M&A後の経営管理では、全社の売上高や営業利益だけを追っていても、買収先の実態はなかなか見えてきません。
全社では黒字に見えても、実際には特定の事業だけが利益を支えているのかもしれません。売上規模の大きい部門が、ふたを開けてみれば薄利、あるいは赤字ということもあります。逆に、一見すると赤字に見える部門でも、本社費の配賦を外せば直接利益はきちんと出ている、というケースも珍しくありません。売上シナジーを期待していた商品や顧客が、ふたを開けてみると現場の負荷ばかりが大きく、利益にはほとんど結びついていない、ということも起こり得ます。
M&A後のPMIで採算管理が必要になるのは、単に数字を細かく見たいからではありません。買収後の会社について、どの事業を伸ばし、どの取引を見直し、どの部門に人を置き、どこへ追加投資し、どのシナジー施策を優先するのか。こうした経営判断の中に、採算という視点を組み込むためです。
中小企業庁は、PMIをM&A成立後に行う統合に向けた一連の作業と位置づけ、M&Aの目的を実現し、その効果を最大化するために欠かせないプロセスとして整理しています。あわせて、M&Aの目的と現状を確認し、優先課題・対応方針・担当者・スケジュールを整理するための実践ツールも公表されています。
部門別・事業別・案件別採算は、このPMIの中でも「数字で経営できる状態」をつくるための、中核的な論点だと考えています。
ただし、採算管理は細かくすればよいというものではありません。配賦を精緻にしさえすれば正しい経営判断ができる、というわけでもありません。むしろ、目的のない細分化や、合理性を欠いた共通費の配賦は、現場を疲弊させ、かえって誤った意思決定を招くことがあります。
この記事では、M&A後のPMIにおいて、部門別・事業別・案件別採算をどう設計し、どこまで見える化し、どのように経営判断へつなげていくべきかを整理してみます。
全社PLだけでは、買収後の会社は経営できない
買収後にまず目を通すのは、多くの場合、全社の試算表や月次PLでしょう。
売上はいくらか。粗利はいくらか。営業利益はどうか。販管費はどの程度かかっているか。そして、前月や前年と比べてどう動いたか。
もちろん、全社PLは欠かせません。月次決算を経営に活かすには、経営者自身が会計を読め、語れ、使え、そして先を見通せる状態へと近づいていくことが大切で、月次決算はその判断の出発点になります。
それでも、買収後のPMIでは全社PLだけでは足りません。買収先の利益構造は、決して一枚岩ではないからです。
複数の事業を抱え、複数の拠点を持ち、複数の商品群を扱っている。顧客ごとに利益率が異なり、案件ごとに工数や外注費も大きく変わる。ある部門だけが特定の人材に依存し、ある取引先だけが高い収益を支え、ある事業だけが過大な在庫や運転資金を抱えている。実際の会社は、たいていこうした凹凸を内側に持っています。
この状態で全社PLだけを眺めても、「会社全体として黒字か赤字か」は分かっても、「どこで稼ぎ、どこで失っているか」までは見えてきません。
M&A後に問うべきは、全社利益の有無だけではありません。
- この利益は、どの事業から生まれているのか
- この赤字は、どの部門から出ているのか
- 売上シナジーを期待した領域は、実際に利益を生んでいるのか
- コストシナジーを狙うべき本社機能は、どこにあるのか
- 追加投資すべき領域と、見直すべき領域はどこか
こうした問いに答えるために、採算管理が必要になります。
採算管理の目的は「正確な原価計算」ではなく「経営判断」である
部門別・事業別・案件別採算を考えるとき、最初に取り違えてはいけないことがあります。
採算管理の目的は、会計上の利益を寸分の狂いもなく分解することではありません。
もちろん、数字の信頼性は前提として必要です。ただ、採算管理は財務諸表を外部に開示するための会計処理そのものではなく、経営者が意思決定を行うための管理会計です。
目指すのは、次のような判断ができる状態をつくることです。
- どの事業を伸ばすべきか
- どの事業を改善すべきか
- どの案件は受注条件を見直すべきか
- どの顧客との取引が採算的に厳しいのか
- どの拠点に人を配置すべきか
- どの部門へ追加投資すべきか
- どの共通機能を統合すべきか
- どのシナジー施策が利益に効いているのか
- どの不採算領域を、撤退・縮小・再編の対象として検討すべきか
こうした経営判断に使えなければ、どれほど精緻な採算表を作っても意味は薄れてしまいます。
管理会計は、数字を集計するためだけのものではなく、利益を組織のマネジメント力で作り込んでいくための仕組みです。管理会計部門や経理・財務部門には、数字を整えるだけでなく、それを経営判断に使える形へと翻訳していく役割があります。
PMIにおける採算管理も、これと同じです。「どこまで正確に配賦するか」からではなく、「どの意思決定に使うか」から設計していく必要があります。
