個人の確定申告で「赤字が出た」「損失がある」と聞くと、他の所得と相殺して税金を減らせるのではないか、と考える方は少なくありません。
個人事業の赤字、不動産所得の赤字、資産売却による損失、株式取引の損失、副業の赤字。こうした損失があるとき、「給与所得や他の黒字とぶつけられるのか」は、実務上とても重要な論点になります。
もっとも、所得税では、赤字や損失があれば常に他の所得と相殺できるわけではありません。損益通算できるかどうかは、まずその収入や損失がどの所得区分に属するのかを確認し、次にその損失が法律上、他の所得から控除できる性質のものかどうかを見極めたうえで判断していきます。
損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のものについて、一定の順序にしたがって、総所得金額等を計算する際に他の所得から控除する仕組みです。その対象となるのは、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の四つです。
出典:国税庁|No.2250 損益通算
この記事では、損益通算の細かな計算方法ではなく、「どの赤字なら他の所得と通算できるのか」「どの損失は別枠で考えるべきか」「確定申告前に何を確認すべきか」という全体像を整理していきます。
損益通算は「赤字なら何でも相殺できる制度」ではない
損益通算を考えるとき、最初に押さえておきたいのは、所得税では所得が性質ごとに区分されているという点です。
個人の収入は、事業所得、不動産所得、給与所得、雑所得、譲渡所得、一時所得、配当所得などに分かれます。ある所得で赤字が出たとしても、その赤字を他の所得から控除できるかどうかは、所得区分ごとに異なってきます。
特に誤解が生じやすいのは、次のような場面です。
- 副業の赤字を給与所得と相殺できると思っている
- 不動産所得の赤字はすべて給与所得と通算できると思っている
- 株式の損失を事業所得や給与所得と相殺できると思っている
- 雑所得の赤字を他の所得から差し引けると思っている
- 資産売却の損失はすべて譲渡所得の損失として通算できると思っている
これらは、いずれも個別に確認が必要なものです。
損益通算の判断では、「赤字があるか」よりも先に確認すべきことがあります。その赤字はどの所得区分から生じたものか。その所得区分の損失は、他の所得との通算が認められるものか。そして、その損失について特別な制限がないか。この三点を順に見ていく必要があります。
損益通算を判断する基本の流れ
損益通算を判断するときは、いきなり税額を計算するのではなく、次の順番で整理していきます。
1.まず、赤字が税務上の赤字かを確認する
会計ソフト上は赤字に見えても、税務上そのまま赤字として認められるとは限りません。
必要経費に入れている支出の中に、家事費、事業との関連性が乏しい支出、資産計上すべき支出、修繕費ではなく資本的支出と考えるべき支出、証憑が不足している支出が含まれていないか。まずはこの点を確認する必要があります。
また、減価償却費や棚卸、未収入金、未払金などの処理によっても、所得金額は変わってきます。「支払ったから経費」「入金がないから売上ではない」と単純に整理してしまうと、損益通算以前に、所得計算そのものが誤ってしまう可能性があります。
赤字を他の所得と通算するということは、他の所得に対する課税額を減らす効果を持つということです。だからこそ、赤字の根拠となる収入・経費・資産・負債の整理は、後から説明できる状態にしておくことが重要になります。
2.次に、所得区分を確認する
同じように見える収入でも、所得区分が変われば損益通算の結論も変わります。
たとえば副業収入がある場合、それが事業所得なのか、業務に係る雑所得なのかによって、赤字が出たときの扱いは大きく異なります。事業所得と認められるかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかによって判定されます。そして、取引を記録した帳簿書類の保存がない場合には、一定の場合を除き、業務に係る雑所得に該当する点に留意が必要です。
出典:国税庁|所得税基本通達 法第35条《雑所得》関係
ここで大切なのは、「本人が事業のつもりであるか」ではありません。取引の実態、継続性、独立性、営利性、帳簿・資料、契約関係などから、外部に説明できるかどうかが問われます。
損益通算は、所得区分の判断を飛ばして結論を出せる制度ではないのです。
3.損失が損益通算の対象になる所得から生じているかを確認する
損益通算の対象となる所得は、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得です。
一方で、配当所得、給与所得、一時所得、雑所得の金額の計算上、損失が生じることはあっても、その損失を他の所得から控除することはできません。
