不動産を相続で分ける前に確認すべきこと|評価額だけで判断しないための実務論点

相続財産のなかに不動産が含まれていると、遺産分割の話し合いは一気に難しくなります。

預貯金のように金額で割り切れる財産と違い、不動産は「誰が取得するか」「どこで分けるか」「売るのか、残すのか」「共有にするのか」によって、相続税評価、登記、建築、納税資金、そして将来の管理負担までが大きく変わってくるからです。

特に注意していただきたいのは、相続税評価額だけを見て「この土地は長男、この土地は次男」「この敷地は半分ずつ」と決めてしまうことです。

評価額の上では公平に見えても、いざ分けてみると、建物が建てられない、道路に接していない、売却しにくい、共有者の間で管理ができない、相続税の特例が使いにくくなる——こうした問題が後から表面化することは珍しくありません。

不動産の相続では、「いくらの土地か」を知るだけでは足りないのです。

大切なのは、その不動産が現実に使えるのか、売れるのか、貸せるのか、建て替えられるのか、納税資金にできるのか、次の世代でも管理していけるのか。そこまで確認したうえで、分け方を考えることです。

目次

不動産は「評価額どおりに分ければ公平」とは限らない

相続の話し合いでは、まず財産を金額に置き換えて考えたくなるものです。

もちろん、相続税の申告には財産評価が欠かせません。財産評価基本通達においても、財産の価額は評価単位ごとに評価することとされ、時価とは、課税時期における現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額を指すものとされています。

出典:国税庁|財産評価 第1章 総則

ただし、相続税評価額は、その不動産の「分けやすさ」そのものを示すものではありません。

たとえば、同じ評価額の土地であっても、一方は整形地で道路付けもよく、すぐに売却や建築ができる土地かもしれません。他方は、道路が狭い、境界が未確定、借地人がいる、建物が老朽化している、私道の権利関係が複雑、といった事情を抱えているかもしれないのです。

このとき、相続税評価額だけを見て「同じ価値の財産」として扱ってしまうと、取得した相続人が実際に負う負担には、大きな差が生まれます。

不動産を分ける前には、少なくとも次の3つを切り分けて考える必要があります。

  1. 相続税申告のための評価額 — 相続税を計算するために必要な金額です。
  2. 遺産分割上の納得感 — 相続人の生活状況、過去の贈与、代償金の支払能力、将来の管理負担まで含めて考えるべきものです。
  3. 将来の利用価値・換金価値 — 建築できるか、売却できるか、賃貸できるか、管理できるか、という実務上の価値です。

この3つを混同してしまうと、税務上は一見きれいに整っていても、家族間の不満や、将来の処分の難しさにつながりかねません。

まず確認すべきは、不動産の「現況」

不動産を相続で分ける前に、最初に確認していただきたいのは、登記簿上の情報ではなく、その不動産が実際にどう使われているかという「現況」です。

登記簿には地目、地積、所有者、権利関係などが記載されています。しかし、相続税評価や分割の実務では、登記簿の記載だけでは判断できない場面が数多くあります。

確認しておきたい現況には、たとえば次のようなものがあります。

  • 土地の上に建物があるか
  • 建物は誰が所有しているか
  • その建物に誰が住み、あるいは誰が使用しているか
  • 賃貸されているか、空き家か
  • 駐車場、資材置場、農地、山林、雑種地などとして利用されていないか
  • 隣接地と一体で利用されていないか
  • 境界が明確か
  • 越境物や越境配管がないか
  • 私道、赤道、水路、里道が関係していないか
  • 抵当権、地役権、賃借権などが設定されていないか

財産評価基本通達では、土地の地目は課税時期の現況によって判定するものとされ、宅地の評価単位も「利用の単位となっている1区画の宅地」を基準とします。さらに、1画地の宅地は必ずしも1筆とは限らず、2筆以上で1画地となることも、1筆が2画地以上に分かれることもあります。

出典:国税庁|財産評価 第2章 土地及び土地の上に存する権利 第1節 通則

つまり、登記簿の上では別々の筆に分かれていても、現実には一体の敷地として評価すべき場合があります。逆に、登記簿上は1筆であっても、利用状況によっては複数の評価単位に分かれることもあるのです。

