事業承継税制を適用したあと、経営者の方が最も不安を抱きやすい論点のひとつが「雇用確保要件」です。
制度の説明では、しばしば「承継後5年間、平均で雇用の8割を維持する」と表現されます。ただ、実務の現場でこの一文だけを頼りに判断するのは、たいへん危険です。
確かめておくべき点はいくつもあります。まず、どの時点の人数を基準にするのか。次に、誰を「常時使用する従業員」として数えるのか。さらに、5年間の平均が8割を下回った場合に、ただちに納税猶予が取り消されてしまうのか。そして、未達となった理由をどのような資料で説明し、認定支援機関の所見や助言をどこまで受けるべきなのか。
これらを区別して整理しないまま進めてしまうと、雇用確保要件はいつのまにか「人数合わせ」の話に変わってしまいます。
法人版事業承継税制は、後継者が非上場会社の株式等を贈与・相続等によって取得した場合に、一定の要件のもとで贈与税・相続税の納税猶予・免除を受けられる制度です。とりわけ特例措置では、特例承継計画の提出、対象株式数上限の撤廃、猶予割合の100%化、複数株主から最大3人の後継者への承継など、一般措置とは異なる枠組みが設けられています。
本記事では、法人版事業承継税制の特例措置を中心に、雇用確保要件と未達時の対応を整理していきます。労働法・社会保険の詳細な加入判定や、個別の労務管理全般までは扱いません。実際の人数判定、報告書の作成、継続届出書への添付、未達理由の説明などについては、提出時点の法令・様式・各都道府県の運用をそのつど確認する必要があります。
雇用確保要件は「雇用を守る制度趣旨」と「経営実態」の接点である
雇用確保要件は、単なる形式的な要件ではありません。
事業承継税制は、後継者への株式承継を支援する制度であると同時に、地域経済や取引先、そして従業員を含めた事業の継続を重んじる制度です。だからこそ、制度の創設時から「承継後も会社が実体ある事業を続けていくのか」「従業員を維持しているのか」という視点が置かれてきました。
一方で、中小企業を取り巻く経営環境は、決して一定ではありません。事業承継後の5年間に、売上の減少、人材不足、設備の更新、取引先の変化、業界再編、自然災害、感染症、原材料高、事業転換といった出来事が起こることは、けっして珍しくないのです。
後継者が本気で経営改善を進めた結果として、不採算部門を縮小し、従業員数が一時的に減ることもあります。逆に、雇用人数だけを無理に維持しようとして、会社の資金繰りや財務の安全性を悪化させてしまえば、事業承継そのものが不安定になりかねません。
したがって、雇用確保要件は「人数さえ落とさなければよい」という単純な話ではありません。制度を維持するという観点と、会社を守るための経営判断という観点を、同じテーブルの上で整理していく必要があります。
特例措置では、8割未達でも直ちに認定取消とはならない
法人版事業承継税制の特例措置では、雇用要件が弾力化されています。
中小企業庁は、特例措置のポイントとして、これまで「事業承継後5年間平均で雇用の8割維持が必要」とされていた雇用要件を見直し、雇用維持要件を満たせなかった場合でも納税猶予を継続できるようになったと説明しています。ただし、経営悪化などが理由である場合には、認定支援機関による指導助言が求められます。
ここで取り違えてはならないのは、これが「8割を下回っても何もしなくてよい」という意味ではない、という点です。
中小企業庁は、特例の認定を受けた場合、雇用が8割を下回っても認定取消・納税とはならないものの、その理由を都道府県へ報告しなければならないとしています。報告にあたっては、認定経営革新等支援機関が雇用減少の理由について所見を記載し、その理由が経営悪化または正当でないものである場合には、経営改善のための指導・助言を行う必要があるとされています。
つまり、特例措置における雇用未達時の実務対応は、次のように理解しておくのがよいでしょう。
「8割未達=即取消」ではありません。けれども、「8割未達=放置してよい」でもありません。
未達となった理由を整理し、都道府県へ報告し、認定支援機関の所見や必要な指導助言を受け、さらに税務署への継続届出との関係まで含めて管理していく。ここまでが、一連の対応として求められます。
一般措置と特例措置を混同しない
雇用確保要件を考えるときは、一般措置と特例措置を必ず区別してください。
国税庁は、法人版事業承継税制について特例措置と一般措置があり、雇用確保要件は、特例措置では弾力化され、一般措置では承継後5年間平均で8割の雇用維持が必要であると整理しています。
