海外子会社へのグループ内貸付は、実務上さまざまな顔を持ちます。単なる資金繰り支援のこともあれば、運転資金の貸付、設備投資資金、資本不足を補う長期資金、あるいは現地規制の関係で資本金として払い込めないために貸付の形を採った実質的な資本性資金であることもあります。
こうした貸付を前にすると、会計上の論点は「貸付金だから外貨建金銭債権として期末レートで換算し、為替差額を純損益に入れる」だけでは終わりません。
IAS第21号では、在外営業活動体に対する貨幣性項目のうち、決済が予定されておらず、かつ予見可能な将来に決済される可能性が低いものは、実質的に在外営業活動体に対する純投資の一部として扱われます。この場合、個別財務諸表や単体財務諸表では為替差額を純損益に認識します。一方、在外営業活動体と報告企業を含む連結財務諸表等では、同じ為替差額をその他の包括利益(OCI)に認識し、在外営業活動体を処分した時点で資本から純損益へ組み替えることになります。
なお、IAS第21号は、在外営業活動体に対する純投資を、報告企業が当該在外営業活動体の純資産に対して有する持分の額と定義しています。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
本稿では、前回の9-3「在外営業活動体の財務諸表換算とCTA」を踏まえ、その続編として、在外営業活動体に対する純投資を構成する貨幣性項目とグループ内貸付を整理します。取り上げるのは、会計上の純投資性、為替差額の純損益・OCI区分、処分時のリサイクリング、そして純投資ヘッジとの関係です。
税務上の過少資本税制、移転価格税制、源泉税、会社法上の資本維持規制、外為規制の詳細は本稿の中心ではありません。ただし、これらは会計判断の証拠として無視できない場面があるため、必要な範囲で触れていきます。
純投資を構成する貨幣性項目とは何か
企業は、在外営業活動体に対する債権または債務である貨幣性項目を有することがあります。IAS第21号では、そのうち決済が予定されておらず、予見可能な将来に決済される可能性が低い項目は、実質的に当該在外営業活動体に対する純投資の一部と位置づけられます。長期未収金や長期貸付金は含まれ得ますが、営業債権や営業債務は含まれません。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
ここで押さえておきたいのは、純投資性は「契約名」で決まるものではない、という点です。
貸付契約書に「長期貸付」と書かれていても、返済スケジュールが明確で、現地子会社の資金計画にも返済が織り込まれているのであれば、通常の外貨建貨幣性項目として為替差額が純損益に残る可能性が高くなります。反対に、形式上は貸付金であっても、現地法人の恒久的な資金基盤として提供され、返済請求の意思もなく、予見可能な将来に返済が見込まれない場合には、会計上は純投資を構成する貨幣性項目として扱う余地が出てきます。
実務では、次の3層に分けて考えると整理しやすくなります。
| 区分 | 典型例 | IAS第21号上の見方 |
|---|---|---|
| 通常の営業債権債務 | 売掛金、買掛金、ロイヤルティ未収、サービスフィー未収 | 原則として純投資を構成しない |
| 通常の資金貸借 | 短期貸付、返済期限付き貸付、キャッシュプール残高、運転資金ローン | 返済予定・返済可能性に応じて純損益処理が基本 |
| 純投資を構成し得る貨幣性項目 | 返済予定のない長期貸付、長期未収金、資本性貸付、恒久的な最低残高 | 要件を満たせば連結等で為替差額をOCI処理 |
私自身の整理としても、予見可能な将来に決済が見込まれない貸付金や長期未収金は純投資の一部となり得る一方、営業債権・営業債務はこれに含まれません。そして「予見可能な将来」とは特定の年数を指すものではなく、企業の意図や資金政策に基づく判断です。返済請求の意思があるのか、経営者が当該残高を投資の一部として捉えているのか。ここが判断の分かれ目になります。
「長期貸付」なら自動的に純投資になるわけではない
実務で最も危ういのは、長期貸付という形式から、いきなりOCI処理へ進んでしまうことです。
IAS第21号が求めているのは、単に返済期限が長いことではありません。要件は、決済が予定されていないこと、そして予見可能な将来に決済される可能性が低いことの二つです。
したがって、判断の中心は次のようになります。
| 判断軸 | 確認すべき事実 |
|---|---|
| 契約条件 | 満期日、期限前返済条項、利払い、担保、劣後条件、返済猶予条項 |
| 経営者の意図 | 返済を請求する意思の有無、投資回収方針、海外事業継続方針 |
| 資金計画 | 現地子会社のキャッシュ・フロー計画、配当計画、借換計画、設備投資計画 |
| 過去実績 | 同種貸付の返済実績、ロールオーバー実績、最低残高の維持状況 |
| 法的・規制環境 | 送金規制、資本規制、外貨交換規制、現地会社法上の資本維持 |
| 税務・財務政策 | 移転価格、過少資本、源泉税、グループ財務方針 |
