金融商品取引法における開示制度は、有価証券報告書や半期報告書を提出するための事務手続ではありません。
監査人の視点から見れば、金商法開示とは、会社が作成した財務情報・非財務情報を、投資者が意思決定に利用できる状態へ整えるための制度です。だからこそ、財務諸表監査、内部統制監査、会計上の見積り、KAM、不正リスク、開示統制、訂正対応、虚偽記載責任は、いずれも開示制度の中で相互に結びついています。
金融商品取引法は、企業内容等の開示制度、金融商品取引業者等に関する規制、金融商品取引所の適切な運営等を通じて、有価証券の発行・取引の公正、有価証券の流通の円滑化、公正な価格形成、国民経済の健全な発展、そして投資者保護を目的とする法律です。開示制度は、その中でも「投資判断のために必要な情報を、正確・公平・適時に市場へ提供する」ための中核的な仕組みといえます。
出典:e-Gov法令検索|金融商品取引法
この点を取り違えると、開示対応は「提出期限に間に合わせる作業」になってしまいます。しかし、公認会計士が監査現場で向き合うべきなのは、開示書類が法定様式に沿っているかどうかだけではありません。
むしろ重要なのは、会社の財務報告プロセス、内部統制、監査証拠、監査判断が、最終的に市場へ提出される開示書類の説明可能性を支えているかどうかです。
金融商品取引法上の開示制度は何を守っているのか
金商法開示の基本的な発想は、投資者に利益を保証することではありません。投資には本来リスクが伴います。
制度が守ろうとしているのは、投資者が重要な事実を知らされないまま意思決定してしまうこと、そして不公正な取引や不正確な情報によって市場価格がゆがめられることです。
そのため金商法は、大きく見れば、情報公開、不公正取引の禁止、仲介者規制という複数の仕組みを組み合わせて、投資者保護と市場の公正性を支えています。開示制度はこのうち、発行者や有価証券の内容に関する情報を市場へ提供する役割を担っています。
監査人にとって重要なのは、金商法開示を「監査対象となる財務諸表の外側にある制度」と捉えないことです。
財務諸表監査は、財務諸表が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し、すべての重要な点において適正に表示されているかどうかについて意見を表明する業務です。そして、その意見は有価証券報告書等の法定開示の中で利用されます。
つまり監査意見は、単独で存在するものではありません。開示制度の中で投資者へ伝達される情報の信頼性を支えるものです。監査報告書、財務諸表、注記、記述情報、内部統制報告書、確認書、適時開示との整合性を踏まえなければ、監査判断の説明可能性は十分とはいえません。
発行開示と継続開示を分けて理解する
金商法上の企業内容開示は、大きく「発行開示」と「継続開示」に分けて捉えると整理しやすくなります。
発行開示は、有価証券を新たに募集・売出しする場面で、投資者が取得判断を行うために必要な情報を提供する制度です。有価証券届出書、目論見書、発行登録書、発行登録追補書類などが典型といえます。
資金調達の局面において、投資者は発行会社の事業内容、財政状態、経営成績、リスク、証券の条件を踏まえて投資判断を行います。その前提として、発行者側に情報の開示が求められます。
一方の継続開示は、有価証券が市場で流通した後も、投資者が継続的に投資判断を行えるよう、発行会社に企業情報の定期的・臨時的な開示を求める制度です。有価証券報告書、半期報告書、臨時報告書、訂正報告書などが中心になります。継続開示は、すでに市場で流通している有価証券について、公正な価格形成を支える情報基盤であるといえます。
監査人の実務では、この発行開示と継続開示を混同しないことが重要です。
発行開示では、届出書の効力発生、目論見書、参照方式、組込方式、発行登録など、資金調達スケジュールと開示書類の更新関係が重要になります。継続開示では、事業年度ごとの有価証券報告書、半期報告書、臨時報告書、訂正報告書、内部統制報告書との整合性が問われます。
監査上は、次のような切り分けが必要です。どの開示書類が監査証明の対象となる財務計算に関する書類を含むのか。どの書類がレビューや期中レビューの対象となるのか。そして、どの情報が監査対象外であっても、財務諸表や監査報告書と矛盾していないか。
有価証券報告書は「財務諸表の入れ物」ではない