出典:国税庁|No.4439 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)
相続税の側でも、国税庁は同様に、特例措置では雇用確保要件が弾力化される一方、一般措置では承継後5年間平均で8割の雇用維持が必要であると整理しています。
出典:国税庁|No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)
本記事では特例措置を中心に説明していますが、一般措置を適用している会社、あるいは過去に一般措置を適用した案件では、特例措置と同じ感覚で判断してはいけません。一般措置では、雇用確保要件の未達が納税猶予の取消・期限確定に直結し得ます。そのため、個別の適用条文、認定時期、改正の経過、提出済みの書類をていねいに確認しておく必要があります。
確認しておきたい点を挙げてみます。自社が特例措置なのか、一般措置なのか。贈与税の納税猶予なのか、相続税の納税猶予なのか。第一種承継だけなのか、第二種承継も含むのか。後継者は一人なのか、複数なのか。
これらを曖昧にしたまま「8割未達でも大丈夫」と判断してしまうのは、やはり危険です。
雇用平均はどのように見るのか
雇用確保要件では、「承継時点の人数」と「事業継続期間中の各基準日時点の人数」を比較します。
中小企業庁のマニュアルでは、贈与税の納税猶予に関する年次報告について、事業継続期間の末日に、期間中の各贈与報告基準日における常時使用する従業員数の平均を計算し、その平均人数が贈与時の常時使用する従業員数の8割を下回っていないかを確認するとされています。特例措置では、8割を下回ったとしても認定取消しとはなりませんが、その理由を都道府県へ報告する必要があります。
相続税の納税猶予についても同様に、事業継続期間の末日に、期間中の各相続報告基準日における常時使用する従業員数の平均を計算し、その平均人数が相続時の常時使用する従業員数の8割を下回っていないかを確認するとされています。
このため、実務では次のような管理が欠かせません。
- 承継時点の常時使用する従業員数を確定する
- 各年の報告基準日時点の常時使用する従業員数を記録する
- 5年間の平均を計算する
- 平均人数が承継時点の8割を下回るかどうかを確認する
- 下回る場合は、未達理由を整理し、様式第27による報告を検討する
- 報告書、確認書、認定支援機関の所見、継続届出への添付を管理する
ここで大切なのは、5年目になってから過去の人数をあわてて集めるのでは遅い、ということです。雇用確保要件は、5年間の最後に一度だけ確認すれば済むものではありません。毎年の年次報告と連動させながら、継続して管理していくものなのです。
「常時使用する従業員」の数え方に注意する
雇用確保要件で問題になるのは、単なる在籍人数ではありません。
「常時使用する従業員」に該当するかどうかは、社会保険関係の書類、雇用の実態、役員該当性、短時間労働者、出向・派遣、70歳以上の従業員といった要素を踏まえて確認していきます。
中小企業庁の年次報告手続資料では、従業員数証明書として、健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書、資格取得確認通知書、資格喪失確認通知書、被保険者縦覧照会回答票、そして75歳以上の従業員がいる場合の雇用契約書・給与明細書などを用いる手順が示されています。
同じ資料では、70歳未満の常時使用する従業員数を証する書類として厚生年金保険の標準報酬月額決定通知書が挙げられています。あわせて、日雇労働者、短期間雇用労働者、平均的な従業員と比べて労働時間が4分の3に満たない短時間労働者など、厚生年金保険の加入対象とならない者は常時使用する従業員に該当しないとされています。出向・派遣等については、厚生年金保険の加入事業所における常時使用する従業員として取り扱うとされています。
したがって、会社の感覚として「社員は20人」と考えていても、制度上の常時使用する従業員数が20人になるとは限りません。
たとえば、次のような点で差が生じます。
- パート・アルバイトを人数に含めるか
- 短時間労働者をどのように扱うか
- 役員を人数に含めるか
- 使用人兼務役員をどのように証明するか
- 70歳以上75歳未満の従業員をどう証明するか
- 75歳以上で社会保険の加入対象外となる従業員をどう証明するか
- 出向者・派遣社員をどの会社の従業員として扱うか
- 社会保険の資格取得・喪失が基準日前後にある場合、どの書類で確認するか