| 監査証拠 | 取締役会資料、資金繰り表、融資契約、経営者確認書、グループ財務方針 |
たとえば、契約上は5年満期でも、毎期ロールオーバーされ、親会社が返済請求を行わず、現地法人の資金繰り上も返済原資が見込まれず、現地事業の継続に不可欠な最低資金として維持されている場合があります。このようなケースでは、全額または一定の最低残高部分について、純投資性を検討する余地があります。
一方で、返済期日が近く、借入契約や資金計画の上でも返済が予定され、親会社が資金回収を見込んでいるのであれば、長期貸付という形式だけで純投資性を支えることはできません。過去に同様の貸付金が返済されている場合には、前払金や貸付金が純投資の一部とはならない可能性がある点にも留意が必要です。
グループ内貸付は連結消去されるが、為替差額まで消えるとは限らない
グループ内貸付は、連結財務諸表では債権債務として消去されます。しかし、IAS第21号は、グループ内の貨幣性資産または負債について、対応するグループ内負債または資産と相殺消去するだけでは、為替変動の結果を連結財務諸表に表示したことにはならないとしています。貨幣性項目は一方の通貨を他方の通貨へ転換するコミットメントを表し、報告企業を為替変動による損益に晒すためです。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
このため、連結上は次のように整理します。
| 項目 | 連結上の処理 |
|---|---|
| グループ内貸付金・借入金の元本 | 債権債務として消去 |
| グループ内利息 | 収益費用として消去 |
| 通常のグループ内貨幣性項目から生じる為替差額 | 連結上も純損益に残る |
| 純投資を構成する貨幣性項目から生じる為替差額 | 連結等ではOCIに認識し、資本の独立項目に累積 |
| 在外営業活動体の処分時 | 累積額を純損益へ組替 |
つまり、「貸付金と借入金を消したのだから為替差額も消える」という処理は適切ではありません。消去されるのはグループ内残高そのものです。為替差額については、その貨幣性項目が通常の貨幣性項目か、純投資を構成する貨幣性項目かに応じて、純損益またはOCIに残ります。
この点は、連結決算システム上の自動仕訳で誤りが生じやすい領域でもあります。特に、グループ内貸付金を「内部取引」として一括消去している場合には、為替差額の残し方、OCIへの振替、CTAロールフォワード、非支配持分への配分が、システム設定と会計方針に整合しているかを確認しておく必要があります。
個別財務諸表・単体財務諸表と連結財務諸表で処理が異なる
純投資を構成する貨幣性項目の為替差額は、どの財務諸表で見ているかによって処理が変わります。
IAS第21号は、報告企業の純投資を構成する貨幣性項目から生じる為替差額について、次のように定めています。報告企業の個別財務諸表または在外営業活動体の個別財務諸表では純損益に認識する。そして、在外営業活動体と報告企業を含む財務諸表では、当初OCIに認識し、純投資の処分時に資本から純損益へ組み替える、というものです。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
整理すると、次のとおりです。
| 財務諸表 | 為替差額の処理 |
|---|---|
| 貸付会社の個別財務諸表 | 原則として純損益 |
| 借入会社である在外営業活動体の個別財務諸表 | 原則として純損益 |
| 親会社の個別財務諸表 | 貸付会社である場合は純損益。投資の測定区分やヘッジ指定は別途検討 |
| 連結財務諸表 | 要件を満たす純投資項目であればOCI |
| 持分法を適用する財務諸表 | 要件を満たす純投資項目であればOCI |
この区分は、監査対応で必ず確認される部分です。単体で純損益に認識した為替差額を連結上OCIへ振り替える場合、その振替が「連結修正仕訳」なのか、「在外営業活動体の換算差額の一部」なのかを、明確に説明できる状態にしておく必要があります。
また、貸付金そのものは金融資産です。個別財務諸表・単体財務諸表では、IFRS第9号の分類・測定、実効金利法、予想信用損失の検討が求められます。連結上はグループ内貸付金として消去される場合であっても、個別財務諸表上の金融資産性や信用リスク評価まで消えてしまうわけではありません。日本基準の文脈でも、貸付金等の金銭債権は金融資産に含まれるものとして整理されています。
通貨建てにより、どの会社で為替差額が発生するかが変わる
純投資を構成する貨幣性項目は、どの通貨建てで契約されているかによって、個別財務諸表上、どちらの会社に為替差額が生じるかが変わってきます。
IAS第21号は、この点を通貨建てごとに説明しています。純投資を構成する貨幣性項目が報告企業の機能通貨建てである場合には在外営業活動体の個別財務諸表で為替差額が発生します。在外営業活動体の機能通貨建てである場合には報告企業の個別財務諸表で発生します。そして、いずれの機能通貨とも異なる第三通貨建てである場合には、双方の個別財務諸表で発生します。これらの為替差額は、在外営業活動体と報告企業を含む財務諸表ではOCIに認識されます。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
