国際取引・輸出入・越境デジタル取引の消費税|内外判定、輸出免税、輸入消費税、プラットフォーム課税の読み進め方

国外の取引先が関わってくると、消費税の判断は急に難しくなります。

海外に商品を送った。海外法人からクラウドサービスを購入した。海外倉庫を使って販売している。非居住者向けにコンサルティングを行った。海外プラットフォームでアプリやデジタルコンテンツを販売している。輸入申告の名義人と実際の買主が違う。免税店販売の制度改正に対応しなければならない。

こうした取引では、「相手が海外だから不課税」「外貨建てだから国外取引」「海外の顧客だから輸出免税」といった整理は通用しません。消費税で確認するのは、相手方の国籍でも請求通貨でもなく、資産の所在地、役務の提供場所、役務の性質、受益者、通関、決済、保存されている証拠、プラットフォームの関与といった要素です。これらを順に見ていきます。

第12テーマでは、国際取引に関する消費税を、申告書上の税区分にとどまらず、商流設計、契約、物流、通関、請求、証憑保存、会計処理、資金繰り、そして税務調査で説明できるかどうかまで含めて整理します。

国境を越えた役務の提供、輸出免税、輸入取引、納税義務、帳簿保存は、いずれも独立した項目として整理されています。国際取引は国内取引の延長ではなく、課税権がどこにあるのかと、証拠をどう管理するのかを同時に扱う領域だと考えてください。
出典:国税庁|消費税のあらまし(令和8年6月)

第12テーマで理解できること

このテーマでまず身につけていただきたいのは、国際取引を一つの言葉で片づけない姿勢です。

「輸出」「輸入」「海外サービス」「越境EC」「国外ライセンス」「非居住者向け役務」といった呼び方は、実務上の便宜としては役に立ちます。ただ、消費税の判断では、それぞれをさらに分解しなければなりません。

物品であれば、譲渡の時点でどこにあるのか、誰が輸出入の当事者なのか、どの通関書類が残るのかを確認します。役務であれば、役務提供地、役務の性質、国内で直接便益を受けるかどうか、電気通信利用役務に該当するかどうかを見ます。デジタル取引であれば、BtoBかBtoCか、国外事業者か国内事業者か、プラットフォームが対価を収受しているかを確認します。輸出免税であれば、免税となる取引類型に当たるかどうかだけでなく、輸出許可書等を保存できるかまでが判断の対象です。

第12テーマは、これらを次の流れで読み進められるように設計しています。

まず12-1で、国際取引全体の判断順序を押さえます。次に12-2から12-4で、物品、資産・権利、役務それぞれの内外判定を確認します。続く12-5から12-7では、越境デジタルサービスとプラットフォーム課税を整理します。さらに12-8から12-11で、輸出免税、輸出類似取引、輸入消費税、通関書類を確認し、最後に12-12と12-13で、令和8年度以降の改正を含む物品EC・免税店制度の実務対応へ進みます。

国際取引の判断は、最初に「国内取引かどうか」を見る

消費税の国際取引判断で最初に行うべきことは、課税・免税・非課税の結論を急ぐことではありません。まず、その取引が日本の消費税の課税対象となる国内取引に該当するかどうかを確認します。

物品の売買であれば、譲渡時の資産所在地が重要です。役務提供であれば、原則として役務の提供が行われた場所が問題になります。権利やライセンスであれば、権利の種類、登録地、使用場所、契約上の利用範囲などが関係します。電気通信利用役務については、通常の役務提供とは異なる判定の枠組みが用意されています。

ここを飛ばしてしまうと、国外取引であるはずのものを輸出免税として処理してしまう。輸出免税の証明が必要な取引を不課税として処理してしまう。逆に、国内取引として申告すべき取引を漏らしてしまう。こうした誤りが起こります。

国際取引の消費税では、「海外が関係するかどうか」ではなく、「日本の消費税がどこまで課税権を及ぼすのか」を確認することが出発点になります。

輸出免税は「課税対象外」ではない

輸出免税は、消費税が課されないという点だけを見れば、非課税や不課税と似ているように映るかもしれません。しかし実務上は、まったく別の意味を持ちます。

輸出免税とは、課税資産の譲渡等に該当する取引について、国外で消費されることなどを理由に、税率ゼロに近い効果を与える制度です。したがって、課税売上割合や仕入税額控除の判断に影響します。一方、不課税取引はそもそも消費税の課税対象外であり、非課税取引は政策的な理由又は税の性格上、課税しないこととされた取引です。