有価証券報告書は、金商法上の継続開示制度の中心に位置づけられる書類です。ただし実務では、有価証券報告書を「監査済み財務諸表を提出するための入れ物」と捉えてしまう誤解がよく見られます。
有価証券報告書には、企業の概況、事業の状況、設備の状況、提出会社の状況、経理の状況、監査報告書など、財務情報と非財務情報が一体として含まれます。監査証明の直接の対象は、主として「経理の状況」に含まれる財務諸表等です。しかし投資者は、有価証券報告書全体を読んで会社を理解します。
そのため、監査人が注目すべきなのは財務諸表と注記だけではありません。たとえば、事業等のリスク、MD&A、サステナビリティ情報、経営上の重要な契約、関連当事者、設備投資、従業員情報などが、監査上把握している事実や財務諸表上の数値と整合しているかが重要になります。
2023年1月31日の企業内容等開示府令等の改正により、有価証券報告書等には「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設され、人的資本・多様性に関する開示も拡充されました。これは、有価証券報告書が財務諸表だけでなく、企業価値やリスクを説明する統合的な開示書類として重みを増していることを示しています。
出典:金融庁|サステナビリティ情報の開示に関する特集ページ
監査人は、監査対象外の記述情報についても無関心ではいられません。監査基準上の「その他の記載内容」に関する検討、KAMとの関係、会計上の見積りの開示、継続企業の前提、不正リスク、内部統制不備。これらはいずれも、有価証券報告書全体の説明可能性に影響します。
監査証明は開示制度の信頼性を支える仕組みである
金商法開示において、財務諸表等に対する監査証明は、投資者が財務情報を利用するための重要な信頼基盤です。
ただし監査証明とは、会社が作成した財務諸表そのものを監査人が作成することではありません。財務諸表の作成責任は経営者にあり、監査人は自ら入手した監査証拠に基づいて意見を表明します。
財務諸表等の監査証明に関する内閣府令は、監査報告書、中間監査報告書、期中レビュー報告書について、一般に公正妥当と認められる監査に関する基準及び慣行に従って実施された監査等に基づくものとして位置づけています。
出典:e-Gov法令検索|財務諸表等の監査証明に関する内閣府令
監査人の実務判断として重要なのは、「監査証明が付いているから開示全体が正しい」と単純化しないことです。監査証明は、監査対象となる財務計算に関する書類についての意見であり、有価証券報告書全体のすべての記述に対する保証ではありません。
とはいえ、だからといって監査対象外の部分を無視できるわけでもありません。記述情報が財務諸表と矛盾している場合、会計上の見積りに関する説明が注記と整合しない場合、事業等のリスクの記載が監査上把握した重要なリスクと著しく乖離している場合には、監査人はその矛盾や不整合を検討しなければなりません。
開示制度における監査証明は、財務諸表監査の結論を市場へ伝達する制度的な接点です。したがって、監査調書上の結論と、有価証券報告書上の説明がつながっているかどうかが、監査品質の観点から重要になります。
内部統制報告書は「J-SOXの成果物」ではなく、開示の信頼性に関する経営者評価である
上場会社等の金商法開示では、内部統制報告書も重要な位置を占めます。内部統制報告書は、財務報告に係る内部統制の有効性について経営者が評価し、その評価について監査人が内部統制監査を行う制度です。
内部統制報告制度を理解するうえで重要なのは、内部統制報告書を「J-SOX文書の最終成果物」とだけ捉えないことです。
内部統制報告書は、財務報告の信頼性を支える会社の仕組みに関する経営者の説明にほかなりません。評価範囲、評価手続、不備の判断、開示すべき重要な不備の有無は、財務諸表監査のリスク評価や監査手続にも影響します。
2023年4月に公表された内部統制基準・実施基準の改訂では、内部統制とガバナンス・全組織的リスク管理との一体的な整備・運用の重要性が示されました。あわせて、内部統制監査と財務諸表監査の関係についても、財務諸表監査の過程で識別された内部統制の不備が経営者評価の範囲外に含まれる場合の検討が明確化されています。
出典:金融庁|財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について
監査人は、内部統制報告書を財務諸表監査とは別の形式的手続として扱うべきではありません。