実務では、次のように整理します。
| 貸付通貨 | 個別財務諸表で為替差額が生じやすい会社 | 連結等での処理 |
|---|---|---|
| 親会社の機能通貨建て | 在外営業活動体側 | 純投資要件を満たせばOCI |
| 在外営業活動体の機能通貨建て | 親会社または貸付会社側 | 純投資要件を満たせばOCI |
| 第三通貨建て | 双方に発生し得る | 純投資要件を満たせばOCI |
| 表示通貨建て | 表示通貨はヘッジ対象リスクとは別に検討 | 機能通貨差に基づき判断 |
ここで注意したいのは、表示通貨と機能通貨を混同しないことです。連結財務諸表が円表示であっても、親会社の機能通貨、貸付会社の機能通貨、在外営業活動体の機能通貨がそれぞれ何であるかを確認しなければ、為替差額の発生主体と処理を取り違えてしまいます。
純投資性の判断は「指定」ではなく、事実に基づく判定である
純投資を構成する貨幣性項目について、実務では「純投資指定」という言い方をすることがあります。しかし、IAS第21号における純投資性は、ヘッジ会計のような任意の指定によって成立するものではありません。
必要なのは、当該貨幣性項目について、決済が予定されておらず、予見可能な将来に決済される可能性が低いという事実関係です。社内メモに「純投資扱い」と書くだけでは足りません。取引の経済実態、契約条件、資金計画、経営者の意図が、互いに整合していることが求められます。
純投資性を判断するための資料としては、少なくとも次のものを整えておきたいところです。
| 資料 | 確認目的 |
|---|---|
| 貸付契約書 | 返済期限、利率、劣後条件、期限前返済条項を確認 |
| 取締役会議事録・稟議書 | 資本性資金として提供した意図を確認 |
| グループ財務方針 | 海外子会社への長期資金支援方針を確認 |
| 現地子会社の資金繰り計画 | 予見可能な将来に返済可能性があるかを確認 |
| 親会社の投資回収方針 | 売却、清算、配当、資本払戻しの予定を確認 |
| 過去の返済実績 | 同種貸付の返済パターンを確認 |
| ロールオーバー履歴 | 実質的な最低残高が維持されているかを確認 |
| 税務・法務メモ | 資本規制、送金規制、移転価格、源泉税の影響を確認 |
| 監査人協議メモ | 判断の前提と結論をレビュー可能にする |
この判断は、毎期まったく白紙からやり直すものではありません。ただし、前提が変わったときには見直しが必要になります。たとえば、海外子会社の売却方針が決定した、清算方針が固まった、資金回収計画が取締役会で承認された、現地規制が解除されて返済可能になった、第三者借入への借換えが可能になった――こうした事象は、純投資性の継続判断に影響します。
純投資を構成するかどうかの判断例
実務で迷いやすい典型例を整理してみます。
| ケース | 判断の方向性 |
|---|---|
| 現地子会社の設備投資資金として10年貸付を実行し、返済原資は事業成長後の余剰資金のみ | 純投資性を検討する余地がある |
| 契約上5年満期だが、毎期ロールオーバーされ、一定の最低残高が恒久的に維持されている | 最低残高部分について純投資性を検討する余地がある |
| 3か月更新のキャッシュプール残高 | 通常は純投資性を支えにくい |
| 販売取引から生じた売掛金を長期間回収していない | 営業債権であり、原則として純投資を構成しない |
| 親会社が返済猶予をしているが、現地子会社の資金計画では3年後返済予定 | 純投資性は慎重に判断すべき |
| 現地規制により資本払込ができず、形式上貸付として資金拠出している | 契約・規制・経営方針を踏まえ純投資性を検討 |
| 将来の売却・清算が取締役会で承認され、貸付回収も計画されている | 純投資性は失われる可能性がある |
| 兄弟会社が在外営業活動体へ貸付を行っている | 親会社連結上、要件を満たせば純投資の一部となり得る |
IAS第21号は、純投資を構成する貨幣性項目を有する企業が、必ずしも親会社自身である必要はないとしています。グループ内の別の子会社が在外営業活動体へ貸付を行っている場合でも、決済が予定されておらず、予見可能な将来に決済される可能性が低いのであれば、親会社の連結財務諸表上、その貸付金は当該在外営業活動体に対する純投資の一部となり得ます。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
この規定は、国際グループでは非常に重要です。日本親会社が直接貸し付けていなくても、シンガポールの中間持株会社、欧州のファイナンス会社、米国の地域統括会社が貸付人となることは珍しくありません。そうした場合でも、親会社連結の視点では、どの会社が貸付人かだけを見るのではなく、当該貸付がグループとして在外営業活動体への純投資を構成しているかどうかを検討します。
