KAMは、監査報告書の一部です。
しかし、KAMの実務は、監査報告書の文案づくりから始まるものではありません。
KAMとは、監査人が当年度の財務諸表監査において職業的専門家として特に重要であると判断した事項です。そして、その出発点は、監査役等とのコミュニケーションにあります。監査基準報告書701でも、KAMは監査人が監査役等とコミュニケーションを行った事項の中から選択されると位置づけられています。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
この点を取り違えると、KAMは期末の作文になってしまいます。
監査人が文案を作り、会社が表現を確認し、監査役等が最後に報告を受ける。そうした運用のもとでは、KAMは監査報告書の透明性を高める制度でありながら、財務報告プロセスやガバナンスを強くする機会を失ってしまいます。
KAMと監査役等コミュニケーションの核心は、監査報告書に何を書くかだけではありません。
- どの論点が監査上特に重要なのか。
- なぜ監査人はその論点に特に注意を払ったのか。
- 経営者の判断、会計上の見積り、内部統制、注記、監査証拠は整合しているのか。
- 監査役等は、経営者に対してどのような説明や開示の充実を促すべきなのか。
- そして最終的に、財務諸表利用者に対して、その判断過程をどこまで説明できるのか。
本記事では、KAMを監査報告書上の記載論点としてだけでなく、監査役等とのコミュニケーションを通じて監査判断・開示・ガバナンスを接続する実務プロセスとして整理します。
KAMは「監査報告書の記載項目」ではなく、監査上の重要判断を外部化する仕組み
KAMの目的は、実施された監査に関する透明性を高め、監査報告書の情報伝達手段としての価値を向上させることにあります。監査基準報告書701は、KAMによって、財務諸表利用者が当年度の監査において監査人が特に重要と判断した事項を理解するための追加情報を得られ、監査の透明性が高まるとしています。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
ここで押さえておきたいのは、KAMが「財務諸表利用者への情報提供」であると同時に、「監査人がどの事項に監査上の注意を向けたか」を明らかにする制度でもある、という点です。
従来の監査報告書では、無限定適正意見であるかぎり、監査人がどの論点に悩み、どのようなリスクに対応し、どのような判断を行ったのかは、外部からは見えにくいものでした。KAMは、そのブラックボックスの一部を開示する仕組みだといえます。
ただし、KAMは監査人が自由に監査上の所感を書き連ねる制度ではありません。財務諸表全体に対する監査意見を形成したうえで報告されるものであり、財務諸表の注記の代替、除外事項付意見の代替、継続企業の前提に関する重要な不確実性の代替、個別事項への意見表明を意図するものではないとされています。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
この制約を踏まえると、KAM実務の焦点は明確になります。
KAMは、会社の開示不足を監査人が補う場所ではありません。監査意見を補足して個別保証を与える場所でもありません。KAMとは、監査上特に重要な事項について、監査人がどのように対応したかを、注記と整合する形で説明する場所です。
だからこそ、監査役等との早期かつ継続的なコミュニケーションが欠かせないのです。
KAMは監査役等とのコミュニケーション事項から絞り込まれる
KAMの決定プロセスは、三段階で捉えると実務に落とし込みやすくなります。
第一に、監査人と監査役等とのコミュニケーション事項があります。第二に、その中から、監査人が監査を実施する上で特に注意を払った事項を決定します。第三に、そこからさらに、当年度の財務諸表監査において職業的専門家として特に重要であると判断した事項を、KAMとして決定します。
監査基準報告書701は、監査人が、監査役等とコミュニケーションを行った事項の中から、監査を実施する上で特に注意を払った事項を決定するとしています。その際に考慮されるのは、特別な検討を必要とするリスク又は重要な虚偽表示リスクが高い領域、見積りの不確実性の程度が高い会計上の見積りを含む経営者の重要な判断を伴う領域、そして当年度に発生した重要な事象又は取引が監査に与える影響です。そのうえで監査人は、特に注意を払った事項の中から、当年度の財務諸表監査において特に重要であると判断した事項をKAMとして決定します。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
この構造からは、監査役等コミュニケーションの実務上の意味がはっきりと見えてきます。
KAMは、監査人が一方的に選ぶものではあります。しかし、監査役等とのコミュニケーションを経ない事項からは、原則として選ばれません。監査役等とのコミュニケーションが浅ければ、KAM候補の母集団もまた浅くなります。KAM候補の検討が期末に遅れるほど、監査役等が財務報告プロセスの監視機能を発揮する余地は小さくなっていきます。