まず決めるべきは、採算を見る単位である
採算管理に着手するとき、はじめに決めるべきは「何を単位として利益を見るか」です。
ここを誤ると、管理資料ばかりが増えていくのに、肝心の経営判断には使えない、という事態になりかねません。
代表的な採算単位には、次のようなものがあります。
部門別採算
組織上の部門単位で損益を見る方法です。営業部門、製造部門、店舗部門、管理部門、あるいは拠点や支店といった、組織図に沿った形で採算を把握します。
部門別採算の強みは、責任者を明確にしやすいところにあります。部門長がいれば、その部門の売上、粗利、直接費、人員、KPIと結びつけて考えやすくなります。
一方で、組織上の部門と事業の実態がずれている場合には注意が必要です。たとえば、一つの営業部門が複数の事業を担当しているようなケースでは、部門別採算だけを見ても、事業ごとの利益までは見えてきません。
事業別採算
事業やサービスラインごとに損益を見る方法です。
複数の事業を営む会社を買収した場合、事業ごとに収益構造がまったく異なることがあります。こうしたときには、事業別損益の分析が欠かせません。部門別損益を読み解くうえでは、組織図、事業部門と共通サービス部門、部門間取引、部門固有費、共通費、そして配賦基準を理解しておくことが重要になります。
事業別採算は、M&Aの目的と最も結びつきやすい単位でもあります。
買収目的が特定事業の強化であれば、その事業が本当に利益を出しているかを確かめる必要があります。事業ポートフォリオの拡大が目的であれば、各事業の成長性、利益率、必要投資、資金負担を比較しなければなりません。買収後に不採算事業を見直す可能性があるなら、その判断の土台になるのもまた事業別採算です。
拠点別・店舗別採算
支店、営業所、店舗、工場、物流拠点など、場所ごとに損益を見る方法です。
地域によって顧客層、単価、人件費、賃料、物流費、競争環境が変わる場合、拠点別採算は大きな意味を持ちます。
ただし、本社機能、物流機能、共通人員、共通システムなどをどう扱うかが、ここでは問題になります。拠点単位で赤字に見えても、それが全社共通費の配賦によって生じているだけなのか、拠点そのものの問題なのか。両者を切り分けて見る必要があります。
案件別採算
プロジェクト、工事、受注案件、コンサルティング案件、開発案件、制作案件など、案件ごとに採算を見る方法です。
案件別採算は、個々の案件について売上、外注費、材料費、労務費、工数、粗利を把握する必要がある業種で、とりわけ重要になります。
売上規模の大きな案件でも、工数が膨らんで利益が出ていないことがあります。反対に、小規模でも標準化が進んでいて高収益、という案件もあります。
買収した会社がもし「売上重視」で案件を受けてきたのなら、案件別採算を見ないかぎり、不採算案件を積み上げていることにすら気づけません。
顧客別・取引先別採算
顧客ごとに、売上、粗利、回収条件、営業工数、クレーム対応、物流費、値引き、在庫負担などを見ていく方法です。
M&Aでは、主要顧客の維持やクロスセルが買収目的になることがあります。ただし、主要顧客だからといって、必ずしも高収益とは限りません。
- 売上額が大きい顧客ほど、値引きの幅も大きい
- 個別対応が多く、営業や現場の工数がかさむ
- 回収サイトが長く、資金繰りを圧迫する
- 在庫を多めに抱えておく必要がある
- 納期や品質への対応負荷が大きい
こうした顧客は、売上の面では重要でも、採算の面では見直しの対象になることがあります。
商品別・サービス別採算
商品群、サービスメニュー、製品カテゴリごとに採算を見る方法です。
地域ごとの部門コードで管理しながら、商品ごとの固定費まで把握したい場合には、活動時間などを用いて費用を商品別に配分することがあります。営業コストが商品ごとに違うのであれば、商品ごとにどれだけ時間を使っているかを把握し、その時間を基準に費用を割り掛けることで、商品戦略を見直す手がかりが得られます。
商品別採算は、売上シナジーや商品ライン拡充をねらった買収で重要になります。
ただし、商品別にあまり細かく分けすぎると、経理にも現場にも重い負荷がかかります。最初から過度に細分化せず、主力商品、利益貢献度の高い商品、戦略上重要な商品から見ていくのが現実的です。
採算管理は「管理粒度」を間違えると機能しない
採算管理では、管理粒度が肝心です。
粗すぎれば、利益の中身が見えません。細かすぎれば、現場も経理も回らなくなります。
PMIの局面では、対象会社の管理体制がまだ十分に整っていないことも多く、最初から理想的な採算管理を求めすぎると、たいてい行き詰まります。
大切なのは、意思決定に必要な粒度から逆算することです。
- 事業撤退や追加投資を判断したいなら、事業別採算が必要になる
- 拠点の統廃合を判断したいなら、拠点別採算が必要になる