純投資性が認められた場合の連結仕訳イメージ
簡単な例で整理してみましょう。
日本親会社P社の機能通貨は円、在外子会社S社の機能通貨は米ドルとします。P社はS社に対し、長期貸付金100百万米ドルを実行しました。返済は予定されておらず、予見可能な将来に返済される可能性も低いと判断されています。
個別財務諸表では、P社は外貨建貸付金を期末レートで換算し、為替差額を純損益に認識します。S社側も、借入通貨がS社の機能通貨と異なる場合には、個別財務諸表上、為替差額を純損益に認識します。
連結財務諸表では、貸付金と借入金の元本は消去されます。ただし、その貨幣性項目が純投資を構成する場合には、当該為替差額はOCIに認識され、資本の独立項目に累積されます。
| ステップ | 処理 |
|---|---|
| 1 | 個別財務諸表で外貨建貸付金・借入金をIAS第21号に従い換算 |
| 2 | 個別財務諸表では為替差額を純損益に認識 |
| 3 | 連結上、貸付金・借入金を消去 |
| 4 | 純投資を構成する貨幣性項目に係る為替差額をOCIへ振替 |
| 5 | 資本の独立項目として累積 |
| 6 | 在外営業活動体の処分時に純損益へ組替 |
この連結修正は、単なる表示替えではありません。為替差額を「通常の貨幣性項目に係る為替損益」として純損益に残すのか、それとも「純投資を構成する貨幣性項目に係る換算差額」としてOCIに振り替えるのか。その判断は、在外営業活動体への投資実態の判断そのものです。
返済予定が変わった場合の取扱い
純投資性は、いったん判断すれば永久に固定される、というものではありません。
当初は返済予定がなく、予見可能な将来に決済される可能性も低かった貸付金について、その後、経営者が返済方針を決定したり、返済可能性が高まったりすることがあります。その場合には、その時点以後の為替差額を、純投資項目としてOCI処理し続けることが妥当かどうかを見直す必要があります。
判断の分岐点は次のとおりです。
| 事象 | 会計上の検討 |
|---|---|
| 返済スケジュールが正式に承認された | 以後、純投資性が失われる可能性 |
| 売却・清算方針が決定された | 貸付金回収と在外営業活動体処分の関係を検討 |
| 配当・資本払戻しにより実質回収が予定された | 投資回収なのか通常の利益分配なのかを検討 |
| 借換えにより外部金融機関から返済原資を調達する計画がある | 返済可能性が高まるため純投資性を再評価 |
| 一部返済が実行された | 返済部分と残高部分を区分し、処分・部分的処分該当性も検討 |
| 資金繰り悪化により返済不能となった | 単なる信用悪化なのか、投資性資金への性質変更なのかを検討 |
ここで難しいのは、貸付金の返済が、ただちに在外営業活動体の「処分」または「部分的処分」に該当するかどうかです。IAS第21号上、在外営業活動体の処分時には累積為替差額を純損益へ組み替えます。もっとも、投資の返済が外貨換算差額累計額のリサイクリングを生じさせるかどうかについては、実務に多様性があることがIFRS解釈委員会で指摘されてきました。IAS第21号の本文にも、外貨換算差額累計額の組替に関し、投資の返済が相対的な所有持分の減少なのか、絶対額としての投資額の減少なのか、あるいはその両方なのかによって、実務上の解釈が分かれ得る旨の議論が示されています。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
したがって、貸付金の返済や資本払戻しが予定される局面では、「今後の為替差額をどこに認識するか」だけを考えれば足りるわけではありません。「過去にOCIへ累積した金額を、いつ純損益へ組み替えるか」まで、処分・部分的処分の論点として慎重に整理しておく必要があります。
在外営業活動体の処分時のリサイクリング
純投資を構成する貨幣性項目に係る為替差額は、在外営業活動体と報告企業を含む財務諸表ではOCIに認識され、資本の独立項目に累積されます。この累積額は、在外営業活動体を処分したときに純損益へ組み替えます。
IAS第21号は、在外営業活動体の処分時に、当該在外営業活動体に係る累積為替差額のうち、OCIに認識され資本の独立項目に累積されていた金額を、処分損益を認識する時点で資本から純損益へ組み替えると定めています。また、支配喪失を伴う子会社の一部処分や、関連会社・共同支配の取決めの一部処分後に残存持分が金融資産となる場合なども、処分として扱われます。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
在外営業活動体の処分には、売却だけでなく、清算、資本の払戻し、放棄なども含まれ得ます。一方で、在外営業活動体の帳簿価額を減損により切り下げるだけでは、部分的処分には該当しません。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
実務上は、次のように整理します。
| 事象 | 累積為替差額の取扱い |
|---|---|
