その修正経理をした事業年度の確定申告書を提出するまで、税務署長は減額更正をしないことができる、という仕組みが設けられています。
出典:e-Gov法令検索|法人税法
出典:国税庁|C1-54 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額・地方法人税額の還付の請求

つまり、税務調査で「実は粉飾でした」と説明しても、それだけで直ちに過大納付税額が戻るわけではない、ということです。

仮装経理が税務調査で問題になる主な場面

仮装経理・粉飾決算が税務調査で問題になる場面は、大きく分けると次のように整理できます。

売上を過大に計上していた場面

売上の前倒し、架空売上、未出荷売上、検収前売上、実態のない役務提供などにより、収益を過大に計上していた場合です。

このとき税務調査では、請求書や売上伝票だけでなく、契約、納品、検収、役務提供の完了、入金、取引先の処理、物流、在庫の動きなどが幅広く確認されます。

特に注意したいのは、証憑だけは整っているものの、実際の物やサービスの移転が乏しい場合です。架空循環取引のように、注文書、請求書、検収書、入金記録が形式上はそろっていても、取引の経済的実態そのものが問われることがあります。

ここでの中心論点は、「売上を取り消せるか」だけではありません。実際には、次のような確認が欠かせません。

  • 売上計上時点に取引実態があったか
  • 会計上の収益認識と税務上の益金算入時期は整合しているか
  • 消費税の課税売上に影響していないか
  • 取引先側の仕入・費用処理と矛盾していないか
  • 売掛金、入金、貸倒、返品、値引きの処理がどうなっているか
  • 架空売上の取消しが、後続年度の損益にどのように影響しているか

在庫・棚卸資産を過大に計上していた場面

期末棚卸を水増しすると、売上原価が少なくなり、利益が過大になります。

税務調査では、棚卸表、実地棚卸の記録、在庫管理システム、仕入・出荷データ、廃棄記録、倉庫資料、原価計算資料などが確認されます。

在庫の過大計上は、粉飾決算では比較的典型的な手法ですが、税務上は単に「在庫を減らす」だけでは済みません。確認すべき点は、少なくとも次のとおりです。

  • 過大計上された在庫がどの年度に発生したか
  • 実在しない在庫なのか、評価額が過大なのか
  • 売上原価、製造原価、仕掛品、未成工事支出金に影響するか
  • 翌期以降にどのように解消されているか
  • 修正経理の方法と申告上の調整が整合しているか

在庫の水増しは、法人税にとどまらず、資金調達資料、金融機関への説明、M&A時の財務デューデリジェンスでも問題になります。税務調査で発覚した後に、会社の説明力そのものが問われやすい論点だといえます。

費用・負債を過少にしていた場面

利益を大きく見せるために、本来計上すべき費用や負債を計上していない場合です。

たとえば、未払費用、未払金、賞与引当的な処理、原価、返品・値引き、損害賠償、保証債務、関係会社への負担などが問題になり得ます。

税務上は、費用を計上していなかったのであれば、一見すると過大申告に見えることがあります。

しかし、負債の計上時期、債務確定、損金算入要件、後続年度での処理との関係を確認しなければ、どの年度でどのように是正すべきかは判断できません。

特に、後続年度でその費用を損金処理している場合には、二重に損金算入していないか、あるいは過年度と当期の調整が必要かを確認しておく必要があります。

費用を資産計上していた場面

本来は費用処理すべき支出を、固定資産、ソフトウェア、棚卸資産、長期前払費用などとして資産計上していた場合です。

この場合、利益は一時的に過大になりますが、減価償却や償却費を通じて後続年度にも影響が及びます。税務調査では、次の点が重要になります。

  • 当初処理が会計上・税務上どのように誤っていたか
  • 資産として計上されたものに実体があるか
  • 減価償却費として後続年度に損金算入されていないか
  • 修正経理によりどの年度の損益に影響させるべきか
  • 消費税の仕入税額控除の時期や要件に影響しないか

ここでも、「粉飾だから過大申告」とだけ捉えるのは危険です。後続年度の処理と合わせて見なければ、税務上の是正が過大にも過少にもなり得ます。

粉飾と資産流用が混在している場面

粉飾決算の背後に、役員や従業員による資産流用、不正支出、架空外注費、水増し請求、キックバックなどが潜んでいる場合があります。

こうなると、税務上の論点は一段と複雑になります。単なる過大申告ではなく、次のような問題へ広がっていく可能性があるためです。

  • 役員賞与認定
  • 貸付金認定
  • 寄附金認定
  • 使途秘匿金
  • 源泉所得税
  • 消費税の仕入税額控除
  • 損害賠償請求権の計上
  • 横領損失の損金算入時期
  • 重加算税
  • 刑事・会社法・労務上の責任

