不動産承継・土地分割・共有・登記|相続不動産を「分ける・使う・登記する」ための論点地図

相続財産のなかに不動産があると、相続税の評価額だけでは判断できない問題が、一気に増えていきます。

自宅を誰が取得するのか。更地を分けるのか、売るのか、貸すのか。賃貸物件を共有にしてよいのか。古い空き家を残すのか、解体するのか。相続登記をいつ行うのか。土地を分けた後に、そこへ建物を建てられるのか。売却して納税資金に充てる場合、相続税申告と譲渡所得税をどうつなげるのか。

不動産の相続では、「評価額がいくらか」だけでは足りません。「誰が取得すれば管理できるか」「分けた後に使えるか」「将来売れるか」「登記できるか」「税務上の説明ができるか」を、同時に考えていく必要があります。

この第8テーマでは、不動産を「評価する対象」としてだけでなく、「分ける財産」「使う財産」「登記する権利」「将来管理する資産」として整理します。土地分割、共有不動産、建築制限、相続登記、所有者不明土地、空き家、売却、不動産活用まで、各詳細コラムへ進むための論点地図としてお読みください。

このテーマで扱うこと

第8テーマ「不動産承継・土地分割・共有・登記」では、不動産相続で判断が止まりやすい場面を、次の順序で整理していきます。

まず押さえるのは、不動産を相続で分ける前に確認すべき全体像です。現況、接道、権利関係、評価、建築制限、納税資金、将来利用を、まとめて見る視点が欠かせません。不動産は、預金のように人数で単純に割れるものではありません。入口で確認すべき事実関係を取り違えると、その後の遺産分割、登記、申告、売却にまで影響が及びます。

次に、土地を分筆・分割する場合の税務上の注意点を確認します。分割後の評価単位、地目、利用状況、権利関係、不合理分割、そして二次相続への影響まで整理しておかなければなりません。土地分割の実務では、都市計画法・建築基準法、不合理分割、共有、抵当権、貸借関係、高圧線下地、地中埋設物など、評価だけでは完結しない論点が幾重にも重なります。

さらに、建築基準法・都市計画との関係を確認します。分割後の土地に建物が建てられるか。接道義務を満たすか。道路後退や私道、インフラ、境界確定に問題がないか。これらは、相続税評価とはまったく別の軸です。土地分割を考える際には、建築の視点、不動産実務の視点に加え、インフラ整備、敷地境界、道路後退、私道の所有形態まで確認する必要があります。

共有不動産についても触れます。「とりあえず共有」という選択が、将来の管理・修繕・賃貸・売却・次世代承継の場面で問題を生むことは少なくありません。共有不動産では、使用方法、費用負担、賃料収入の分配、管理方法、共有関係の解消などが、典型的な紛争要因になります。

また、令和6年4月1日から相続登記の申請義務化が始まりました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をする必要があります。正当な理由がないのに申請しない場合には、10万円以下の過料が科される可能性もあります。遺産分割で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、その内容に応じた登記が必要です。
出典:法務省|相続登記の申請義務化に関するQ&A

不動産を持ち続けることだけが論点ではありません。空き家・空き地の管理、所有者不明土地、未登記不動産、相続後の売却、納税資金、不動産活用まで含めて考えることも、このテーマの範囲です。相続対策では、相続税の軽減だけでなく、争族防止、納税資金、税額軽減を一体で考える必要があります。とりわけ、多額の借入金で賃貸不動産を建築する対策は、相続税が軽減されても、相続人が長期の返済を引き継ぐことがあります。税額だけで判断してよい話ではありません。

このテーマを読む前に押さえておきたい前提

このテーマは、第7テーマ「土地評価の基本と評価単位・画地調整」と密接につながっています。

第7テーマで扱うのは、土地の相続税評価をどう行うかという論点です。地目、評価単位、路線価、倍率、画地補正、貸家建付地、無道路地、不合理分割など、評価額を算定するための論点が中心になります。