内部統制監査の過程で得られた証拠は財務諸表監査に利用されますし、財務諸表監査の過程で得られた証拠が内部統制監査の証拠として利用されることもあります。内部統制監査と財務諸表監査は、目的こそ異なっても、リスク評価・証拠形成・不備評価の面で密接に結びついています。
出典:金融庁|財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準・実施基準 新旧対照表
このため、開示制度の全体像を理解するうえでは、内部統制報告書を「監査意見とは別の書類」として切り離すのではなく、財務報告の信頼性を支える統制環境の説明として読む必要があります。
四半期報告書の廃止後は、半期報告書と適時開示の関係がより重要になる
現行制度を理解するうえで、四半期開示制度の見直しは避けて通れません。
令和5年金融商品取引法等改正により、金融商品取引法上の第1・第3四半期報告書制度は廃止され、上場会社等が提出する半期報告書に関する規定が整備されました。金融庁は、四半期報告書制度の廃止に伴う関係政令・内閣府令等の整備として、上場会社等の半期報告書に関する規定、臨時報告書提出事由の追加、従前の四半期財務諸表・中間財務諸表に関する財務諸表等規則等の整理を公表しています。
出典:金融庁|令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等の公表について
この改正を受けて、監査人・開示担当者・監査役等が注意すべきなのは、単に「四半期報告書がなくなった」ということではありません。
第1・第3四半期の情報提供が取引所規則に基づく四半期決算短信へ一本化されることで、法定開示と適時開示の役割分担、レビューの要否、財務情報の信頼性、臨時報告書との関係を、これまで以上に意識する必要が生じています。
東証は、金商法に基づく法定開示制度と取引所における適時開示制度が併存していること、そして適時開示制度は重要な会社情報を投資者へ広くタイムリーに伝達する特徴を有することを説明しています。
出典:日本取引所グループ|制度概要 適時開示制度の概要等
監査人の判断としては、半期報告書、期中レビュー、四半期決算短信、決算短信、適時開示、臨時報告書の関係を整理しておく必要があります。
とくに、財務情報がどの制度で開示されるのか。監査・レビューの対象なのか。開示された情報がその後の有価証券届出書や有価証券報告書にどう影響するのか。これらを確認しなければなりません。
EDINETは単なる提出システムではなく、市場への情報流通基盤である
金商法上の開示書類は、EDINETを通じて提出され、公衆縦覧に供されます。EDINETは、有価証券報告書、有価証券届出書、大量保有報告書等の提出から公衆縦覧までの手続きを電子化するシステムです。
金融庁は、EDINETの目的として、発行者の財務内容・事業内容を正確・公平・適時に開示すること、大量保有者の状況を正確・公平・適時に開示すること、そして投資者が自己責任で投資判断を行う機会を与え、投資者保護を図ることを掲げています。
出典:金融庁|EDINETについて
監査実務では、EDINETを「提出手段」とだけ捉えると判断を誤ります。EDINETに提出された情報は市場へ公開され、投資者・アナリスト・金融機関・取引先・監督当局・報道機関などが利用します。
したがって、開示直前の監査判断では、財務諸表の最終数値、注記、監査報告書、内部統制報告書、確認書、XBRL、添付書類、訂正要否、開示タイミングが、一連の流れとして整合しているかが重要になります。
EDINET提出後に誤りが判明した場合には、その誤りが会計上の誤謬なのか、開示書類上の訂正事項なのか、訂正報告書の提出を要するのか、内部統制報告書や監査報告に影響するのかを検討する必要があります。
過去の誤謬の修正再表示と、金商法上の訂正報告書の提出は、同じものではありません。会計基準上の比較情報の修正と、すでに公衆縦覧された開示書類の訂正は、別の制度として整理する必要があります。
適時開示は法定開示を補完するが、代替するものではない
上場会社の開示実務では、金商法上の法定開示と、取引所規則に基づく適時開示が併存します。
法定開示は、有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書、臨時報告書など、金融商品取引法に基づいて提出される書類を中心とする制度です。これに対して適時開示は、上場会社に発生した重要な会社情報を投資者へ迅速に伝えるための取引所規則上の制度です。