輸出免税の適用を受けるには、その取引が輸出取引等であることの証明が欠かせません。輸出取引等の区分に応じて、輸出許可書、税関長の証明書、輸出の事実を記載した帳簿や書類を整理し、保存しておく必要があります。
出典:国税庁|No.6551 輸出取引の免税

つまり輸出免税は、「海外向けだから免税」と結論づけられる制度ではありません。免税となる取引類型に該当すること、そして証明書類を保存できること。ここまで含めて判断します。

輸入消費税は、会計上の仕入先だけでは判断できない

輸入取引では、国内の仕入取引とは別の視点が必要になります。

国内の仕入税額控除であれば、通常は請求書、契約、納品、支払、インボイスを確認していきます。これに対して輸入消費税で問われるのは、保税地域から課税貨物を引き取る者は誰か、輸入申告の名義は誰か、実質的な輸入者は誰か、立替納付はどうなっているか、通関書類はどう残っているかといった点です。

物流業者、通関業者、海外子会社、輸入代行業者、商社、ECプラットフォームが関与する取引では、会計ソフト上の仕入先名を見ただけでは、誰が輸入消費税を仕入税額控除できるのかを判断できません。輸入許可通知書や輸入申告書、関税・消費税の納付関係に加えて、売買契約上の危険負担、所有権移転、費用負担まで合わせて確認する必要があります。

第12テーマでは、輸入消費税を単なる通関費用として扱いません。「誰が輸入したのか」「誰の課税仕入れなのか」「控除の証拠は誰に帰属するのか」という視点で整理していきます。

越境デジタル取引は、役務の性質と納税義務者を分けて考える

SaaS、クラウド、アプリ、電子書籍、広告配信、オンライン講座、デジタルコンテンツ、オンラインモールの利用料。これらは、物品の輸出入とはまったく違う判断構造を持ちます。

電気通信利用役務の提供に該当する取引としては、インターネット等を通じた電子書籍・音楽・映像・ソフトウェアの配信、クラウド上のソフトウェアやデータベースを利用させるサービス、広告の配信・掲載、ショッピングサイト等を利用させるサービスなどが挙げられます。
出典:国税庁|国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について

ただし、電気通信利用役務に該当することだけで結論が決まるわけではありません。事業者向けか消費者向けか。国外事業者が提供しているのか、国内事業者が提供しているのか。プラットフォーム課税の対象かどうか。これらによって、申告納税義務者や仕入税額控除の扱いが変わってきます。

事業者向け電気通信利用役務の提供については、役務提供を受けた国内事業者が納税義務者となるリバースチャージ方式の対象となります。また、令和7年4月以降、プラットフォーム課税の対象となる取引については、特定プラットフォーム事業者が申告・納税を行うこととされました。
出典:国税庁|国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について

令和8年度改正で、物品ECと輸出免税の管理はさらに重要になる

第12テーマでは、令和8年度改正も反映しています。

国境を越えた電子商取引に係る課税関係の見直しとして、少額輸入貨物の譲渡に係る課税関係の見直し、そしてデジタルプラットフォームを介して行う資産の譲渡に係る課税関係の見直しが示されています。
出典:国税庁|消費税法改正のお知らせ 令和8年4月

具体的には、通信販売の方法により国内以外の地域から国内に宛てて発送する資産の譲渡のうち、一の資産についての対価の額が1万円(税抜き)以下のものを「特定少額資産の譲渡」と位置づけ、国内で行われた資産の譲渡として消費税の課税対象とする見直しです。適用が始まるのは、令和10年4月1日以後に行われる資産の譲渡からとなります。
出典:国税庁|消費税法改正のお知らせ 令和8年4月

また、オンラインモールなどのデジタルプラットフォームを提供する一定の事業者が第二種プラットフォーム事業者として指定を受けた場合には、対象となる資産の譲渡について、そのプラットフォーム事業者が譲渡を行ったものとみなして消費税の申告・納税を行うこととされています。
出典:国税庁|消費税法改正のお知らせ 令和8年4月

このほか、現金取引等における輸出免税要件の見直し、不動産取引の仲介等に関する課税関係の見直し、暗号資産等に関する課税関係の見直しも含まれます。国際取引では、既存の税区分マスターや証憑保存ルールをそのまま使い続けていると、制度改正に追いつけなくなるおそれがあります。
出典:国税庁|消費税法改正のお知らせ 令和8年4月

