修正申告・更正の請求・訂正申告の違い|確定申告を間違えたときの正しい直し方

目次

修正申告・更正の請求・訂正申告の使い分け

確定申告書を提出した後になって、売上の計上漏れ、必要経費の入れ忘れ、所得区分の誤り、控除の適用漏れなどに気づくことは少なくありません。

このとき、「間違えた申告を直したい」という目的は同じでも、そのために必要な手続は一つに定まっているわけではありません。どの手続を選ぶかは、主に次の三点によって決まります。

  1. 法定申告期限を過ぎているか
  2. 正しい税額が、申告した税額より増えるか減るか
  3. そもそも申告書を提出済みか

法定申告期限前であれば、原則として正しい申告書を出し直します。期限後については、税額が増えるなら修正申告、税額が減るなら更正の請求が基本です。

ただし、これは「誤った項目だけ」を見て決めるものではありません。申告書全体を正しく作り直したうえで、最終的な税額、還付金額、純損失等の金額がどの方向に動くかを見て判断します。

本稿では、2026年6月25日現在の法令および国税庁の公表情報を前提に、訂正申告、修正申告、更正の請求の違いと、実務上の判断手順を整理します。

最初に結論|手続を選ぶための全体表

現在の状態正しく計算した結果基本となる手続
申告書を提出済みで、法定申告期限前税額が増える・減るを問わない正しい確定申告書を再提出する、いわゆる訂正申告
申告書を提出済みで、法定申告期限後納付税額が増える、または還付金額が減る修正申告
申告書を提出済みで、法定申告期限後納付税額が減る、または還付金額が増える更正の請求
申告書を提出済みで、法定申告期限後純損失等の金額が増える更正の請求
申告書を提出済みで、法定申告期限後純損失等の金額が減る修正申告
申告義務があったが、申告書を提出していない納付または還付が発生する期限後申告
もともと申告義務がなく、源泉徴収税額等の還付を受けたい還付となる還付申告
税務署長による更正等の処分を受け、その内容に不服がある処分の取消し・変更を求めたい再調査の請求または審査請求を検討

「訂正申告」は、法定申告期限内に正しい申告書を出し直す実務を指すため、本稿で便宜上用いている表現です。法定申告期限後に行う修正申告や更正の請求とは、法的な性質も手続も異なります。

国税庁も、法定申告期限内に誤りに気づいた場合は正しい内容の確定申告書を改めて期限までに提出し、法定申告期限後は修正申告または更正の請求によって訂正するよう案内しています。
出典:国税庁|申告に誤りがあった場合など

手続は「誤った項目」ではなく、申告全体の再計算結果で決める

たとえば売上の申告漏れが見つかると、税額が増えるのだから修正申告だろう、と考えがちです。

しかし、その売上に対応する必要経費、源泉徴収税額、減価償却費、所得控除などにも漏れが潜んでいれば、申告全体を再計算してみるまで正しい税額は分かりません。

反対に、必要経費の計上漏れが見つかった場合も、必ず更正の請求になるとは限りません。同時に別の売上漏れや控除の誤りが見つかれば、最終的な納付税額はむしろ増え、修正申告になることもあるからです。

そこで、判断は次の順序で進めます。

  1. 元の申告内容を確認する
  2. すべての誤りを洗い出す
  3. 正しい所得・控除・税額を再計算する
  4. 元の申告との差額を確認する
  5. 訂正申告・修正申告・更正の請求を選ぶ

「この経費を追加したいから更正の請求」「この売上を足すから修正申告」というように、項目単位で手続を決めるものではない、という点を押さえておいてください。

訂正申告|法定申告期限前に正しい申告書を出し直す

訂正申告の基本

申告書を提出した後でも、法定申告期限前であれば、正しい計算に基づいて作り直した確定申告書を改めて提出できます。

同じ人から法定申告期限内に複数の確定申告書が提出された場合は、特段の申出がない限り、原則として最後に提出された申告書がその人の申告書として取り扱われます。

ただし、先に提出した申告書が還付申告書で、すでに還付処理が行われているようなケースでは、通常の再提出だけでは処理できないことがあります。この場合は、再提出の前に所轄税務署へ確認しておく必要があります。
出典:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき・申告書の内容の訂正は可能ですか