KAMの質は、監査役等との対話の質に大きく左右されるのです。
監査役等はKAMを「決定」するのではなく、KAMの前提を監視する
KAMを決定する責任は、監査人にあります。監査役等がKAMを選定するわけではありません。会社がKAMを承認するわけでもなく、経営者がKAMを拒否できるわけでもありません。
しかし、だからといって、監査役等がKAM実務に受け身でよいということにはなりません。
監査役等は、財務報告プロセスを監視する責任を担っています。監査基準報告書260も、有効な双方向のコミュニケーションにより、監査人が監査役等から監査に関連する情報を入手し、監査役等が財務報告プロセスを監視する責任を果たし、財務諸表の重要な虚偽表示リスクを軽減することが重要であるとしています。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書260 監査役等とのコミュニケーション
したがって監査役等は、KAMそのものを決めるのではなく、KAM候補となる論点について、次の事項を監視・確認する立場にあります。
- 経営者の判断が合理的な前提に基づいているか。
- 会計上の見積りの基礎データ、仮定、方法が十分に検討されているか。
- 重要な虚偽表示リスクが取締役会や監査役会で十分に共有されているか。
- 内部統制上の不備がKAM候補の背景にないか。
- 会社の注記が、利用者の理解に資する水準になっているか。
- 監査人が経営者に追従せず、必要な監査手続を実施しているか。
- KAMの記載が、会社の開示と整合し、過度に一般的・定型的になっていないか。
監査役等と会計監査人との連携に関する実務指針でも、継続企業の前提、後発事象、収益認識、棚卸資産の評価、繰延税金資産の回収可能性、減損会計のグルーピング、貸倒引当金など、見積りや判断を必要とする会計事項について、監査人が経営者に追従していないか、監査役等の指摘事項を公正にフォローしているかという観点から監視・検証することが望まれるとされています。
出典:日本監査役協会|会計監査人との連携に関する実務指針
KAMは、監査人の判断事項です。しかし、KAM候補の背景にある財務報告プロセスは、監査役等の監視対象です。
この切り分けこそが、KAMコミュニケーションの出発点になります。
KAM候補を共有する目的は、文案調整ではない
KAM候補を監査役等と共有するにあたって、最も避けたいのは、期末になってから監査報告書の記載案だけを提示することです。
その段階になると、監査役等にできることは限られてきます。表現を確認する。会社の注記との不整合を指摘する。経営者に追加説明を求める。監査人の監査対応を確認する。もちろん、これらも重要な役割ではあります。
しかし本来のKAMコミュニケーションは、もっと早い段階から始まるべきものです。
KAM候補の共有は、監査上の重要論点をガバナンス上の対話に乗せるために行います。その目的は、次の四つに整理できます。
第一に、監査人のリスク認識を監査役等が理解すること。第二に、監査役等が把握している経営上・内部統制上の情報を、監査人のリスク評価に反映させること。第三に、会社の注記や記述情報が、KAM候補の背景となる重要な判断を十分に説明しているかを検討すること。第四に、期末までに必要な監査証拠、経営者説明、監査役等の確認事項を明確にすることです。
KAMは監査役等とコミュニケーションを行った事項の中から決定されます。だからこそ、KAM候補を含むリスク情報等について監査人と対話を重ねること自体が、監査役等自身の監査計画の作成や修正にも役立つ。実務では、そうした効果が期待されています。
KAM候補の共有は、「この文案でよいか」を確認する場ではありません。「この論点について、会社・監査役等・監査人がそれぞれどのように検討し、利用者にどう説明できる状態にするか」を設計する場なのです。
KAM候補として共有すべき論点
KAM候補になりやすい論点は、単に金額が大きい項目ではありません。
金額的重要性は重要な要素ではありますが、それだけではKAMになりません。KAM候補として監査役等と共有すべきなのは、監査上の注意、経営者判断、見積りの不確実性、内部統制、開示、監査証拠が結びつく論点です。
典型的には、次のような領域が挙げられます。
- 収益認識:契約の識別、履行義務、変動対価、本人・代理人、進捗度、カットオフ、不正リスクが絡む場合です。
- 固定資産・のれん・減損:将来キャッシュ・フロー、割引率、グルーピング、事業計画、感応度、経営者バイアスが問題になります。
- 繰延税金資産の回収可能性:将来課税所得、タックスプランニング、企業分類、経営計画の達成可能性が焦点になります。
- 棚卸資産:実在性、評価、滞留、原価計算、実地棚卸、内部統制不備、不正リスクが重なります。
- 金融商品・時価評価:レベル分類、評価技法、観察不能インプット、デリバティブ、専門家利用、開示が問題になります。
- 退職給付・引当金・偶発債務:将来支払額、発生可能性、割引計算、外部専門家、法的見解、開示の十分性が焦点になります。