第12テーマの推奨する読み進め方

国際取引の記事は、関心のある論点だけを拾って読むこともできます。ただ、初めて体系的に確認するのであれば、次の順番をおすすめします。

最初に読んでいただきたいのは、12-1です。国際取引全体の判断順序を確認する入口にあたります。ここを読まずに個別記事へ進むと、輸出免税、国外取引、輸入消費税、リバースチャージを同じレベルのものとして混同しやすくなります。

次に、物品取引がある事業者は12-2へ進んでください。海外倉庫、直送、三国間取引、保税地域が関係する場合、契約よりも物流と譲渡時の所在地のほうが重要になります。

役務提供やコンサルティング、広告、設計、仲介が関係する事業者は、12-4へ。権利、ライセンス、ソフトウェア、知的財産が関わる場合は、12-3も合わせて確認してください。

SaaS、クラウド、アプリ、電子コンテンツ、オンライン広告、プラットフォームを扱う場合は、12-5、12-6、12-7を順に読むと、BtoB・BtoC、リバースチャージ、プラットフォーム課税の役割分担が見えてきます。

輸出を行う事業者は、12-8で輸出免税の要件と証明書類を確認し、現金決済や特殊な決済がある場合は12-10へ進みます。国際運輸、非居住者向け役務、国内不動産仲介が関係するなら12-9です。

輸入取引がある事業者は、12-11を必ずご確認ください。輸入申告名義人と実質輸入者がずれている取引は、仕入税額控除の否認リスクに直結します。

国外発送の低額商品やオンラインモールを扱う事業者は、12-12で少額輸入貨物と物品ECの第二種プラットフォーム課税を確認します。免税店、観光小売、返金受託事業者は、12-13で輸出物品販売場制度のリファンド方式を確認してください。

12-1. 国際取引の消費税を判断する全体フロー

国際取引で最初に読むべき記事です。

このコラムでは、内外判定、課税区分、輸出免税、輸入消費税、納税義務者、証拠保存を、どの順序で確認していくかを整理します。国外の要素があるだけで税区分に迷ってしまう事業者、社内で判断順序が統一されていない事業者、新規の海外取引を始める前に論点を棚卸ししておきたい事業者に向いています。

このテーマ全体の入口であり、12-2以降の詳細コラムを読むための前提となります。

12-2. 物品の売買・直送・三国間取引の内外判定

物品を売買する国際取引の出発点となる記事です。

このコラムでは、契約当事者、物流、船積み、海外倉庫、保税地域、直送、三国間取引が絡む場合に、どの時点のどの資産所在地を確認すべきかを整理します。海外の顧客へ商品を販売している事業者、海外倉庫から出荷している事業者、日本法人が契約当事者でありながら商品が日本を通らない取引を扱う事業者に向いています。

物品輸出の免税要件や輸入消費税の判断へ進む前に、まずこの内外判定を確認してください。

12-3. 資産の貸付け・知的財産権・ライセンスの内外判定

設備、権利、知的財産、ソフトウェアなど、物理的な物品だけでは整理しきれない取引を扱う記事です。

このコラムでは、資産所在地、登録地、権利の使用場所、ライセンス契約、複合契約を整理します。特許、商標、著作権、ソフトウェア、データベース、ノウハウ、海外拠点で使用される設備や権利が関係する事業者に向いています。

知的財産やソフトウェアは、法人税、源泉税、移転価格の論点も生じやすい領域です。ただしこのコラムでは、消費税の内外判定に絞って確認します。

12-4. 国境を越える役務提供の内外判定

コンサルティング、広告、仲介、設計、調査、技術支援など、役務提供型の国際取引を扱う記事です。

このコラムでは、役務提供地、国内外にまたがる役務、事務所の関与、成果物の納品場所、国内で直接便益を受ける取引かどうかを整理します。海外の顧客に請求している事業者、非居住者向け役務を免税処理している事業者、契約書上の住所だけで税区分を決めてしまっている事業者に向いています。

非居住者向けであっても、国内で便益を受ける役務は輸出免税にならない場合があります。12-9の輸出類似取引へ進むための前提としても重要な記事です。

12-5. 電気通信利用役務のBtoB・BtoC判定

SaaS、クラウド、広告、アプリ、電子コンテンツなどの入口となる記事です。

このコラムでは、電気通信利用役務に該当するかどうか、事業者向けか消費者向けか、表示義務や取引条件がどのように影響するかを整理します。海外クラウドサービスを利用する事業者、デジタルコンテンツを販売する事業者、オンライン広告やアプリ配信を扱う事業者に向いています。