| 在外子会社の全部売却 | 累積額を純損益へ組替 |
| 在外子会社の清算 | 累積額を純損益へ組替 |
| 支配喪失を伴う一部売却 | 処分として組替 |
| 支配を維持する一部売却 | 比例部分を非支配持分へ再配分 |
| 関連会社・共同支配企業の一部処分後、残存持分が金融資産 | 処分として組替 |
| その他の部分的処分 | 比例部分を純損益へ組替 |
| 減損損失 | 原則として組替なし |
| 貸付金の一部返済 | 処分・部分的処分該当性を慎重に検討 |
9-3で扱ったCTAと同様に、純投資を構成する貨幣性項目に係る累積OCIも、在外営業活動体の処分時には投資成果の一部として純損益に反映されます。そのため、純投資項目ごとの為替差額ロールフォワードを作成していないと、処分時の組替額を説明できなくなります。
純投資ヘッジとの関係
在外営業活動体に対する純投資は、IFRS第9号のヘッジ会計上、純投資ヘッジのヘッジ対象となり得ます。
IFRS第9号は、在外営業活動体に対する純投資のヘッジ――すなわち純投資の一部として会計処理される貨幣性項目のヘッジを含みます――について、純投資ヘッジをキャッシュ・フロー・ヘッジと同様に会計処理すると定めています。有効なヘッジと判断されるヘッジ手段の利得または損失はOCIに認識し、非有効部分は純損益に認識します。
出典:IFRS Foundation|IFRS 9 Financial Instruments
また、IFRIC第16号は、純投資ヘッジについて重要な3点を明確にしています。
第一に、表示通貨そのものは、ヘッジ会計を適用できるリスク・エクスポージャーを生じさせません。ヘッジ対象となるのは、親会社自身の機能通貨と在外営業活動体の機能通貨との差から生じる為替差額です。第二に、純投資ヘッジのヘッジ手段は、親会社だけでなく、グループ内のいずれの企業が保有していても差し支えありません。第三に、ヘッジ手段に関して外貨換算差額累計額から純損益へ組み替える金額は、IFRS第9号に基づいて決定されます。
出典:IFRS Foundation|IFRIC 16 Hedges of a Net Investment in a Foreign Operation
純投資ヘッジの関係を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 純投資項目そのもの | 純投資ヘッジ |
|---|---|---|
| 基準 | IAS第21号 | IFRS第9号、IFRIC第16号 |
| 対象 | 在外営業活動体に対する純投資を構成する貨幣性項目 | 純投資から生じる為替リスク |
| 判断方法 | 決済予定・予見可能な将来の決済可能性を判断 | ヘッジ指定・文書化・有効性要件を満たす必要 |
| 為替差額 | 連結等でOCI | 有効部分はOCI、非有効部分は純損益 |
| 処分時 | 累積額を純損益へ組替 | ヘッジ手段に係る累積額も処分時に組替 |
| 文書化 | 会計判断メモが必要 | ヘッジ開始時の公式な指定と文書化が必要 |
ここで混同しやすいのは、純投資項目のOCI処理と、純投資ヘッジのヘッジ会計とが、別の論点だという点です。
在外営業活動体に対する長期貸付が純投資を構成する場合、その貸付金に係る為替差額は、IAS第21号により連結等でOCI処理されます。他方、外貨建借入や為替予約を用いて、その純投資から生じる為替リスクをヘッジする場合には、IFRS第9号のヘッジ会計要件を満たす必要があります。両者は、いわば別のレイヤーの話です。
なお、純投資ヘッジは、在外営業活動体に対する純投資に係る為替レート変動の影響をヘッジするものであり、ヘッジ関係の一類型として位置づけられます。
純投資ヘッジで特に注意すべき文書化
純投資ヘッジは、純投資性があるというだけでは適用できません。IFRS第9号上のヘッジ会計である以上、開始時点で公式な指定と文書化が必要です。
純投資ヘッジの文書化では、少なくとも次の点を明確にしておきます。
| 文書化項目 | 実務上の確認事項 |
|---|---|
| リスク管理目的 | なぜ在外営業活動体への純投資の為替リスクをヘッジするのか |
| ヘッジ対象 | どの在外営業活動体のどの純投資額をヘッジするのか |
| ヘッジ対象リスク | 親会社の機能通貨と在外営業活動体の機能通貨の差から生じる為替リスク |
| ヘッジ手段 | 外貨建借入、為替予約、通貨スワップ等 |
| ヘッジ比率 | 実際のリスク管理に用いる比率と会計上の指定比率 |
| 有効性評価 | 経済的関係、信用リスクの支配的影響の有無、ヘッジ比率の妥当性 |
| 非有効部分 | 純損益認識される部分の測定方法 |
| 処分時処理 | 累積OCIの組替方法 |
IFRS第9号の純投資ヘッジは、キャッシュ・フロー・ヘッジと同様に処理されます。この点に関連して、2016年3月のIFRS解釈委員会アジェンダ決定では、純投資ヘッジの有効部分を決定する際にも、キャッシュ・フロー・ヘッジにおける「lower of」テストを適用することが示されています。