雇用確保要件の管理では、給与台帳だけでは足りないことがあります。社会保険関係の書類、雇用契約書、給与明細、雇用保険の書類、使用人兼務役員の職制上の地位を示す資料などを、年次報告の時点であらかじめ整理しておくことが大切です。
雇用未達時に必要となる報告
特例措置で雇用平均が8割を下回った場合には、都道府県への報告が必要になります。
国税庁は、雇用確保要件を満たさなかった場合には、経営承継円滑化法施行規則に基づき、要件を満たさなかった理由等を記載した報告書を都道府県知事に提出し、その確認を受ける必要があると説明しています。さらに、その報告書および確認書の写しは、継続届出書の添付書類とされています。
出典:国税庁|No.4439 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)
相続税の納税猶予についても、国税庁は同様に、雇用確保要件を満たさなかった場合には理由等を記載した報告書を都道府県知事に提出して確認を受ける必要があり、報告書および確認書の写しは継続届出書の添付書類になると説明しています。
出典:国税庁|No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)
ここで見落としてはならないのは、雇用未達の報告は都道府県の手続だけで終わらない、という点です。
- 都道府県に報告し、確認を受ける
- その報告書と確認書の写しを、税務署への継続届出書に添付する
- 継続届出書の提出期限も管理する
- 提出控えと確認書を、次年度以降の管理資料として残す
この流れを落としてしまうと、雇用未達そのものの問題に加えて、継続届出書の不備・提出漏れという別のリスクまで抱えることになります。
未達理由は「人が減った理由」だけでは足りない
雇用未達時の報告では、ただ「退職者が出た」「採用できなかった」と書くだけでは、実務上の説明としてどうしても弱くなります。
求められているのは、後継者が制度適用後も事業を継続する意思を持ち、雇用減少には合理的な背景があり、必要な改善努力を行っていることを、資料に基づいて説明することです。
たとえば、次のような整理が必要になります。
- 売上や粗利の推移
- 主要取引先の変化
- 採用活動の実績
- 求人媒体、採用面接、内定辞退の状況
- 退職理由の内訳
- 事業縮小・撤退・外注化の理由
- 業務効率化や設備投資による人員構成の変化
- 資金繰り上、雇用維持が困難であった事情
- 地域の採用市場や業界環境
- 後継者が実施した経営改善策
- 今後の採用・教育・配置転換・収益改善の方針
「人手不足だから仕方がない」という説明ではなく、事実、数字、経営判断、今後の改善方針をひとつの流れとしてつなげていく必要があります。
とりわけ、経営悪化が理由である場合には、認定支援機関による所見や指導助言が重要になります。認定支援機関は、単に形式的に署名する立場ではありません。雇用減少の背景、経営状況、改善の可能性を確認し、必要に応じて助言を行う役割を担っています。
認定支援機関の所見・助言は「後から説明できる形」で残す
雇用未達時に認定支援機関が関与する場合、その所見や助言は、後から第三者が見ても理解できる形で残しておくべきです。
事業承継税制の適用時点では、特例承継計画のなかで、承継時までの経営見通しや承継後5年間の事業計画を記載し、認定支援機関の指導・助言を受けます。中小企業庁の特例承継計画マニュアルでは、特例承継計画の記載事項として、後継者の氏名、事業承継の時期、承継時までの経営見通し、承継後5年間の事業計画、認定支援機関による指導・助言の内容等が示されています。
出典:中小企業庁|特例承継計画に関する指導及び助言を行う機関における事務について
雇用未達時の所見・助言も、この延長線上で考えるとよいでしょう。
- 当初の計画ではどのような事業計画を想定していたか
- 実際には何が変化したか
- 雇用減少は経営悪化によるものか、事業再編によるものか、採用難によるものか
- 会社はどのような改善努力を行ったか
- 今後の事業継続可能性をどう見るか
- 後継者の経営判断は合理的に説明できるか
- 金融機関・取引先・従業員への影響をどう整理するか
これらを、所見、面談メモ、確認資料、改善計画、議事録、提出控えとして残しておくことが大切です。
制度上必要な報告書だけをそろえるのではなく、「なぜこの会社は8割を下回ったのか」「それでも納税猶予を継続するに足る事業実態と改善努力があるのか」を説明できる資料を整えておく。それが、結果として後継者と会社を守ることにつながります。