不動産の分け方を考える前に、まずは「紙の上の土地」と「現実の土地」が一致しているかどうかを確かめておくことが大切です。

接道と建築制限を確認しない分割は危険

不動産の相続で、とりわけ重要になるのが接道です。

建築基準法上、建築物の敷地は、原則として道路に2メートル以上接していなければならないとされています。

出典:e-Gov法令検索|建築基準法

この接道要件を確認しないまま土地を分けてしまうと、分割後の一方の土地が、建物を建てられない土地になってしまうことがあります。

見た目には道路に接しているようでも、建築基準法上の道路ではない、というケースもあります。幅員が足りない、私道の権利関係が不明、位置指定道路の扱いが確認できていない、水路を挟んでいる、セットバックが必要になる——こうした事情があると、分割後に使えるかどうかは大きく変わってきます。

建築の視点で見れば、確認すべきは接道だけではありません。用途地域、建ぺい率、容積率、高さ制限、日影規制、北側斜線、道路斜線、条例上の路地状敷地制限、開発許可、インフラの引込みなども見ておく必要があります。建築上は、単に面積があれば足りるわけではなく、分割後の土地ごとに建築の可否を確かめておかなければなりません。

相続税評価の場面でも、分割後の画地が通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理と認められる場合には、分割前の画地を1画地の宅地として評価する取扱いがあります。

出典:国税庁|財産評価 第2章 土地及び土地の上に存する権利 第1節 通則

たとえば、相続人ごとに土地を分けた結果、一方の土地が接道義務を満たさず、単独では再建築できない状態になってしまう場合、税務上も不合理分割として問題になる可能性があります。実務でも、接道義務を満たさず単独利用が難しい土地については、隣接地と一体で評価すべきと整理される場面があります。

不動産を分ける前に確かめるべきは、「分けられるか」ではなく、「分けた後に、それぞれの土地が独立して機能するか」なのです。

権利関係を確認しないと、取得後に使えないことがある

不動産は、所有者だけを見ても、その実態はつかめません。

土地の上に他人名義の建物が建っていれば、借地権や使用貸借の問題が出てきます。建物が賃貸されていれば、貸家建付地、賃貸借契約、賃料収入の帰属、空室状況、敷金・保証金の承継まで確認しておく必要があります。

抵当権が設定されている場合には、債務を誰が負担するのか、担保の範囲、返済予定、相続人間の負担調整が論点になります。さらに、高圧線下地、地役権、通行権、私道持分、境界確認の未了、越境、配偶者居住権なども、分割後の利用や売却に影響してきます。

不動産の相続で見落とされやすいのが、「相続人が取得したのだから、自由に使えるはずだ」という思い込みです。

たとえば、貸している土地を取得した相続人は、借地人や賃借人との契約関係を引き継いだうえで、その財産を承継します。自宅敷地を取得したとしても、別の相続人が建物を所有している場合や、配偶者居住権が関係する場合には、単純な所有権の承継とは異なる検討が必要になります。

分割の前には、少なくとも次のような権利関係を確認しておきたいところです。

  • 登記上の所有者
  • 共有者の有無
  • 抵当権、根抵当権、仮登記、差押え
  • 借地権、地上権、地役権、賃借権
  • 使用貸借の有無
  • 建物所有者と土地所有者の関係
  • 賃貸借契約、サブリース契約、駐車場契約
  • 私道持分、通行承諾、掘削承諾
  • 越境、境界確認、未登記建物
  • 配偶者居住権、配偶者短期居住権

これらを確認しないまま分割を進めると、取得した相続人が思うように使えず、他の相続人との間に不公平感が生まれてしまうことがあります。

「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有」のどれを選ぶか

不動産を分ける方法は、大きく分けて、現物分割、代償分割、換価分割、共有の4つです。

現物分割は、不動産そのものを相続人ごとに分ける方法です。複数の不動産がある場合や、土地を合理的に分けられる場合にはわかりやすい方法ですが、不動産ごとに実質的な価値や管理負担が異なるため、金額の上で公平を取るだけでは十分とはいえません。

代償分割は、特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う方法です。自宅や事業用不動産を特定の相続人に承継させたい場合に有効ですが、取得者に代償金を支払う力がなければ実行できません。生命保険、預貯金、借入、将来の売却予定なども含めて、資金計画を確かめておく必要があります。