これに対して第8テーマでは、その評価対象となる不動産を、相続人がどのように取得し、登記し、使い、管理し、売却し、あるいは活用するかを扱います。

つまり、第7テーマが「評価するための論点」、第8テーマが「承継して動かすための論点」です。

たとえば、土地を分ければ評価額が変わることがあります。しかし、その分け方が建築上使えない土地を生むのであれば、相続人にとって望ましい分割とはいえません。

共有にすれば、公平に見えることもあります。しかし、将来の売却や建替えに全員の合意が必要になれば、次世代で不動産が動かせなくなる可能性があります。

売却すれば納税資金は確保できます。ただしその場合、譲渡所得税、取得費加算、空き家特例、換価分割の整理が必要になります。

第8テーマでは、このように「税務上できること」と「実務上行うべきこと」を分けて整理していきます。

読む順番の全体像

このテーマは、8-1から8-10までを順に読むことで、不動産承継の入口から、土地分割、共有、登記、空き家、所有者不明土地、売却、不動産活用まで、自然に進める構成にしています。

初めて不動産相続を整理する方は、まず8-1から読み進めてください。土地を分けたい方、建築や分筆を考えている方は、8-2、8-3へ進みます。共有にするか迷っている方、すでに共有不動産をお持ちの方は、8-4、8-5が中心になります。相続登記や未登記不動産、古い相続が残っている場合は、8-6、8-8を優先してください。空き家・売却・不動産活用を考えている場合は、8-7、8-9、8-10へ進むと、相続後の資産管理まで見通しやすくなります。

以下では、各詳細コラムの役割をご案内します。ここでは概要にとどめ、具体的な判断手順や注意点は、それぞれの詳細コラムで整理します。

8-1. 不動産を相続で分ける前に確認すべきこと

不動産相続の入口となるコラムです。

不動産を誰が取得するかを考える前に、現況、接道、権利関係、評価、建築制限、納税資金、将来利用を確認する必要があります。自宅、賃貸物件、更地、駐車場、農地、共有地では、確認すべき事実がそれぞれ異なります。

「不動産をどう分けるべきか分からない」「評価額だけで判断してよいのか不安がある」「家族で話し合う前に論点を整理しておきたい」。そうした方の入口となるコラムです。

不動産相続では、最初に全体像を誤ると、その後の分筆、共有、売却、登記、申告まで影響が及びます。第8テーマの最初にお読みいただきたい記事です。

8-2. 土地を分筆・分割する場合の税務上の注意点

土地を相続人ごとに分けたい、贈与で一部を移したい、将来の二次相続を見据えて分筆したい。そうした場面で読むコラムです。

土地を分けると、評価単位、地目、利用区分、権利関係が変わることがあります。分割の仕方によっては、相続税評価が変わる一方で、不合理分割と見られる可能性や、二次相続で評価・利用が難しくなる可能性も出てきます。

「土地を分けると評価額が下がるのか」「分筆して相続させたい」「相続人ごとに土地を取得させたい」とお考えの方に向いた内容です。

ただし、詳細な土地評価そのものは第7テーマで扱います。このコラムで整理するのは、評価計算ではなく、分筆・分割を相続実務としてどう考えるかという視点です。

8-3. 土地分割と建築基準法・都市計画の関係

土地を分けた後に、その土地が本当に使えるのかを確認するためのコラムです。

相続税評価上は分けられても、建築基準法上の接道義務を満たさない、道路後退が必要になる、用途地域や建ぺい率・容積率により思った建物が建てられない、開発許可が必要になる。こうした問題が生じることがあります。

「分割後に家を建てられるか不安がある」「相続人ごとに土地を分けたいが、使いにくい土地にならないか確認したい」「不動産会社や建築士の説明と、税務上の評価がつながらない」。そうした方に向いた内容です。

土地分割は、税務だけでなく、建築・都市計画・不動産実務を横断して判断する必要があります。評価額を下げるための分割ではなく、将来使える土地として残せるかどうかを確認するための記事です。

8-4. 共有不動産を相続で避けたい理由

「とりあえず共有」にする前に、お読みいただきたいコラムです。

不動産を相続人全員の共有にすれば、一見すると公平に見えることがあります。しかし共有不動産は、管理、修繕、賃貸、売却、建替え、費用負担、賃料分配といった場面で、意思決定が止まりやすくなります。さらに、共有者の一人が亡くなると、その持分が次の相続によって細分化し、関係者が増えていくこともあります。

「不動産を兄弟で共有してよいか迷っている」「遺産分割で平等にするため共有を考えている」「将来揉めない分け方を考えたい」。そうした方に向いた内容です。

共有が常に悪いわけではありません。しかし共有を選ぶのであれば、管理者、費用負担、売却方針、そして将来の相続まで見通しておく必要があります。

8-5. 共有不動産を解消・整理する方法

すでに共有になっている不動産を整理したい場合に読むコラムです。

共有不動産の整理には、持分売買、共有物分割、交換、換価分割、代償金の支払いなど、複数の方法があります。それぞれについて、民法上の効果、登記、譲渡所得税、贈与税、登録免許税、不動産取得税などの検討が必要です。