- 価格改定や受注基準を見直したいなら、案件別採算が必要になる
- クロスセルや顧客戦略を見直したいなら、顧客別採算が必要になる
- 商品ラインを見直したいなら、商品別採算が必要になる
すべての切り口を、同時に細かく見る必要はありません。
買収後の初期段階では、まず「経営判断に影響する大きな単位」で全体をとらえます。そのうえで、問題のある領域、シナジーを見込む領域、投資判断が必要な領域から、段階的に深掘りしていけば十分です。
財務DDの実務でも、買収対象が複数事業や複数地域にまたがる場合は、損益構造が異なる可能性があるため、まず損益を分解するところから分析が始まります。ただし、どこまで細分化できるかは、対象会社が自社の損益をどこまで細かく管理してきたかに左右されます。
PMIでも事情は同じです。「見たい数字」と「実際に作れる数字」の間には、必ず差があります。この差を無視して管理資料だけを増やしていくと、現場は入力作業に追われ、数字の信頼性はかえって落ちていきます。
採算を見るときは、利益を段階的に分ける
採算管理では、いきなり最終利益だけを見るのではなく、利益を段階的に分けて追っていく必要があります。
どの段階で赤字に転じているかによって、打つべき手が変わってくるからです。
売上高
まずは、どの単位で売上が立っているかを見ます。
部門別、事業別、案件別、顧客別、商品別に売上を分けてみるだけでも、対象会社の実態はかなり浮かび上がってきます。
ただし、売上だけを見て判断してはいけません。売上の大きい領域が、必ずしも利益を生んでいるとは限らないからです。
粗利
次に、売上から直接的な原価を差し引いた粗利を見ます。商品仕入、材料費、外注費、製造原価、案件直接費などが、ここに含まれます。
粗利を見ることで、その事業・案件・商品が本当に付加価値を生んでいるかが分かってきます。
- 売上は大きいが、粗利率は低い
- 粗利率は高いが、売上規模は小さい
- 特定の顧客だけ粗利率が低い
- 特定の案件だけ外注費が膨らんでいる
こうした違いが、粗利の段階で見えてきます。
限界利益・貢献利益
続いて、売上から変動費を差し引いた利益を見ます。
追加受注を取るべきか。価格を下げてでも受注すべきか。固定費をどこまで回収できるのか。短期的に継続すべきか。こうした判断には、限界利益や貢献利益の考え方が役立ちます。
ただし、限界利益だけで経営判断を下してはいけません。固定費、管理工数、設備の制約、資金繰り、そして現場の負荷も、あわせて見ておく必要があります。
直接利益
部門や事業に直接ひもづく固定費まで差し引いた利益です。
部門固有費は、特定の部門に固有の費用であり、その部門がなくなれば一般には発生しなくなる費用を指します。一方で部門共通費は、本社費や共通サービス部門費など、配賦基準にもとづいて各部門へ割り当てられる費用です。
PMIでとりわけ重要になるのが、この直接利益です。部門や事業を見直すとき、まず確かめるべきは「その部門が、直接的には利益を生んでいるのか」だからです。
配賦後利益
本社費、共通部門費、システム費、管理部門費などを配賦したあとの利益です。
配賦後利益は、全社利益との整合を取るうえで重要です。ただし、配賦後利益だけを根拠に事業撤退や部門廃止を判断するのは危険です。
共通費の配賦によって赤字に見えているだけで、直接利益はきちんと出ている、という場合があるからです。
ある部門を廃止しても、そこへ配賦されていた本社費がなくならないのであれば、廃止したところで全社利益は改善しません。それどころか、残った部門に共通費が再配賦され、今度は別の部門が赤字に見える、ということすら起こります。
赤字事業を廃止すべきかを判断する際には、本社費配賦後の赤字だけを見るのではなく、変動費、直接固定費、本社費の性質を分けて見なければなりません。
共通費配賦は、便利だが危険でもある
採算管理で最も意見が割れやすいのが、共通費の配賦です。
本社費をどう配るか。管理部門費をどう配るか。システム費、家賃、人件費、広告宣伝費、物流費をどう配るか。──いずれも一筋縄ではいきません。
配賦には、管理上の意味があります。共通費も、どこかの事業が負担しなければ、全社利益の姿は見えてこないからです。
しかし、配賦はあくまで一定の前提に立った管理上の割り振りにすぎません。配賦後利益を「絶対的な真実」として扱ってしまうと、判断を誤ります。
配賦基準は、目的に応じて選ぶ
共通費の配賦基準には、さまざまなものがあります。売上高比、粗利比、人員数比、床面積比、利用時間比、取引件数比、作業時間比、システム利用量比、直接費比、あるいは実態に応じた個別按分。
どれが正しいかは、費用の性質と管理目的によって変わります。
売上に応じて発生する費用なら売上高比が、人員に応じて発生する費用なら人員数比が、施設の利用に応じて発生する費用なら面積比が、管理工数に応じて発生する費用なら作業時間や取引件数が、それぞれなじむかもしれません。