訂正した部分だけを提出しない

訂正申告では、誤ったページや訂正箇所だけを差し替えるのではなく、正しい申告内容を反映した申告書一式を作成します。

e-Taxで申告している場合も同様で、訂正した部分だけでなく、申告書のすべての帳票を再送信します。なお、申告期限内であれば、訂正後の申告データを送信した旨をあらためて税務署へ連絡する必要はないとされています。
出典:e-Tax|当初、提出した申告データに誤りがあり、訂正したいのですがどうすればいいですか

再提出の前には、少なくとも次の事項を確認しておきます。

  • 当初申告書と訂正後申告書の差額
  • 青色申告決算書または収支内訳書との整合性
  • 分離課税用の申告書や各種計算明細書
  • 控除証明書その他の添付資料
  • e-Taxの受信通知
  • 納付済額または還付処理の状況
  • ダイレクト納付や振替納税の設定

とりわけ、自動ダイレクトや期日指定による納付を設定している場合は、当初申告に基づく納付と訂正申告に基づく納付が重複しないよう、あらかじめ確認しておく必要があります。

修正申告|法定申告期限後に税額が増える場合

修正申告が必要となる状態

法定申告期限後に申告内容を見直した結果、次のような状態になっていた場合は、修正申告が基本となります。

  • 納める税金が少な過ぎた
  • 還付を受ける税金が多過ぎた
  • 純損失等の金額を多く申告していた
  • 翌年以降へ繰り越す損失を多く申告していた

具体的には、売上の計上漏れ、必要経費の過大計上、源泉徴収税額の過大記載、損益通算できない損失の計上などにより、元の申告税額が本来より少なかった場合が該当します。

修正申告は、税務署に減額を求める手続ではありません。納税者自身が、正しい税額へ申告内容を改めるための手続です。

国税庁も、納付税額が少な過ぎた場合や還付金額が多過ぎた場合には、修正申告によって訂正するよう案内しています。
出典:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき

修正申告は「差額だけの申告」ではない

修正申告でも、見つかった誤りだけを追加するのではなく、その年分の申告内容全体を正しい状態へ組み直します。

確認すべき事項は、少なくとも次のとおりです。

  • 総収入金額
  • 所得区分
  • 収入の帰属年
  • 必要経費
  • 家事関連費の按分
  • 減価償却
  • 所得控除・税額控除
  • 源泉徴収税額
  • 予定納税額
  • 損益通算・損失の繰越し
  • 分離課税所得
  • 復興特別所得税

一つの売上漏れを追加しただけでも、事業所得や雑所得の金額にとどまらず、所得制限のある控除や税額控除にまで影響が及ぶことがあります。

追加税額の納期限は修正申告書の提出日

修正申告によって新たに納める税金は、原則として修正申告書を提出した日までに納付します。

元の法定納期限から実際の納付日までの期間については、原則として延滞税も生じます。修正申告書を提出しただけで納付が完了するわけではありませんから、申告と納付は一体のものとして管理しなければなりません。
出典:国税庁|確定申告が間違っていたとき・確定申告を忘れていたとき

追加税額が大きい場合は、所得税だけでなく、住民税、個人事業税、消費税、国民健康保険料などへの波及も含めて、納税資金を確認しておきます。

自主的な修正と税務調査後の修正では扱いが異なる

税務署から調査を行う旨等の通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合、原則として過少申告加算税は課されません。

これに対し、調査通知を受けた後や、調査による更正を予知した後の修正申告では、過少申告加算税が課されることがあります。具体的な割合や、「更正を予知した」といえるかどうかは、修正申告をした時点と税務署の対応状況によって判断されます。
出典:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき

早く提出すること自体は大切ですが、税額を確定できていない状態で暫定的な修正申告を繰り返すのは適切ではありません。

まずは資料を保全し、対象年分と取引実態を確認したうえで、正しい申告内容を一度で整理する。これが基本になります。

更正の請求|法定申告期限後に税額が減る場合

更正の請求は「税額を減らす申告」ではない

更正の請求は、納税者が自ら税額を減らして確定させる手続ではありません。

申告した税額が過大だったことなどを理由に、税務署長へ「申告内容を減額する更正を行ってほしい」と請求する手続です。

主に、次のような状態で検討します。

  • 納付税額を多く申告していた
  • 還付金額を少なく申告していた
  • 純損失等の金額を少なく申告していた
  • 繰越対象となる損失を少なく申告していた

更正の請求書を提出すると、税務署がその内容を検討します。請求が正当と認められた場合に減額更正が行われ、その結果として納め過ぎた税金が還付される、という流れになります。

したがって、更正の請求書を出しさえすれば申告税額が自動的に減る、というものではありません。
出典:国税庁|申告が間違っていた場合

税額等に変動がなければ、更正の請求はできない

所得金額が減ったり所得控除が加わったりしても、最終的な税額または純損失等の金額に変動がなければ、原則として更正の請求はできません。

たとえば、所得区分や経費の内訳を組み替えても、納付税額、還付金額、純損失等の金額が変わらないのであれば、更正の請求の対象にならない可能性があります。

ただし、その変更が翌年以降の損失繰越額、税額控除、他の税目などに影響する場合は、個別制度の要件を確認する必要があります。
出典:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき

更正の請求期限は原則5年

所得税および復興特別所得税について更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。

ここで注意しておきたいのは、通常は当初申告書を提出した日から5年ではなく、法定申告期限から5年である、という点です。

期限後申告をした場合でも、一般的な更正の請求期間の起算点が期限後申告書の提出日にずれるわけではありません。過年度の申告を直すときは、当初申告日だけでなく、その年分の法定申告期限を確認しておく必要があります。
出典:国税庁|所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続

一方、もともと確定申告義務がなく、還付を受けるために申告した人については、提出日から5年以内とされる取扱いがあります。申告義務の有無によって期限の起算点が異なることがあるため、還付申告を訂正する場合は個別に確認します。
出典:国税庁|所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続

後から事実関係が変わった場合の特則

通常の5年という期間とは別に、申告後に一定の事実が生じたときには、「後発的理由」による更正の請求が認められることがあります。

代表的なのは、申告の計算の基礎となった事実が、その後の判決等によって異なることが確定した場合などです。このときは、一定の要件のもと、その事実が生じた日の翌日から2か月以内に請求する仕組みが設けられています。

もっとも、すべての契約変更、合意解除、判決、和解が当然に対象となるわけではありません。国税通則法第23条第2項や個別税法の要件を確認する必要があります。
出典:e-Gov法令検索|国税通則法第23条
出典:国税庁|更正の請求に対する『理由なき通知処分』の審査請求のあり方

後発的理由による請求期限は短いため、判決、和解、契約関係の確定、他者への課税処分などがあった場合は、通常の5年を過ぎているからといってすぐに諦めず、早急に適用の可能性を確認することが大切です。

更正の請求には理由と証拠資料が必要

更正の請求では、単に「税額を下げてほしい」と書くだけでは足りません。

少なくとも、次の内容を整理しておきます。

  1. 当初申告でどのような処理をしたか
  2. どの事実または計算が誤っていたか
  3. 正しい税務上の取扱いは何か
  4. 当初申告額と請求後の金額はいくらか
  5. 正しい金額を裏付ける資料は何か

国税庁は、更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類の添付を求めています。

必要経費の計上漏れであれば、帳簿、領収書、契約書、通帳、修正後の青色申告決算書などが考えられます。社会保険料控除の記載漏れであれば、控除証明書や支払額を証明する資料が必要になります。
出典:国税庁|所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続

資料が不足している場合には、税務署から追加提出を求められることがあります。事実確認のために、質問や調査が行われることもあります。そして、請求が全部または一部認められない場合には、その理由を付した通知が行われます。