- 関係会社投融資・連結範囲:超過収益力、実質価額、事業計画、支配・影響力、グループ監査、子会社内部統制が絡みます。
- 不正リスク・経営者による内部統制の無効化:期末仕訳、非定型取引、関連当事者、業績プレッシャー、内部通報などが関係します。
会計上の見積りは、経営者の偏向の可能性や見積りの不確実性を伴い、経営者の仮定によって財務諸表に大きな影響を与える可能性があります。だからこそ、監査上も重要な論点として扱われることが多いのです。
こうした論点を監査役等と共有する際には、勘定科目名だけを示しても不十分です。
「減損」ではなく、どの資産グループの、どの事業計画の、どの仮定が、どの程度重要なのか。「税効果」ではなく、どの将来課税所得の見積りが、どの事業リスクに依存しているのか。「収益認識」ではなく、どの契約類型の、どの履行義務・取引価格・期間帰属が問題なのか。
KAM候補は、監査報告書上の見出しとしてではなく、判断対象として共有する必要があります。
監査役等が確認すべきKAM候補の五つの層
KAM候補について監査役等が確認すべき事項は、単に「KAMになるかどうか」ではありません。実務上は、五つの層に分けて確認すると整理しやすくなります。
1. 事実関係
まず、論点の基礎となる事実を確認します。
- 対象となる取引、資産、負債、事業、子会社、契約、内部統制、発生事象は何か。
- 当年度に新たに発生したのか、前年度から継続しているのか。
- 経営環境や事業計画に変化はあるか。
- 取締役会や経営会議でどのように説明されているか。
KAM候補の議論が抽象的になってしまう会社では、たいていこの事実関係の共有が不足しています。「重要な見積りです」「リスクがあります」という表現だけでは、監査役等は十分な監視を行えません。
2. 会計判断
次に、経営者がどのような会計判断を行ったかを確認します。
- 適用した会計基準は何か。
- 会計処理の選択肢はあったか。
- 見積り方法は継続しているか。
- 主要な仮定は何か。
- 過年度の見積りと実績に乖離はあるか。
- 経営者バイアスの兆候はあるか。
会計上の見積りの開示に関する会計基準は、会計上の見積りを、資産・負債や収益・費用等の額に不確実性がある場合に、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的な金額を算出することと定義しています。そして、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目について、財務諸表利用者の理解に資する情報を開示することを目的としています。
出典:ASBJ|企業会計基準第31号 会計上の見積りの開示に関する会計基準
KAM候補の多くは、この会計上の見積りや重要判断と結びついています。だからこそ監査役等は、監査人のKAM候補を通じて、経営者の重要な会計判断が説明可能な状態にあるかを確認する必要があるのです。
3. 内部統制
次に、KAM候補を支える内部統制を確認します。
- 基礎データはどのシステムから作成されているか。
- 承認・レビュー統制はあるか。
- 取締役会や経営会議でのレビューは形式的になっていないか。
- 見積りモデルや事業計画の作成責任者と承認者は分離されているか。
- 内部監査やJ-SOX評価で不備は出ていないか。
- 補完統制は実効的に機能しているか。
KAM候補が内部統制不備と関係する場合、その論点は監査報告書だけにとどまりません。内部統制報告、監査役等報告、開示統制、翌期改善計画にまで波及していきます。
監査役等と会計監査人との連携に関する実務指針では、内部統制監査において開示すべき重要な不備を発見した場合、監査人はその内容と是正結果を監査役等に報告すべきこと、また、監査人は効果的かつ効率的な監査のために監査役等との連携の範囲と程度を決定しなければならないことが示されています。
出典:日本監査役協会|会計監査人との連携に関する実務指針
KAM候補は、財務諸表の表示だけでなく、内部統制の実効性を見るための入口にもなります。
4. 監査対応
次に、監査人がどのように対応したかを確認します。
- どのリスクに対応するために、どの手続を実施したのか。
- 会社作成資料に依拠したのか、外部証拠を入手したのか。
- 専門家を利用したのか。
- 経営者の仮定をどのように批判的に検討したのか。
- 感応度分析、過年度実績比較、事後的検討を実施したのか。
- 監査人の結論に未解決事項はないか。
KAMの記載においては、関連する注記事項への参照、個々のKAMの内容、KAMに決定した理由、当該事項に対する監査上の対応を記載することが求められます。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
監査役等は、監査人に対して、監査手続の羅列ではなく、リスクと対応の関係を確認する必要があります。
「評価しました」「検討しました」という説明では足りません。どの仮定に対して、どの証拠を入手し、どのような結論に至ったのか。監査役等は、そこまで理解できる状態にしておくべきです。
5. 開示