ただし、実務上、完璧な配賦基準というものは存在しません。大切なのは、なぜその基準を使うのかを自分の言葉で説明できることです。
配賦は精緻化しすぎない
共通費の配賦を細かくしすぎると、管理の負荷が一気に重くなります。
毎月、現場に作業時間を細かく入力させる。複数の配賦基準を組み合わせる。部門間での負担交渉が増える。資料作成に時間を取られる。配賦結果への不満がふくらむ。──こうした状態に陥ると、採算管理は本来の目的から外れていきます。
PMIの初期段階では、まず大きな意思決定に耐えうる粒度を優先すべきです。精緻な配賦は、その必要性がはっきりした領域から、段階的に導入していけば足ります。
配賦後赤字だけで撤退判断をしない
「配賦後に赤字だから撤退する」「配賦後の利益率が低いから投資しない」「配賦後に黒字だから継続する」。こうした判断は、いずれも危ういものです。
撤退を判断する際には、少なくとも次の点を確認します。
- その事業の直接利益は黒字か
- 撤退すれば、本当に削減できる費用はいくらか
- 共通費は残るのか、それとも減るのか
- 顧客や他事業への波及はないか
- シナジーの前提になっていないか
- 資金繰りへの影響はどうか
- 従業員や取引先への影響はどうか
- 許認可、契約、ブランドへの影響はどうか
採算管理は、撤退判断の入口にはなります。しかし、採算表だけで撤退の是非を結論づけてはいけません。
買収後の採算管理では、買収前の管理資料をそのまま信じない
買収後、対象会社から既存の管理資料を引き継ぐことがあります。部門別損益表、事業別売上表、案件別粗利表、顧客別売上表、商品別利益表、拠点別損益表──。
これらは、いずれも非常に有用な資料です。
それでも、そのまま信じて経営判断に使うのは危険です。
管理データは、その会社の経営陣が特定の管理目的のために作っているものであり、費用の配分方法や作成手続が、外部からは明確に見えないことがあります。とりわけカーブアウトや事業切出しを伴うM&Aでは、部門間取引、仕切価格、本社費配賦、売り手グループから離脱することの影響など、管理データ特有の論点に注意が必要です。
買収後は、既存の管理資料について次のような点を確認しておきます。
- 誰が作成していたのか
- どのような目的で作成していたのか
- どの会計データを使っていたのか
- 売上と原価をどう紐づけているのか
- 部門コードは正しく使われているのか
- 人件費をどのように割り当てているのか
- 共通費はどの基準で配賦しているのか
- 部門間取引は消去されているのか
- 赤字部門が見えにくくなるような分類になっていないか
- 特定の経営者・担当者の感覚で修正されていないか
- 過去から一貫したルールで作成されているか
買収前の管理資料は、対象会社の実態を知るうえで欠かせない手がかりです。ただし、それを買収後の経営管理に使うには、作成ルールを確認し、必要に応じて作り直す必要があります。
採算管理の前提は、会計方針・勘定科目・部門コードである
採算管理は、月次決算の上に成り立っています。
月次が遅い。売上計上の基準が曖昧。原価の締めが遅い。在庫が合わない。経費の部門コードが正しくない。勘定科目が粗すぎる。補助科目が使われていない。案件コードが入力されていない。集計ルールを経理担当者しか知らない。──この状態のまま採算管理を始めても、出てくる数字は信用できません。
買収後の採算管理では、まず数字の入り口を整えることが先決です。
部門コード・事業コード・案件コードを設計する
採算管理を行うには、取引データそのものに採算単位を持たせる必要があります。
売上に部門コードが付いているか。仕入に案件コードが付いているか。外注費が案件にひもづいているか。人件費をどの単位で把握するか。経費精算の際に部門コードを入力しているか。会計ソフトや販売管理システムでコード管理ができるか。──こうした点を点検していきます。
ここが整っていないと、月末にExcelで手作業集計をすることになります。短期的にはやむを得ないこともありますが、長期的には属人化とミスの温床になります。
勘定科目を経営判断に使える粒度へ整える
勘定科目が粗すぎると、採算分析そのものができません。
外注費と業務委託費が混在している。販売促進費と交際費の区分が曖昧。物流費、配送費、荷造費が分かれていない。修繕費と設備投資の区分が曖昧。案件直接費と全社共通費が混ざっている。──こうした状態では、数字を分解しようにも分解できません。
一方で、細かすぎる科目体系もまた運用に耐えません。PMIでは、経営判断に必要な粒度で科目を整えることが大切で、細かく分けること自体が目的ではありません。
月次決算の締めと採算資料の提出期限を決める
採算管理は、経営会議に間に合わなければ意味がありません。