更正の請求で必ず認められるとは限らないもの

更正の請求は、申告を有利にやり直すための一般的な再選択制度ではありません。

国税通則法上は、当初申告の計算が税法に従っていなかった場合や、計算に誤りがあった場合などに、税額等の減額を求める制度と位置づけられています。

そのため、当初申告時の選択そのものは適法だったものの、後になって別の選択の方が有利だと分かった、というだけでは、更正の請求が認められないことがあります。

特に注意が必要なのは、次のような制度です。

  • 当初申告書への記載を要件とする制度
  • 一定の明細書や証明書の添付を要件とする制度
  • 期限内申告を要件とする制度
  • 複数の課税方法から選択する制度
  • 他の特例との併用制限がある制度
  • 継続適用を前提とする制度

もっとも、当初申告要件や添付要件が緩和されている制度もあり、一律には判断できません。「控除を書き忘れた」「特例を使い忘れた」という事実だけで請求できるともできないとも決めつけず、個別制度の条文と適用要件を確認する必要があります。
出典:国税庁税務大学校|当初申告要件の充足判定と更正の請求の可否についての一考察

誤りの内容別に見る手続の使い分け

誤りの内容法定申告期限前法定申告期限後
売上・副業収入・家賃収入の計上漏れ正しい申告書を再提出原則として修正申告
必要経費を多く計上していた正しい申告書を再提出原則として修正申告
必要経費を計上し忘れていた正しい申告書を再提出原則として更正の請求
源泉徴収税額を多く記載していた正しい申告書を再提出原則として修正申告
源泉徴収税額を少なく記載していた正しい申告書を再提出原則として更正の請求
医療費控除等を申告書に記載し忘れた正しい申告書を再提出申告済みなら更正の請求を検討
申告義務がなく、初めて還付を受ける還付申告還付申告
不動産等の取得費を少なく計算していた正しい申告書を再提出原則として更正の請求
譲渡所得や一時所得を申告していなかった正しい申告書を再提出原則として修正申告
損失を多く申告していた正しい申告書を再提出修正申告
損失を少なく申告していた正しい申告書を再提出更正の請求を検討
適法に選択した課税方法を有利な方法へ変えたい正しい申告書を期限内に再提出できる場合がある更正の請求が認められるとは限らない

この表は、あくまで一般的な方向を示したものです。

実際には、一つの誤りだけで判断するのではなく、その年分の申告全体を再計算し、最終的な税額等の増減を確認することが欠かせません。

税務調査で修正申告を勧められた場合

税務調査の結果説明を受けた際に、税務署から修正申告を行うよう勧められることがあります。

この勧奨に応じるかどうかは、納税者の任意です。修正申告をしなかったことだけを理由として、修正申告をした場合より不利に取り扱われることは基本的にない、と国税庁は説明しています。

なお、修正申告をしない場合、税務署は調査結果に基づいて更正等の処分を行うことになります。
出典:国税庁|税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)問25

ここで押さえておきたいのは、修正申告と税務署による更正とでは、その後の救済手段が異なるという点です。

修正申告を提出した場合

修正申告は納税者自身が行う申告であって、税務署が行った処分ではありません。

そのため、修正申告そのものに対して不服申立てをすることはできません。

ただし、修正申告後に、その税額等が過大だったと考えるに至った場合は、請求期間内であれば更正の請求を行うことができます。
出典:国税庁|税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)問26

税務署による更正を受けた場合

調査結果に納得できず修正申告をしない場合、税務署長が増額更正等の処分を行うことがあります。

更正は税務署長による行政処分ですから、その処分に不服があれば、再調査の請求や審査請求を検討できます。

したがって、調査結果に疑問があるにもかかわらず、内容を十分に検討しないまま「とりあえず修正申告を出す」ことは避けるべきです。

事実関係、税法上の根拠、追加税額、加算税、そして不服申立てと更正の請求の違いを理解したうえで、判断する必要があります。

更正の請求が認められなかった場合

更正の請求が全部認められない場合、税務署長から「更正をすべき理由がない旨の通知」が行われます。

一部だけが認められた場合は、認められた部分について減額更正が行われ、認められない部分についてはその理由が示されます。

この通知は税務署長による処分です。その内容に不服がある場合は、原則として通知を受けた日の翌日から3か月以内に、再調査の請求または国税不服審判所長への審査請求を検討します。