「親族で共有している不動産を整理したい」「一人が取得して、他の共有者へ金銭を支払いたい」「売却して分けるべきか迷っている」。そうした方に向いた内容です。

共有解消は、単に持分を移す手続ではありません。どの方法で整理するかによって、税務と法務の結果が変わります。共有不動産を動かす前に、必ずお読みいただきたい記事です。

8-6. 相続登記義務化と相続税申告への影響

相続登記をいつ、どのように進めるかを確認するためのコラムです。

令和6年4月1日から、相続登記が義務化されました。相続人は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をする必要があります。また、令和6年4月1日より前に相続したことを知った不動産で、相続登記がされていないものについても、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。
出典:法務省|相続登記の申請義務化に関するQ&A

相続人申告登記は、3年以内に通常の相続登記を行うことが難しい場合に、簡易に相続登記の申請義務を履行できる仕組みとして設けられたものです。ただし、不動産についての権利関係を公示するものではありません。売却や抵当権設定をする場合には、別途、相続登記が必要になります。
出典:法務省|相続人申告登記について

「相続登記をいつまでにすればよいか知りたい」「相続税申告と登記をどう並行して進めるか迷っている」「遺産分割がまとまらない場合の登記対応を知りたい」。そうした方に向いた内容です。

相続登記は、司法書士の領域であると同時に、相続税申告資料、不動産評価、遺産分割協議書とも密接に関係します。

8-7. 空き家・空き地を相続する場合の税務と管理

相続した空き家・空き地を、残すか、売るか、解体するか。その判断を考えるためのコラムです。

空き家・空き地は、使っていなくても、固定資産税、管理費、修繕、近隣対応、災害リスクが生じます。売却する場合には、譲渡所得税や空き家特例の検討も必要になります。

被相続人の居住用財産を売ったときの特例では、対象となる家屋や敷地、相続後の利用状況、耐震基準、取壊し等について要件が定められています。たとえば対象となる被相続人居住用家屋は、相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていた家屋であること、昭和56年5月31日以前に建築されたこと、区分所有建物登記がされていないこと、相続開始の直前に被相続人以外に居住していた人がいなかったことなどが求められます。
出典:国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

「実家が空き家になる」「相続した空き地をどう管理すべきか分からない」「売却・解体・保有の判断材料を整理したい」。そうした方に向いた内容です。

空き家対策は、相続税申告だけで終わる問題ではありません。相続後の資産管理として考えていく必要があります。

8-8. 所有者不明土地・未登記不動産がある場合

古い相続が残っている土地、登記名義が亡くなった祖父母のままになっている土地、所有者が分からない土地。そうした不動産がある場合に読むコラムです。

所有者不明土地や未登記不動産では、相続人調査、数次相続、旧民法・現行民法による相続人判定、不在者、相続登記、管理制度、相続土地国庫帰属制度といった論点が出てきます。

相続土地国庫帰属制度は、相続または相続人に対する遺贈によって土地を取得した方が、一定の要件を満たす場合に、土地の所有権を国庫に帰属させることについて承認申請できる制度です。令和5年4月27日から始まっており、建物がある土地、担保権や使用収益権が設定されている土地、境界が明らかでない土地などは、引き取ることができない土地として整理されています。
出典:法務省|相続土地国庫帰属制度の概要

「古い相続登記が残っている」「誰が所有者か分からない土地がある」「未登記建物や古い名義の不動産を整理したい」。そうした方に向いた内容です。

この領域は、税理士だけで完結しないことが多く、司法書士、弁護士、土地家屋調査士、不動産鑑定士等との連携が必要になる場合があります。

8-9. 不動産を売却して相続税を納める場合の判断

不動産を売って納税資金に充てるかどうかを考えるためのコラムです。

相続税は、原則として金銭で納付します。不動産が多く、現預金が少ない相続では、売却、換価分割、代償分割、延納、物納などを検討することになります。不動産を売却する場合には、相続税申告だけでなく、売却時期、譲渡所得、取得費、取得費加算、空き家特例、遺産分割協議書の記載が問題になります。