月次決算が締まる。採算表が作成される。差異の理由が確認される。経営会議で議論される。アクションプランが決まる。──この流れが、毎月きちんと回る必要があります。
決算の早期化では、最終成果物から逆算して業務を組み立てる「森を見る視点」が重要です。単体決算、連結決算、開示業務、管理資料が縦割りになると、手待ち、手戻り、重複が生じ、決算や資料作成の工数がふくらんでいきます。
PMIにおける採算管理も同じで、最終的に経営会議で何を判断するのかから逆算して、月次決算と資料作成を設計していく必要があります。
採算管理で必ず分けるべき費用
部門別・事業別・案件別採算では、費用の性質を分けて見ることが重要です。
直接費
特定の部門、事業、案件、顧客、商品に直接ひもづく費用です。材料費、仕入原価、外注費、案件別人件費、配送費、販売手数料、特定広告費、特定設備の減価償却費などが、これにあたります。
直接費は、できるかぎり直接ひもづけるべきです。本来ひもづけられる費用を共通費として配賦してしまうと、採算の像がぼやけてしまいます。
変動費
売上や数量に応じて増減する費用です。仕入、材料、外注、販売手数料、配送費などが該当します。
変動費を把握しておくと、受注を増やしたときにどれだけ利益が増えるかが見えてきます。価格改定、受注の可否、キャンペーン、短期的な追加受注の判断に活かせます。
直接固定費
特定の部門や事業に直接ひもづく固定費です。部門専属人員の人件費、特定店舗の賃料、特定事業のシステム利用料、特定設備の減価償却費、特定拠点の水道光熱費などが含まれます。
直接固定費は、撤退・縮小・統合の判断において重要です。
- その部門をやめれば削減できるのか
- 他部門へ移せるのか
- 契約上、すぐには削減できないのか
- 人員の配置転換が必要になるのか
ここを見ないまま判断すると、不採算の見極めを誤ります。
共通費
全社共通で発生する費用です。本社人件費、経理・財務・人事・総務費、役員報酬、本社家賃、共通システム費、全社広告費、顧問料、保険料などが、ここに入ります。
共通費は配賦することもありますが、配賦して終わりではありません。
- どの共通費は削減可能か
- どの共通費は必要な管理コストか
- 買収後に増える共通費は何か
- 対象会社単独では負担していなかった親会社の管理コストは何か
PMIでは、共通費を単なる「削減対象」と見るのではなく、買収後の管理基盤を支える費用としての意味もあわせて確認しておく必要があります。
管理不能費
部門責任者がコントロールできない費用です。本社判断による配賦費、グループ共通システム費、親会社方針による人員配置費用、買収後会計や専門家対応の費用、過去の投資にもとづく減価償却費などが該当します。
責任会計では、部門責任者にとって管理可能な範囲と管理不能な範囲を分けることが重要です。事業部制組織における損益予算、本社費・共通部門費の配分、そして責任会計と管理可能性という考え方は、部門別採算を経営管理に使ううえで基本になります。
管理不能費まで含めて部門長を評価すると、現場の納得感は下がります。一方で、管理不能だから見なくてよい、というわけでもありません。
採算管理では、経営判断のための利益と、部門責任者を評価するための利益を、分けて見る必要があります。
案件別採算は、売上重視の会社を変える入り口になる
買収先が売上重視で成長してきた会社の場合、案件別採算が整っていないことがあります。
大きな案件を取ることが評価される。粗利率よりも売上高が重視される。見積時の工数と実績工数を比較していない。外注費の増加が案件別に見えていない。クレーム対応や追加作業が原価に算入されていない。値引きや追加の仕様変更が採算に反映されていない。──こうした会社では、全社売上は伸びていても、利益が手元に残らないことがあります。
M&A後に案件別採算を整えると、次のような判断ができるようになります。
- どの案件類型が高収益か
- どの案件類型が赤字になりやすいか
- 見積精度に問題はないか
- 追加作業をきちんと請求できているか
- 外注先の使い方に問題はないか
- 受注すべきでない案件はどれか
- 標準化できる案件はどれか
- 価格改定すべきサービスは何か
案件別採算は、単なる経理の集計作業ではありません。営業、現場、経理、経営者が同じ数字を見ながら、受注基準と価格戦略を見直していくための仕組みです。
採算管理とシナジー管理を分断しない
M&A後の採算管理は、シナジー管理と地続きでなければなりません。
売上シナジーをねらうなら、どの顧客・商品・販路で利益が出ているかを見る必要があります。コストシナジーをねらうなら、どの本社機能・調達・物流・管理業務に重複があるかを見る必要があります。事業再編を検討するなら、どの事業・拠点・案件が利益を生んでいるかを見る必要があります。
