関連制度・特殊類型・制度境界|事業承継税制だけでは判断できない承継論点の全体像

事業承継税制を検討していくと、途中で必ずと言っていいほど、別の制度や別の選択肢が姿を現します。

たとえば、事業用の土地をお持ちであれば、小規模宅地等の特例との関係が問題になります。農地を持つ個人事業主の方であれば、個人版事業承継税制だけでなく、農地等の納税猶予も検討の対象に入ってきます。医療法人であれば、一般の株式会社と同じように法人版事業承継税制を使えるのだろうか、という疑問が生まれます。会社によっては、持株会社、一般社団法人、家族信託、株式信託、種類株式、組織再編、さらにはM&Aまでが視野に入ってきます。

このとき大切なのは、「どの制度が一番有利か」を急いで決めることではありません。

まず確認していただきたいのは、いま自社が抱えている論点が、本当に事業承継税制の枠内で扱うべき問題なのか、それとも別制度・別分野の問題として整理すべきものなのか、という点です。

第12テーマでは、事業承継税制と混同されやすい関連制度、特殊な資産や法人、組織再編、M&A、そして専門家連携との境界を整理していきます。詳細な計算や手続をこのページで解説するのではありません。読者の方が「自社はどの記事から読むべきか」を選べるようにするための、論点地図として位置づけています。

このテーマで確認すること

事業承継税制は、法人版であれば非上場会社の株式等、個人版であれば一定の事業用資産を対象とした、納税猶予・免除の制度です。

法人版事業承継税制は、円滑化法の認定を受けた非上場会社の株式等を贈与または相続等により取得した場合に、一定の要件のもとで贈与税・相続税の納税を猶予し、後継者の死亡等によって納付が免除される仕組みです。特例措置では、対象株式数の制限が撤廃され、猶予割合も100%とされています。
出典:国税庁|法人版事業承継税制

ただし、制度の対象になるからといって、それだけで適用すべきだということにはなりません。

法人版の特例措置を使うには、特例承継計画を令和9年9月30日までに申請し、令和9年12月31日までに事業承継を行う必要があります。加えて、認定を受けた後も、都道府県への年次報告や税務署への継続届出といった管理が続いていきます。
出典:中小企業庁|法人版事業承継税制(特例措置)

個人版事業承継税制についても、個人事業者の事業承継を促すため、一定の事業用資産の承継にかかる相続税・贈与税を100%納税猶予する制度として創設されました。個人事業承継計画は、平成31年4月1日から令和10年9月30日までの間に、認定経営革新等支援機関の指導および助言を受けた旨を記載したうえで提出する必要があります。

出典:中小企業庁|個人版事業承継税制の前提となる認定

このように、事業承継税制には、対象、期限、認定、申告、届出、そして取消リスクがあります。第12テーマでは、これらを前提として、次のような問いを整理していきます。

  • 自社の論点は、法人版事業承継税制で扱うべきものか。
  • 個人版事業承継税制、小規模宅地等、農地等納税猶予など、別制度を先に検討すべきではないか。
  • 医療法人、一般社団法人、信託、持株会社など、そもそも通常の株式会社と同じ前提で考えてよいのか。
  • 承継前後に組織再編や資本政策を行う場合、納税猶予や株価評価に影響しないか。
  • 後継者承継ではなく、M&A・第三者承継へ切り替えるべき場面はないか。
  • どの専門家に、どの段階で、何を相談すべきか。

事業承継は、単なる代表者の交代でも、株式の移転だけでも完結しません。実務においても、承継すべき経営資源は、人、資産、知的資産に分けて整理され、株式の承継はその重要な一部にすぎないと考えられています。

第12テーマを読むべき読者

このテーマは、すでに事業承継税制の概要をある程度理解され、「自社に使えるか」だけでなく、「他の制度と比べて本当に使うべきか」を考え始めた方に向いています。

とりわけ、次のような状況にある場合は、第12テーマから確認する意味があります。

  • 法人所有の自社株だけでなく、個人所有の事業用不動産や土地がある。
  • 個人事業、農業、医療法人、不動産所有会社、持株会社など、通常の事業会社とは異なる資産・法人形態が含まれる。
  • 後継者はいるが、将来の組織再編やM&Aの可能性を残しておきたい。
  • 後継者が未確定で、親族内承継、従業員承継、第三者承継を比較したい。
  • 一般社団法人、信託、持株会社などのスキームを提案されているが、税務上・法務上の説明可能性に不安がある。
  • 税理士、会計士、弁護士、司法書士、金融機関の誰に何を相談すべきか整理できていない。