出典:国税庁|No.2250 損益通算
したがって、赤字が出た場合には、まず次のように整理してみます。
事業所得の赤字であれば、損益通算の入口に立ちます。不動産所得の赤字も損益通算の入口に立ちますが、後述する制限があります。譲渡所得の損失であれば、資産の種類や課税方式によって扱いが変わります。雑所得の赤字は、原則として他の所得との損益通算ができません。一時所得の赤字も、同じく他の所得との損益通算はできません。
ここを誤ると、「赤字を作れば税金が下がる」という危うい理解につながってしまいます。
事業所得の赤字は、まず「本当に事業所得か」が問題になる
事業所得の損失は、損益通算の対象となり得ます。
ただし、実務上の最大の論点は別のところにあります。その赤字が、本当に事業所得から生じたものといえるかどうかです。特に副業、個人の小規模な業務、ネット収入、原稿料、講演料、シェアリングエコノミー、継続性が弱い活動などでは、事業所得ではなく雑所得と整理される可能性があります。
事業所得として赤字を通算するためには、少なくとも次のような点を確認しておく必要があります。
- 継続的、反復的に行われているか
- 独立して自己の計算と危険で行われているか
- 営利性があるか
- 売上獲得のための具体的な活動があるか
- 帳簿、請求書、契約書、入出金記録が整っているか
- 家計支出と事業支出が区分されているか
- 赤字の原因を説明できるか
事業所得の赤字を給与所得などと通算する場合、税務上は「その赤字が事業活動から生じたものか」が問われます。趣味的活動、生活費の取り込み、帳簿のない副業的収入を、形式だけ事業所得として申告することは、慎重に避けるべきです。
なお、青色申告者については、損益通算をしてもなお控除しきれない純損失があるとき、一定の要件のもとで翌年以後3年間にわたり繰越控除できる制度があります。さらに、前年も青色申告をしている場合には、純損失の繰越しに代えて、前年分に繰り戻して所得税額の還付を受ける制度も設けられています。
出典:国税庁|No.2070 青色申告制度
出典:国税庁|A1-4 純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求手続
事業所得の赤字は、当年の損益通算だけで終わる話ではありません。翌年以降の申告、青色申告の承認、帳簿保存、納税資金、金融機関への説明にまでつながっていきます。
不動産所得の赤字は、通算できるものとできないものを分ける
不動産所得の赤字は、原則として損益通算の対象となり得ます。不動産所得に損失があるときは、他の黒字の所得金額から差し引くことができるとされています。
出典:国税庁|No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算
ただし、不動産所得の赤字は、すべて通算できるわけではありません。
代表的な制限として、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分は、損益通算の対象になりません。また、別荘等のように、主として趣味、娯楽、保養、鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けから生じた損失も、対象外とされています。
出典:国税庁|No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算
さらに、一定の組合契約等に基づく不動産所得の損失や、国外中古建物の減価償却費に起因する一定の損失についても、内部通算や他所得との損益通算が制限される場合があります。令和3年以後、国外中古建物の不動産所得の損失のうち、簡便法により計算した耐用年数に基づく減価償却費に相当する部分は、生じなかったものとみなされます。この部分は、国内不動産から生じる不動産所得との内部通算も、不動産所得以外との損益通算もできません。
出典:国税庁|No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算
不動産所得で赤字が出た場合は、赤字の金額だけを見るのではなく、その原因を分解して見ていく必要があります。
- 家賃収入の減少による赤字なのか
- 修繕費による赤字なのか
- 減価償却費による赤字なのか
- 借入金利子による赤字なのか
- 土地取得部分の利子が含まれていないか
- 趣味・保養目的の不動産ではないか
- 国外中古建物や組合型不動産投資に該当しないか
不動産所得は、見かけ上は赤字でも、借入金返済や減価償却、固定資産税、修繕費、空室、資産価値、将来の売却まで関係してきます。損益通算だけを目的に判断してしまうと、資金繰りや将来の税務リスクを見誤ることがあります。
譲渡所得の損失は、資産の種類と課税方式で扱いが変わる