PMIでは、シナジーを期待値のまま置いておくのではなく、施策・責任者・期限・測定方法にまで落とし込んでいく必要があります。採算管理は、その効果測定の土台になります。
たとえば、買収側の販路を使ったクロスセルを実施するなら、単に売上の増加を見るだけでは不十分です。
- その売上の粗利率はどうか
- 営業工数はどれだけかかっているか
- 既存顧客の売上を奪っていないか
- 追加の在庫や物流費は増えていないか
- 顧客別採算は改善しているか
- 対象会社の現場負荷は増えていないか
売上シナジーは、売上が増えたかどうかではなく、利益と資金に貢献しているかまで見て、はじめて評価できます。
コストシナジーも同じです。
本社費を削減した。経理を統合した。購買条件を見直した。システムを統一した。──これらも、削減額だけを見るのは危険です。管理品質が落ちていないか、月次決算が遅れていないか、現場の負荷が増えていないか、不正や誤謬のリスクが高まっていないか。あわせて確認しなければなりません。
PMIによる管理体制の整備には、属人的な意思決定から、定量的な数字に裏づけされたガバナンス体制へと移行し、職務分掌や事業拡大を支えていく効果があります。
採算管理は、シナジーを「出た気がする」から「数字で検証できる」状態へと変えていくための仕組みなのです。
採算管理の設計手順
M&A後に採算管理を整えるときは、いきなり細かい管理表を作るのではなく、順を追って進めることが大切です。
1. 何を判断したいのかを決める
まずは、採算管理の目的をはっきりさせます。
事業別に投資判断をしたいのか。部門別に責任者を明確にしたいのか。案件別に受注基準を見直したいのか。顧客別に価格交渉をしたいのか。拠点別に統廃合を検討したいのか。商品別にラインナップを見直したいのか。あるいは、シナジー効果を測定したいのか。
目的が曖昧なまま採算管理を始めると、作業だけが増えていきます。
2. 採算単位を決める
次に、どの単位で数字を見るかを決めます。部門、事業、拠点、案件、顧客、商品、販売チャネル、機能、プロジェクト──切り口はさまざまです。
最初からすべてを見る必要はありません。PMIの初期は、M&Aの目的に直結する単位から始めるべきです。
3. データの入り口を整える
採算単位を決めたら、売上、原価、経費にコードを付ける仕組みを作ります。会計ソフト、販売管理システム、在庫管理システム、勤怠・工数管理、経費精算、請求書発行、案件管理表──これらに採算単位を持たせていきます。
システムが分断されている場合は、当面はExcelで補うこともあります。ただし長期的には、入力ルールと責任者を明確にしないかぎり、採算表は属人化していきます。
4. 直接費と共通費を分ける
続いて、費用を直接費、直接固定費、共通費に分けます。
直接ひもづけられるものは、できるかぎり直接ひもづけます。直接ひもづけられないものだけを、共通費として配賦します。配賦基準は、費用の性質と意思決定の目的に応じて決めていきます。
ここで重要なのは、配賦基準を一度決めたら、安易には変えないことです。毎月変わっては比較ができません。とはいえ、明らかに実態と合わない基準を使い続ける必要もありません。見直す場合は、変更の理由と影響を説明できるようにしておきます。
5. 月次で採算表を作る
採算管理は、年次では遅すぎます。M&A後は、月次で採算を見ていきます。
ただし、月次で見るには、月次決算が締まっていることが前提になります。
月次採算表では、次のような項目を確認します。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 売上 | どの単位でいくら立っているか |
| 粗利 | 直接原価を差し引いた利益 |
| 直接費 | 直接ひもづく費用 |
| 直接固定費 | 部門・事業に直接ひもづく固定費 |
| 直接利益 | 直接費・直接固定費を差し引いた利益 |
| 共通費配賦額 | 配賦された共通費 |
| 配賦後利益 | 共通費まで差し引いた利益 |
| 予算差異 | 予算との差 |
| 前年・前月比較 | 時系列での変化 |
| KPIとの関係 | 採算と業務指標のつながり |
| 資金繰りへの影響 | キャッシュへの影響 |
最初から完璧である必要はありません。ただし、同じルールで継続して作り続けることが大切です。
6. 経営会議で使う
採算表は、作ること自体が目的ではありません。経営会議で使ってこそ意味を持ちます。
どの事業を伸ばすか。どの案件を見直すか。どの顧客と交渉するか。どの拠点に人を置くか。どの費用を削減するか。どのシナジー施策を優先するか。どの不採算領域を再設計するか。
採算表を見た結果、何を決めたのか。誰が、いつまでに、何を実行するのか。翌月にそれをどう確認するのか。──ここまでつながって、採算管理ははじめてPMIの仕組みになります。
7. 必要に応じて粒度を見直す