最後に、KAM候補と会社の開示が整合しているかを確認します。
- 注記は、KAM候補の背景となる重要な判断を説明しているか。
- 会計上の見積りの注記は、項目名だけでなく、算定方法、主要な仮定、翌年度影響リスクを理解できる内容になっているか。
- 監査報告書のKAMに、会社が開示していない情報が含まれる可能性はないか。
- 有価証券報告書の記述情報と財務諸表注記に矛盾はないか。
- KAMを契機に、経営者が追加開示を検討すべき事項はないか。
KAMに関連する注記事項が詳細に記述されていれば、監査人はその注記を用いて、主要な仮定、見込まれる結果の範囲、見積りの不確実性の主な原因、その他の定性的・定量的な記述を行うことができます。結果として、KAMに決定した理由や監査上の対応も、読み手にとって理解しやすいものになります。
一方で、注記が不十分であれば、KAMの記載もまた抽象的になりやすい。
KAMを充実させるには、監査人の文章力だけでは足りません。会社の注記と開示の質が必要なのです。
監査役等は、経営者に追加開示を促す役割を持つ
KAM実務で難しいのは、監査人がKAMに含めたい情報と、会社がまだ開示していない情報との関係です。
KAMは、会社の未公表情報を監査人が勝手に開示する制度ではありません。しかし、監査上重要な事項を説明しようとすると、会社の開示が不足していると感じられる場面が出てきます。
この場合にまず検討すべきは、会社自身の開示の充実です。
監査基準報告書701の適用指針では、監査人が企業に関する未公表の情報を監査報告書に含める必要があると判断した場合、監査報告書で当該情報を提供することを決定する前に、経営者に追加の情報開示を促し、必要に応じて監査役等と協議することが適切とされています。経営者には監査人からの要請に積極的に対応することが、監査役等には経営者に追加の開示を促す役割を果たすことが、それぞれ期待されているといえます。
ここに、監査役等コミュニケーションの実務上の重要性があります。
監査人が「この情報がないとKAMの説明が難しい」と考える。経営者は「そこまで開示する必要があるのか」と迷う。監査役等は、財務報告プロセスを監視する立場から、利用者にとって必要な開示か、会社の説明責任として不足していないかを確認する。
この三者の対話によって、KAMは単なる監査報告書の記載から、開示の質を高めるプロセスへと変わります。
監査役等がここで果たすべき役割は、会社の開示を守るために監査人と交渉することではありません。また、監査人の記載をそのまま受け入れることでもありません。
財務諸表利用者にとって必要な情報が、会社の財務諸表・注記・記述情報において適切に説明されているかを、経営者と監査人の双方に問い続けること。それが監査役等の役割です。
KAMコミュニケーションの年間設計
KAMは、期末監査の終盤だけで議論するものではありません。監査役等とのコミュニケーションは、年間プロセスとして設計する必要があります。
監査計画段階
監査計画段階では、KAM候補になり得る領域を早期に共有します。
この段階での目的は、KAMを確定することではありません。監査人の初期的なリスク認識を監査役等と共有し、監査役等が把握している情報を監査計画に反映することにあります。
議論すべき事項としては、次のようなものが挙げられます。
- 当年度の重要な虚偽表示リスク。
- 特別な検討を必要とするリスク。
- 会計上の見積りのうち不確実性が高い領域。
- 経営者の重要な判断を伴う会計処理。
- 前年度KAMの継続・変更可能性。
- 当年度に発生した重要な取引や事象。
- 内部統制不備、内部監査指摘、監査役等の懸念事項。
- KAM候補と注記・記述情報の関係。
監査基準報告書260は、監査人の目的として、監査人の責任および計画した監査の範囲と実施時期の概要を監査役等と明確にコミュニケーションすること、監査に関連する情報を監査役等から入手すること、監査上発見した重要事項を適時に伝達すること、有効な双方向のコミュニケーションを行うことを示しています。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書260 監査役等とのコミュニケーション
KAM候補の議論は、この計画コミュニケーションの中核に位置づけるべきものです。
期中段階
期中では、KAM候補に関する会社の対応状況を確認します。
- 見積りモデルは更新されているか。
- 事業計画の前提は取締役会で議論されているか。
- 内部統制上の不備は改善されているか。
- 内部監査の指摘事項は解消されているか。
- KAM候補に関する注記案は早期に検討されているか。
- 監査人が追加手続を必要とする兆候はないか。
期中段階で重要なのは、KAM候補を「期末に検討する事項」として放置しないことです。
とりわけ、減損、税効果、関係会社投融資、棚卸資産評価、収益認識のように、期末時点の見積りや判断が重要になる論点については、期中のうちから基礎データ、内部統制、事業計画、経営者説明を整えておく必要があります。
期末監査段階