このような場面で、税務申告の修正だけを先に進めてしまうと、後から会計・法務・社内責任の整理と矛盾することがあります。

税務調査対応としては、まず「誰が、いつ、何を、どの権限で、どの資料に基づき、どの処理をしたのか」を整理しておくことが欠かせません。

「過大申告だから還付される」と考えると危ない

仮装経理に基づく過大申告について、最も誤解されやすいのは、過大に納付した法人税がすぐに戻ってくる、という考え方です。

通常であれば、申告税額が過大であれば、更正の請求や減額更正により、過大納付額の還付が問題になります。

しかし、仮装経理に基づく過大申告の場合、法人税法は特別な取扱いを設けています。国税庁の手続案内でも、法人税法第135条第4項等に基づく仮装経理法人税額等の還付請求手続が示されており、その提出時期は、同条項に規定する事実が生じた場合において、その事実が生じた日以後1年以内とされています。
出典:国税庁|C1-54 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額・地方法人税額の還付の請求

この制度が実務上もつ意味は、おおむね次のとおりです。

  • 仮装経理に基づく過大申告は、通常の過大申告と同じようには扱われない
  • 法人が修正経理を行うことが重要な前提になる
  • 修正経理をした事業年度の確定申告との関係を整理する必要がある
  • 減額更正がされたとしても、直ちに全額還付されるとは限らない
  • 後続事業年度の法人税額からの控除や、一定の場合の還付請求を検討する必要がある

したがって、税務調査で粉飾決算が判明した場合には、「どの税額が戻るか」を考える前に、「仮装経理規定の対象になる金額はどこまでか」を整理しておく必要があります。

修正経理が重要になる理由

仮装経理に基づく過大申告を是正するうえで、修正経理は非常に重要な意味をもちます。

ここでいう修正経理とは、単に社内資料の上で「過去の処理は誤りだった」と整理することではありません。

税務上問題になるのは、法人がその後の確定した決算において、仮装経理に係る処理をどのように修正し、その決算に基づいて申告しているか、という点です。確認すべきなのは、次のような事項になります。

  • どの粉飾項目を修正経理の対象にしたか
  • 修正経理をどの事業年度で行ったか
  • 会計上の過年度修正、前期損益修正、反対仕訳等の処理が税務上の説明と整合しているか
  • その修正が確定決算に反映されているか
  • 修正経理をした事業年度の確定申告書と、過年度の更正の請求・減額更正との関係が整理されているか
  • 後続年度で同じ損失や費用を二重に取り込んでいないか

税務調査では、「粉飾していました」という説明だけでは足りません。過去の仮装処理、現在の修正経理、将来の税務処理が、一本の線でつながっている必要があります。

この点を整理しないまま税務署へ説明すると、過大申告の是正を求めているつもりが、かえって別の年度の申告誤り、資料不備、重加算税リスクを広げてしまうことにもなりかねません。

税務調査では「粉飾の目的」よりも「外部に現れた事実」が重視される

粉飾決算には、金融機関対応、取引先対応、業績評価、上場準備、M&A、社内目標など、さまざまな背景があります。

ただし、税務調査で重視されるのは、会社側の動機だけではありません。調査官が確認するのは、主に次のような、外部に現れた事実です。

  • 帳簿にどのように記載されているか
  • 請求書、契約書、納品書、検収書に何が記載されているか
  • 入金や支払の実態があるか
  • 取引先側の処理と整合しているか
  • 役員や担当者がどのような認識で処理していたか
  • 社内の稟議、メール、会議資料、金融機関提出資料と矛盾していないか
  • 後続年度でどのように処理を戻しているか
  • 調査時の説明と資料が一致しているか

重加算税の場面でも、単なる誤りや認識違いでは足りず、隠蔽・仮装と評価できる事実があるかどうかが問題になります。裁判例・裁決例でも、単に申告漏れや処理誤りがあるだけでは重加算税の要件を満たさないと判断される場面があり、事実認定が大きな意味をもちます。

そのため、粉飾決算がある場合には、調査官に対して「なぜそう処理したのか」を感覚で説明するのではなく、事実関係を時系列で整理し、証拠資料との整合性を確認したうえで説明していくことが大切です。