適時開示では、決算情報、決定事実、発生事実、業績予想の修正、配当予想の修正などが重要になります。開示漏れを防ぐには、会社内の重要情報が経理・財務・法務・IR・経営企画・子会社管理・監査役等へ適切に伝達される体制が欠かせません。
監査人にとって注意が必要なのは、適時開示が法定開示を補完する制度であって、法定開示を代替するものではないという点です。
たとえば、適時開示で不正や誤謬の概要を公表したとしても、有価証券報告書や半期報告書に重要な訂正が必要な場合には、金商法上の訂正報告書の要否を別途検討しなければなりません。
また適時開示は、監査証明の対象ではないことが多い一方で、投資者の判断に直接影響する情報でもあります。そのため監査人は、適時開示そのものに監査意見を表明するわけではないとしても、監査上把握した重要事実と適時開示の内容が矛盾していないか、財務諸表監査や内部統制監査に影響する事項が含まれていないかを、慎重に見る必要があります。
開示制度と不正リスクは切り離せない
開示制度の実効性は、虚偽記載や開示漏れへの対応によって支えられています。
証券取引等監視委員会は、金商法上の開示制度について、有価証券の発行・流通市場において投資者が十分に投資判断を行うことができる資料を提供するため、各種開示書類の提出を発行者等に義務付け、公衆縦覧に供することで、発行者の事業内容・財務内容等を正確・公平・迅速に開示し、投資者保護を図る制度であると説明しています。
出典:証券取引等監視委員会|開示検査について
開示検査では、重要な虚偽記載等が認められた場合に、課徴金納付命令勧告や訂正報告書等の提出命令勧告が行われることがあります。また、重要な虚偽記載に至らない場合でも、適正な開示を求める観点から自発的な訂正が促されることがあります。
出典:証券取引等監視委員会|開示検査について
監査人は、不正リスクを財務諸表上の虚偽表示リスクとしてだけでなく、開示制度上のリスクとしても捉える必要があります。
会計不正は、架空売上、循環取引、費用の資産計上、棚卸資産の水増し、評価損未計上、連結除外、関連当事者取引や保証債務の非開示など、財務諸表本体と注記・開示の双方に現れます。
不正が発覚した場合には、修正仕訳を入れれば終わり、というわけにはいきません。影響範囲、過年度訂正、訂正報告書、内部統制の不備、開示すべき重要な不備、監査意見、KAM、監査役等とのコミュニケーション、監査法人内の審査、当局対応まで、一体で検討する必要があります。
開示制度を監査判断に接続するための実務上の視点
金商法開示を監査判断に接続するには、次のような順序で考えると整理しやすくなります。
まず、その情報がどの開示制度に属するのかを確認します。発行開示なのか、継続開示なのか、適時開示なのか、臨時報告書なのか、内部統制報告書なのか。これによって、要求される手続、タイミング、責任、監査・レビューの関与が異なります。
次に、その情報が監査証明やレビューの対象に含まれるのかを確認します。監査対象である財務諸表等と、監査対象外の記述情報とでは、監査人の責任は異なります。ただし監査対象外であっても、財務諸表や監査上把握した事実と矛盾する場合には、検討が必要です。
さらに、その情報が財務報告に係る内部統制の対象プロセスとどう結びついているかを確認します。
有価証券報告書や半期報告書を作成するプロセスには、会計処理、決算整理、連結、注記、開示チェック、法務レビュー、経営者承認、監査役等への報告など、複数の統制が関係します。開示書類の誤りは、単なる記載ミスではなく、決算・財務報告プロセスの統制不備を示すことがあります。
そして最後に、その判断を誰に対して説明する必要があるかを考えます。会社、監査役等、審査担当者、規制当局、投資者に対して、判断の前提、根拠、限界を説明できる状態にしておくことが重要です。
監査人が開示制度を理解する意味
監査人にとって、金商法開示制度の理解は、開示担当者向けの周辺知識ではありません。
監査計画では、開示スケジュール、有価証券報告書提出期限、半期報告書、決算短信、適時開示、内部統制評価、審査日程を踏まえたうえで、監査手続の時期と範囲を設計する必要があります。
リスク評価では、開示上重要な事項が財務諸表監査上のリスクと整合しているかを確認します。会計上の見積り、収益認識、減損、税効果、金融商品、継続企業の前提、不正リスクは、財務諸表の金額だけでなく、有価証券報告書の注記や記述情報にも影響します。