12-6のリバースチャージ方式、12-7のデジタルサービスのプラットフォーム課税を理解するための前提記事です。

12-6. リバースチャージ方式と特定課税仕入れ

国外事業者から事業者向け電気通信利用役務を受ける、国内事業者向けの記事です。

このコラムでは、特定課税仕入れ、申告納税義務、仕入税額控除、課税売上割合による取扱い、帳簿記載を整理します。海外SaaS、海外広告、海外データベース、海外クラウドサービスを利用していて、請求書に日本の消費税が記載されていないために処理へ迷っている。そうした場合に確認していただきたい記事です。

売上側の課税と仕入税額控除を同時に扱うため、会計ソフトの通常の仕入税区分だけでは管理しにくい領域でもあります。

12-7. デジタルサービスのプラットフォーム課税

アプリストア、デジタルマーケットプレイス、配信プラットフォームを介するデジタルサービスを扱う記事です。

プラットフォーム課税の対象となるのは、国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う消費者向け電気通信利用役務の提供のうち、特定プラットフォーム事業者を介して対価を収受するものです。
出典:国税庁|No.6568 プラットフォーム課税

このコラムでは、令和7年4月1日以後のデジタルサービス課税について、国外事業者、消費者向け役務、特定プラットフォーム事業者、対象外取引を整理します。物品ECの第二種プラットフォーム課税とは制度の対象が異なりますので、12-12とは切り分けて読み進めてください。

12-8. 輸出取引の免税要件と証明書類

物品輸出を免税売上として申告する事業者向けの記事です。

このコラムでは、国内からの輸出、郵便輸出、輸出許可、輸出時期、輸出者名義、保存書類、課税売上割合への影響を整理します。輸出売上がある事業者、還付申告が発生する事業者、輸出許可書と売上データの紐付けに不安を抱えている事業者に向いています。

輸出免税は、正しく処理すれば仕入税額控除や還付につながります。その一方で、証拠が不足していると税務調査で説明が難しくなる。17-3の還付申告で準備すべき証拠資料にも接続する記事です。

12-9. 輸出類似取引・国際運輸・非居住者向け役務

物品輸出以外の免税取引を確認する記事です。

このコラムでは、国際運輸、国際通信、非居住者向け役務、国内便益、国内不動産仲介の改正を整理します。海外の顧客に役務を提供している事業者、非居住者向けであればすべて輸出免税になると考えている事業者、不動産仲介や国際輸送が関係する事業者に向いています。

令和8年度改正では、非居住者に対して行う国内所在の不動産等の売買、交換又は貸借の代理・媒介等の役務提供について、役務提供等を受ける者の居住地にかかわらず輸出免税の対象外とする見直しが示されています。
出典:国税庁|消費税法改正のお知らせ 令和8年4月

12-10. 現金取引等における輸出免税の追加証明

輸出代金を現金等で受け取る事業者向けの記事です。

このコラムでは、令和8年10月以後の輸出免税要件の見直しを踏まえ、対象となる決済方法、輸入許可書に相当する書類、電磁的記録、通常の銀行振込との区分を整理します。海外の顧客から現金決済を受ける事業者、決済方法と輸出証明の関係を確認しておきたい事業者に向いています。

輸出取引の代金を現金で受領する場合、あるいは支払いが取引相手からのものであることが明らかでない方法で受領する場合には、輸出許可書等の保存に加えて、輸出の仕向国における輸入許可書に相当する書類の保存が求められます。
出典:国税庁|消費税法改正のお知らせ 令和8年4月

12-11. 輸入消費税・実質的輸入者・通関書類

輸入取引の仕入税額控除を確認する記事です。

このコラムでは、課税貨物、輸入申告名義、実質的輸入者、立替納付、通関書類、税関還付時の調整を整理します。商社、物流業者、海外子会社、輸入代行、EC販売、通関業者を介する取引がある事業者に向いています。

輸入消費税は、国内仕入のインボイスとは異なる証拠構造を持っています。輸入許可通知書や納付書類が誰に帰属するのかを確認し、6-7の「輸入消費税を仕入税額控除できる者」とあわせて読むと、理解が進みやすくなります。

12-12. 少額輸入貨物と物品ECの第二種プラットフォーム課税

国外発送の低額商品、オンラインモール、越境物品ECを扱う事業者向けの記事です。

このコラムでは、令和10年4月施行の特定少額資産、特定少額資産販売事業者の登録、第二種プラットフォーム事業者、輸入時免税との調整を整理します。国外から日本の消費者へ低額商品を販売する事業者、オンラインモールを運営する事業者、海外セラーを抱えるプラットフォーム事業者に向いています。