修正申告、更正の請求、不服申立ては、それぞれ別の期限と法的効果を持ちます。混同しないことが大切です。
出典:国税庁|更正の請求に対してその更正をすべき理由がない旨の通知書
出典:国税庁|税務手続について

本稿では不服申立ての手続詳細までは扱いませんが、通知を受けた後、税務署とやり取りを続けている間も、法定の不服申立期間は進行していきます。

修正申告・更正の請求を行う前の実務手順

1.元の申告書と提出状況を確認する

最初に集めるものは、次のとおりです。

  • 当初の確定申告書
  • 青色申告決算書または収支内訳書
  • 各種計算明細書
  • e-Taxの受信通知
  • 納付記録または還付記録
  • 過年度の修正申告書・更正通知書
  • 税務署からの照会・通知
  • 翌年以降の確定申告書

「どの内容で申告が確定しているのか」を確認できなければ、正しい差額を算定することはできません。

2.法定申告期限と手続期限を確認する

次に、その年分の法定申告期限を特定します。

確認すべき期限は、一つではありません。

  • 訂正申告が可能な法定申告期限
  • 更正の請求の5年期限
  • 後発的理由による2か月期限
  • 税務署の処分に対する不服申立期間
  • 特例固有の申告・添付期限

法定申告期限の延長措置があった年分や、準確定申告、出国時申告などは、通常の申告期限とは異なる場合があります。

3.事実関係を先に確定する

税額計算より先に、何が起きたのかを確定します。

  • 取引日
  • 契約内容
  • 役務提供日
  • 売上確定日
  • 請求日・入金日
  • 支払日
  • 資産の取得日・売却日
  • 所有者・共有持分
  • 事業利用と私的利用の状況
  • 控除対象者と実際の負担者