監査証拠の評価では、財務諸表本体、注記、記述情報、開示基礎資料、取締役会資料、監査役等とのコミュニケーション、内部統制評価結果が矛盾していないかを確認します。
意見形成では、未修正虚偽表示、開示不備、内部統制不備、KAM、除外事項、強調事項、継続企業の前提、監査報告書日後の後発事象を、開示制度の中で整理する必要があります。
このように開示制度の理解は、監査手続の最後に行う開示チェックではありません。監査計画から意見形成までを貫く判断軸です。
金商法開示は「提出する制度」ではなく「説明責任を果たす制度」である
金商法開示制度の全体像を一言でいえば、投資者が自己責任で投資判断を行うための情報環境を整える制度です。
そのために、会社は必要な情報を作成し、監査人は財務諸表等について監査証明を行います。内部統制報告制度は財務報告の信頼性を支える仕組みを説明し、EDINETは情報を市場へ流通させ、取引所の適時開示は重要情報をタイムリーに伝達します。
公認会計士がこの制度を理解する意味は、提出書類の名称を覚えることではありません。
重要なのは、監査判断がどの開示書類に反映されるのか、会社の内部統制がどの開示情報を支えているのか、会計上の見積りや不正リスクがどの注記・記述情報・KAMに波及するのか、訂正や虚偽記載が生じた場合にどの責任問題へつながるのか。これらを一連の流れとして説明できることです。
開示制度を理解している監査人は、開示チェックリストを埋めるだけで終わりません。会社の数字と説明が市場に出るまでのプロセスを俯瞰できます。そこにこそ、法定監査と財務報告実務における専門性があります。
専門家への相談を検討すべき局面
金商法開示に関する判断は、会計処理、監査証拠、内部統制、開示規制、取引所規則、監査役等との連携が重なり合います。そのため、社内や監査チーム内だけでは論点が整理しきれないことも少なくありません。
とくに、過年度訂正、不正・誤謬の判明、開示すべき重要な不備の可能性、監査報告書への影響、KAM候補、半期報告書・適時開示・臨時報告書の関係、上場準備から上場後の開示体制への移行といった局面では、早い段階で論点を分解し、関係者に説明できる状態へ整えておくことが重要です。
犬飼公認会計士・税理士事務所では、会計監査・内部統制・財務報告・開示を横断して、実務上の判断整理、論点の構造化、監査法人・監査役等・経営者への説明可能性を意識した支援を行っています。金商法開示や財務報告体制に関する判断で整理が必要な場合は、犬飼公認会計士・税理士事務所HPのお問い合わせページからご相談ください。
振り返り|金融商品取引法における開示制度の全体像
| 論点 | 実務上の意味 | 監査人が確認すべき視点 |
|---|---|---|
| 金商法開示の目的 | 投資者が十分な投資判断を行うための情報を市場に提供する制度 | 投資者保護、市場の公正性、情報の正確性・公平性・適時性を意識しているか |
| 発行開示 | 有価証券の募集・売出し時に必要情報を提供する制度 | 有価証券届出書、目論見書、発行登録、資金調達スケジュールとの整合性 |
| 継続開示 | 流通市場における投資判断のために継続的に情報を提供する制度 | 有価証券報告書、半期報告書、臨時報告書、訂正報告書の関係 |
| 有価証券報告書 | 財務情報と非財務情報を一体として伝える中心的な開示書類 | 財務諸表、注記、記述情報、監査報告書、内部統制報告書の整合性 |
| 監査証明 | 財務諸表等の信頼性を支える制度的仕組み | 監査対象と対象外情報を区別しつつ、不整合がないか確認する |
| 内部統制報告書 | 財務報告の信頼性を支える内部統制に関する経営者評価 | 評価範囲、不備判断、開示すべき重要な不備、財務諸表監査への影響 |
| 半期報告書・四半期開示見直し | 第1・第3四半期報告書廃止後、法定開示と適時開示の役割分担が重要化 | 半期報告書、期中レビュー、四半期決算短信、臨時報告書の関係 |
| EDINET | 開示書類を市場に流通させる電子開示基盤 | 提出書類、XBRL、添付書類、提出後訂正の要否 |
| 適時開示 | 重要な会社情報を迅速・公平に市場へ伝える取引所規則上の制度 | 法定開示との違い、監査対象外情報との整合、インサイダー情報管理 |
| 不正・訂正対応 | 虚偽記載や開示漏れは監査意見・内部統制・責任問題へ波及する | 影響範囲、過年度訂正、内部統制不備、監査役等・審査担当者への説明 |