出典:IFRS Foundation|IFRS 9 Financial Instruments
すなわち、純投資ヘッジにおいて外貨換算剰余金に認識する金額は、ヘッジ手段に係る利得または損失の累計額と、ヘッジ対象に係る予想将来キャッシュ・フローの公正価値変動累計額のいずれか小さい方とする必要があります。
「表示通貨のリスク」をヘッジ対象にしない
純投資ヘッジで実務上ありがちな誤解は、連結財務諸表の表示通貨が円であることから、「円表示の連結財務諸表上の換算リスク」をそのままヘッジ対象にしてしまうことです。
しかし、IFRIC第16号は、表示通貨はヘッジ会計を適用できるリスク・エクスポージャーを生じさせないとしています。ヘッジ対象となるのは、あくまで親会社自身の機能通貨と在外営業活動体の機能通貨の差から生じる為替差額です。
出典:IFRS Foundation|IFRIC 16 Hedges of a Net Investment in a Foreign Operation
これは、グローバル企業では特に重要になります。
たとえば、日本上場会社の連結財務諸表が円表示であっても、親会社の機能通貨が円であるとは限りません。投資持株会社、地域統括会社、外貨建収支が支配的な企業では、親会社または中間持株会社の機能通貨が円以外となる場合があります。純投資ヘッジのヘッジ対象リスクを検討するときは、表示通貨ではなく、関係する企業の機能通貨を基準にする必要があります。
純投資を構成する貸付金とIFRS第9号の関係
在外営業活動体に対する貸付金が純投資を構成するとしても、それは「貸付金でなくなる」ことを意味しません。
個別財務諸表や単体財務諸表では、貸付金は金融資産としてIFRS第9号の対象になります。契約上のキャッシュ・フロー特性、事業モデル、償却原価測定、実効金利法、予想信用損失、条件変更、認識中止といった論点を、あらためて検討する必要があります。
純投資性は、主として連結財務諸表等における為替差額の表示・認識区分に関する判断です。貸付金の信用リスクや回収可能性がなくなるわけではありません。
| 論点 | 関係する基準 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 貸付金の金融資産性 | IFRS第9号 | 個別財務諸表では分類・測定・ECLを検討 |
| 為替差額の認識 | IAS第21号 | 個別では純損益、連結等では要件を満たせばOCI |
| グループ内消去 | IFRS第10号 | 元本・利息は消去されても為替差額は残る |
| 純投資ヘッジ | IFRS第9号、IFRIC第16号 | ヘッジ指定・文書化・有効性要件が必要 |
| 処分時組替 | IAS第21号 | 累積OCIを処分損益へ組替 |
| 税効果 | IAS第12号 | 投資回収方針、処分可能性、源泉税等を検討 |
特に、現地子会社の財政状態が悪化している場合には注意が必要です。純投資性があるからといって、貸付金の信用リスクや減損を検討しなくてよいわけではありません。個別財務諸表上の貸付金については、予想信用損失や回収可能性を検討する必要があります。その一方で、連結上は貸付金そのものが消去されます。したがって、個別上のECL、連結上の内部取引消去、在外営業活動体の減損、純投資性の為替差額処理を、それぞれ切り分けて整理しておくことが欠かせません。
税務・資本規制との関係
本稿は、税務上の過少資本税制や移転価格税制を主題とするものではありません。ただし、純投資性の判断では、税務・法務・規制上の資料が会計判断の証拠になることがあります。
たとえば、現地規制により資本金として払い込めないため貸付形式を採っている、現地外貨規制により返済送金が困難である、グループ税務方針上、配当ではなく長期貸付として資金を留保している――こうした事情は、返済予定や決済可能性の判断に影響します。
一方で、税務上の理由から「貸付」としていることは、会計上の純投資性を自動的に否定も肯定もしません。会計上は、契約上の権利義務、返済意思、資金計画、経済実態に基づいて判断します。
税効果については、為替差額や在外営業活動体への投資に係る一時差異が、IAS第12号の対象となる場合があります。IAS第21号も、外貨建取引から生じる利得・損失や、企業または在外営業活動体の業績・財政状態を異なる通貨へ換算することにより生じる為替差額について、IAS第12号が適用される場合があるとしています。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
日本基準の税効果実務でも、税効果会計は、会計上の資産・負債と税務上の資産・負債の差異を対象とし、税引前利益と法人税等を合理的に対応させる手続として整理されています。IFRSでは、海外子会社投資、未分配利益、CTA、源泉税、投資の処分方針を踏まえたうえで、IAS第12号の観点から個別に検討していく必要があります。
開示上の論点
純投資を構成する貨幣性項目は、財務諸表利用者にとって、海外事業への資金コミットメント、為替リスク、処分時損益への潜在的影響を示す重要な情報になり得ます。