反対に、法人版事業承継税制の基本要件、特例承継計画、認定申請、税務申告、継続届出といった基本構造をまだ確認されていない場合は、第2テーマ、第3テーマ、第9テーマ、第10テーマもあわせてお読みいただく必要があります。

第12テーマは、制度の基本を繰り返す場所ではありません。制度の外側、隣接領域、そして出口の判断を整理する場所です。

このテーマで扱う3つの境界

第12テーマでは、制度の境界を大きく3つに分けて考えます。

1つ目は、資産税制との境界です

事業承継税制を検討していても、実際の資産構成を見てみると、事業用宅地、農地、貸付不動産、法人所有不動産、個人所有不動産が混在している、というケースがあります。

こうした場合、法人版・個人版の事業承継税制だけでは判断できません。小規模宅地等の特例、農地等の納税猶予、個人版事業承継税制、法人版事業承継税制のどれが対象になるのかを、丁寧に切り分ける必要があります。

事業承継に関する贈与税・相続税の制度は、個人版事業承継税制、小規模宅地等の課税特例、農地等の納税猶予制度、非上場株式評価、法人版事業承継税制といった複数の制度が並ぶ形で整理されています。

2つ目は、特殊法人・特殊スキームとの境界です

医療法人、一般社団法人、持株会社、信託は、いずれも承継実務でよく登場します。しかし、それぞれ制度趣旨も、権利構造も、課税関係も、ガバナンスも異なります。

たとえば、持分あり医療法人には医療法人固有の制度があり、一般事業会社に対する法人版事業承継税制と同一視することはできません。医療法人の持分に関する納税猶予制度は、持分なし医療法人への移行を促す施策としての性格を持つものであり、持分あり医療法人のまま事業承継の負担を軽減する制度とは、性質が異なります。

3つ目は、将来の経営判断との境界です

事業承継税制を使った後に、合併、会社分割、株式交換、株式移転、M&A、廃業を行う可能性があるのなら、適用前の段階での検討が欠かせません。

承継前に組織再編を行うのか、それとも承継後に行うのか。その違いによって、自社株評価、対象株式、議決権、納税猶予の継続、取消リスクが変わってくることがあります。

組織再編とは、合併、会社分割、株式交換、株式移転など、会社の組織・形態を編成し直す行為を指します。事業承継の場面では、後継者ごとの事業分割、少数株主の整理、意思決定の円滑化といった目的と結びつくことがあります。

詳細コラムの読み方

第12テーマの詳細コラムは、12-1から12-7まで順番に読むことで、資産税制、特殊資産、特殊法人、スキーム、組織再編、M&A、専門家連携の順に理解できる構成になっています。

迷われた場合は、12-1から順にお読みいただくことをおすすめします。まず、事業用宅地や農地など、資産の種類によって適用制度が変わる論点から確認し、そのうえで医療法人、一般社団法人、信託、持株会社といった法人・スキームの境界へ進む。最後に、組織再編、M&A、専門家連携を確認していただくと、事業承継税制を使う前後で将来の選択肢を狭めないための視点が得られます。

ただし、自社の状況に応じて読む順番を変えていただいてもかまいません。たとえば、個人所有の事業用不動産が大きい場合は12-1から、農地がある場合は12-2から、医療法人の場合は12-3から、後継者が不在の場合は12-6から入るほうが、実務的です。

12-1. 小規模宅地等の特例と事業承継税制

12-1では、事業用宅地の承継に関して、小規模宅地等の特例と事業承継税制の違いを整理します。

事業承継税制は納税猶予の制度ですが、小規模宅地等の特例は、一定の宅地等について相続税評価額を減額する制度です。どちらも似たような「相続税対策」として語られることがありますが、制度の性格はまったく異なります。

特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等、貸付事業用宅地等、そして個人版事業承継税制との関係を確認しないままでは、同じ土地を前提に誤った比較をしてしまうことになりかねません。

国税庁は、個人版事業承継税制において、小規模宅地等の特例の適用を受ける者がある場合の宅地等の限度面積を示しています。そして、特定事業用宅地等について小規模宅地等の特例の適用を受ける者がある場合には、個人版事業承継税制の当該特例の適用を受けることはできない旨を示しています。
出典:国税庁|No.4153 個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除(個人版事業承継税制)