換価分割は、不動産を売却し、その代金を分ける方法です。金銭で分けやすい一方、希望する時期や価格で売れるとは限りません。売却益が出れば、譲渡所得税も問題になります。なお、相続財産を譲渡した場合には、一定の要件のもとで相続税額の一部を譲渡資産の取得費に加算できる特例がありますが、その適用には期間や申告手続などの要件があります。

出典:国税庁|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

共有は、一見すると公平に見える方法です。しかし、共有不動産は、管理、修繕、賃貸、売却、建替え、費用負担、次の相続での持分分散など、多くの問題を将来に残しやすい方法でもあります。利用・管理・処分のいずれの場面でも支障が出る可能性があり、問題の先送りになっていることも少なくありません。共有を選ぶのであれば、その後の管理・分割・売却まで見通したうえで協議しておくことが欠かせません。

もっとも、共有そのものが常に悪いわけではありません。収益不動産を共同で管理する明確なルールがあり、意思決定、費用負担、賃料配分、将来の売却方針まで合意できているのであれば、一つの選択肢になり得ます。

避けたいのは、「話し合いがまとまらないから、とりあえず共有」という選び方です。

共有は、分けたように見えて、実際には問題を次の世代に送るだけになってしまうことがあるからです。

相続税評価と遺産分割上の価値は一致しない

不動産を分けるときには、相続税評価額と、遺産分割上の価値とを、分けて考える必要があります。

相続税の申告では、財産評価基本通達を基礎に評価します。路線価方式、倍率方式、貸家建付地、借地権、地積規模の大きな宅地、無道路地、がけ地、私道、セットバックなど、論点は多岐にわたります。

一方、遺産分割では、相続人の間の公平を考えるために、実勢価格、鑑定評価、不動産会社の査定、売却見込額などが問題になることもあります。

相続税評価額が低い土地でも、将来高く売れる可能性のある土地があります。反対に、相続税評価額は一定の水準で出ていても、境界が未確定、建築不可、老朽建物付き、借地人付き、共有持分のみ、といった理由から、実際には売却しにくい土地もあるのです。

ここで大切なのは、どの価額を使うのかを、場面ごとに整理しておくことです。

  • 相続税申告で使う価額
  • 遺産分割協議で、相続人間の納得を得るための価額
  • 売却や代償金の基準にする価額
  • 将来の二次相続を見込んだ価額

これらは目的が異なりますから、必ずしも同じ金額になるわけではありません。

不動産評価をめぐる実務では、相続税評価、遺産分割上の評価、譲渡時の時価、法人・親族間取引の時価が、それぞれ異なる意味を持つことがあります。だからこそ、単に「評価額がいくらか」ではなく、「何のための評価か」をはっきりさせておくことが重要になります。

小規模宅地等の特例は、分け方に影響する

相続税の申告では、小規模宅地等の特例が、不動産の分け方に大きく影響することがあります。

小規模宅地等の特例は、一定の宅地等について、相続税の課税価格を大きく減額できる制度です。ただし、適用できるかどうかは、宅地の種類、利用状況、取得者、所有・利用の継続、申告手続などをふまえて判断されます。

そのため、「誰がその土地を取得するか」によって、相続税額が大きく変わることがあるのです。

たとえば自宅敷地であれば、配偶者が取得するのか、同居している親族が取得するのか、別居の親族が取得するのかによって、適用の可否をめぐる検討が変わってきます。事業用の土地や貸付事業用の土地についても、取得者や事業継続の状況が問題になります。

また、遺産分割がまとまらず、未分割のまま申告する場合には、当初の申告では小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を受けられないことがあります。一定の手続をとり、期限内に分割されれば、後から適用を受けられる場合もありますが、それによって申告期限そのものが延びるわけではありません。

出典:国税庁|No.4208 相続財産が分割されていないときの申告 出典:国税庁|No.4208 相続財産が分割されていないときの申告 遺産分割が行われていない場合の各種特例の適用手続

不動産の分け方を考えるときは、相続人間の公平だけでなく、特例を適用した後の税負担、納税資金、そして二次相続まで含めて検討しておく必要があります。

納税資金を確認しない分割は、実行段階で詰まる

相続税は、原則として申告期限までに納付しなければなりません。相続税の申告と納税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行うのが原則です。