IAS第21号は、純損益に認識した為替差額、OCIに認識し資本の独立項目に累積した純為替差額、および当該為替差額の期首から期末への調整を開示することを求めています。
出典:IFRS Foundation|IAS 21 The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates
さらに、純投資ヘッジを適用している場合には、IFRS第7号に基づく開示も問題になります。具体的には、キャッシュ・フロー・ヘッジおよび純投資ヘッジについて、ヘッジ非有効部分の基礎となるヘッジ対象の価値変動、継続中のヘッジに係る外貨換算差額累計額、ヘッジ会計を中止した関係から残存する外貨換算差額累計額などです。
出典:IFRS Foundation|IFRS 7 Financial Instruments: Disclosures
実務上、開示レビューでは次の点を確認します。
| 開示論点 | 確認事項 |
|---|---|
| 為替差額の純損益認識額 | 通常の外貨建貨幣性項目と純投資項目を区分できているか |
| OCIに認識された為替差額 | 在外営業活動体換算差額と純投資項目の為替差額を管理しているか |
| 期首・期末調整 | CTAロールフォワードと整合しているか |
| 純投資ヘッジ | ヘッジ手段、ヘッジ対象、非有効部分、累積額を説明できるか |
| リスク開示 | 為替リスク管理方針と会計処理が整合しているか |
| 処分時組替 | 在外営業活動体の売却・清算・部分処分に伴う組替額を説明しているか |
| 税効果 | OCIに係る税効果や投資一時差異の判断と整合しているか |
純投資項目は、単体上の為替差損益、連結上のOCI、資本の独立項目、ヘッジ会計、処分時損益、税効果が連動して動きます。ですから、注記の整合性を確認するときは、IAS第21号だけでなく、IFRS第7号、IFRS第9号、IAS第12号、IFRS第12号、IAS第24号までを視野に入れておく必要があります。
監査対応で重点的に見られるポイント
純投資を構成するグループ内貸付は、監査上、判断の根拠が問われやすい領域です。為替差額を純損益に認識するかOCIに認識するかによって、当期利益、包括利益、資本、そして将来の処分損益が変わってくるためです。
監査対応で特に確認されるのは、次のような点です。
| 監査上の観点 | 典型的な質問 |
|---|---|
| 純投資性の根拠 | なぜ予見可能な将来に返済されないと判断したのか |
| 経営者の意図 | 返済請求しない意思はどの資料で確認できるか |
| 契約条件 | 満期日や返済条項と純投資性が矛盾しないか |
| 資金計画 | 現地子会社のキャッシュ・フロー計画に返済が含まれていないか |
| 過去実績 | 同種貸付を返済していないか |
| 変更事象 | 売却、清算、配当、資本払戻し、借換えの計画はないか |
| 会計処理 | 個別純損益、連結OCI、消去仕訳が整合しているか |
| ヘッジ会計 | 純投資ヘッジの公式指定と文書化があるか |
| 開示 | IAS第21号、IFRS第7号、IFRS第9号の注記と整合しているか |
会計上の見積りや判断は、経営者の仮定によって財務諸表に大きな影響を与えます。それだけに監査上も重要な論点となり、見積り時点で当然考慮すべき事項をきちんと考慮していたかが問われます。純投資性の判断も、単なる分類問題ではありません。経営者の投資回収方針と将来事象の見通しを含む判断として、証拠化しておくことが求められます。
実務で誤りが生じやすいポイント
純投資とグループ内貸付をめぐっては、次のような誤りが特に多く見られます。
| 誤りやすい処理 | 問題点 |
|---|---|
| 長期貸付なら自動的に純投資扱いにする | 返済予定と予見可能な将来の決済可能性を検討していない |
| 営業債権の長期滞留を純投資扱いにする | IAS第21号上、営業債権・営業債務は純投資に含まれない |
| グループ内貸付を消去して為替差額も消す | IAS第21号上、為替差額は連結上も表示が必要 |
| 個別財務諸表でもOCI処理する | 個別財務諸表では原則として純損益認識 |
| 表示通貨を基準にヘッジ対象リスクを設定する | IFRIC第16号上、表示通貨はヘッジ対象リスクを生じさせない |
| ヘッジ文書化なしに純投資ヘッジを適用する | IFRS第9号の公式指定・文書化要件を満たさない |
| 返済方針変更後もOCI処理を継続する | 純投資性の前提が変化している可能性 |
| 貸付金返済時の累積OCIを検討しない | 処分・部分的処分該当性の検討が漏れる |
| ECLを検討しない | 個別財務諸表上の金融資産としての信用リスク評価が漏れる |
| 税効果を機械的に処理する | 投資回収方針、源泉税、各国税制、IAS第12号の検討が不足 |