この詳細コラムは、個人所有の事業用土地がある場合、法人が利用している土地がある場合、そしてオーナー所有の不動産を会社が使っている場合に、お読みいただきたい記事です。法人版事業承継税制の対象株式だけを見ていると、土地の評価減、土地の所有者、会社との利用関係、相続人間の財産配分を見落とすおそれがあります。

12-2. 農地等の納税猶予・農業承継との境界

12-2では、農地や農業用資産の承継について、農地等の納税猶予、個人版事業承継税制、法人版事業承継税制の境界を整理します。

農地は、単なる事業用の土地ではありません。農地法、農業後継者、農業継続、特定貸付け、農地所有適格法人など、税務以外の制度が深く関係してきます。

農業を営む個人事業主の場合、個人版事業承継税制と農地等の納税猶予をどう位置づけるかが問題になります。農業法人の場合であっても、法人版事業承継税制の要件だけでなく、農地所有適格法人としての要件確認が必要になる場面があります。

国税庁は、農業を営んでいた被相続人等から一定の相続人が一定の農地等を取得し、農業の継続または特定貸付け等を行う場合に、農業投資価格を超える部分に対応する相続税額の納税が猶予される制度を示しています。
出典:国税庁|No.4147 農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例

この詳細コラムは、農地を所有している個人事業主の方、農業法人、農地を含む不動産を承継されるご家族、そして将来の農地転用・売却・貸付けの可能性がある会社に向いています。

農地の承継では、税額だけが判断材料になるわけではありません。農業を本当に継続できるのか、農地法上の制約を守れるのか、後継者が農業経営を担えるのか。こうした点が判断の中心になります。

12-3. 医療法人・持分あり医療法人・認定医療法人との境界

12-3では、医療法人の承継を、一般事業会社の法人版事業承継税制と切り分けて整理します。

医療法人は、株式会社とは制度の目的もガバナンスも異なります。持分あり医療法人では、出資持分の相続、払戻請求、持分評価、持分なし医療法人への移行、認定医療法人制度といった論点が問題になります。

そして医療法人は、医療法上の規制を受ける法人です。通常の非上場会社の株式承継と同じ前提で扱うことはできません。

厚生労働省は、持分の定めのない医療法人への移行計画認定制度について、制度概要、認定要件、手続、質疑応答、定款例などの資料を公表しています。
出典:厚生労働省|持分の定めのない医療法人への移行計画の認定申請について

この詳細コラムは、持分あり医療法人の出資者の方、医療法人の理事長承継、親族内承継、医療法人のM&A、認定医療法人制度を検討されている方に向いています。

医療法人については、「法人だから法人版事業承継税制」と単純に考えるのではなく、まず医療法人固有の制度を確認することが重要です。

12-4. 一般社団法人・持株会社・信託スキームの位置づけ

12-4では、一般社団法人、持株会社、家族信託、株式信託など、事業承継税制以外の支配権承継スキームの位置づけを整理します。

これらの手法は、後継者への議決権集中、認知症対策、株式分散の防止、資産管理、親族間の調整に役立つことがあります。しかし、スキームを作れば税務上有利になる、というほど単純な話ではありません。

一般社団法人の利用には、制度趣旨と課税リスクがあります。持株会社には、株式評価、資金移動、組織再編税制、金融機関への説明といった問題がついてまわります。信託には、所有、議決権、受益権、課税関係をどう整合させるかという難しさがあります。

事業承継の実務では、種類株式、信託、生命保険、持株会社などが、円滑な承継に資する手法として扱われることがあります。ただし、これらはあくまで承継目的に応じた手段にすぎません。

この詳細コラムは、スキームの提案を受けているものの合理性に不安がある方、先代の判断能力の低下に備えたい方、株式を移さずに議決権を安定させたい方、持株会社や一般社団法人を使った承継を検討している方に向いています。

12-5. 組織再編税制・資本政策を使う前後の整理

12-5では、合併、会社分割、株式交換、株式移転、種類株式、自己株式、持株会社化などを、事業承継税制の前後でどのように整理すべきかを扱います。

組織再編や資本政策には、後継者ごとに事業を分ける、株式を集約する、持株会社を作る、少数株主問題を整理する、不採算事業を切り離すといった、経営判断としての意味があります。