資産を売却して損失が出た場合も、すぐに他の所得と通算できるとは限りません。
譲渡所得は、資産の種類によって、総合課税になるもの、申告分離課税になるもの、そもそも課税対象にならないものに分かれます。不動産、株式、投資信託、生活用動産、ゴルフ会員権、事業用資産などでは、損失の扱いがそれぞれ異なります。
生活に通常必要でない資産に係る所得の計算上生じた損失は、一定の競走馬の譲渡に係るものを除き、他の所得と損益通算できません。この「生活に通常必要でない資産」には、主として趣味、娯楽、保養、鑑賞の目的で所有する不動産や、ゴルフ会員権等、一定の高額な貴金属・書画・骨とう等が含まれます。
出典:国税庁|No.2250 損益通算
また、株式等に係る譲渡所得等は、申告分離課税の枠組みで扱われます。株式等に係る譲渡所得等の損失は、それ以外の所得との損益通算はできません。逆に、他の所得の損失も、株式等に係る譲渡所得等とは通算できません。ただし、上場株式等の譲渡損失については、一定の場合に、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等と通算できる取扱いがあります。
出典:国税庁|No.2250 損益通算
上場株式等を金融商品取引業者等を通じて譲渡したことなどにより生じた損失は、確定申告により、その年分の上場株式等の配当等に係る利子所得・配当所得のうち申告分離課税を選択したものと通算できます。控除しきれない損失は、翌年以後3年間にわたり繰越控除できる場合があります。ただし、NISA口座内の損失や、相対取引による一定の損失は対象外です。
出典:国税庁|No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
マイホームの譲渡損失についても、一定の要件を満たす場合には、その年の給与所得や事業所得など他の所得と損益通算し、控除しきれない部分を翌年以後3年内に繰り越せる特例があります。買換えの場合の特例、住宅ローンが残っている特定居住用財産の譲渡損失に関する特例など、要件と添付書類の確認が欠かせません。
出典:国税庁|No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき
出典:国税庁|特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
譲渡損失は、金額が大きくなりやすい一方で、特例要件や添付書類、所有期間、住宅ローン、取得費、譲渡費用、口座区分などによって結論が変わってきます。売却後、申告時期になってから慌てて判断するよりも、売却前後の資料を早めに整理しておくことが大切です。
雑所得や一時所得の赤字は、原則として他の所得と通算できない
副業、原稿料、講演料、シェアリングエコノミー、年金、保険、先物取引などは、雑所得に関係することがあります。
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも当たらない所得です。公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得などがこれに該当します。
出典:国税庁|No.1500 雑所得
雑所得は、黒字であれば給与所得などと合算して総所得金額を計算するのが原則です。しかし、雑所得の計算上生じた損失は、他の所得から控除することができません。
出典:国税庁|No.2250 損益通算
この点は、副業の赤字を給与所得と相殺したいと考える方にとって、特に重要です。副業が事業所得ではなく雑所得と判断される場合、その赤字を給与所得から差し引くことはできません。ですから、副業収入がある方は、「経費になるか」だけでなく、「その活動が事業所得といえるのか」「帳簿や資料が整っているか」を先に確認しておく必要があります。
なお、先物取引に係る雑所得等については、通常の雑所得とは別に、申告分離課税の枠組みで扱われます。先物取引に係る雑所得等の損失は、他の先物取引に係る雑所得等との通算は可能ですが、それ以外の所得とは損益通算できません。また、一定の要件のもとで、翌年以後3年間の繰越控除が認められる場合があります。
出典:国税庁|No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例
出典:国税庁|No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
「雑所得だから何もできない」と単純に考えるのではなく、通常の雑所得なのか、先物取引に係る雑所得等なのか、申告分離課税の対象なのかを切り分けることが必要です。
損益通算で見落としやすい4つの視点
視点1:損益通算と「所得内通算」は違う
損益通算は、ある所得区分で生じた損失を、他の所得区分の黒字から控除する考え方です。