出典:国税庁|No.4205 相続税の申告と納税

不動産が相続財産の多くを占める場合、相続税額は出ているのに、納税に充てられる現預金が足りない、という事態が起こり得ます。

このとき問題になるのが、誰がどの財産を取得し、誰がどの程度の納税資金を持っているか、という点です。

相続税は、各相続人が取得した財産に応じて負担が生じます。不動産を取得した相続人に現金がなければ、納税のために売却、借入、延納、物納、代償金の調整などを検討せざるを得ないこともあります。

しかし、売却を予定している不動産が、すぐに売れるとは限りません。境界確定、測量、建物解体、借地人・賃借人への対応、共有者の同意、農地転用、担保抹消などが必要になる場合には、申告期限までに資金化できないこともあるのです。

不動産の分割では、税額だけでなく、納税が実際に実行できるかどうかまで確認しておく必要があります。

とりわけ、次のような場合には、早めの検討が欠かせません。

  • 相続財産の大半が不動産である
  • 賃貸不動産や農地、山林、貸地が多い
  • 非上場株式や同族会社の資産もある
  • 相続人の一部に代償金を支払う必要がある
  • 不動産を売却して納税する予定である
  • 小規模宅地等の特例の適用可否で税額が大きく変わる
  • 一次相続だけでなく、二次相続でも納税が見込まれる

「分け方が決まってから納税資金を考える」のではなく、「納税資金まで含めて分け方を考える」こと。これが重要です。

相続登記の義務化により、分割後の登記も放置できない

不動産の相続では、遺産分割協議がまとまった後の登記も、おろそかにできません。

令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されています。相続によって不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する義務を負います。正当な理由がないのに申請を怠った場合には、10万円以下の過料の対象となります。

出典:法務省|相続登記の申請義務化について

令和6年4月1日より前に発生した相続であっても、相続登記が未了のままであれば義務化の対象となり、一定の期限までの対応が求められます。

出典:法務省|不動産を相続したらかならず相続登記!

相続登記は、単に名義を変えるだけの手続ではありません。

登記が未了のまま時間が経つと、次の相続が発生して相続人が増え、協議はいっそう難しくなります。古い相続が残ったままの土地では、戸籍の収集、相続人調査、所在不明者への対応、共有関係の整理に、多くの時間がかかります。所有者不明土地や空き家の問題の背景にも、相続登記の未了が深く関わっています。

不動産を相続で分けるときは、分割協議書を作るだけでなく、その内容どおりに登記できるか、登記に必要な書類が揃うか、相続人全員の協力が得られるかまで、見届けておく必要があります。

将来の利用まで見ないと、次の相続で問題が拡大する

不動産の分け方は、今回の相続だけで完結するものではありません。

相続した不動産は、次の相続でも、再び問題になります。一次相続で共有にした不動産は、二次相続で共有者がさらに増える可能性があります。自宅を配偶者が取得した場合には、二次相続で誰が住むのか、売るのか、空き家になるのかを、あらかじめ考えておく必要があります。

賃貸不動産を相続した場合も、その相続人が、賃貸経営を続けていく意思と能力を持っているかどうかを確かめておくべきです。建物の老朽化、大規模修繕、空室、借入金、管理会社との契約、賃料収入の分配など、相続後も継続的な判断が求められるからです。

農地や貸地、借地権付き建物、同族会社に貸している土地などは、いっそう慎重な検討が必要です。評価額だけでなく、法規制、権利関係、承継者の意思、収益性、売却の可能性、そして納税猶予や小規模宅地等の特例との関係まで、目を配らなければなりません。

将来の利用を考えるときには、次の視点が役に立ちます。

  • 誰が住むのか
  • 誰が管理するのか
  • 誰が固定資産税や修繕費を負担するのか
  • 売却するなら、いつ、誰が、どの条件で進めるのか
  • 賃貸するなら、収入と費用をどう分けるのか
  • 建替えや大規模修繕の意思決定を、誰が行うのか
  • 二次相続で、誰に引き継ぐのか
  • 空き家や管理不全土地になる可能性はないか