一方で税務上は、適格・非適格の判定、時価課税、株主課税、登録免許税、不動産取得税、消費税、繰越欠損金、納税猶予の取消リスクなど、複数の論点が重なり合います。

とりわけ、事業承継税制を適用した後に組織再編を行う場合は、単なるグループ再編にとどまらず、納税猶予を維持できるかという観点が加わります。

承継前に再編するのか、承継後に再編するのか。特例承継計画や認定後の報告にどう影響するのか。ここを確認しないまま進めてしまうと、将来の経営判断が制約される可能性があります。

この詳細コラムは、事業承継前に持株会社化や会社分割を検討している方、承継後の合併・分割・株式交換を予定している方、少数株主対策と組織再編を組み合わせたい方に向いています。組織再編の詳細な計算ではなく、事業承継税制との接続点を確認する記事です。

12-6. M&A・第三者承継へ切り替える判断の境界

12-6では、親族内承継・従業員承継から、M&A・第三者承継へ切り替える判断の境界を整理します。

事業承継税制は、後継者に株式や事業用資産を承継させ、事業を継続することを前提として設計されています。

しかし、後継者がいない、後継者はいても経営の継続に不安がある、会社の財務状態が悪化している、他社との統合のほうが事業を守れる。こうした場合には、M&Aや第三者承継を検討すべき場面があります。

中小企業庁は、事業承継を親族内承継、従業員承継、M&A(社外への引継ぎ)に分類し、親族や社内に適任者がいない場合でも第三者に承継できる選択肢があることを示しています。
出典:中小企業庁|事業承継を知る

また、中小企業庁は中小M&Aガイドラインを公表しており、第3版では、仲介者・FAの業務内容、手数料、説明、利益相反等に関する規律が整理されています。
出典:中小企業庁|中小M&Aガイドライン

この詳細コラムは、後継者不在、親族内承継への迷い、従業員承継の資金不足、将来の売却可能性、廃業の回避を考えている会社に向いています。

なお、本シリーズでは、M&Aの相手探し、デューデリジェンス、契約交渉、PMIまでは扱いません。ここで整理するのは、事業承継税制を使う判断と、第三者承継へ切り替える判断の境界です。

12-7. 税理士・会計士・弁護士・司法書士・金融機関の役割分担

12-7では、事業承継税制と関連制度を検討する際に、どの専門家に何を相談すべきかを整理します。

事業承継税制は、税理士だけで完結する制度ではありません。

自社株評価、納税猶予額、税務申告、継続届出は、たしかに税務の中心論点です。しかしそれ以外にも、遺留分、株主間契約、名義株、少数株主、登記、組織再編、金融機関からの借入、経営者保証、M&A支援機関との関係など、複数の専門領域が関係してきます。

事業承継では、顧問税理士や金融機関が相談窓口になることも多いものです。一方、後継者が不在の場合には、士業等の専門家、金融機関、M&A専門業者、商工団体、事業承継・引継ぎ支援センターといった支援機関と連携する必要があります。

この詳細コラムは、誰に相談すべきか分からない方、すでに複数の専門家に相談しているものの全体の管理ができていない方、税務・法務・登記・金融の役割分担を整理したい方に向いています。

読む順番の考え方

第12テーマは、原則として12-1から12-7まで順番にお読みいただくと、制度の境界を無理なく理解できる構成になっています。

まず12-1で、事業用宅地と事業承継税制の関係を確認します。次に12-2で、農地や農業承継がある場合の別制度を確認します。ここまでで、資産税制との境界が見えてきます。

続いて12-3で、医療法人という特殊法人の境界を確認します。さらに12-4で、一般社団法人、持株会社、信託といった制度外スキームの位置づけを確認します。ここまでで、法人形態や支配権設計の境界が整理できます。

そのうえで、12-5で組織再編税制・資本政策との接続を確認し、12-6でM&A・第三者承継への切替えを確認します。最後に12-7で、税理士、会計士、弁護士、司法書士、金融機関の役割分担を整理していただくと、実際に相談へ進むための準備が整います。