質問応答記録書が作成される場面では特に注意が必要

仮装経理・粉飾決算が問題になる調査では、役員、経理責任者、担当者に対して、処理の経緯や認識が確認されることがあります。

このとき、質問応答記録書が作成される場合があります。

質問応答記録書は、調査官が納税者等から聴取した内容を記録する文書であり、後の事実認定や重加算税の判断で重要な意味をもつことがあります。税務調査における質問応答記録書は、重加算税との関係でも、実務上大きな論点となり得る文書です。

粉飾決算に関する質問では、次のような発言が後で問題になることがあります。

  • 実際には取引がなかったことを認める発言
  • 決算対策として数字を作ったことを示す発言
  • 金融機関に見せるためだったとする発言
  • 証憑を後から整えたことを示す発言
  • 担当者任せで内容を確認していなかったとする発言
  • 過年度から同じ処理を続けていたことを示す発言

もちろん、これは事実を隠すべきだという意味ではありません。

問題になりやすいのは、記憶が曖昧なまま断定したり、会計上の処理と税務上の意味を区別せずに説明したり、資料を確認する前に不用意な表現をしてしまったりすることです。

粉飾決算が絡む調査では、事実確認、証拠確認、関係者ヒアリング、会計処理、税務上の評価をひととおり整理してから説明することが重要になります。

修正申告に応じるかどうかは、粉飾部分と過少申告部分を分けて考える

税務調査の結果、調査官から修正申告を勧奨されることがあります。

国税庁のFAQでも、調査結果により更正決定等をすべきと認められる非違がある場合には原則として修正申告等を勧奨すること、ただし修正申告に応じるかどうかは納税者の任意の判断であること、修正申告を行った場合には不服申立てはできないが更正の請求はできること、が説明されています。
出典:国税庁|税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)

仮装経理・粉飾決算がある場合、修正申告の判断では、少なくとも次を切り分けて考えておく必要があります。

  • 粉飾により過大申告となっていた部分
  • 別途、過少申告となっていた部分
  • 過年度で修正すべき部分
  • 後続年度で修正経理されている部分
  • 加算税が問題になる部分
  • 重加算税が問題になる部分
  • 不服申立てを検討すべき部分

これらをすべて一つの「修正申告」で処理しようとすると、後から争うべき論点まで自ら認めた形になってしまうことがあります。

特に、重加算税の示唆がある場合や、事実認定に争いがある場合には、修正申告に応じる前に、何を認め、何を認めないのかを整理しておくことが欠かせません。

仮装経理が発覚したときに最初に整理すべきこと

仮装経理・粉飾決算が疑われる場合、最初に行うべきことは、税額計算ではありません。

まず取り組むべきは、事実関係を崩れない形で整理することです。確認しておきたい事項は、次のとおりです。

確認項目確認する理由
粉飾の対象年度減額更正、修正経理、加算税、時効・期間制限に影響するため
対象勘定科目売上、在庫、固定資産、未払費用、借入金などで税務上の論点が異なるため
取引実態架空なのか、期ずれなのか、評価誤りなのかで処理が変わるため
証憑の有無契約書、請求書、納品書、検収書、通帳等との整合性が必要なため
関与者・承認者会社行為、役員関与、担当者不正、内部統制上の問題を分けるため
後続年度の処理粉飾の戻し、償却、貸倒、消費税、源泉に影響するため
税務署への説明状況既に説明した内容や質問応答記録書との整合性が重要なため
外部提出資料金融機関、株主、取引先、M&A関係者への説明と矛盾しないようにするため

この整理をしないまま調査対応を進めてしまうと、税務署への説明、会計上の修正、金融機関への説明、社内責任の整理が、それぞればらばらになってしまいます。

仮装経理・粉飾決算の調査対応で本当に重要なのは、早く結論を出すことではありません。後から説明できる順番で、事実を一つずつ固めていくことです。

税理士・会計士を付けずに対応するリスク

仮装経理・粉飾決算が絡む税務調査を、会社だけで対応するのは、リスクの高い領域です。

理由は、影響が税務調査対応だけにとどまらず、会計、税務、証拠、会社法、金融機関対応、さらには将来のM&A・承継にまで及ぶためです。

専門家を付けずに対応した場合、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 過大申告部分と過少申告部分を混同する
  • 修正経理の前提を誤る
  • 税務署への説明が会計処理と矛盾する
  • 質問応答記録書に不用意な供述が残る
  • 重加算税の争点を整理しないまま修正申告する
  • 消費税や源泉所得税への波及を見落とす
  • 金融機関説明や株主説明との整合性を欠く
  • 調査後の再発防止策が形だけになる