相続財産を一定期間内に譲渡した場合には、相続税額のうち一定金額を、譲渡資産の取得費に加算できる特例があります。適用にあたっては、相続や遺贈により財産を取得したこと、その財産を取得した人に相続税が課税されていること、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していることなどの要件を満たす必要があります。
出典:国税庁|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

「相続税を払うために不動産を売るべきか迷っている」「申告期限までに売却できるか不安がある」「売却した場合の譲渡所得税まで見ておきたい」。そうした方に向いた内容です。

売却は、納税資金を確保する手段であると同時に、遺産分割と申告後の税務にも影響する判断です。

8-10. 不動産活用による相続対策の考え方

賃貸住宅の建築や不動産活用を、相続対策として検討している場合に読むコラムです。

不動産活用では、貸家建付地評価、借入金、賃貸経営、小規模宅地等の特例、収益性、空室、修繕、金利、相続人の負担を、一体で確認する必要があります。相続税評価額が下がる可能性があったとしても、借入金の返済や賃貸経営の負担が、相続人に残る場合があるからです。

「賃貸アパートを建てれば相続税対策になると言われた」「借入金を使った土地活用を検討している」「相続税が下がるとしても、家族に負担が残らないか不安がある」。そうした方に向いた内容です。

不動産活用は、節税策というより、長期の経営判断です。税額だけでなく、家族、資産、収益性、納税資金、将来の売却、税務調査での説明可能性まで確認する必要があります。

自分はどの記事から読めばよいか

不動産相続の全体像をまだ整理できていない場合は、8-1から読み始めてください。最初に不動産の現況、権利関係、評価、将来利用を見ておくことで、その後の判断が整理しやすくなります。

土地を分けたい場合は、8-2と8-3を続けて読むとよいでしょう。8-2では税務上の分割を、8-3では建築・都市計画上の利用可能性を扱います。分割して評価が下がるかどうかだけでなく、分割後に使える土地になるかを確認する流れです。

共有にするか迷っている場合は、8-4を先にお読みください。すでに共有になっている不動産を整理したい場合は、8-5へ進むと、解消方法ごとの法務・税務の入口が見えてきます。

相続登記や未登記不動産が気になる場合は、8-6と8-8が重要です。特に令和6年4月1日以後は、相続登記義務化を前提に、遺産分割と登記を分断せずに考える必要があります。

実家が空き家になる場合は、8-7をお読みください。相続後に売却して納税資金へ充てる可能性がある場合は、8-9も併せて確認すると、相続税申告と譲渡所得税の接点が整理できます。

賃貸住宅の建築や土地活用を検討している場合は、8-10をお読みください。相続税評価の引下げ効果だけでなく、借入金、収益性、空室、相続人の管理負担まで見て判断するための記事です。

第8テーマで重視する判断軸

このテーマで重視するのは、「不動産をどう評価するか」だけではありません。「その不動産を、家族が承継できる形に整えること」です。

特に大切なのは、次の5つの判断軸です。

第一に、権利関係

登記名義、共有持分、抵当権、借地権、賃貸借、使用貸借、未登記建物の有無を確認します。権利関係が曖昧なままでは、遺産分割も相続税申告も売却も、進めにくくなります。

第二に、利用可能性

現況、接道、道路種別、用途地域、建ぺい率、容積率、境界、インフラ、建物の老朽化を確認します。相続人が取得しても使えない土地、売れない土地、建て替えられない土地であれば、分け方そのものを再検討する必要があります。

第三に、税務上の説明可能性

評価単位、地目、貸家建付地、小規模宅地等、譲渡所得、取得費加算、空き家特例などは、資料と事実に基づいて判断します。税額を下げるための形式だけの整理は、申告後に説明が難しくなる可能性があります。

第四に、家族間の納得感

自宅を取得する人、賃貸物件を管理する人、代償金を支払う人、売却に同意する人。それぞれ立場は異なります。不動産は金額が大きく、生活や感情とも結びつきやすいものです。だからこそ、分け方の理由を言語化しておくことが重要になります。

第五に、将来管理

一次相続でまとまったように見えても、二次相続で共有者が増える、遠方の相続人が管理できない、空き家が老朽化する、借入金の返済が続く、といった問題が残ることがあります。相続発生時だけでなく、その後10年、20年の管理まで見据える必要があります。