ただし、医療法人の方は12-3から、後継者が不在の方は12-6から、専門家への相談を急いでいる方は12-7から読み始めていただいてもかまいません。

大切なのは、興味のある記事だけを単独で読むのではなく、隣接する制度との関係を確認することです。

このテーマで扱わないこと

第12テーマでは、M&Aの具体的な売却プロセス、相手探し、企業価値評価、デューデリジェンス、基本合意書、最終契約、表明保証、PMIは扱いません。これらはM&A実務という別の領域になります。

また、組織再編税制の詳細な適格要件の判定、合併比率・分割比率の算定、株式交換・株式移転の詳細な手続、具体的な税額計算、申請書の記載例、契約書の文案、遺言書の文案、信託契約書の文案も扱いません。

このテーマの目的は、詳細実務の代替ではありません。「どの制度を検討すべきか」「どの専門家に相談すべきか」「どの論点を先に整理すべきか」を明確にすることにあります。

個別の案件で実行へ進む場合には、税務、会計、会社法、相続法務、登記、金融、許認可、M&A実務の各専門家による検討が必要になります。

相談前に整理しておきたい視点

第12テーマの記事をお読みいただく前に、自社について次の点を整理しておかれると、理解がぐっと深まります。

まず、承継の対象が何かを確認します。自社株なのか、個人所有の事業用資産なのか、事業用宅地なのか、農地なのか、医療法人の持分なのか、信託受益権なのか。対象によって、見るべき制度が変わってきます。

次に、承継先が誰かを確認します。親族内の後継者、役員・従業員、第三者、法人、持株会社、信託受託者。誰が取得するかによって、税務評価、議決権、資金、相続法務が変わります。

さらに、承継後に何をしたいのかを確認します。事業を長期にわたって継続するのか、数年後にM&Aを考えるのか、事業を分割するのか、持株会社化するのか、廃業の可能性を残すのか。事業承継税制は将来の経営判断を制約する可能性があるため、出口を見ないまま適用してはいけません。

最後に、誰に説明する必要があるかを確認します。後継者、他の相続人、少数株主、従業員、金融機関、取引先、税務署、都道府県、そして専門家。事業承継税制と関連制度の判断は、後から説明できる形で資料化しておくことが重要です。

まとめ

第12テーマは、事業承継税制の「外側」を整理するテーマです。

事業承継税制は重要な制度ですが、万能ではありません。小規模宅地等、農地等納税猶予、医療法人制度、一般社団法人、信託、持株会社、組織再編、M&A、専門家連携との境界を確認しないままでは、制度を使った後になって「別の制度を選ぶべきだった」「将来の再編が難しくなった」「M&Aの可能性を十分に検討していなかった」という問題が生じる可能性があります。

このテーマで大切なのは、制度を広げすぎないことです。

事業承継税制で扱うべきもの、関連制度として比較すべきもの、別シリーズ・別の専門家に委ねるべきもの。これらを切り分けることが、結果として会社を守る判断につながります。

犬飼公認会計士・税理士事務所では、事業承継税制の適用可否だけでなく、関連制度、特殊資産、特殊法人、組織再編、M&Aの可能性、専門家連携まで含めて、承継判断の前提を整理します。

自社株評価や納税猶予額だけでは判断しきれない会社、事業用不動産・農地・医療法人・持株会社・信託・M&Aの可能性が絡む会社は、早い段階で論点を切り分けておくことが重要です。どの記事から読めばよいか迷われている場合や、自社の制度境界を整理したい場合は、お問い合わせページからご相談ください。

重要事項の振り返り

確認項目このテーマでの位置づけ次に読む記事
事業用宅地がある小規模宅地等の特例と事業承継税制の違いを確認する12-1
農地・農業用資産がある農地等納税猶予、個人版、法人版の境界を確認する12-2
医療法人である一般事業会社の法人版事業承継税制と同じ前提で扱わない12-3
一般社団法人・持株会社・信託を検討しているスキーム先行ではなく、合理性・課税関係・支配権を整理する12-4
組織再編や資本政策を予定している承継前後の実行時期、株式評価、取消リスクを確認する12-5
後継者不在・将来売却の可能性がある事業承継税制ではなくM&A・第三者承継を検討すべきか確認する12-6
誰に相談すべきか分からない税理士・会計士・弁護士・司法書士・金融機関の役割を分ける12-7
詳細な計算や契約書が必要テーマトップでは扱わず、個別相談・別シリーズで検討する13-5・13-6
判断を後から説明したい制度選択、比較資料、専門家レビュー、意思決定記録を残す13-4・13-6