期末になると、KAM候補をKAMとして記載するかどうか、記載する場合にどのような内容とするかが具体化します。
この段階で監査役等が確認すべきなのは、次の点です。
- 監査人がKAMと決定した事項。
- KAM候補から外れた重要論点とその理由の概要。
- 会社の注記への参照関係。
- KAMに決定した理由。
- 監査上の対応。
- 監査人の重要な判断と未解決事項。
- 経営者との見解相違の有無。
- 除外事項、継続企業の前提、強調事項との関係。
- 監査報告書日までのスケジュール。
監査基準報告書701は、監査人が、KAMとして決定した事項を、また報告すべきKAMがないと判断した場合にはその旨を、監査役等とコミュニケーションしなければならないとしています。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
期末のKAMコミュニケーションは、文案確認の場にとどまりません。監査意見形成に至る判断の、最終確認の場でもあります。
監査終了後
監査終了後には、KAMの振り返りを行います。
- 当年度のKAMは、監査役等の問題意識と整合していたか。
- 監査人の監査上の対応は、監査役等にとって納得できるものだったか。
- 会社の注記は、KAMと整合していたか。
- 翌年度も同じKAMが継続しそうか。
- 内部統制や開示プロセスの改善課題はあるか。
- 翌年度の監査計画、内部監査計画、監査役等監査計画に反映すべき事項は何か。
KAMを毎年同じように記載すること自体が、直ちに問題になるわけではありません。
しかし、前年度と同じKAMであっても、経済環境、事業計画、仮定、内部統制、監査手続に変化があるのなら、その変化は検討されるべきです。
金融庁のKAMに関する勉強会資料でも、ボイラープレート化について、問題を起こさないよう無難に進めようとする内向きな発想や、監査報告書のコミュニケーション価値を高める意識の不足が形骸化につながるとの指摘が示されています。あわせて、前年度から継続するKAMについても、変化があればその理由を記載し、監査手続が変わるのであれば現状に即して具体的に記載することが重要とされています。
出典:金融庁|監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント
KAMの振り返りは、翌年度監査の質を高めるための重要な材料になります。
KAM候補管理表を作るなら、何を管理すべきか
KAM候補を実務で管理するにあたって、単なる候補一覧では十分とはいえません。
KAM候補管理表を作るのであれば、少なくとも次の項目は含めたいところです。
| 管理項目 | 確認すべき内容 |
|---|---|
| 論点名 | 減損、税効果、収益認識などの一般名ではなく、対象資産・契約・子会社・事業単位まで特定する。 |
| 関連する財務諸表項目 | 勘定科目、注記、記述情報、内部統制報告書との関係を明確にする。 |
| 監査上のリスク | 特別な検討を必要とするリスク、高リスク領域、見積り不確実性、経営者判断、不正リスクを整理する。 |
| 経営者の判断 | 方法、仮定、基礎データ、判断理由、代替案、感応度を確認する。 |
| 内部統制 | 作成・レビュー・承認・モニタリング・IT統制・補完統制の状況を整理する。 |
| 監査人の対応 | 実施予定手続、専門家利用、追加手続、証拠入手状況、結論を整理する。 |
| 注記・開示 | 関連する注記、追加開示の要否、未公表情報の有無、記述情報との整合を確認する。 |
| 監査役等の関与 | 監査役等が確認した事項、経営者への質問、取締役会での議論、監査役等監査計画への反映を記録する。 |
| ステータス | 候補、継続検討、KAM決定、KAM対象外、翌期継続課題などを管理する。 |
この管理表は、KAMを機械的に選ぶためのチェックリストではありません。
重要論点について、監査人・監査役等・経営者が同じ事実認識を持ち、誰が何を確認すべきかを明確にするための道具です。
監査役等がKAM候補について投げかけるべき質問
監査役等は、KAM候補について、監査人と経営者の双方に質問する必要があります。そして、監査人への質問と経営者への質問は、性質が異なります。
監査人に対しては、次のような質問が有効です。
- なぜこの論点をKAM候補と考えているのか。
- どの監査リスクに対応する論点なのか。
- 特別な検討を必要とするリスクなのか、高リスク領域なのか。
- 前年度KAMとの違いは何か。
- 経営者のどの判断・仮定に最も注意を払っているのか。
- 会社の注記は、KAMの理解に十分か。
- 監査上の対応として、どの手続が結論を支えているのか。
- 専門家の利用や審査担当者との協議は必要か。
- KAMに記載しない重要論点がある場合、その理由は何か。
経営者に対しては、次のような質問が必要です。
- この論点について、取締役会で十分に議論したか。
- 主要な仮定は、事業計画や外部環境と整合しているか。
- 楽観的な前提になっていないか。
- 過年度の見積りと実績の乖離をどう分析したか。
- 注記は、利用者にとって十分な説明になっているか。