相続で不動産を取得するということは、単に財産を受け取ることではありません。管理の責任と、将来の意思決定までを引き継ぐ、ということなのです。

不動産を分ける前に確認したい資料

不動産の分割を検討する際は、感覚的な話し合いに入る前に、まず資料を整理しておくことが大切です。

最低限そろえておきたい資料は、次のようなものです。

  • 登記事項証明書
  • 公図、地積測量図、建物図面
  • 固定資産税課税明細書、名寄帳
  • 路線価図、倍率表
  • 都市計画図、用途地域、建ぺい率・容積率
  • 建築確認済証、検査済証、建物図面
  • 賃貸借契約書、使用貸借の事実が分かる資料
  • 地代・家賃の入金資料
  • 私道・通行・掘削承諾に関する資料
  • 境界確認書、測量図
  • 抵当権や借入金に関する資料
  • 過去の贈与、売買、交換、分筆・合筆に関する資料
  • 遺言書、遺産分割協議書案
  • 不動産会社の査定書、必要に応じた鑑定評価資料

資料が揃わないうちに分割案を固めてしまうと、後になって評価、登記、建築、売却のいずれかで、修正を迫られることがあります。

とりわけ、土地の評価単位、接道、境界、賃貸借、共有、建築制限は、資料と現地を突き合わせて確かめなければ、判断を誤りやすい部分です。

専門家に相談する前に整理しておきたいこと

専門家に相談する前から、完璧な資料を揃えておく必要はありません。

ただし、次の点を整理しておくと、相談の質は大きく上がります。

  • 不動産を残したいのか、売却してもよいのか
  • 誰が住み続けたいのか
  • 誰が管理できるのか
  • 相続人の間で不公平感が出そうな点はどこか
  • 代償金を支払える相続人がいるか
  • 納税資金に不安があるか
  • 不動産以外の財産はどれくらいあるか
  • 過去に贈与や名義変更があったか
  • 相続人のなかに、遠方に住む人、判断能力に不安がある人、連絡が取りにくい人がいるか
  • 将来の二次相続で問題になりそうな財産はどれか

不動産の相続は、税理士だけで完結しないこともあります。土地家屋調査士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士、不動産会社、建築士などとの連携が必要になる場面もあります。

大切なのは、最初から結論を急がず、現況、評価、権利関係、建築制限、納税資金、将来の利用を、順に確かめていくことです。

まとめ|不動産は「分けた後」を見て判断する

不動産を相続で分けるとき、評価額はたしかに重要です。

しかし、評価額だけで分け方を決めてしまうと、後から使えない、売れない、建てられない、登記できない、納税できない、管理できない、といった問題が起こり得ます。

不動産の相続で確認すべきことは、単なる税額の計算ではありません。

  • 現況を確認する
  • 接道と建築制限を確認する
  • 権利関係を確認する
  • 相続税評価と、実際の利用価値とを分けて考える
  • 小規模宅地等の特例や、納税資金への影響を見る
  • 共有にするなら、将来の管理・売却まで決めておく
  • 相続登記まで実行できるかを確認する
  • 二次相続や、将来の利用まで見通す

この順番で整理していくことで、不動産の分け方は、単なる「分配」ではなく、家族と資産を守るための承継設計へと変わっていきます。

犬飼公認会計士・税理士事務所では、不動産を含む相続について、相続税評価、遺産分割、納税資金、申告実務、そして将来の資産承継までを見据えて、論点を整理しています。

不動産の分け方に迷っている場合や、評価・登記・納税資金・共有リスクが絡み合って判断が難しい場合は、まずは現在の財産内容とご家族の状況を整理するところから、ご相談ください。

振り返り

確認事項重要な視点確認しない場合のリスク
現況登記簿ではなく実際の利用状況を見る評価単位や分割方針を誤る
接道建築基準法上の道路に2m以上接しているか分割後に建築・再建築できない
建築制限用途地域、建ぺい率、容積率、高さ制限等面積があっても十分に活用できない
権利関係借地権、賃貸借、抵当権、地役権、私道等取得後に自由に使えない、売れない
相続税評価評価単位、地目、利用状況、不合理分割税務上の評価誤りや調査リスク
分割方法現物・代償・換価・共有を比較する公平に見えても実行できない
小規模宅地等誰が取得するかで適用可否が変わる税額が大きく変わる可能性
納税資金申告期限までに納付できるか売却・借入・延納等の対応が後手に回る
相続登記分割後に期限内に登記できるか過料、所有者不明化、次世代への問題先送り
将来利用住む・貸す・売る・管理する方針二次相続や共有化で問題が拡大する
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