相談前に整理しておくとよい資料

不動産承継のご相談では、資料の有無によって判断の精度が大きく変わります。

固定資産税課税明細書、名寄帳、登記事項証明書、公図、地積測量図、建物図面、賃貸借契約書、借入金資料、建築確認関係資料、測量資料、境界確認資料、売却査定資料、管理費・修繕費の資料、固定資産税の納付状況、過去の遺産分割協議書、遺言書、相続人関係図。これらを可能な範囲で整理しておくと、税務・法務・登記・不動産実務を接続しやすくなります。

すべての資料がそろっていなくても構いません。まずは「どの不動産について、何が分からないのか」を整理することが重要です。特に、登記名義が古い、共有者が多い、空き家がある、借入金がある、賃貸中である、売却を検討している、土地を分けたい。こうした場合には、早めに論点を洗い出しておく必要があります。

不動産相続は、税理士だけで完結しないことがある

不動産承継では、税務判断だけで完結しない場面が数多くあります。

相続税評価や申告は税理士の領域ですが、登記は司法書士、境界や測量は土地家屋調査士、建築可否は建築士や行政調査、不動産価格や特殊土地の評価は不動産鑑定士、紛争性がある遺産分割や共有物分割は弁護士と、それぞれ連携が必要になる場合があります。

重要なのは、最初からすべての専門家に相談することではありません。まず、税務上の論点、法務上の論点、登記上の論点、不動産実務上の論点を切り分け、どの段階で誰に確認すべきかを整理することです。

犬飼公認会計士・税理士事務所では、不動産承継を相続税申告の一項目としてだけでなく、遺産分割、土地評価、登記、納税資金、売却、将来管理までつながる判断として整理します。資料を確認しながら、必要に応じて、司法書士、弁護士、不動産鑑定士等との連携が必要な論点も明確にしていきます。

まとめ|不動産は「分けた後」「登記した後」「申告した後」まで考える

不動産の相続で大切なのは、相続税評価額だけを見て判断しないことです。

土地を分けるなら、分けた後に使えるか。共有にするなら、将来の管理や売却で止まらないか。相続登記をするなら、遺産分割や申告資料と整合しているか。空き家を残すなら、管理・固定資産税・売却可能性を見ているか。不動産活用をするなら、税額軽減だけでなく、収益性と相続人の負担を見ているか。

第8テーマの各詳細コラムは、こうした問いに順番に答えるための入口です。自宅、賃貸物件、更地、空き家、共有地、古い名義の土地など、保有している不動産の状況に近い記事から読み進めてください。

不動産承継は、後から「こうしておけばよかった」となりやすい領域です。相続発生前の分け方、相続発生後の申告・登記、納税資金、将来の売却までを早い段階で整理しておくことで、家族にとって説明しやすい判断に近づきます。

不動産を含む相続について、分け方、評価、登記、売却、納税資金、将来管理の論点を整理したい場合は、固定資産税資料、登記資料、財産一覧、相続人関係、現在の利用状況が分かる資料を、可能な範囲でご準備のうえ、犬飼公認会計士・税理士事務所のお問い合わせページからご相談ください。初期の段階で論点を整理しておくことで、税務だけでなく、登記・法務・不動産実務との連携が必要な箇所も見えやすくなります。

振り返り

確認したいこと読むべき詳細コラム判断のポイント
不動産相続の全体像を知りたい8-1評価額だけでなく、現況、権利関係、利用可能性、納税資金を見る
土地を分筆・分割したい8-2評価単位、不合理分割、二次相続、分割後の利用を確認する
分割後に建物が建てられるか知りたい8-3接道、道路後退、用途地域、建ぺい率・容積率、開発許可を見る
共有にしてよいか迷っている8-4管理、修繕、売却、賃料分配、次世代承継のリスクを確認する
既存の共有不動産を整理したい8-5持分売買、共有物分割、換価、代償金、譲渡課税を比較する
相続登記の期限や申告との関係を知りたい8-6相続登記義務化、相続人申告登記、遺産分割との整合性を確認する
空き家・空き地を相続する8-7管理責任、固定資産税、解体、売却、空き家特例を検討する
古い名義・未登記・所有者不明土地がある8-8相続人調査、数次相続、登記、管理制度、国庫帰属制度を整理する
不動産を売却して納税したい8-9売却時期、換価分割、譲渡所得、取得費加算、申告期限を確認する
賃貸住宅建築などの不動産活用を検討している8-10借入金、収益性、空室、相続人負担、評価減、税務リスクを確認する