- 監査人から追加開示を促された事項にどう対応したか。
- 内部統制上の不備や改善課題はないか。
- 翌期以降に重要な影響を及ぼす可能性をどのように説明するか。
監査役等の質問は、監査人の判断に介入するためのものではありません。財務報告プロセスの監視責任を果たすために、KAM候補の前提を確認するためのものです。
KAMと注記の関係|会社の開示が弱いとKAMも弱くなる
KAMは監査報告書の記載です。しかし、KAMの情報価値は、会社の注記と切り離すことができません。
監査基準報告書701は、KAMの記載において、関連する財務諸表における注記事項がある場合には、当該注記事項への参照を記載することを求めています。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
そのため、会社の注記が抽象的であれば、KAMの説明もまた抽象的になりやすくなります。
逆に、会社の注記が、主要な仮定、算定方法、翌年度影響リスク、感応度、経営者判断を丁寧に説明していれば、監査人はその注記を参照しながら、監査上特に重要と判断した理由や監査上の対応を、より具体的に説明することができます。
KAMは、会社の注記を置き換えるものではありません。むしろ、会社の注記の質を前提にして成り立っているものです。
したがって、KAM候補が見えてきた段階で、監査役等は次の点を確認すべきです。
- 会社の注記は、KAM候補の背景を説明しているか。
- 監査人のKAM文案に含まれる情報が、会社の注記には存在しないという状態になっていないか。
- 会計上の見積りの開示とKAMの内容が矛盾していないか。
- 有価証券報告書の事業等のリスク、MD&A、経営方針、セグメント情報と整合しているか。
- 投資家がKAMを読んだときに、会社の注記に戻って理解を深められる構造になっているか。
KAMの議論は、監査報告書だけを見ていると、どうしても狭くなります。注記、記述情報、内部統制、監査証拠まで含めて見ることで、初めて財務報告の信頼性に接続していきます。
KAMと未公表情報|監査人の記載で会社の開示不足を補わせない
KAM実務では、未公表情報の扱いに注意が必要です。
監査人がKAMを具体的に書こうとすると、会社がまだ開示していない情報に触れざるを得ない場面が出てきます。
たとえば、減損のKAMで、特定資産グループの将来キャッシュ・フローの前提を説明したい。税効果のKAMで、将来課税所得の前提となる重要な事業計画を説明したい。収益認識のKAMで、特定契約の条件や履行義務の判断を説明したい。関係会社投融資のKAMで、子会社の業績悪化や再建計画の前提を説明したい。
このとき、会社の注記が不足していると、監査人のKAMだけが具体的になり、会社の開示が追いつかないという状態が生じます。
これは、望ましい構造ではありません。
KAMは、会社が開示すべき情報を監査人が肩代わりするものではありません。会社が開示すべき重要情報があるのなら、まずは会社の開示として検討すべきです。
監査役等は、ここで重要な調整機能を果たします。
- 経営者に対して、なぜ追加開示を避けたいのかを確認する。
- 監査人に対して、なぜその情報がKAMの説明に必要なのかを確認する。
- 財務諸表利用者にとって、その情報が意思決定に有用かを検討する。
- 法令・会計基準・開示規則・守秘性・競争上の不利益を整理する。
- 必要に応じて、注記や記述情報の追加・修正を促す。
KAMと未公表情報の問題は、単なる表現調整ではありません。会社の開示責任、監査人の報告責任、監査役等の監視責任が交差する場面です。
KAMとボイラープレート化|「前年踏襲」を疑う
KAMの実務で避けるべきものの一つが、ボイラープレート化です。
もちろん、同じ会社で同じ重要論点が継続することはあります。減損、税効果、収益認識、金融商品の時価評価などは、毎年継続してKAMになることも珍しくありません。
問題は、実態が変わっているのに記載が変わらないことです。
市場環境が変わった。事業計画が変わった。金利、為替、資源価格、人件費、原材料価格が変わった。内部統制の不備が改善された、あるいは悪化した。経営者の仮定が変わった。監査人の手続が変わった。前年度の見積りと実績に乖離が出た。
それにもかかわらず、KAMの決定理由や監査上の対応が前年とほぼ同じであれば、監査役等はその理由を確認すべきです。
金融庁も、KAMのボイラープレート化・形骸化について、監査報告書のコミュニケーション価値を高めることを意識しない対応が問題につながるとの議論を公表しています。
出典:金融庁|監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント
監査役等が見るべきなのは、「前年と同じだから問題ない」という結論ではありません。
前年と同じ論点であるとしても、前年と同じリスクなのか。前年と同じ監査対応で足りるのか。前年と同じ注記で、利用者の理解に足りるのか。前年からの変化を、説明しなくてよいのか。
KAMの前年踏襲は、監査の効率性には寄与するかもしれません。しかし、判断過程の更新を伴わない前年踏襲は、監査品質と説明責任を確実に弱めます。