令和8年度改正では、特定少額資産の譲渡について、一定の場合に国内において行われた資産の譲渡として消費税の課税対象とされます。さらに、第二種プラットフォーム事業者を介して対価を収受する場合には、そのプラットフォーム事業者が申告・納税を行う制度が示されています。
出典:国税庁|消費税法改正のお知らせ 令和8年4月

12-13. 輸出物品販売場のリファンド方式

免税店、観光小売、返金受託事業者向けの記事です。

このコラムでは、令和8年11月1日開始のリファンド方式について、販売時課税、税関確認、返金、購入記録情報、税関確認情報、会計処理、店舗システム、購入者への説明を整理します。インバウンド販売を行う小売業、百貨店、ドラッグストア、家電量販店、商業施設、返金代行・送受信事業者に向いています。

輸出物品販売場制度は、令和8年11月1日からリファンド方式へと移行します。この方式では、免税店が税込価格で販売し、購入者が購入日から90日以内の出国時に税関確認を受ける。免税店は購入記録情報と税関確認情報を保存し、その後に消費税相当額を返金する。こうした流れになります。
出典:国税庁|輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し
出典:国税庁|輸出物品販売場制度は令和8年11月からリファンド方式に移行します

自社の状況別に、最初に読むべきコラムを選ぶ

海外の顧客への物品販売が中心であれば、12-1、12-2、12-8を先にご確認ください。輸出代金を現金等で受領することがあるなら、12-10も早めに目を通しておきたいところです。

海外から商品を仕入れている場合は、12-1、12-2、12-11を優先します。輸入申告名義人と実質的な買主が異なる場合には仕入税額控除の判断が難しくなりますので、6-7もあわせて確認する必要があります。

海外法人にコンサルティング、広告、設計、仲介、調査などを提供している場合は、12-1、12-4、12-9です。非居住者向けというだけで免税処理をしているのであれば、国内便益や国内不動産関連の役務に注意してください。

SaaS、クラウド、アプリ、電子コンテンツ、オンライン広告を扱う場合は、12-5、12-6、12-7を順に確認します。デジタルサービスのプラットフォーム課税と、物品ECの第二種プラットフォーム課税は別の制度ですので、物品ECが絡むなら12-12も必要です。

免税店販売やインバウンド小売を行っている場合は、12-13を優先してください。店舗レジ、購入記録情報、税関確認情報、返金、会計処理、お客様へのご説明が一体で変わるため、16-3の売上・請求業務に組み込む消費税チェックにも接続します。

第12テーマで重視する実務上の確認事項

国際取引の消費税で大切なのは、結論だけを覚えることではありません。次のような情報を、取引を始める前に整理できる状態にしておくことです。

誰が売手で、誰が買手か。契約当事者と物流上の荷主は一致しているか。資産はどの時点でどこにあるか。役務はどこで提供され、誰がどこで便益を受けるか。電気通信利用役務に該当するか。事業者向けか消費者向けか。通関名義人は誰か。輸入消費税は誰が納付しているか。輸出免税の証明書類は保存できるか。決済方法によって追加の証明が必要になるか。プラットフォームが対価を収受しているか。インボイスや帳簿、電子データの保存と整合しているか。

これらが整理されていないと、申告時に税区分を選ぶことはできても、税務調査の場で取引の実態を説明できません。

国際取引は、契約書、インボイス、船積書類、輸出許可書、輸入許可通知書、決済資料、プラットフォーム規約、システムログ、請求データが分散しやすい領域です。だからこそ、経理部門だけでなく、営業、購買、物流、法務、システム、店舗運営の各部門が同じ判断軸を持っている必要があります。

このテーマの対象外となる論点

第12テーマが扱うのは、消費税の内外判定、輸出入、越境デジタル取引、プラットフォーム課税です。法人税の外国法人課税、源泉所得税、移転価格税制、関税評価、外為法、輸出管理、海外VAT登録、各国のGST制度そのものは、関連する論点ではあるものの、主な対象ではありません。

とはいえ実務では、消費税だけを単独で判断すると不十分な場面があります。たとえば海外ライセンス料であれば、源泉税、移転価格、契約上の使用場所が関わってきます。輸入取引では関税評価や通関書類が、プラットフォーム取引では資金決済、利用規約、電子帳簿保存法が関係します。