純投資項目は、IFRSの中でも「会計処理の結論よりも、その結論を支える事実認定のほうが難しい」領域です。貸付契約、資金政策、税務方針、現地規制、M&A方針、ヘッジ方針が一貫していなければ、監査上、OCI処理の妥当性を説明することはできません。
論点整理メモに含めるべき事項
在外営業活動体に対する純投資とグループ内貸付については、次の構成で論点整理メモを作成しておくと、監査人・経営管理部門・税務担当者との議論がしやすくなります。
| メモ項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 取引概要 | 貸付人、借入人、通貨、金額、実行日、利率、満期、担保 |
| 関係会社関係 | 在外営業活動体の定義該当性、連結・持分法の位置づけ |
| 機能通貨 | 貸付人、借入人、親会社、表示通貨 |
| 契約条件 | 返済条項、期限前返済、ロールオーバー、劣後性 |
| 経営者の意図 | 返済請求の意思、投資継続方針、資金回収方針 |
| 資金計画 | 返済原資、配当計画、借換計画、設備投資計画 |
| 純投資性の結論 | IAS第21号15項・15A項に照らした判断 |
| 会計処理 | 個別純損益、連結OCI、消去仕訳、税効果 |
| ヘッジ会計 | 純投資ヘッジの有無、ヘッジ文書化、非有効部分 |
| 処分時論点 | 累積OCI、リサイクリング、部分的処分 |
| 開示 | IAS第21号、IFRS第7号、IFRS第9号、IAS第12号との整合 |
| 未解決事項 | 税務、法務、規制、監査人協議事項 |
このメモでは、「結論」よりも、「なぜ返済が予定されていないといえるのか」「なぜ予見可能な将来に決済される可能性が低いといえるのか」を丁寧に記載しておくことが大切です。監査上は、経営者の主張だけでは十分とはいえません。契約、予算、資金計画、取締役会資料、過去実績と整合していることが求められます。
まとめ
在外営業活動体に対するグループ内貸付は、単なる外貨建貸付金にとどまりません。場合によっては、在外営業活動体に対する純投資を構成する貨幣性項目となります。
純投資性が認められるためには、決済が予定されておらず、予見可能な将来に決済される可能性が低いことが必要です。長期貸付という形式、ロールオーバーの実績、経営者の意図、資金計画、現地規制、過去の返済実績――これらを総合的に検討しなければなりません。
会計処理の面では、個別財務諸表では為替差額を純損益に認識します。そして、在外営業活動体と報告企業を含む連結財務諸表等では、純投資を構成する貨幣性項目に係る為替差額をOCIに認識し、資本の独立項目に累積します。在外営業活動体を処分する場合には、累積額を純損益へ組み替えます。
また、純投資ヘッジを適用する場合には、IFRS第9号とIFRIC第16号に基づく公式な指定、文書化、有効性評価が必要です。表示通貨ではなく、親会社の機能通貨と在外営業活動体の機能通貨の差から生じる為替リスクを、ヘッジ対象として整理しなければなりません。
純投資とグループ内貸付の論点は、会計、財務、税務、法務、M&A、海外子会社管理が交差する領域です。為替差額を純損益に残すのか、OCIに認識するのか。その判断は、当期利益だけでなく、将来の処分損益、資本管理、投資家への説明にまで影響します。
在外営業活動体に対する長期貸付、資本性貸付、純投資ヘッジ、CTAのロールフォワード、処分時のリサイクリングについて整理が必要な場合は、犬飼公認会計士・税理士事務所HPのお問い合わせページからご相談ください。契約条件、資金計画、経営者の意図、監査証拠、開示までを含めて、説明可能なIFRS判断として整理いたします。
この記事の振り返り
| 論点 | 重要ポイント |
|---|---|
| 純投資の定義 | 報告企業が在外営業活動体の純資産に対して有する持分の額 |
| 純投資を構成する貨幣性項目 | 決済が予定されておらず、予見可能な将来に決済される可能性が低い債権・債務 |
| 含まれ得る項目 | 長期貸付金、長期未収金、資本性貸付 |
| 含まれない項目 | 営業債権、営業債務 |
| 判断の中心 | 契約名ではなく、返済予定、返済可能性、経営者の意図、資金計画 |
| 個別財務諸表 | 為替差額は原則として純損益 |
| 連結財務諸表等 | 要件を満たす純投資項目の為替差額はOCI |
| グループ内消去 | 貸付金・借入金は消去されるが、為替差額は消えない |
| 貸付人 | 親会社に限らず、グループ内の別会社でも要件を満たし得る |
| 返済方針変更 | 純投資性の継続を見直す必要がある |
| 処分時 | 累積OCIを純損益へリサイクリング |
| 貸付金返済 | 処分・部分的処分該当性を慎重に検討 |
| 純投資ヘッジ | IFRS第9号に基づき、キャッシュ・フロー・ヘッジと同様に処理 |
| IFRIC第16号 | 表示通貨はヘッジ対象リスクを生じさせず、ヘッジ手段はグループ内のいずれの企業が保有してもよい |
| 監査証拠 | 契約、取締役会資料、資金計画、過去実績、税務・法務メモが重要 |
| 開示 | IAS第21号、IFRS第7号、IFRS第9号、IAS第12号との整合を確認 |