監査役等がKAMに関与する際の限界
監査役等がKAMに関与することは重要です。ただし、そこには限界もあります。
第一に、監査役等はKAMを決定しません。
KAMを決定するのは監査人です。監査役等が「この論点をKAMにしてほしい」「この論点を外してほしい」と要請することはあり得ますが、最終判断は、監査人の職業的専門家としての判断に委ねられます。
第二に、KAMは会社の注記の代替ではありません。
監査役等がKAMを通じた情報提供を期待するあまり、会社の注記を軽く扱うことは適切ではありません。
第三に、KAMは個別事項への保証ではありません。
KAMに記載されたからといって、その見積りや取引について個別に適正性が保証されたわけではありません。KAMは、財務諸表全体に対する監査の実施過程と意見形成において監査人が対応した事項であり、個別意見を表明するものではないとされています。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
第四に、KAMは除外事項や継続企業の前提に関する重要な不確実性の代替ではありません。
除外事項や継続企業の前提に関する重要な不確実性に該当する事項は、その性質上KAMに該当し得ます。しかし、KAM区分ではなく、該当する区分で報告される必要があります。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
監査役等は、KAMへの関与を通じて監査報告書に介入するのではありません。KAM候補となる重要論点について、財務報告プロセス、経営者判断、内部統制、開示が適切に機能しているかを監視するのです。
KAMに関する監査調書・監査役等調書の残し方
KAMコミュニケーションは、調書化もまた重要です。
監査人は、KAMに関する判断を監査調書に残す必要があります。監査基準報告書701の適用指針は、監査役等とコミュニケーションを行った事項の中から監査人が特に注意を払った事項を決定すること、さらにKAMを決定することが、重要な職業的専門家としての判断に含まれるとしています。そして、その判断根拠は通常、監査役等とのコミュニケーションに関する監査調書、個別事項の監査調書、その他重要事項の監査調書に記載されるとされています。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
監査役等の側でも、次の事項を記録しておくことが望まれます。
- 監査人から提示されたKAM候補。
- 監査人がKAM候補とした理由。
- 監査役等が行った質問と監査人の回答。
- 経営者に確認した事項。
- 取締役会・監査役会等での議論。
- 会社の注記・記述情報への反映状況。
- 監査役等が追加開示を促した事項。
- 未解決事項と期末までの対応方針。
- 最終的にKAMとなった事項、ならなかった事項の概要。
- 翌年度に引き継ぐべき課題。
監査役等調書は、監査人の調書を複製するものではありません。監査役等が、どの情報に基づき、どのように財務報告プロセスを監視したかを示す文書です。
KAMは、その監査役等調書において、重要な監査論点の集約点になります。
KAMコミュニケーションでよくある失敗
KAMと監査役等コミュニケーションでは、次のような失敗が生じやすいといえます。
1. 期末に初めてKAM文案が出てくる
期末に初めてKAM文案を見せられても、監査役等が実質的に関与できる余地は限られます。KAM候補は、監査計画段階から共有すべきです。
2. 監査役等がKAMを「監査人の問題」として扱う
KAMの決定責任は監査人にあります。しかし、KAM候補の背景にある経営者判断、内部統制、注記は、監査役等の監視対象です。
3. 会社の注記が薄いままKAMだけを充実させようとする
KAMは会社の注記の代替ではありません。会社の開示が弱ければ、KAMの情報価値も限定されます。
4. KAM候補を金額基準だけで選ぶ
KAMは金額的重要性だけで決まるものではありません。見積り不確実性、経営者判断、監査上の困難性、内部統制、不正リスク、当年度の重要事象を含めて判断します。
5. 前年と同じKAMを無批判に踏襲する
同じKAMが継続すること自体はあり得ます。しかし、前提、仮定、内部統制、監査手続、開示に変化がないかを確認する必要があります。
6. 監査人と経営者だけで文案を調整し、監査役等が最後に報告を受ける
この運用では、監査役等が財務報告プロセスを監視する機能を十分に発揮できません。KAM候補は、監査役等との双方向コミュニケーションの中で扱うべきです。
KAMをガバナンス上の対話に変えるための実務視点
KAMを実効的に活用するには、監査役等、監査人、経営者が、それぞれ異なる問いを持つ必要があります。
監査人の問いは、「当年度監査において、どの事項が職業的専門家として特に重要だったか」です。
経営者の問いは、「その重要論点について、会社として十分に説明しているか」です。
監査役等の問いは、「その重要論点について、経営者の判断、内部統制、開示、監査人の対応を監視したと説明できるか」です。