このテーマでは、消費税の判断に必要な範囲でこうした周辺論点にも触れます。ただし詳細な検討が必要な場合は、別テーマ又は個別のご相談で確認していくことになります。

相談前に整理しておきたい資料

国際取引について専門家に相談する際、取引名や勘定科目だけでは判断できません。少なくとも、契約書、注文書、請求書、インボイス、輸出許可書、輸入許可通知書、船荷証券、航空運送状、決済資料、プラットフォームの利用規約、画面キャプチャ、データ連携仕様、そして会計処理の現状が確認できる資料。これらを準備していただけると、論点の整理が進みやすくなります。

また継続的な取引であれば、初回契約時の資料だけでなく、実際の運用状況も重要です。契約書では日本から輸出する形になっていても、実際には海外倉庫から出荷している。請求書上は役務提供となっていても、ソフトウェアの利用権や広告枠の提供が含まれている。会計上は輸出売上として計上されていても、輸出許可書の名義や保存状況が整っていない。こうしたずれは、実務では珍しくありません。

国際取引の消費税では、法律、事実、証拠を分けて整理していくことが欠かせません。

第12テーマの出典・公式情報

出典:国税庁|消費税のあらまし(令和8年6月)
出典:国税庁|No.6551 輸出取引の免税
出典:国税庁|国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について
出典:国税庁|No.6568 プラットフォーム課税
出典:国税庁|消費税法改正のお知らせ 令和8年4月
出典:国税庁|インボイス制度に関する令和8年度税制改正について
出典:国税庁|輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し
出典:国税庁|輸出物品販売場制度は令和8年11月からリファンド方式に移行します

国際取引の消費税は、取引開始前の設計でリスクが変わる

国際取引の消費税は、申告のときに税区分を選ぶだけでは管理できません。

契約時に所有権移転や危険負担をどう定めるか。物流をどの国からどの国へ動かすか。輸出者・輸入者を誰にするか。請求書にどの情報を記載するか。通関書類を誰が保存するか。海外サービスを利用する部署から、経理へどのように情報を渡すか。プラットフォーム取引の対価収受と納税義務者をどう確認するか。こうした設計の一つひとつによって、申告、資金繰り、還付、取引先への対応、そして税務調査の場での説明可能性が変わってきます。

犬飼公認会計士・税理士事務所では、国際取引の消費税について、単なる税区分の確認にとどまらず、商流、契約、請求、通関、証憑、会計処理、月次管理、税務調査対応を一体で整理しています。

海外取引を始める予定がある。既存の輸出入処理に不安がある。越境デジタルサービスやプラットフォーム取引の課税関係を確認したい。免税店や物品ECの制度改正に向けて社内体制を見直したい。такие場合は、現在の取引資料と会計処理の状況を整理したうえで、犬飼公認会計士・税理士事務所のお問い合わせページからご相談ください。

この記事の振り返り

確認事項このテーマでの位置づけ
第12テーマの役割国際取引、輸出入、越境デジタル取引について、日本の消費税の課税権、納税義務者、証拠を整理する
最初に読む記事12-1。国際取引全体の判断順序を確認する
物品取引の入口12-2。譲渡時の資産所在地、物流、直送、三国間取引を確認する
権利・ライセンス12-3。権利の種類、登録地、使用場所、契約内容を確認する
役務提供12-4。役務提供地、国内便益、非居住者向け役務を確認する
デジタル取引12-5、12-6、12-7。電気通信利用役務、リバースチャージ、プラットフォーム課税を確認する
輸出免税12-8。免税要件と輸出証明書類を確認する
輸出類似取引12-9。国際運輸、非居住者向け役務、国内不動産仲介の改正を確認する
現金決済輸出12-10。令和8年10月以後の追加証明を確認する
輸入消費税12-11。輸入申告名義、実質的輸入者、通関書類を確認する
物品EC改正12-12。令和10年4月施行の特定少額資産、第二種プラットフォーム課税を確認する
免税店改正12-13。令和8年11月開始のリファンド方式を確認する
実務上の注意国外取引、輸出免税、不課税、非課税、リバースチャージ、輸入消費税を混同しない
証拠管理契約書、請求書、通関書類、輸出許可書、輸入許可通知書、決済資料、システムログを紐付ける
社内運用営業、購買、物流、法務、システム、経理が同じ判断軸で確認できる体制が必要
専門家相談の目安新規海外商流、輸出入名義のずれ、海外クラウド、プラットフォーム取引、還付申告、免税店対応がある場合