採算管理は、一度作って終わりではありません。PMIが進むにつれて、見るべき単位も変わっていきます。
初期は全社・事業別で十分だったが、のちに案件別が必要になる。最初は部門別で見ていたが、商品別に見る必要が出てくる。拠点別採算を見た結果、顧客別採算が必要になる。シナジー施策の進捗を追うために、KPIと採算表を接続する必要が生じる。──このように、採算管理はPMIの進捗に合わせて育てていくものです。
採算管理で起きやすい失敗
買収後の採算管理では、次のような失敗が起こりやすくなります。
細かくしすぎて運用できない
部門別、事業別、顧客別、案件別、商品別を一気に導入しようとすると、現場も経理も回らなくなります。管理単位が増えるほど、入力ミス、分類ミス、確認工数が積み上がります。
PMIの初期は、経営判断に直結する単位から始めるべきです。
配賦で数字を作り込みすぎる
配賦を精緻にしすぎると、見かけ上は正確に映ります。しかし、前提が複雑になりすぎると、経営者も現場も内容を理解できなくなります。
採算管理は、説明できることが何より重要です。「なぜこの部門が赤字なのか」を説明できない配賦は、結局のところ経営判断に使いにくいものになってしまいます。
部門責任者に管理不能費まで負わせる
本社費、親会社費用、買収後会計費用、共通システム費などをすべて部門責任者の利益に反映させると、現場は納得しにくくなります。
- 経営判断のためには、配賦後利益を見る
- 部門運営のためには、管理可能利益を見る
- 全社最適の観点からは、共通費の総額を見る
このように、目的に応じて利益を使い分ける必要があります。
赤字事業をすぐに廃止対象にする
「配賦後に赤字だから廃止する」という判断は危険です。
- 直接利益は出ているか
- 撤退して本当に削減できる費用は何か
- 他事業への貢献はないか
- シナジー上の役割はないか
- 資金繰りへの影響はどうか
- 従業員・取引先への影響はどうか
これらを確認しないまま撤退を決めると、かえって全社利益を悪化させてしまうことがあります。
採算表が経営会議で使われない
経理が採算表を作っているのに、経営会議では試算表しか見ていない。採算表はあるが、アクションにつながらない。部門長が数字を見ていない。前月からの改善状況が追跡されていない。──こうした状態では、採算管理は単なる資料作成に終わってしまいます。
採算管理は、経営会議、予実管理、アクションプランと接続して、はじめて意味を持ちます。
数字の信頼性が低い
部門コードが誤っている。原価が月遅れで計上される。案件別の外注費がひもづいていない。在庫が月次で確定しない。人件費の按分が実態と合わない。共通費配賦が毎月変わる。──こうした状態では、採算表を前にしても議論が進みません。
まず、数字の前提を整えることが先決です。
採算管理は、業務フローと内部統制にもつながる
採算管理は、会計データだけで完結するものではありません。
売上がどのように発生するか。受注時に案件コードが付くか。原価がどのタイミングで確定するか。外注費が案件にひもづくか。在庫の払出が記録されるか。工数が記録されるか。経費精算の際に部門コードが入るか。請求漏れや原価計上漏れがないか。──これらは、いずれも業務フローの問題です。
業務フローを理解する目的には、適切な内部統制の整備、全体最適化、そして業務フローそのものの構築があります。会社の各業務は一連の業務フローの一部であり、自分の担当業務が全体のどこに位置づけられるかを知ることが、全体の効率化につながります。
採算管理がうまくいかないとき、その原因は経理だけにあるとは限りません。
営業の受注情報が粗い。現場が工数を記録していない。購買が案件別に発注していない。在庫管理が曖昧。販売管理システムと会計システムがつながっていない。承認フローが不明確。月次締めに必要な資料が集まらない。──こうした業務フローの未整備が、採算管理の精度を下げていきます。
PMIで採算管理を整えることは、業務フローと内部統制を整えることでもあるのです。
採算管理は、買収後の説明責任を支える
買収後は、さまざまな相手に対して説明が求められます。買収側の経営陣、対象会社の幹部、従業員、金融機関、株主、後継者、グループ会社、外部専門家──。
そのとき、全社PLだけでは説明が足りません。
なぜ利益が出ているのか。どの事業が利益を支えているのか。どの部門が改善課題なのか。シナジーはどこに効いているのか。追加投資の対象は、なぜそこなのか。不採算事業を見直す理由は何か。金融機関に資金計画をどう説明するのか。
これらを説明するには、採算管理が欠かせません。
買収後の採算管理は、社内管理のためだけのものではありません。あとから説明できる経営判断を行うための、基盤でもあります。
専門家が関与すべき局面
部門別・事業別・案件別採算は、本来、経営者自身が引き受けるべきテーマです。