一方、同じ所得区分の中で収入や損失を集計することは、損益通算とは別の整理になります。たとえば、複数の不動産を持っている場合、不動産所得全体を計算する段階で、物件ごとの収支をまとめる場面があります。ただし、一定の組合契約等に基づく不動産所得の損失や、国外中古建物の一定の損失のように、所得内通算自体が制限されるものもあります。
出典:国税庁|No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算
したがって、「同じ不動産所得だから全部まとめればよい」とも限りません。
視点2:損益通算と繰越控除は別の制度
当年の所得同士を相殺するのが損益通算です。
それでも控除しきれない損失が残る場合に、翌年以後へ持ち越す制度が繰越控除です。青色申告者の純損失の繰越控除、上場株式等の譲渡損失の繰越控除、先物取引に係る損失の繰越控除、居住用財産の譲渡損失の繰越控除など、それぞれ要件や必要書類が異なります。
特に金融商品や居住用財産の譲渡損失では、損失が出た年だけでなく、その後の年も連続して確定申告書や付表を提出することが求められる場合があります。上場株式等の譲渡損失の繰越控除では、譲渡がなかった年でも、損失を翌年へ繰り越すための申告が必要です。
出典:国税庁|No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
損失が出た年の申告だけで完結すると考えてしまうと、翌年以降に使えるはずだった控除を失うことにもなりかねません。
視点3:税額だけでなく、住民税・国保・資金繰りへの影響も見る
損益通算は所得税だけの問題に見えます。しかし、確定申告書に記載された所得金額は、住民税、国民健康保険料、個人事業税、各種所得制限、融資審査などにも影響することがあります。
また、赤字で所得税が減ったとしても、借入返済や固定資産税、社会保険料、消費税、翌年の予定納税といった資金負担が残る場合もあります。
特に不動産所得では、減価償却費により税務上は赤字でも、実際には借入返済で資金が出ている、あるいは修繕や空室で手元資金が不足している、といったことが起こり得ます。逆に、会計上は黒字でも、納税資金が十分に残っていないこともあります。
損益通算による税額への影響は重要です。ただ、それだけで事業や不動産投資の良し悪しを判断してしまうのは危険です。
視点4:赤字を説明できる資料がなければ、後でリスクになる
損益通算を行う場合、その赤字は他の所得を減らす効果を持ちます。そのため税務調査では、赤字の原因、所得区分、必要経費、家事関連費、資料保存、帳簿の正確性などが確認されやすくなります。
青色申告制度は、適正な帳簿書類の備付け・記帳・保存を前提に、純損失の繰越控除などの特典を認める制度です。正確な記帳を推進し、帳簿等に基づいて課税標準や税額を適正に計算・申告することを担保する。そうした趣旨のもとに設けられた制度だと理解しています。
赤字を通算する場合には、少なくとも次の資料を整理しておくことが望まれます。
- 収入の発生を示す契約書、請求書、入金記録
- 必要経費の領収書、請求書、支払記録
- 事業用と家計用の区分根拠
- 不動産ごとの収支、借入明細、固定資産税通知、修繕資料
- 資産の取得費、譲渡費用、売買契約書、証券会社資料
- 青色申告承認、帳簿、決算書、固定資産台帳
- 損失を翌年以後に繰り越す場合の付表や明細書
「赤字になったから通算する」のではなく、「なぜ赤字になったのかを説明できるから、通算を検討できる」。実務上は、こう考える方が安全です。
損益通算を検討する際の実務上の判断軸
損益通算を検討する際は、次の順番で確認していくと整理しやすくなります。
まず、その収入や損失の所得区分を確認します。事業所得、不動産所得、譲渡所得、雑所得のいずれかによって、結論は変わってきます。
次に、その赤字が税務上認められる損失かを確認します。家事費、趣味的支出、資産計上すべき支出、証憑不足の支出を含めて赤字を作っていないか、あらためて見直します。
そのうえで、損益通算の対象となる所得かを確認します。不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得であっても、個別の制限があるため、損失の原因を分解して見ていく必要があります。
さらに、損益通算後に控除しきれない損失が残る場合には、繰越控除や繰戻し還付の可能性を確認します。ただし、青色申告、期限内申告、連続申告、付表添付など、制度ごとの要件を満たしているかを確かめなければなりません。
最後に、所得税だけでなく、住民税、国民健康保険料、個人事業税、納税資金、翌年以降の事業計画や不動産運用への影響まで確認します。
ここまで整理して初めて、「損益通算できるか」「通算すべきか」「翌年以降にどう管理すべきか」を判断できるようになります。