雇用未達は、財務安全性の問題でもある
雇用確保要件は、労務管理だけの話ではありません。
雇用が減る背景には、売上の減少、利益率の低下、設備投資、外注化、事業縮小、廃業部門の整理、取引先の喪失、採用難、後継者の経営方針の変更などがあります。これらはいずれも、会社の財務安全性と密接に関わってきます。
雇用を無理に維持すれば、人件費の負担が重くなり、営業赤字、借入の増加、金融機関との関係悪化につながることがあります。反対に、雇用削減を進めすぎれば、事業遂行能力、技術の承継、取引先への対応、現場のノウハウが失われていくこともあります。
事業承継税制を使う会社にとって、雇用未達時に問われるべきなのは、次のような点です。
- 会社は継続可能な収益構造を維持しているか
- 後継者は事業を守るために必要な人員を確保しているか
- 採用難や退職を放置していないか
- 人員の減少は一時的なものか、それとも構造的なものか
- 従業員数の減少が、技術・営業・管理体制にどう影響するか
- 金融機関に対して説明できる事業計画があるか
- 納税猶予の維持と会社財務の安定が矛盾していないか
税務上の納税猶予を維持するために、経営上不合理な雇用維持をする必要はありません。しかし、雇用を減らすという経営判断をしたのであれば、その理由、効果、今後の見通しを、いつでも説明できる状態にしておく必要があります。
継続届出書への影響を見落とさない
雇用未達時の報告は、都道府県への報告だけで完結するわけではありません。
報告書と確認書の写しが、税務署への継続届出書の添付書類になる——この点を見落としてはいけません。
継続届出書は、納税猶予を税務上継続していくための手続です。都道府県への年次報告と、税務署への継続届出は、提出先も目的も異なります。雇用未達のときには、年次報告、未達理由報告、確認書の取得、継続届出書への添付という一連の流れを、まとめて管理していく必要があります。
実務では、次の順番で確認していくとよいでしょう。
- まず、年次報告に必要な従業員数を確定する
- 次に、5年間平均で8割を下回るかどうかを確認する
- 未達の場合は、理由等を記載した報告書を作成する
- 認定支援機関の所見、必要に応じた指導助言を受ける
- 都道府県へ提出し、確認を受ける
- 確認書を取得する
- 税務署への継続届出書に、報告書・確認書の写しを添付する
- 提出控えを保管し、次回の届出に反映する
この手順のどこかが抜け落ちると、雇用要件そのものではなく、報告・届出の管理の不備がリスクになってしまいます。
未達時に整理すべき資料
雇用未達となりそうな場合、あるいはすでに未達となった場合には、早めに資料を整理しておきましょう。
少なくとも、次の資料は確認しておきたいところです。
- 承継時点の従業員数証明書
- 各報告基準日時点の従業員数証明書
- 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
- 資格取得確認通知書、資格喪失確認通知書
- 被保険者縦覧照会回答票
- 75歳以上の従業員に関する雇用契約書・給与明細書
- 使用人兼務役員に関する職制上の地位を示す書類
- 給与台帳、賃金台帳、雇用契約書
- 退職者一覧と退職理由
- 採用活動の記録
- 売上・粗利・営業利益・資金繰りの推移
- 事業計画と実績の差異分析
- 金融機関提出資料
- 取締役会・株主総会・経営会議の議事録
- 認定支援機関との面談メモ
- 雇用減少理由報告書
- 都道府県確認書
- 税務署への継続届出書と提出控え
これらは、単に提出書類をそろえるためだけの資料ではありません。後継者がどのような経営判断を行い、会社をどう守ろうとしたのかを示す、大切な記録でもあるのです。
雇用未達が見込まれる段階で相談すべき場面
雇用未達は、5年目の平均計算ではじめて気づくようなものではありません。
次のような場合には、早めに確認しておくことをおすすめします。
- 毎年の年次報告で人数が継続的に減っている
- 退職者が多く、採用が追いついていない
- 主要部門を縮小・廃止する予定がある
- 外注化・省人化投資を進めている
- 人件費の削減を金融機関から求められている
- 後継者が事業の再構築を進めている
- 複数の後継者で事業分担を見直している
- 会社分割、合併、事業譲渡、廃業を検討している
- 資産管理会社化や収益悪化も同時に懸念される
- 過去の年次報告・継続届出の控えが整理されていない