税理士・会計士の役割は、単に税務署とのやり取りを代わりに行うことではありません。事実を整理し、資料を確認し、会計処理と税務処理をつなぎ、どの論点を認め、どの論点を争い、どのように修正・再発防止につなげていくか。そこまでを見据えて整理することにあります。

税理士と依頼者との関係では、業務範囲、資料提供、リスク説明、確認記録が重要になります。税務調査対応では、依頼者側の資料提供・事実説明と、専門家側の検討・助言・記録化の双方が、ともに欠かせません。

税務調査を一時対応で終わらせない

仮装経理・粉飾決算が税務調査で問題になった場合、調査を終わらせることだけを目的にしてしまうと、同じ問題が形を変えて再発します。

本当に必要なのは、調査が終わった後に、次のような仕組みを整えていくことです。

  • 月次決算の精度を上げる
  • 売上・在庫・原価の根拠資料を残す
  • 決算調整の承認ルールを明確にする
  • 金融機関提出資料と申告資料の整合性を確認する
  • 役員・経理担当者だけに依存しない確認体制を作る
  • 不正兆候を早期に把握できるレビューを行う
  • 税務上リスクのある処理は、事前に専門家へ相談する
  • 調査で指摘された事項を翌期以降の処理に反映する

粉飾決算が起きる会社では、単に会計処理を間違えたというより、数字を作る仕組み、承認する仕組み、説明する仕組みのどこかに弱さがあることが少なくありません。

税務調査は、その弱さが表面化する場面でもあります。

そこで必要になるのは、過去の処理を訂正することだけではありません。将来に向けて、「後から説明できる数字」へと変えていくことです。

仮装経理・粉飾決算が疑われる場合は、早い段階で相談する

仮装経理・粉飾決算が絡む税務調査では、初動が非常に重要です。

すでに税務調査の通知を受けている場合、調査官から粉飾や架空取引を指摘されている場合、社内で不正や過年度誤謬が見つかった場合には、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。

相談の際には、次の資料を可能な範囲で整理しておくと、検討がスムーズに進みます。

  • 調査通知の内容
  • 対象年度の申告書・決算書・総勘定元帳
  • 粉飾が疑われる勘定科目の明細
  • 関連する契約書、請求書、納品書、検収書
  • 入出金が分かる通帳・振込記録
  • 社内稟議、議事録、メール、金融機関提出資料
  • 後続年度での戻し処理や修正仕訳
  • 税務署から既に指摘された事項
  • 会社として認識している問題点

犬飼公認会計士・税理士事務所では、税務調査対応を単なる税務署対応として捉えるのではなく、事実関係、会計処理、税務上の評価、資料整理、そして調査後の体制改善までを含めて整理します。

仮装経理・粉飾決算が疑われる場合には、早い段階で状況を整理しておくことで、修正申告、減額更正、重加算税、将来の経理体制改善について、現実的な選択肢を比較しやすくなります。

税務調査で指摘を受けている、あるいは社内で粉飾・不正の可能性が見つかったという場合には、まずは現在把握している資料と経緯を整理したうえで、お問い合わせページからご相談ください。

重要ポイントの振り返り

論点実務上の意味
粉飾決算は税務上「仮装経理」として問題になる単なる会計上の誤りではなく、法人税法上の特別な取扱いが関係する
過大申告でもすぐに還付されるとは限らない修正経理、減額更正、法人税額の控除・還付特例を確認する必要がある
粉飾と過少申告要素は分けて整理する架空費用、資産流用、消費税、源泉所得税などが混在することがある
修正経理が重要社内資料上の訂正ではなく、確定決算・申告との整合性が問われる
証憑があっても実態確認は必要架空売上・循環取引では、形式資料だけでなく取引実態が問題になる
質問応答記録書には注意が必要発言内容が後の重加算税や処分判断に影響することがある
修正申告は慎重に判断する修正申告をすると不服申立てはできないため、争点整理が重要
調査後は再発防止が必要月次管理、証憑保存、承認ルール、金融機関説明との整合性を整える

出典・参考情報

出典:e-Gov法令検索|法人税法
出典:e-Gov法令検索|国税通則法
出典:国税庁|C1-54 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額・地方法人税額の還付の請求
出典:国税庁|税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書240「財務諸表監査における不正」

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