この三つの問いが噛み合ったとき、KAMは監査報告書の記載項目を超えていきます。
取締役会での議論が深まる。会計上の見積りの根拠が明確になる。注記が利用者目線で見直される。内部統制不備の改善が進む。監査人のリスク評価が監査役等の問題意識と接続される。監査役等の監査計画が、財務報告上の重要論点に沿って更新される。
監査基準報告書701の適用指針でも、KAMの報告によって監査人と監査役等とのコミュニケーションが深まり、監査報告書で参照される財務諸表の注記事項に、経営者及び監査役等がより一層の注意を払う場合があるとされています。
出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
KAMの価値は、監査報告書の記載量ではなく、その背後でどれだけ質の高い対話が行われたかに表れます。
まとめ|KAMは監査報告書の出口であり、監査役等コミュニケーションの入口でもある
KAMは、監査報告書に記載される出口の論点です。しかし実務上は、監査役等コミュニケーションの入口でもあります。
KAM候補を早期に共有することで、監査役等は、経営者の重要な会計判断、会計上の見積り、内部統制不備、注記の十分性、不正リスク、監査人の対応を、年間を通じて監視することができます。
KAMは、監査人だけの制度ではありません。会社だけの開示制度でもありません。監査役等にとっても、財務報告プロセスを深く理解し、経営者に必要な説明や開示を促し、会計監査人の監査の相当性を判断するための、重要な対話材料です。
KAMを期末の文案調整で終わらせるのか。それとも、監査計画、リスク評価、証拠形成、内部統制評価、注記、監査報告、ガバナンスをつなぐ実務判断プロセスにできるのか。
その違いは、監査役等とのコミュニケーションを、どの段階から、どの深度で設計するかにあります。
主な出典・根拠
- 出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書701 独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告
- 出典:日本公認会計士協会|監査基準報告書260 監査役等とのコミュニケーション
- 出典:日本監査役協会|会計監査人との連携に関する実務指針
- 出典:金融庁|「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント」の公表
- 出典:金融庁|監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント
- 出典:ASBJ|企業会計基準第31号 会計上の見積りの開示に関する会計基準
KAM・監査役等対応・会計上の見積りの整理に迷う場合
KAM候補の検討は、監査報告書の文案作成だけでは完結しません。
会計上の見積り、注記、内部統制、取締役会での議論、監査役等への説明、監査人の監査対応、審査対応まで。これらを一体で整理しておかなければ、期末に論点が集中し、説明可能性が弱くなってしまいます。
犬飼公認会計士・税理士事務所では、KAM候補の論点整理、会計上の見積りに関する監査対応資料、監査役等への説明資料、注記・開示の検討、内部統制上の改善課題の整理について、会計・監査・内部統制・開示を横断した支援を行っています。
KAM候補の共有が期末に偏っている。監査役等への説明が形式的になっている。見積り注記とKAMの整合性に不安がある。такそうしたお悩みがある場合は、現状の論点と資料を整理したうえで、どうぞご相談ください。
重要事項の振り返り
| 論点 | 実務上のポイント |
|---|---|
| KAMの位置づけ | KAMは監査報告書の記載項目であると同時に、監査上の重要判断を財務諸表利用者に伝える仕組みである。 |
| 決定プロセス | 監査役等とコミュニケーションした事項から、特に注意を払った事項を絞り込み、さらに特に重要な事項をKAMとする。 |
| 監査役等の役割 | KAMを決定するのではなく、KAM候補の背景にある経営者判断、内部統制、注記、監査人の対応を監視する。 |
| 共有時期 | KAM候補は期末の文案段階ではなく、監査計画段階から共有する。 |
| 会計上の見積り | 減損、税効果、収益認識、金融商品、引当金など、見積り不確実性や経営者判断を伴う領域はKAM候補になりやすい。 |
| 注記との関係 | KAMは会社の注記の代替ではない。注記が弱いとKAMの情報価値も低下する。 |
| 追加開示 | 監査人が未公表情報をKAMに含める前に、経営者による追加開示を検討し、監査役等は必要に応じて開示充実を促す。 |
| ボイラープレート化 | 前年と同じKAMでも、仮定、環境、内部統制、監査対応の変化を吟味する必要がある。 |
| 調書化 | 監査人はKAM判断の根拠を監査調書に残し、監査役等も質問・確認・経営者対応・開示検討を記録する。 |
| ガバナンスへの接続 | KAMは、監査人・監査役等・経営者の対話を通じて、財務報告プロセスと開示の信頼性を高める契機となる。 |