とりわけ、会社分割、事業譲渡、廃業、M&A、自己株式の取得などを同時に検討している場合には、雇用要件だけでなく、代表者要件、株式保有要件、議決権要件、資産管理会社判定、取消事由、納付資金までを連動させて検討していく必要があります。
雇用確保要件を「守れるか」ではなく「説明できるか」で管理する
事業承継税制の適用後管理で大切なのは、単に要件を守ることだけではありません。
もちろん、要件を満たすこと自体は重要です。けれども、経営環境が移り変わっていくなかで、すべてを当初計画どおりに維持できるとは限りません。
そのときに必要になるのは、後継者が合理的な経営判断を行い、必要な手続を漏らさず、雇用未達の理由と改善方針を資料で説明できる状態にしておくことです。
雇用確保要件は、制度適用後の「経営の見える化」を求める要件ともいえます。人数、売上、利益、採用、退職、組織再編、資金繰り、事業計画。これらを年次で確認し、必要な報告と届出に反映していくことで、納税猶予を維持できる可能性を高めることができます。
逆に、数字が把握できていない、提出控えがない、退職理由を説明できない、認定支援機関の関与が形式的になっている、継続届出への添付を忘れている——こうした状態では、制度適用後のリスク管理として、やはり不十分だといわざるを得ません。
雇用確保要件に不安がある場合
雇用確保要件は、税務、労務、財務、事業計画、そして認定支援機関の関与が交差する論点です。
- 8割を下回りそうだが、何をすればよいか分からない
- 従業員数の数え方が分からない
- パート、役員、使用人兼務役員、70歳以上の従業員の扱いが不安である
- 未達理由をどう説明すればよいか分からない
- 年次報告と継続届出書への影響を確認したい
- 認定支援機関の所見や改善助言をどう整理すべきか確認したい
- 雇用未達だけでなく、資産管理会社化や組織再編の影響も同時に見たい
このような場合には、期限が近づいてから報告書だけをあわてて作るのではなく、早い段階で、過去の年次報告、従業員数証明書、決算書、継続届出書、特例承継計画、認定書を一式そろえて確認しておくことが重要です。
犬飼公認会計士・税理士事務所では、事業承継税制を単なる納税猶予の手続としてではなく、後継者の経営継続、株式・議決権、会社財務、雇用、年次報告、継続届出、取消リスクを一体として整理することを大切にしています。
雇用確保要件の未達が見込まれる場合、あるいは過去の報告・届出の状況を確認したい場合は、犬飼公認会計士・税理士事務所HPのお問い合わせページよりご相談ください。従業員数の資料、未達理由、認定支援機関として整理すべき所見、継続届出への影響を確認し、後からきちんと説明できる管理体制を整えるための論点を、ご一緒に整理いたします。
重要事項の振り返り
| 項目 | 内容 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 雇用確保要件の基本 | 承継後5年間の常時使用する従業員数の平均が、承継時点の8割を下回るかを確認する | 贈与時・相続時の人数と、各報告基準日の人数を毎年管理する |
| 特例措置の扱い | 8割を下回っても、直ちに認定取消・納税とはならない | 未達理由の報告、確認、認定支援機関の所見等が必要 |
| 一般措置との違い | 一般措置では、承継後5年間平均8割の雇用維持が重要な継続要件となる | 特例措置の弾力化を一般措置にそのまま当てはめない |
| 常時使用する従業員 | 社会保険関係書類や雇用実態に基づき確認する | 給与台帳上の在籍人数と一致しないことがある |
| 従業員数証明書 | 標準報酬決定通知書、資格取得・喪失通知書、縦覧照会回答票等を確認する | 70歳以上、75歳以上、使用人兼務役員、短時間労働者に注意 |
| 未達理由の報告 | 雇用減少の理由等を都道府県に報告し、確認を受ける | 「人手不足」だけでなく、経営状況・採用努力・改善方針を整理する |
| 認定支援機関の関与 | 雇用減少理由について所見を記載し、必要に応じて経営改善の指導助言を行う | 形式的な所見ではなく、資料に基づく説明が必要 |
| 継続届出への影響 | 報告書と確認書の写しは、税務署への継続届出書の添付書類となる | 都道府県手続と税務署手続を別々に期限管理する |
| 財務との関係 | 雇用維持は会社財務・資金繰り・事業再構築と連動する | 無理な雇用維持も、説明なき雇用削減もリスクになる |
| 管理体制 | 年次報告、従業員数、決算、採用・退職、所見、提出控えを一体で保管する | 5年目に慌てるのではなく、毎年レビューする |