税額を下げるという結論に合わせて事実を組み立てるのではなく、客観的な事実から税務上の処理を判断します。

4.申告書全体を正しく再計算する

正しい税額を出すために、申告書全体を再構成します。

元の申告額に差額だけを足し引きするのではなく、所得区分、経費、控除、損益通算、源泉徴収税額などを、すべて正しい前提で計算し直します。

特に、所得金額の変動によって、他の控除や税額控除の適用額が変わらないかを確認しておきます。

5.当初申告との比較表を作る

実務上は、次のような比較表を作成しておくと整理しやすくなります。

項目当初申告正しい金額差額修正理由根拠資料
収入金額
必要経費
所得金額
所得控除
課税所得
所得税額
源泉徴収税額
納付・還付税額
純損失等

この表があると、なぜ修正申告になるのか、あるいは更正の請求になるのかを説明しやすくなります。

6.関連年分と関連税目を確認する

修正対象の年だけを見て終わらないことも、同じくらい重要です。

純損失や株式等の譲渡損失などの繰越額が変われば、翌年以降の申告も連動して修正が必要になることがあります。

また、所得税の修正にともなって、次のような負担が変動する可能性があります。

  • 住民税
  • 個人事業税
  • 国民健康保険料
  • 消費税・地方消費税
  • 源泉所得税
  • 各種給付・負担判定の基礎となる所得

所得税が還付になるからといって、家計全体の負担まで同じ方向に動くとは限らない、ということです。

よくある手続上の誤り

「税金が減る修正申告」を提出しようとする

税額を減らす場合に用いるのは、通常の修正申告ではなく更正の請求です。

税額が増える修正申告と、減額を求める更正の請求とでは、様式も法的効果も異なります。

訂正箇所だけを税務署へ送る

訂正申告、修正申告、更正の請求のいずれも、申告全体との整合性が求められます。

一つの明細書だけを差し替えても、所得金額や税額がどう変わったのかが分からなければ、適切な是正にはなりません。

更正の請求期限を「申告書提出日から5年」と考える

一般的な更正の請求期限は、法定申告期限から5年です。

期限後申告を遅く提出したからといって、その分だけ更正の請求期限が延びるわけではありません。

更正の請求を提出すれば必ず還付されると考える

更正の請求は、税務署長へ減額更正を求める請求です。

税務署による確認を経て、請求が正当と認められた範囲で減額更正が行われます。

有利な制度へ自由に選び直せると考える

当初申告時の適法な選択を、後から有利な方法へ変更するだけでは、更正の請求が認められないことがあります。

制度ごとの当初申告要件、添付要件、期限内申告要件を確認しておきましょう。

税務調査で勧められた修正申告へ、確認せず署名する

修正申告を提出すると、その申告自体への不服申立てはできなくなります。

調査結果に疑問がある場合は、指摘内容、法的根拠、金額、証拠資料を確認したうえで判断します。

追加納付を後回しにする

修正申告による追加税額の納期限は、原則として修正申告書の提出日です。

申告書の提出と納付を別々に考えず、延滞税と納税資金まで含めて準備しておきます。

専門家への相談を早めに検討すべき場面

次のような場合は、単に申告書を作り直すだけでなく、手続選択の段階から専門家へ相談する意義があります。

  • 更正の請求期限が迫っている
  • 複数年分の誤りがある
  • 税額を増やす項目と減らす項目が混在している
  • 事業所得・雑所得・不動産所得等の所得区分に迷う
  • 不動産、株式、非上場株式、国外資産等の売却がある
  • 共有不動産や家族名義の収入がある
  • 青色申告や特例の当初申告要件が問題になる
  • 損失の繰越しが翌年以降へ影響する
  • 所得税だけでなく消費税や源泉所得税も関係する
  • 税務署から行政指導や調査通知を受けている
  • 修正申告の勧奨内容に納得できない
  • 更正をすべき理由がない旨の通知を受けた
  • 帳簿や証憑が不足し、過年度取引を復元する必要がある

専門家に依頼する価値は、修正申告書や更正の請求書を代わりに作成することだけにあるのではありません。

事実関係、適用法令、手続期限、根拠資料、後続年分、関連税目、納税資金、そして不服申立ての可能性まで含めて、矛盾のない形に整理する。そこにこそ、依頼する意味があります。

重要事項の振り返り

重要事項判断のポイント基本となる対応
法定申告期限前の誤り税額の増減を問わない正しい確定申告書を再提出
法定申告期限後の税額不足納付税額が増える、還付額が減る修正申告
法定申告期限後の税額過大納付税額が減る、還付額が増える更正の請求
未申告申告義務があったかを確認期限後申告
更正の請求期限原則として法定申告期限から5年起算日を年分ごとに確認
後発的理由判決等により後から基礎事実が変わったか原則2か月以内の特則を確認
更正の請求の資料請求理由を証明できるか帳簿、契約書、通帳、証明書等を添付
税額に変動がない場合最終税額・純損失等が変わるか原則として更正の請求は不可
特例・選択変更当初申告・添付・期限内申告の要件があるか個別制度を確認
修正申告後の納付提出日が追加税額の納期限延滞税を含めて納付
調査後の修正申告自らの申告になることを理解しているか不服申立てとの違いを確認
更正の請求が認められない場合理由なき通知の内容と受領日原則3か月以内の不服申立てを検討
翌年以降への影響損失繰越や控除額が変わるか後続年分も連動して見直す
周辺税目への影響住民税、事業税、消費税等が変わるか税目横断で確認する

申告内容の訂正方法に迷っている方へ

確定申告の誤りに気づいたときは、「税金が増えるのか、減るのか」だけを直感的に判断するのではなく、対象年分の申告内容全体を正しく再計算することが出発点になります。

とりわけ、複数の誤りが混在している場合、所得区分や資産取引の判断が必要な場合、更正の請求期限が迫っている場合、そして税務署から連絡を受けている場合には、手続を選ぶ前の整理がものをいいます。

犬飼公認会計士・税理士事務所では、当初申告書、帳簿、契約書、通帳、取引明細、控除資料、税務署からの通知等を確認し、修正申告・更正の請求・不服申立てのいずれを検討すべきかを、事実関係と根拠資料から整理することを重視しています。

「税額が増えるのか減るのか自体が分からない」「更正の請求期限までに何を準備すべきか確認したい」「税務署の指摘どおり修正申告すべきか整理したい」という段階でも、当事務所HPのお問い合わせページからご相談いただけます。

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