どの事業を伸ばすか。どの顧客を重視するか。どの案件を受けるか。どの部門を再編するか。どの投資を行うか。──こうした最終判断は、経営者が下すべきものです。
ただし、次のような状況では、外部専門家の関与を検討する価値があります。
- 買収後、全社PLしか見えていない
- 部門別損益はあるが、配賦ルールが分からない
- 事業別・案件別の利益が見えない
- 売上は伸びているが、利益が残らない
- シナジー施策の効果を測定できていない
- 赤字部門を廃止すべきか判断できない
- 共通費配賦について現場の納得が得られない
- 月次決算が遅く、採算表が経営会議に間に合わない
- 会計ソフトや販売管理システムのコード設計が不十分である
- 金融機関や親会社に説明できる管理資料がない
専門家の役割は、採算管理を代わりに作って終わることではありません。
経営判断に必要な採算単位を整理すること。会計データと業務データをつなぐこと。直接費、共通費、配賦基準を整理すること。月次決算と経営会議に使える資料へ落とし込むこと。数字の信頼性と運用負荷のバランスを取ること。あとから説明できる管理体制を整えること。──ここに、専門家が関わる意味があります。
なお、採算管理に関連して、会計基準、税務、連結、開示、PPA、組織再編、労務、許認可、金融機関への説明などが絡む場合には、最新の法令・基準・実務指針や、個別の事情を確認する必要があります。本記事は、M&A後の経営管理・管理会計に関する一般的な考え方を整理したものであり、個別の案件では、関係する専門家と確認しながら進めていくことをおすすめします。
採算管理は、買収後の会社を「見える会社」に変える
M&A後のPMIでは、買収先を感覚や属人性だけで経営し続けることはできません。
全社では黒字なのか。どの事業が利益を出しているのか。どの案件が赤字なのか。どの顧客が利益に貢献しているのか。どの拠点に課題があるのか。どのシナジーが実現しているのか。どの投資が回収できているのか。
これらを数字で説明できる状態にしていくことが、買収後の経営管理です。
部門別・事業別・案件別採算は、細かい会計資料を作るためのものではありません。買収後の会社を、どこで稼ぎ、どこに課題があり、どこを変えるべきかが分かる会社へと変えていくための仕組みです。
採算管理が整えば、経営会議の議論は変わります。予実管理の質も変わります。シナジーの検証も変わります。資金繰りや投資判断も変わります。不採算事業の見直しも、感覚ではなく、数字と事実にもとづいて議論できるようになります。
M&Aは、成立した時点では、まだ投資判断が実行段階へ移ったにすぎません。買収後にどこで利益が出ているかを見える化し、次の打ち手を決められる状態をつくること。それこそが、PMIの重要な役割です。
犬飼公認会計士・税理士事務所では、M&A後の月次決算、部門別・事業別・案件別採算、管理資料、予実管理、資金繰り、シナジー管理について、会計・税務・財務・管理会計の視点から整理を支援しています。
買収後の会社について、全社の数字は見えているものの、どの事業・部門・案件で利益が出ているか分からない、採算表はあるが経営判断に使えていない、あるいは共通費配賦や管理粒度の設計に悩んでいる──。そうした場合は、まず現在の月次資料、会計コード、管理資料、そして経営会議で使っている数字を整理するところから始めるのが有効です。
M&A後の採算管理や経営管理資料を見直したい場合は、犬飼公認会計士・税理士事務所HPのお問い合わせページからご相談ください。
この記事の振り返り
| 論点 | 重要な考え方 |
|---|---|
| 採算管理の目的 | 正確な原価計算そのものではなく、買収後の経営判断に使うこと |
| 全社PLの限界 | 全社利益だけでは、どの事業・部門・案件が利益を生んでいるか分からない |
| 採算を見る単位 | 部門別、事業別、拠点別、案件別、顧客別、商品別など、判断目的から逆算する |
| 管理粒度 | 粗すぎると見えず、細かすぎると回らない。PMI初期は重要単位から始める |
| 利益の見方 | 売上、粗利、限界利益、直接利益、配賦後利益を段階的に見る |
| 共通費配賦 | 配賦後赤字だけで撤退判断をせず、直接利益と削減可能費用を分ける |
| 買収前資料の扱い | 既存の管理資料は有用だが、作成目的・配賦基準・コード設計を確認する |
| 月次決算との関係 | 採算管理は月次決算、会計方針、勘定科目、部門コードが整って初めて機能する |
| シナジーとの関係 | 売上・コストシナジーを、採算単位ごとに測定できる状態にする |
| 専門家の役割 | 経営者の代わりに判断するのではなく、判断に使える数字と説明可能な仕組みを整える |
参考情報・出典
出典:中小企業庁|PMIを実施する
出典:中小企業庁|中小PMIガイドライン 概要版
出典:中小企業庁|中小M&Aガイドライン