損益通算は、税額を下げるためだけの制度ではない
損益通算は、正しく使えば、個人事業や不動産収入、資産取引で生じた損失を、所得税計算に適切に反映するための重要な制度です。
一方で、所得区分を誤ったり、経費性に問題がある支出を入れたり、通算できない損失を通算したりすると、後から修正申告、加算税、税務調査対応につながる可能性があります。
損益通算で大切なのは、税額を下げることだけではありません。
- その赤字がどの所得から生じたものか
- その赤字が税務上説明できるものか
- 通算が認められる損失か
- 翌年以降に繰り越せる損失か
- 住民税や国保、納税資金にどう影響するか
- 税務署や金融機関に説明できる資料があるか
これらを整理しておくことが、個人の確定申告を、将来の判断に使えるものへと変えていきます。
損益通算の判断に不安がある場合は、早めに整理を
損益通算は、赤字や損失がある年だけの話ではありません。
事業所得として申告するか、雑所得として整理するか。不動産所得の赤字をどこまで通算できるか。資産売却の損失について特例を使えるか。株式や先物取引の損失を翌年以後に繰り越すべきか。赤字の根拠資料をどこまで整えるべきか。
こうした論点は、申告期限直前に数字だけを見ても、なかなか判断がつきません。
犬飼公認会計士・税理士事務所では、単に申告書を作成するだけでなく、所得区分、必要経費、帳簿、資料保存、損益通算、翌年以降の税務リスクまで含めて、後から説明できる形に整理することを重視しています。
赤字や損失がある年の確定申告について、「自分の場合は通算できるのか」「この処理で後から説明できるのか」「翌年以降に損失を活かすために何をすべきか」。そう感じている場合は、資料が散らばったまま申告作業に入る前に、一度ご相談ください。
犬飼公認会計士・税理士事務所へのご相談は、当事務所ホームページのお問い合わせページから受け付けています。
主な出典・参考情報
出典:国税庁|No.2250 損益通算
出典:国税庁|No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算
出典:国税庁|所得税基本通達 法第35条《雑所得》関係
出典:国税庁|No.1500 雑所得
出典:国税庁|No.2070 青色申告制度
出典:国税庁|A1-4 純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求手続
出典:国税庁|No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
出典:国税庁|No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例
出典:国税庁|No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
出典:国税庁|No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき
出典:国税庁|特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
出典:e-Gov法令検索|所得税法
振り返り
| 確認する論点 | 実務上の見方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 赤字があるか | まず税務上の赤字かを確認する | 会計ソフト上の赤字がそのまま通算対象になるとは限らない |
| 所得区分 | 事業所得、不動産所得、譲渡所得、雑所得などを整理する | 所得区分を誤ると損益通算の可否も変わる |
| 損益通算の対象所得 | 不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得が入口になる | 対象所得でも個別制限がある |
| 雑所得の赤字 | 原則として他の所得と通算できない | 副業赤字を給与所得と相殺できるとは限らない |
| 不動産所得の赤字 | 原則通算対象になり得る | 土地取得借入金利子、国外中古建物、組合型投資などに注意 |
| 株式等の損失 | 申告分離課税の枠内で確認する | 給与所得や事業所得とは原則通算できない |
| 先物取引の損失 | 先物取引に係る雑所得等の枠内で確認する | 他の所得とは通算できないが、一定の繰越控除がある |
| 純損失の繰越 | 青色申告者は翌年以後に活用できる場合がある | 期限、申告、帳簿保存、連続申告を確認する |
| 資料保存 | 赤字の原因を説明できる資料を残す | 通算する赤字ほど、後から根拠を確認されやすい |
| 将来への影響 | 所得税だけでなく住民税、国保、納税資金も見る | 税額が下がっても資金繰りが改善するとは限らない |